中山元のレビュー一覧

  • 善悪の彼岸

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    ネタバレ

    ニーチェ以前の哲学を批判し、あるべき哲学者像を呈示した書。哲学の理論とはその創始者の自己認識であり、道徳的な意図を持って成長したものだと言う。道徳には主人の道徳と奴隷の道徳との2種ある。以前の哲学者が依った道徳は後者であった。真理への意志とは力の意志なのだから前者に依って哲学すべし、というのがニーチェの主張である。後者の道徳の欺瞞性は我々も無意識的にでも勘付いているはずだ。例えば例えば「いい人、なんだけどね・・・。」などと評する時だ。その台詞にはニーチェが指摘した善と愚の接近がある。なお、本書は寄り道が多い。稲妻に撃たれるようなものもあれば、女性やユダヤ人に対する読むに耐えないものまで。そんな

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    2016年11月07日
  • 善悪の彼岸

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    ニーチェは初読。新訳かつ、原文では自明であろうが訳すと何を指しているかわかりにくくなる箇所は本文中で補足されているので読みやすい。用語や人物の注は巻末にまとめて。もう少し解説が欲しいところもあったが、1冊の文庫にまとめるのであればこれくらいが限度か。

    序盤はニーチェの姿勢をわかっていなかった為、本音なのか皮肉で言っているのか掴めないまま読み進めたが、アフォリズムという断章を積み重ねる形式で記述されているが故、個々の内容の意を汲むのはそれ程難しくはなかった。ただ後書きにあるように断章間を紡いで真意を読み取ることまでできたかは甚だ怪しい。

    上辺のみの理解で感想を語ることになるが、選民的貴族主義

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    2016年11月02日
  • 道徳の系譜学

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    これまでの文化、哲学、さらには学問全体を、徹底的に分析し批判することで、ヨーロッパを支えてきた従来の価値観を転倒し、新たな価値観を探る。

    「どう生きるべきか?」という問いに、徹底的に、本気で向き合った、不朽の名著。

    以前、岩波文庫版『善悪の彼岸』で挫折してしまったが、今回、『ニーチェ入門』を読んでから本書に挑戦。
    内容は難解だが、訳文は読みやすい。

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    2016年10月15日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    カントの晩年の著作を集めたもの。
    カントの中では、短くてわかりやすい。
    抽象化された一言一言は、現代の諸問題、例えばイスラム国とかトランプさんとか、イギリスのEU離脱とか、そういったものも痛烈に批判しているようにも感じる。

    学ぶことがなぜ必要か?
    戦争はなぜ起きるのか?
    反社会的思想はなぜ必要なのか?
    道徳だけではなぜ平和にならないのか?
    国家とはなにか?

    そんな問いに、明確に答えてくれていて、気持ちが良い。

    人間は、矛盾した存在だからこそ、進歩してきた。
    それをきちんと認めた上で、より高い次元に哲学的に考察することが必要なのではないか。

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    2016年09月19日
  • 人間不平等起源論

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    人が、土地を柵で囲って私財を主張するようになって以来、不平等は拡大。闘争状態を収めるために、法が導入された。自由を守るためには『腕に傷を負った人が体の残りの部分を守るために腕を切断することに同意するかのように』その一部を犠牲にする必要があった。それがのちに王権国家へと発展する。西欧の民が航海を経て出会った“未開人”はキリスト教の力を以てしても、文明化しなかった。北半球の人々がいち早く手にしてしまった【知恵の実】はいったいどこにあったのだろう。世界史も宗教も、学びなおす必要がある。

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    2016年08月18日
  • 善悪の彼岸

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    非真理とは生の条件であるのに、その真理を追究しよう時点で哲学とは善悪の彼岸に立つ行為なのだ、と言うところから本書は出発する。哲学だったり宗教によって導き出された“真理”に固執した人々は深淵に取り込まれるか、家畜のような生き方を引き受けることになる。家畜のようになった人々は絶対的指導者を欲し深淵に取り込まれた人は落ちた世界で聖者とならざるを得ないかもしれない。ヨーロッパ史を考慮すると、頷かざるを得ない示唆に富んでいた。あと、PPはこの本の解釈するための物語だったのでは?!ってくらい理解を助けられた。

