中山元のレビュー一覧

  • 道徳の系譜学

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    ニーチェの訳本とは思えないくらいに非常にわかりやすい語り口であった。『道徳の系譜学』の違う訳を参考にしたくて、本書を購入したが、一冊目では理解しづらかった部分も、非常に明瞭に理解できるようになった点がよかった。
    しかし一冊目から光文社の本のみというのも、哲学を読み解く醍醐味が半ば失われてしまう気もするので、二冊目の参考書としてもっているくらいがとても良いと思う。
    また、解説も内容をわかりやすく伝えようとしている訳者の姿勢が伝わってよかった。




    以下、第二論文のみ再読した際に、一部メモをとったので、そのメモを自分用に全て載っけておく。


    第二論文感想・メモ

    第二論文2を読んで思ったこと

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    2025年11月02日
  • 純粋理性批判 2

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    皆さんは物事の理解が、自分の中にある特定の法則に従って行われているのではないか、と疑問に思ったことはないだろうか。
    カントはこの『純粋理性批判』の二巻によって、そのような法則の正体を明らかにしようとする。

    すなわち感性で思い描いた現象の像(表象)は、知性(悟性)によってカテゴリーに分類された上で、規則に従って総合される。そして自己統合の意識(統覚)でその総合された概念を統一的に理解する。これらの作用によって物事を認識できるというのである。

    何を言っているのかわからない方もいらっしゃると思われるので、少しわかりやすく言い換えよう。

    物事を認識するには、物事を五感による現象としてイメージ(像

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    2025年11月01日
  • フーコー入門

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    フーコーの入門書で新書(5冊あり)というと、岩波新書のものがベストだと思います…が、岩波的な硬い文体が読みづらいと思うのなら、同じくベーシックな構成(著作順解説)で書かれたこちらで代替可能だと思います。
    ただし発行年が古いので、情報が少し古いです。また、語り口は柔らかですが、難解度もこちらの方がやや上かも…。

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    2025年10月09日
  • フロイト、性と愛について語る

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    三角形的な関係においてこそ男性の欲求が増していく。嫉妬心という人間の心的働きは予想以上に不合理。愛する人を救いたいと欲する気持ち、愛する人は不幸であってほしいという願望、全てが非常に文化的な視点からの読み解きを推進してくる。映画や小説でそのような構造的仕組みが配されているのがよく分かる。
    フロイトお得意の近親相姦的な欲望とその不可能性によるリビドーの増大、そしてその解消対象の選択等、まだ前半だが非常に面白い。訳が分かりやすい。
    流石に女性が抱く男根願望に関しては納得がしづらい。クリトリスの不完全性を打ち出すフロイトは今的な視点で見ると理解ができないが、男性にも女性的な側面が入り混じる両性性につ

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    2025年09月27日
  • 実践理性批判1

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    抽象的で非常にわかりにくいが、カントは抽象的なまま考えていたから、仕方ない部分も多いよね。中島義道によれば、もともとラテン語で思考し、出版する予定でいたらしい。

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    2025年06月23日
  • 判断力批判(下)

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    むずかしい。
    この本を簡単という人はいないと思う。ただ、色々なことをじっくりと考えてきた人にとっては共感できる部分もあると思う。

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    2025年06月21日
  • 純粋理性批判 1

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    毎日20ページほど読んで、ようやく全7巻あるうちの1巻だけ読み終えた。
    難解な書籍なので、以前の僕がそうだったように、深く考える癖のない状態だと冒頭で門前払いを食うかもしれない。
    だけどめげずに読み続けたら豊饒な世界観の片鱗に触れられる。

    1巻は有限な存在としての人間のそもそもの感性の形式と、その限界が語られる。
    訳者のスタイルが前面に押し出された独特の翻訳なので、より多角的に把握したければ別の翻訳も読むといいだろう。僕は気に入っている。

