中山元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレツァラトゥストラを分かりやすく書き直したというだけあって曙光よりだいぶ理解できた。と思う。すごくまじめに読んだら面白かった!ニーチェ先生が私たちのレベルまで降りてきてくださっているという感じ。
まず支配者の道徳と奴隷の道徳があって、奴隷=一般人はキリスト教程度で満足していればよいけど、支配者、新しき哲学者は奴隷も何もかも利用して高次の課題にあたり、新たな道徳価値を創造する。そういう人々が必要なんだ、ということ。
精神は自分の周りを同化し、征服し、わがものにすることで成長しようとする、これが生の本能、力への意思。キリスト教的道徳のもので、この本能は悪として否定され、支配者になるべき人を傷つけて -
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「正義」という言葉を発するとなんとなく思い浮かんでくるのは、「社会契約論」。
好きか、嫌いかは別として、そこが思考のスタート地点となっている。
「正義」という概念自体が、西欧と関連していて、思考がそっちのフレームに支配されてしまうんだな〜。
というわけで、この「正義論の名著」は、西欧(アメリカ含む)における正義論の流れを整理してくれている。
でてくるのは、ホメロス、プラトン、アリストテレス、キケロ、アウグスティヌス、トマス・アキナス、マキアヴェッリ、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、カント、ヒューム、アダム・スミス、ベンサム、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ベンヤミン、ハイエク、ロール -
Posted by ブクログ
ネタバレフロイトとアインシュタインで往復書簡をしていた際に
(当時ナチスが支配している戦争真っ只中あたり)
「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」
と当時50代のアインシュタインが70代のフロイトに問うわけですわ。
もちろん返答に困るんだけど
「文化の発展が反戦へ、そして平和主義になり戦争終焉へ向けることが出来る」という答え。
そんな精神分析学者のフロイトが書いた著書を更に分かりやすく解説した本。
と言っても小難しい話はちょっとなぁ…でもたまにはこんなのも読んでみるかと思いつつ読んでみた。
タイトル通り「人はなぜ戦争をするのか」って結構直球の疑問。
あぁまぁ確かにそうだよな、なんでだ -
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何かに対するアンチとして生まれる行動を批判し、ルサンチマン(怨恨の念)というシステムの起動を捉えていたニーチェ。
アンチ、つまり何かへの敵対や恨み及びそこからしか創造できないこと。
アンチから始まる道徳の究極の形態としての発展してきたものがキリスト教であった。
ニーチェ その名前だけならば知っている。
実際、ニーチェは特に日本では非常に有名な哲学者だ。
例えば出版点数で見ると以下のようだ。
「ニーチェの著作の出版点数は、出版国別では本国ドイツに次いで世界第二位、言語別でも、ドイツ語、英語訳、フランス語訳に次いで世界第四位です。日本は、世界一のニーチェ翻訳大国です。ドイツ語圏以外で、ニ -
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資本主義は、資本を蓄積することにより成功を収めるが、資本の蓄積は労働者の搾取によって生じていると批判している。資本家は資本を増大させることを目的とし事業を行っているという分析は的確であると思う。産業革命後のイギリス労働者が、いかに悲惨な生活を強いられていたかを理解した。また、これは江戸から明治期に来日した欧米人の数多くの手記の内容とも一致する。
ソビエト崩壊後のマルクスの評判は悪いが、資本主義について的確に理解しその重要性をわかった上で批判を展開しており、決して浅はかな論理ではないことが理解できた。
「生産過程をたんに継続するだけで単純再生産を行っているならば、遅かれ早かれ一定の期間の後には -
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ネタバレ自然法(ドロワ・ナチュレル)という考えは、人間の本性にかかわる概念である。p38
【二つの原理ー自己愛と憐れみの情】p41-43
学問的な書物はどれも、すでにできあがった状態の人間について理解するために役立つだけであり、ここでは無用のものである。それよりも大切なことは、人間の魂の原初的でもっとも素朴な働きについて考察してみると、理性に先立つ二つの原理を見分けることができるということである。一つの原理は、わたしたちにみずからの幸福と自己保存への強い関心をもたせるものである。もう一つの原理は、感情をもったあらゆる存在、とくに同類である他の人間たちが死んだり、苦しんだりするのをみることに、自然な反 -
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アーレントの思想の全体像をわかりやすく解説している入門書です。
『全体主義の起源』や『人間の条件』で論じられている公共性の問題にまつわるアーレントの議論を明快にときほぐし、そこでの議論にもとづいて『イェルサレムのアイヒマン』でアーレントが何を問題にしているのかということに切り込んでいきます。その上で、アーレントがソクラテスの道徳性やカントの共通感覚などの思想からなにを学び、全体主義や公共性の喪失といった現代的な状況のなかでどのような倫理の可能性を見いだそうとしていたのかが論じられます。
アーレントという思想家には、どことなく魅力を感じつつも、ポストモダン思想の軽やかさに一度は魅了された者と -
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40歳を過ぎて、「初フロイト」。
実は、多分20代の前半か、10代の後半の頃に、「夢判断」か「精神分析入門」、どちらかに挑戦した記憶が。(どっちだったかは、忘れてしまいました)
「なんじゃこの日本語は?さっぱりわからん...」と、言葉の難解さに辟易して、放り出しました...。
無駄に難解な日本語にしない。
と、いう意味で絶大な信頼を持っている、光文社古典新訳文庫さん。
今回も、その期待はかなり満たされました。
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刺激的なタイトルの小文を表題作にしています。
有名な、アインシュタインさんとの文通書簡。
要は、アインシュタインさんが「人はなぜ戦争するんですか?フロイトさん?」と、尋ね