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    2016年08月16日
  • 自由の哲学者カント~カント哲学入門「連続講義」~

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    三批判書を「自由」を軸に読み解くことも新鮮であったが、自分にとっては9章の宗教論が一番、読み応えがあった。そりゃここまで、人間を隷属化しているキリスト教に鋭く切り込めば、当時のキリスト教から睨まれるわ。

    ・人間が自由でなければ道徳は存在することができない。自由は道徳的な法則の存在根拠。人間が自由であることを認識しうるのは、人間が道徳的法則にしたがって行動しうるという事実によって。その意味で、道徳的な法則は自由の認識根拠。
    ・カントの戒め:独特の義勇兵のように思い上がる人々と道徳的な狂信に陥る人々。
    ・カントは美というものがそれを感受する人間の側にあるものであること、社会の共通感覚が人間に美と

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    2016年06月21日
  • フロイト入門

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    読み直したさ:★★★
    フロイトの研究を丁寧に追う入門書。索引はない。目次である程度代用可能。
    〈感想〉
    平易かつ明晰に語られるフロイト思想の流れ。
    これを手掛かりにしてフロイトの著作に手を伸ばすのもよし。フロイトについて最低限の理解を得ることができたかな…

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    2016年02月22日
  • 正義論の名著

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    ネタバレ

    道案内としては秀逸な書です。

    各論者の正義論をこれだけ簡潔に要約するのは尋常ではない作業のはず。特に現代に近づけば近づくほど、これまでの論者への批判や系譜、根拠などを踏まえて書かねばならないので、最後のレヴィナスやデリダが紙面が足りていない様子になるのは仕方がないのではと思います。

    こういった要約紹介の道案内本の読み方としては、誰のどういう部分に共感・違和感を覚えるのかをピックアップし、自分の考えをメモしておくのが良いのではないでしょうか。それが、政治や法の根底にある正義の問題ならなおさらです。自分はそのようにしています。
    そのようにして自分の中に浮かばせた関心の雲は、いつどのようなきっか

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    2015年01月18日
  • 職業としての政治 職業としての学問

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    すごいよくてびっくり。
    昔読みあさっていた、「欧米(特に欧)の昔の偉人が書いた、哲学感も含めた、人生への指南書」の一派といえると思う。
    max weberとやらが好きになった。
    なんどでも読み返したい本。
    買うか?自炊するか?考え中。

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    2014年12月10日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    主題:人間をあるがままの姿において捉え、考えられるかぎりで最善の法律を定めようとした場合に、市民の世界において、正当で確実な統治の規則というものがありうるのか。

    社会構築の唯一の原理としての「合意」
     ルソーはまず、「社会」というものがいかにして成立したのかを考察する。なぜなら、ルソーにとって「社会」とは人間にとって自明ではないからである。古代ギリシア哲学 と異なり、ルソーは人間の「自然状態」を想定する。自然状態こそ、人間にとって「自然な」状態であり、社会を構築するのはある種「特殊」なのである。自然状態では、誰もが独立して生きており、他者と恒常的な関係を結ぶことはない。そこでは、「彼が気にい

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    2014年12月07日
  • 実践理性批判1

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    なにかするときにどうしてそうするのか。どのようなしくみによってそうすることを判断するのか。簡単に言えばそんなことが書いてある本です。
    行動原理は経験主義に非ず道徳によるということを言っておられます。
    最初何言ってんのと思うようなことも1ミリも疑問を残さず解消してくれるのがすごいです。純理を読んでいればそんなに難しさは感じないけれど、必ず純理を読んでから読みましょう。
    ていうかカント読んでから「哲学」にくくられる分野の読物をカント以外読めなくなってしまった。咀嚼に時間がかかるようになっているというか、思考の道を放置しすぎてて荒れ地になっちゃってる感じがしないでもない。それが唯一の害。しかしその他

