中山元のレビュー一覧

  • ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの

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    フロイトが精神分析的な観点から文学を読み解く論文集。「不気味なもの」が読みたくて購入。
    一見意味のわからない作品でも、色んな知識があれば深く考察できていいなぁと思った(小並感)

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    2022年06月27日
  • 責任と判断

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    ナチスドイツの体制のもとで、想像を絶する反人道的な犯罪行為を犯したアイヒマンたち。自分は組織の歯車に過ぎなかったと主張する被告たちの個人としての責任を追及できるのか、また、普通の人がなぜこのようなおぞましい行為に加担できたのかをハンナ・アーレントは懸命に思考した。そのことに並々ならぬ思いを感じた。
    本書に「過去に立ち返って自分のしたことを思い出すことを拒む」と「人格であることを拒んだ人」になり、最大の悪を犯し得るというようなことが書かれていた。
    現代においてもこの考えを持っておきたいと思った。そうすれば大きな声で無責任なことを喚いている人々を注意して見ることができると思った。

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    2022年06月04日
  • 純粋理性批判 6

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    純粋理性批判は、主に時間と空間を軸に、世界と人間の関係についての考察を続けてきたが、6巻ではいよいよ神の証明というデリケートな話題に切り込む。
    さまざまな方位から、神の存在を分析していくが、いずれもカントの理論によって矛盾が露呈する。要するに神という存在は虚構なのか。
    しかし、神は存在しなければならない、というのがカントの結論のようだ。ようだ、と書いたのは、小生はカントの結論が読み取れず、解説を読んでようやく理解したからだ。理解、というか、解説にそう書いてある、というのが正直なところだ。
    そういった難解さがあるとはいえ、カントの分析眼は鋭い。そして、時代的に、神はいない、という結論はありえない

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    2022年04月17日
  • 道徳形而上学の基礎づけ

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     本論でさらに詳しく考察されるが、「道徳的な法則にかなっているようにみえ」(同)る行為が、その行為者の道徳性のためではなく、たまたまその行為者にそなわっている偶然的な要因のために行われることも多いのである。たとえば友人が好きで、困っている友人を助ける人がいるとしよう。この人の行為は、友人にたいする愛情の表現であり、好意の表現であり、善いことである。しかしこの行為は、その人の友人を愛する「心の傾き」によって行われたものである。たしかに困っている人を助けると言う道徳的な法則に適っている行為ではあるが、「道徳的な法則のために」(同)、道徳的な法則に基づいて行われた行為ではないのである。
     この「道徳

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    2022年01月16日
  • 純粋理性批判 7

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    ようやく、読み終わったが、いよいよこれからが本番である。わかりやすいという評判の本訳であるが、いわゆる定番の訳語を当てはめていないことによって、かえってわかりづらい部分も多い。また、丁寧に訳者が解説していることは、細かすぎて全体が見えづらく、巻数も多くなっていることも含めて、やや「おなか一杯」という感じである。他の解説書や他の訳本も読んでみたい。どちらにしても難解である。なんとなくわかった部分はまだ多くないので、再読しながら、理解できる部分を増やしていきたい。

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    2021年11月21日
  • 純粋理性批判 1

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    長い解説のおかげでなんとなく理解できた。
    アプリオリとアポステリオリ。
    アプリオリとは、その事象を経験する前から、他の経験や知識を通じて、その経験を理解していること。アポステリオリは、経験しないとわからないこと。
    時間と空間についてはアプリオリなものとして挙げられる。しかし、時間や空間は生まれたときから認識しているのだろうか。これには疑問を覚えた。
    また、神の概念は避けがたいらしく、カントも持ち出してくる。神の概念を述べなければ、哲学というものは大きく違ったのではないだろうか。
    それにしても面白い本だ。理解できたとはとうてい言えないが。思考の訓練に役立つ。

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    2021年10月16日
  • 幻想の未来/文化への不満

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    フロイトの作品の中ではかなり分かりやすい文章を選んだ3作品。フロイト精神分析のとっかかりとして、『文化への不満』から入るのは丁度いいと思う。

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    2021年09月28日
  • 純粋理性批判 4

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    いよいよ本筋のデカルト批判に入る。やはり難解で、本書以外の他の解説も必要だ。本書は解説が細分化されすぎていて、全体の位置づけが分かりにくい。

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    2021年08月25日
  • 純粋理性批判 3

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    全巻の中でも、かなり難解な巻で、通読するのに時間がかかった。まだまだ消化不足であるが、先を急いでいくことにしよう。

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    2021年07月22日
  • 純粋理性批判 3

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     感性が受け取る直感すなわち経験的対象に、カテゴリーがいかに適用されるかを論じる「図式論」とその各論となる「原則論」。この図式を用いて理性の定める原則との適合性をジャッジする「判断力」と、前分冊で出てきた知性が個別の直感をまとめ上げる際に用いられる「想像力」との関係がよくわからず混乱したが、どうやらそれぞれの「根拠づけ」の対象が異なるようだ(前者は理性、後者は知性に権限がある)。
     
     しかしこの「図式論」も厄介な代物だ。現象とカテゴリーを媒介する純粋な形式としての図式即ち〈時間〉が多様な私的経験のうちに含まれているからこそ、客観性を担保するカテゴリーが感性のうちに与えられて自己の追加的な判断

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    2021年07月11日
  • 純粋理性批判 2

