中山元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルだけ見ると、ただの紹介本のような印象も受けるが、そうではない。「正義」概念を軸に、時系列にそって西洋思想のエッセンスをまとめている。簡潔にまとまっていて読みやすい。
ただ一点だけ解せないのは、サンデルの「正義」に関する代表作が『これからの「正義」の話をしよう」になっていた点。サンデルにはあまり明るくないが、サンデルの主著は『リベラリズムと正義の限界』ではないのか。『これからの~』は良い本ではあると思うが、とても教科書的だと思うし、ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』、ウォルツァー『正義の領分』と並び立てるには少し問題があると感じた。
それでも、全体から見ると些細な問題だとも思うの -
Posted by ブクログ
古典、さらには宗教とベースとなる知識に自信がないので敬遠していましたが、大変読みやすかった。最近の下手な経済読本より分かり易いと思った。
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技術、商業の教育を受けた人にプロテスタント的な性格の人が多いという著者の素朴な発見から本書はスタートする。
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資本主義において生産性を向上するため古来から出来高性が導入されてきた。しかしこれは生産量の向上につながらず実際には低下した。人は従来の方法で生活を維持することを望むのである。逆に賃金を下げても、生産量の質・量とも低下する。結局、労働のモチベーションは金銭にあらず、仕事を人間の絶対的な自己目的、天職と意識することに依るのであるが、この意識付けはあ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ史上最も偉大だとされる哲学者であるミッシェル・フーコーの晩年を、主要な著作とその概要を交えながら描いた本。解説もわかりやすいし、何よりこの一冊で、フーコーがどのようなことを問題意識として持ちながら人生を歩んだのかが良くわかる。この点において、本書はかなり有用だといえるだろう。
フーコーの数ある著作のうち、最も示唆的なものは「監獄の誕生」であると個人的には感じる。なぜなら、後から述べるように、従来信じられてきた「権力」に関する概念を全く新しいものに構築し直した上に、それは現代まで通じるものであるし、加えて、あらゆる学問分野・生活に適用可能だからである。これが幅広い読者によって長年読み続けられて