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    2014年03月18日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    文句なしの名著。
    前半で、ルターがべルーフという言葉を職業として使い始めたというくだりは、一体何がいいたいのだろうと思っていた。
    しかし後半に入り、そうした土台も含めてプロテスタンティズム(ここでは代表としてピューリタニズム)が現代の資本主義の精神を形成していく過程では、その鮮やかすぎる分析に敬服するばかりであった。

    そして、現代(当時はまだ20世紀初頭だが)になるにつれ、その宗教性が薄れたり、富の蓄積による誘惑の増加といった矛盾が現れるにつれて顕在化してくる問題についても適確に見通している。
    その忠告が帯にもある、「精神のない専門家、魂のない享楽的な人間。この無にひとしい人は、自分が人間性

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    2014年03月01日
  • 人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス

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    アインシュタインの問題提起に対して、フロイトが回答したという名著。2人の天才がどのような対話を行ったか、非常に興味深い。

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    2014年02月01日
  • 人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス

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    ネタバレ

    序章「人はなぜ戦争をするのか」(1932年)
    第一章「戦争と死に関する時評」(1915年)
    第二章「喪とメランコリー」(1917年)
    第三章「心的な人格の解明」(1933年)
    第四章「不安と欲動の生」(1933年)

    第一次戦争と国際連盟の失敗に衝撃を受けた西欧社会。国民の一部に過ぎない支配階級が通信を操作して国民を駆り立てる際、自らの生命を犠牲にしても闘おうとする力が生まれる理由とは。アインシュタインが考えたのは、人間は憎悪し破壊しようとする欲求があるのではないかという事であった。フロイトの答えは、アインシュタインの仮説を補強するものであった。
     
     フロイトによると、人間の原初的に備わる欲

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    2013年12月21日
  • 人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス

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    経験から推して、暴力がこの世からなくなる可能性はないと言っていいだろう。法が保証する権利は、一種の暴力であるし、自己の内から沸々と湧き起ってくる怒りや攻撃的情動の存在を否定することはできないからだ。だが、暴力がこの世からなくならないという結論は、戦争を排除できないことを意味しない。(戦争勃発の可能性は常に内包し続けるだろうが)フロイトは本書で以下のように述べる。

    「それは、わたしたちがなぜこれほど反戦活動に熱中するのか、わたしもあなたもほ かの人々も、人生のその他の多くの苦痛に満ちた苦難の一つとして、戦争をうけい れようとしないのはなぜかということです。戦

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    2013年10月18日
  • 純粋理性批判 4

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    ブックファースト渋谷文化村通り店で買いました。

    読み始めました。
    (2013年6月6日)

    「初版の誤謬推論」は、文章、論理の運びが美しい。
    酔いますね、これには。
    (2013年6月19日)

    読み終えました。
    (2013年6月20日)

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    2013年06月30日
  • 純粋理性批判 3

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    買いました。
    青山ブックセンター本店
    (2013年2月25日)

    読み始めました。
    (2013年5月9日)

    やっぱり、こう、分かるというのは、偉大なことです。
    こうした訳業をなさる人は、偉大です。
    また、訳業を支える出版社も、偉大です。
    また、それを支える読者がいるということに勇気をもらえます。
    (2013年5月10日)

    14歳の時に、『啓蒙とは何か』を手にしてから、
    カントは常に、自分の近くに置いていました。
    でも、この『啓蒙とは何か』を除くと、
    常に、もやもやして、分からないのがカントでした。
    分かるカントに出会えて、本当にうれしい。
    (2013年5月10日)

    山手線車内、原宿駅付近

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    2013年06月06日
  • 純粋理性批判 2

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    ジュンク堂書店池袋本店で購入しました。
    (2013年2月3日)

    読み始めました。
    (2013年2月7日)

    読みます。
    (2013年4月18日)

    読み終えました。
    (2013年5月9日)

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    2013年05月09日
  • 純粋理性批判 2

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    人がどのようなプロセスでセカイを認識しているかが示されいるのかな。カテゴリーの部分はしっかり覚えたい。
    しかしまだ、七分の二…

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    2013年02月01日