中山元のレビュー一覧
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ネタバレこうした問題の議論において、特にナチスの犯罪を一般的な形で道徳的に非難しようとする際に忘れてならないのは、真の道徳的な問題が発生したのはナチスの党員の行動によってではないということです。いかなる信念もなく、ただ当時の体制に「同調した」だけの人々の行動によって、真の道徳的な問題が発生したことを見逃すべきではないのです。誰かが自分の「悪党ぶりをあらわに」しようと決心し、折りさえあれば、モーセの十戒の掟を逆転させて、「汝、殺すべし」という命令から始めて、「汝、嘘をつくべし」という掟で終わるような行動を試みることがありうることを理解することは、それほど難しいことではありません。
どんな社会にも犯罪 -
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ニーチェの生涯における究極のプロジェクトは「善と悪の価値を逆転させ、ひいては西洋全体の価値観を転倒させること」だった。
本書はこのニーチェの計画の核となる考えを著したものである。
ニーチェはこの転倒を成すために、まず「善とされているもの」「悪とされているもの」がどのように成立してきたかを明らかにした。
人間が社会生活を始めたのと同じくして、人間は「責任を引き受ける」という社会性を身につけた。そしてこの知はやがて社会に生きる人間にとっての支配的な本能となり、「良心」と呼ばれるようになった。
社会はこれを成員に守らせるためにさまざまな方法をとり、これが徹底されることで人間は安全性を手に入れた -
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非常に難しい。
理解できたことはほんのわずかだった。
カントは時間と空間をアプリオリなものとして前提しているが、この前提がまず納得できていな。人間はうまれたときから時間と空間を認識しているのだろうか。成長過程において認識するのではなかろうか。
今回も書籍の半分程度を中山元による解説が占めている。
これがなければ、理解は難しい。この解説があっても、ほとんど理解できないのだから。
人間は、連続した時間を認識して生きている。過去と現在がつながっているものだと認識している。それがなければ、音楽は理解できない。今聴いた音が、次の瞬間には過去になる。その音を記憶したうえで、その次に来る音とのつながりを理 -
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フロイトについては、文学、思想、哲学等様々な分野でいろいろに取り上げられ論じられてきたので、何となく分かっているような気になってしまっていた。
本書に収められている各論文によって、リビドー、エディプスコンプレックス、倒錯といった概念の意義やそれらを用いた分析について、フロイト自身の論述で理解できるのが、何と言っても収穫であった。
「『文化的な』性道徳と現代人の神経質症」では、性愛に対する西洋社会の抑圧的性格を批判する文明論にまで至っており、フロイト理論の射程の広さを実感できた。
ドイツ原文は読んだことはなく分からないが、訳文は相当平易にしているようで、大変読みやすかった。 -
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「超越論的な理想」で神の存在証明の不可能性を論じる第六分冊。超越論的な神学を扱う下りで、初めはカントがID(Intelligent Design)を信奉しているのかと思ったが、よく読むと絶対存在の想定が自然科学の探究のために〈実践的な〉意義を持つ、ということが語られており納得。例え理性が構築した虚構であっても道徳的理念を実践する上での実用的な意義(統制的原理)がある、とする点には目的論と自然科学の調和の必要性を謳ったカントの先見性が垣間見え、流石と思わせる。
本分冊の神の存在証明のポイントは、存在証明の3類型、すなわち自然神学的な証明、宇宙論的な証明、存在論的な証明のうち、前2者は結局の -
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フロイト『夢解釈』を補足するような、夢に関する論考をまとめた一冊。
第一部では、具体的な夢の実例の分析を示しながら考察が進められていて、その解釈の適否はともかく、夢の作用や検閲の役割に関するフロイトの考え方を理解するのに大変参考になると思われる。
それに対して、第二部の『夢の理論へのメタ心理学的な補足』は、意識・前意識・無意識に関する局所論など、かなりのレベルまでフロイト『夢解釈』を読み込んでいないと、理解が難しいと思う。正直歯が立たなかった。
『夢解釈』は面白そうな事例及びその解釈を拾い読みしたレベルなので、一度正面から挑戦してみたい。 -
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プロテスタンティズムの「禁欲倫理」から、近代資本主義が生まれたとする。
宗教と労働、資本主義の関係性を解説した書籍。
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ドイツでは、経済的に発達した地方でプロテスタンティズムが信仰された。
プロテスタンティズムとその信徒の特徴は以下。
・私的な生活から公的な領域まで、広く信徒の生活を規制する。
・教育熱心で、高等教育を受ける人の比率が高い。
・近代資本主義との親和性が高い。信者の大多数が商人層の出身であり、傑出した実業家も誕生している。
ベンジャミン・フランクリンは「正直であること/勤勉であることは、信用を築く上で有益だから、美徳である」とした。
こうした功利主義的な「 -
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ネタバレフロイト最晩年の著作。支離滅裂な部分があり全面的に信じることはできないものの、真実を含んでいるのではないか。
・唯一神教の起源をエジプトにみる。若いファラオであるアメンヘテプ(後のイクナートン)は、それまでの多神教を捨て太陽神のみ(アトン教)を信仰するようになるが、エジプトの地では衰退した。
・エジプト脱出を指揮したモーセは高貴な生まれのエジプト人と推測する。イクナートンが亡くなり多神教信仰者から迫害を受け、アトン教は滅ぼされつつあった。そのときアトン教を信仰していたモーセ(政府の高官)がユダヤ人を引き連れ脱出した。モーセが口下手とされるのはユダヤ人と言語が通じず、通訳を通していたため。
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【1〜4のまとめ】
意外にも、共産主義のことは書かれていません。
資本主義の問題点の指摘は当たっていると思いますが、じゃあどうすればいいかは書いていません。
1.この本を一言で表すと
・資本主義の問題点を見直す本
2.よかった点
・資本家は労働者から搾取している
→ブラック企業と言われている所では、そういう視点で見てみるのはいいかもしれない。
・植民理論
→ヨーロッパ諸国が植民地から搾取して栄えたのは指摘通り
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・資本家は労働者から搾取しているという考えではなく、労働者全員が資本家になるという考え方が必要ではないか?
また、資本家が儲けているの -
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機械、大工業、増殖価値、労働力価格についての部分。
「ジョン・スチュアート・ミルは「経済学原理」において「これまでさまざまな機械が発明されてきたが、これで日々の労苦が軽減された人が、一人でもいるかどうか疑問である」」p13
「大工業に特徴的な労働手段であり、体系的に発達してきた機械類は、手工業経営やマニュファクチュア経営の労働手段と比較すると、比較にならないほどの大きな価値をそなえているのは明らかである」p51
「機械類を使用する規模が大きくなると、労働日をたえず延長することが「望ましい」ことになる」p89
「木綿紡績業の飛躍的な成長によってアメリカ合衆国では木綿の栽培が促成栽培のように促進