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    2025年05月20日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    カント『永遠平和のために』は,フランスとプロイセンがバーゼルの和約を締結した1795年にケーニヒスベルクで出版された。この著作において,カントはバーゼルの和約を戦争の戦果を調整する一時的な講和条約と位置づけ,永続的な平和の実現には不十分であると批判している。そして,永遠平和の実現可能性を追求するために必要な予備条項および決定条項を提示し,法的・道徳的観点から永続的な平和の構築の枠組みを論じた。

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    2025年03月18日
  • フーコー入門

    匿名

    購入済み

    色々としんどく生きにくい世の中をどうやって生きていけばいいのかという現代人のほとんどが抱えているであろう(そして考えてもしょうがないからとりあえず社会のルールにのって生きていき忘れられる)問いに真正面から答えてくれる部分があります。もちろん全体像はそれだけではないだろうし、また自分がその全てを理解できていると思わない。また理解できたと思ったものも誤読してるかもしれない。それでも価値があると思えた

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    2024年12月16日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    最初に──
    本書の後ろにある訳者の解説を参照すると良い。というか必須だ。時代背景や地域背景、歴史の流れの中でこそ普遍性のあるメッセージが見えてくるのだから。
    私たちは常に考えなくてはならない。

    カントは、いまだ未解決のテーマへの挑戦を力強くエンカレッジしてくる。

    不思議に東洋思想との融合感を感じるのは、自らの認識論に『コペルニクス的転回』とキャッチコピーを付したカントならではの大きな世界観・統合感のためかもしれない。カントの時空を物ともしない視点の広さ(寛容さ)に感動してほしい。と私が思うのは、おこがましいかもしれないが ....。

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    2024年10月06日
  • モーセと一神教

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    オーストリアの高名な精神分析学者ジークムントフロイトの書いた最晩年の遺書的論文。彼自身がユダヤ人でもありナチスの迫害を受け親族のうちの何人かが強制収容所に送られている。
    モーセがエジプト人でありアメンホテプ4世の一神教時代の神官であったという大胆な仮説を前提に、原始宗教のあり方やフロイトのエディプスコンプレックスをはじめとする精神分析論と絡めながら考察を展開している。世界史でも特異な人物として登場するアメンホテプ4世への当時の欧州での見方について(一神教であるキリスト教が価値観の前提にある欧州社会において多神教の古代エジプトの中で一神教を主張したアクエナテンは好意的にみられていたのかもしれない

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    2024年08月31日
  • 資本論 経済学批判 第1巻 I

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    『資本論』はとにかく難しい。これはもはや一つの慣用句のようにすらなっている感もあります。

    この作品はこれ単体で読んでも到底太刀打ちできるようなものではありません。

    時代背景やこの本が成立した過程、さらにはどのようにこの本が受容されていったかということまで幅広く学んでいく必要があります。

    私がマルクスを読もうと思い始めたのは「マルクスは宗教的現象か」というテーマがあったからでした。

    ここにたどり着くまで1年以上もかかりましたが、マルクスとエンゲルスを学ぶことができて心の底からよかったなと思います

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    2024年08月19日
  • アレント入門

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    アレントが、ナチスを例にした全体主義、アイヒマン裁判を通じて表した悪の凡庸さ。人が、どうしてそれらを受け入れたか、それらをどう防ぐことができるかを思考したことを解説する良質な入門書。
    今、世の中に上げる声が、自らで思考したものなのか、自己愛だけで他者への意識が欠けてないか。
    結局、そこに行き着くのに…。忘れないようにしよう。

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    2024年04月14日
  • 責任と判断

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    “凡庸な悪”とは何か、アイヒマンが法廷に立ったあの時と、アウシュビッツにいたあの時とはどう違うのか。
    政治、道徳というテーマを、古代ギリシャからカントやマキャベリ、ニーチェ等の思想も踏まえながら、組織に生きる我々はどのように生き、そして「無批判に行動すること」の危険性を示唆する内容となっている。
    研究が進み、アイヒマンの行動それ自体にも本書(本講演?)登場時よりも明らかになった部分も増えていると聞く、そのため究極は最新の学説も踏まえて解釈する必要はあるが、思考することの必要性、戦後世界における道徳と政治の関係性および危険性に触れることができる一冊。