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     感性を扱った第1分冊に続く本書では、主に人間の認識における知性の役割に焦点が当てられる。ちなみにこの中山訳では「悟性」ではなく一貫して「知性」が使用されている。
     哲学というものは往々にしてそうなのだろうが、用語の使用が一般のそれと全く乖離しているために用語を見ただけではそれが意味するところを把握しづらいところがあるが、本分冊では特にこれが目白押し。何度読んでも「判断力」と「想像力」の違いや、「総合」とか「統覚」の関係性が頭に定着せず、その度に定義を確認する羽目になる。
     極め付けは頻発する「根拠づけ」という言葉。流石にわかりづらいと考えたのか、訳者も解説に多くの紙面を割いているがそれでもピ

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    2021年07月11日
  • フロイト、夢について語る

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    夢の解釈は多分に恣意的でオカルト的である。やはりオカルトの域を超えないが、原因ー結果の科学の方法に忠実であろうとするフロイトの説明は納得できる部分も多い。いまだにブラックボックスである心の分析は解釈学に過ぎないのか。どのように人間はこの最大の課題の解決の向かっていくのであろうか。

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    2021年06月07日
  • フーコー入門

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    ■著者が扱っているメインテーマ
    思考のエチカとは?

    ■筆者が最も伝えたかったメッセージ
    社会が用意した真理に従うより、自分の欲望が実現される世界に目を向けて、
    自己と社会を変えていこうという意志。

    ■学んだことは何か
    本当の自由って社会や集団が用意した場所に従って生きることではなく、
    自分の欲望と向き合い、そこを追求していける人生なんじゃないか?

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    2021年03月06日
  • 責任と判断

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    「道徳性というのは一種の習慣」
    これは恐ろしくも鋭い指摘だと思う。

    現代で「いいも悪いもない、価値観だ」
    みたいな語り方がされるのは、ある種
    的を得ているんだろう
    そしてアーレントはそれに
    挑戦しようとしていた。

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    2020年10月04日
  • フロイト入門

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    人が分からなくなって読んだ。読みにくくはないながらも、内容が多いだけになかなか読み終わらず。面白かった。

    フロイトの考えの変遷を、そう考えるに至ったフロイトの経験も交えて紹介している。フロイトは精神症の根底には性的欲望があることを想定しており、それを証明するための弁証をしている。
    無意識を提唱したのはフロイトであったが、無意識には普段は抑圧しているものが含まれているという提唱がなされている。

    夢分析の章はややしんどかったが、エディプスコンプレックスの章は面白かった。日常で出会う自罰的な人に対して、どこからこの罰意識はくるのだろうかと不思議であったが、フロイトによると、エディプスコンプレック

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    2020年05月27日
  • 幻想の未来/文化への不満

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    光文社古典新訳文庫 フロイト 宗教批判論文3編。

    キリスト教の抑圧性や神経症患者との共通性から、宗教や文化を批判する論調。3編が共通テーマであり、フロイトのユダヤ人問題や宗教論を理解できる構成。中山元 解説のおかげで読めた。

    随所に 科学重視、合理主義、個人主義の立場から、キリスト教批判は見受けられる。


    各論文のテーマとアプローチ
    *幻想の未来
    宗教は幻想であり、科学に未来を託する論調。強迫神経症とキリスト教儀式の共通性からアプローチ

    *文化への不満
    キリスト教道徳の抑圧性が文化への敵視、不満とする論調。欲動論からアプローチし、文化の発展は人間の種の生存を賭けた闘いであるとした

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    2020年02月23日
  • 人間不平等起源論

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    PSYCHO-PASSで紹介されてから購入し、だいたい5〜6年間、トライしては挫折を続け、やっとこさ読み終わることができました。

    政治哲学に関する素養はないので、あまり大それた感想は書けませんが…
    「自然状態」という事実かどうかは当時確かめようのない想定から人類の社会の誕生を考え、言語などをはじめとする文化の誕生に言及し、不平等がいかに誕生したのかという緻密な分析は、読んだ甲斐があると思いました。心理学的な人間理解にも通じるものがあり、1700年代にこのような人間理解をしたルソーはまさに天才であると感じます。
    ルソーは他に、『社会契約論』や『エミール 』でも有名ですが、これらの本にもいつかは

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    2020年01月22日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

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    イマヌエル・カント(1724~1804年)は、プロイセン王国に生まれ、『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し、認識論における所謂「コペルニクス的転回」をもたらした。ヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされ、彼による超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
    本書には、カントの政治哲学、歴史哲学に関連した重要な論考である、「啓蒙とは何か」、「永遠平和にために」のほか、「世界市民という視点からみた普遍史の理念」、「人類の歴史の憶測的な起源」、「万物の終焉」が収められている。
    「啓蒙とは何か」のエッセンスは、冒頭の一段落に

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    2019年12月29日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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    プロテスタンティズムねは禁欲的な倫理が、資本主義におよぼした影響を考察したすごい本。
    宗教と経済の関係性を考えさせられた。
    このプロセスがあるから外国は大学等に寄付というのが、多いのだろうか。
    よくわかんない所も多かったけど、面白かった。

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    2019年11月23日
  • 陸と海 世界史的な考察

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    ネタバレ

    人間は陸に暮らす動物であり、大地の上で活動をする。古くからある大地、水、火、空気というエレメントの中でも、大地は人間の基盤、ものの見方、自己の観点といったものを最も強く規定するエレメントである。なぜなら、人間は海に住む魚でもなければ、空を飛ぶ鳥でもなく、ましてや火で構成される生物などではないからである。だが、人間は大地にのみ関連づけられた動物ではない。もし人間がその4つのエレメントによってあますところなく完全に規定されているのであれば、人間は魚であったり、鳥であったり、またはこれらのエレメントの規定から生まれた奇妙な混合物であるはずだからだ。当然人間はそんなことはなく、人間はその四囲の世界に解

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    2019年11月21日