【感想・ネタバレ】フロイト、性と愛について語るのレビュー

あらすじ

人が人を愛する。どんな相手を選び、どのような愛情、性愛関係を結ぶのか。愛する他者をどのように選ぶかについては「対象選択」という視点で考察し、ある女性の同性愛者の「心的なメカニズム」を、リビドー、エディプス・コンプレックスから解明しようと試みる。そして性愛と抑圧的な社会との関係にまで批判的に考察を進める、性と愛に関する論文集。

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Posted by ブクログ

三角形的な関係においてこそ男性の欲求が増していく。嫉妬心という人間の心的働きは予想以上に不合理。愛する人を救いたいと欲する気持ち、愛する人は不幸であってほしいという願望、全てが非常に文化的な視点からの読み解きを推進してくる。映画や小説でそのような構造的仕組みが配されているのがよく分かる。
フロイトお得意の近親相姦的な欲望とその不可能性によるリビドーの増大、そしてその解消対象の選択等、まだ前半だが非常に面白い。訳が分かりやすい。
流石に女性が抱く男根願望に関しては納得がしづらい。クリトリスの不完全性を打ち出すフロイトは今的な視点で見ると理解ができないが、男性にも女性的な側面が入り混じる両性性についての、言及があったりと簡単に古臭い男根主義と切り捨てることはできない。当時の一般的な価値観と照らし合わせるとフロイトの思考の方が進んでるのかな、と。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

 フロイトについては、文学、思想、哲学等様々な分野でいろいろに取り上げられ論じられてきたので、何となく分かっているような気になってしまっていた。

 本書に収められている各論文によって、リビドー、エディプスコンプレックス、倒錯といった概念の意義やそれらを用いた分析について、フロイト自身の論述で理解できるのが、何と言っても収穫であった。
 「『文化的な』性道徳と現代人の神経質症」では、性愛に対する西洋社会の抑圧的性格を批判する文明論にまで至っており、フロイト理論の射程の広さを実感できた。

 ドイツ原文は読んだことはなく分からないが、訳文は相当平易にしているようで、大変読みやすかった。

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2021年07月18日

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