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    2024年01月28日
  • 世界宗教の経済倫理 比較宗教社会学の試み 序論・中間考察

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    『職業としての・・・』『プロ倫』に続いて、本シリーズ三冊目のウェーバーである。『プロ倫』でプロテスタンティズムと資本主義発展のダイナミズムの関係を論じたウェーバーが、それを一般化すべく、儒教や仏教など他の世界宗教との比較において、その教義体系や担い手としての社会層の特質を浮き彫りにし、それらが世界観や生活様式の合理化にいかなる影響を及ぼしたかを考察する。「序論」と「中間考察」はその方法論と骨子を述べたもので、壮大なウェーバー宗教社会学の肝が簡潔にまとめられている。

    学問的な厳密さでは旧訳に敬意を表するが、概念過多のウェーバーの複雑な文章を忠実に日本語に移せば、一行一行辿るだけで閉口してしまう

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    2023年12月30日
  • フーコー入門

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    簡潔かつ丁寧なミシェル・フーコーへの導き書。
    キリスト教の司牧者権力と近代国家のポリツァイを同一の視点から分析するとは驚きました。
    告解が罪の意識を作り、そこからまた告解へと戻る。無限のサイクルの内に人が閉じ込められている。
    歴史を過去のものとして振り返る際、そこで表現「されたもの」と「されなかったもの」の差異、ディスクールを理解することの困難さと重要さ。
    一面的な観点を見て単純素朴な結論に終着しないよう吟味することっすね。

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    2023年02月10日
  • 道徳および立法の諸原理序説 下

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     立法の全大系を、道徳も含めて、整えようとの試みには、途中で「挫折」しているものの、迫力がある。フランス革命以前にこうした試みに挑む先人がいたことに敬服する。しかも、その内容は、若干、宗教的なものの扱いに関しては違和感をぬぐえないが、現代でも十分通用する人間の本質に基づいた分析から行われていることに驚かされる。

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    2022年12月04日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    ・学校の教科書で名前程度は知ってましたが読んだことはありませんでした。今回「世界を動かした一冊」というフレーズにしびれ読んでみることにしました。もっと読みづらいかと思ってましたが新訳のおかげか意外とスラスラいけました。でも内容は難しく、一般意思などわかるようでわからないもどかしさを感じました。今度は「人間不平等起源論」を読んでみたくなりました。

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    2022年04月12日
  • 道徳形而上学の基礎づけ

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    ネタバレ

    カントの名言「汝の意志の格率が〜」をこの年になって詳しく知りたくなったので読んでみた。この名言に関連する「定言命法」、「仮言命法」、「目的の国」、「自律」という高校倫理で取り上げられるカントの思想も本書で登場するので、カント哲学に興味を持った人はまず読んでみてほしい。カントの著作の中では読みやすい方と言われているが、素人にはそれなりに応える一冊だった。本文と同じくらい長い訳者による解説があるのが救い。本書を読んで『実践理性批判』まで読んでみようと思うかどうかが、カント哲学を志すか否かの別れ目になりそう。

    本書を読む前に、世界には2つの世界、我々が知覚する世界(感性界)に対して、経験や知覚を全

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    2022年01月02日
  • 純粋理性批判 5

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     本第5分冊の帯には「最大の難所、あのアンチノミーがついに理解できる」とある。アンチノミー。この歳になるまで全く知らなかった言葉だが、それほどまでに重要な概念なのだろうか。ともかく読み進める。

     前分冊に引き続き、主眼は経験を超越しようとする理性の批判。西洋形而上学における「世界が絶対的・無条件的全体性を有する」という理念はどこから出てくるのか。カントは経験可能な総体としての「世界」と、現象が全体性を持つための条件としての「自然」からこの問題にアプローチするが、それぞれ対応するカテゴリーを2つずつ当てがうため、検討するアンチノミーも4つになっているというわけだ。

     ここで「無限」の概念が重

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    2021年07月11日