中山元のレビュー一覧
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フロイト 欲動論と局所論から「人間はなぜ戦争をするのか」について論じた本。
人間の自己破壊の欲動と道徳的人間に至る過程を解明している。表題以外は専門的だが、訳者 中山元 氏の解説のおかげで 読めた
フロイトの人間像、戦争に対する態度、戦争における国家像は いずれも悲観的。まずは 最悪に備えよ というメッセージとして捉えた。人間に希望を残すキーワードとして、文化の発達、他者愛(ナルシズムからの脱却)、超自我を取り上げ、道徳や良心の源泉として論じている
鬱病に見られる自己破壊欲動(死の欲動)と超自我の対立を見ると、死の欲動の強さを実感する。フロイトの「人間は他者を犠牲にしてでも自分の -
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網羅的に、一貫性を持って、手堅く、フーコーの著作を解説。最初に読む本として、まさに入門として適切ではないだろうか。
・ある種の自由は、直接に制約を加える社会と同一ではないとしても、それに劣らぬ拘束的な効果をもたらす。
・カントが試みたのは、人間の理性の限界を明らかにすることだったが、フーコーにとって理性の定めた限界を〈侵犯〉することが重要な課題となる。
・精神医学が科学となったから狂気が疾患として認識されたのではなく、狂気が「精神の病」として位置付けられたからこそ、精神医学と心理学が可能になった。
・歴史に目的があるという考え方は抑圧的な機能を果たすことがある。「人間の目的」や「正義」に適っ -
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ネタバレ社会契約論よりは読みやすい部類に入るでしょう。
ただし、解説なしで読むのはかなりつらいので
面倒くさくても、解説はきちんと読みましょう。
そもそも私たちが人間としての
人と協力し合う、という選択肢を選び始めてから
不平等というものは生まれてしまったのです。
だけれども、原初に戻る?と聞かれて
私たちはイエスということはできないことでしょう。
もう戻るには遅すぎます。
そして、この本を読んでいて違和感を覚えるでしょう。
これって、今の状態のままじゃないの。
結局富めるものは強いまま、
そうでないものは搾取されるまま。
自由に生きることさえ、許されないわけで。 -
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『社会契約論』と巻末の解説を読んだ。ルソーの言う「一般意志」というのが、昔からどうもうまくイメージできなくてもやもやとしていたのだが、これを読んでやっとわかった。やはり解説本を何冊も読むより原典(訳本ではあるが)にあたる方が早いなと思った。「一般意志」についてルソーはかなり丁寧に繰り返し書いてます。「一般意志」は立法を行うのであり、執行権に関わるものではない、ということ、また、一般意志とは、自分よりも全体を優先するということではなく、それぞれの成員が他人にも納得できるような自分の都合を出し合う中で形成されるものであるということがわかっただけでも収穫でした。
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ネタバレ社会契約論のみ読破。訳がわかりやすく珍しくやや理解できた。
「どうすれば共同の力のすべてをもって、それぞれの成員の人格と財産を守り、保護できる結合の形式をみいだすことができるだろうか。この結合において、各人はすべての人々と結びつきながら、しかも自分にしか服従せず、それ以前と同じように自由であり続けることができなければならない。」という問題の解決策が社会契約論。
具体的には自らと自らの所有する全権利を共同体の全体に譲渡する。(誰にも同じ条件が適用され人びとは他人の条件に無関心になるとあるがどうだろう。)
そして自らがさしだしたものと同様の権利を契約によって受け取る。
全ての人民のとって共通する -
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深い。
啓蒙とは自らがまねいた未成年の状態から抜け出ること。
いったいどの位の人が啓蒙されてることになるのだろう。
啓蒙も正しいものと正しくないものとあるのではないか。
永遠平和のために
常備軍を放棄、と言ってみたり、互いに競わせて連合を作って均衡を保てと言ってみたり矛盾をはらみながらも、第一時対戦も起こる前からこのようなことを論じてるなんて。
200年以上経って、進歩したところもあれば前より複雑化したこともあるし変わらないこともある。
永遠平和が実現されるためには、牧歌的生活に戻るしかないのか、それとも相互牽制による表面的なものなのか。 -
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「ところで労働はそれ以上のものである。何よりも、神が人間の生活の自己目的として定められたものなのだ。」
カトリックやピューリタン、そしてプロテスタント等様々なキリスト教派の観点から「労働」を考察した本。
なぜ、という原因の部分から深い洞察が見受けられる。
日経BPの本は翻訳が程良く読みやすいが、それでもやはり内容を理解するのは骨が折れる。
禁欲に生きようと自律してきた当時の人々とは違い、現代では禁欲的に生きなければならない。それが分業による専門性の追求であり、そのためには何かを捨てて生きなければならない。そうすることで、富は増大し、それを他者へ使うことで、神の偉大さをより多くの人に伝える -
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ネタバレ正義(デイケー)=公正さの原理
正義の概念は政治哲学と道徳哲学の交わる場において、結節点のような役割を果たしている。
【流れ】
①古代ギリシャにおいて正義とは、ポリスの秩序を維持し、調和することを目指すことであった。共同体にとっての善、公共善を目指すことが正義だったのである。
②ホッブズにはじまる社会契約の思想は、人々は公的な善という外的な要因ではなく、自分自身の利益のために社会を構築すると考える。スピノザ、ロック、ルソー、カントと、この社会契約の思想は脈々と受け継がれ、カントにおいてはついに国家を超えた世界市民の秩序まで構想されるようになった。
③ヒュームやスミスのようとともに、契約では -
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