中山元のレビュー一覧

  • 労働の思想史

    Posted by ブクログ

    働くようになり、経験が積まれ、研修などで啓蒙が進んでいくと、仕事に求めているものと、そこから得ているものに複数の合い入れない要素を感じるようになった。
    ライフラインを維持するために賃金を獲得すること、自己実現や人の役に立ちたいという欲求に応えること、嫌なことや辛いことでもやらなければならないことなど。その中で感じる、そもそも働くとは何なのだろうか?という問いを探るために手に取った本。

    アンナハレントによる労働、仕事、活動という分類と、それらが現代においては混ざりあっており、ほぼ全ての人間の営みが労働になりつつあることが指摘されている。ここを知るだけでも、労働観に対する解像度を上げることもでき

    0
    2025年04月12日
  • フロイト、夢について語る

    Posted by ブクログ

    ・夢の仕事は4つあり、心理的な素材の(二つの観念の合一としての)濃縮、(面白い素材への)転換、具体的な準備作業、知覚内容の改竄
    ・あらゆる夢は利己的な動機から生まれる。
    ・夢を形成するメカニズムにおいて利用出来る論理的な関係は、現実世界に対する圧縮、類似、共通、一致のみである。
    ・夢の中では、あれかこれかそのどちらかという二者択一はない。「そのどちらも」しかない。
    ・現実性で見過ごされるようなつまらないことは、夢には出てこない。だから、強い感情に結びついた充足しなかった願望、罪の意識は夢に出やすい。
    ・例えば、知り合いの夫人が手を握ってきて「綺麗な目だね」と言ってきた夢は、プロポーズをしたシ

    0
    2024年06月24日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

    Posted by ブクログ

    自分の頭で考え、道徳的に善く進歩していくことが自分が社会に対してできることだと思いたい。
    自己の考えを他者と交わして、高めあえると尚良いと。
    現代の在り方にも通ずる提言がたくさんあった。

    カントの言う、周囲を啓蒙できる哲学者って現代にどれだけいるのだろう。
    過去の哲学者を研究して、解釈について思考を巡らすのが哲学者といえるのか。

    0
    2024年05月09日
  • 責任と判断

    Posted by ブクログ

    ゼミの読書会で読みました。ガザで起きていることを踏まえて、先輩方が選んでくださってありがたかった。一読する価値は十分にあるかと思います。

    0
    2024年03月20日
  • アレント入門

    Posted by ブクログ

    全体主義と戦った政治哲学者の思想のエッセンス

    おぞましい悪を成し得たのは、凡庸な悪だった

    想像力の欠如と思考の停止

    自分との調和の大切さ

    労働、仕事、活動
    公共の、現れの空間、社会

    0
    2023年08月13日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

    Posted by ブクログ

    ☆「知る勇気をもて」「自分の理性を使う勇気をもて」(p10)
    ☆「自分の理性を公的に使用せよ」(p14)
    「啓蒙とは何か」におけるこの2点は、自由な言論の必要を訴えるもので、本書が公共哲学のスタート地点に位置付けられる(「齋藤純一ほか「公共哲学入門」)のもうなずける。巻末解説にあるように、カント思想はいまなお、アクチュアルである。これを楽観主義とか理想論だとかたずけるのはたやすい。そうではなく、あえて、ベタに、ここをスタート地点としたい。

    0
    2023年06月29日
  • 純粋理性批判 1

    Posted by ブクログ

    人間は事物をありのままの姿で認識できない。自分の五感を信じるな。事物の本質は分からないのに、分かると考えるから心の平静が乱される。あらゆる物事の判断を控えるように。ピュロン

    あらゆる知識は「たぶんそう」なのであり、絶対確実なものはない。自分は間違えるかもしれないという謙虚な姿勢と生活をより良いものにする改善の精神が大切。ヒュームHume『人間本性論』1739

    人間はすべてを認識できない。人間を離れた世界、経験を越えた世界(死後に霊魂は残るか・神の存在)については認識できない。これらは認識の対象ではなく、希望や信仰の対象。人間は目や耳などの感覚を使って経験できる範囲の世界(現象)のみ認識でき

    0
    2023年04月06日
  • モーセと一神教

    Posted by ブクログ

    アテン賛歌(エジプト):汝のわざのなせるものはいかに多いことか。おお唯一の神よ、汝に比すべきものは他にない。汝は思いのままに世界を創造された。
    旧約聖書(ヘブライ):御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。詩篇104章

    アテン賛歌(エジプト):汝が西の果てに沈むとき、地は死のごとく闇にとらわれる。獅子はみなその穴より出で、這うものが出てきて人を刺す。
    旧約聖書(ヘブライ):太陽は沈む時を知っている。あなたが闇を置かれると夜になり、森の獣は皆、忍び出てくる。詩篇104章

    前14cアメンホテプ4。一神教を発明。その息子ツタ

    0
    2023年03月29日
  • プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

    Posted by ブクログ

    昔、岩波文庫で読もうとして、あまりに難しさ(?)にまいって、ざっと斜め読みすることになったが、資本主義ってなんだろうと改めて考えるにあたって、再チャレンジ。

    中山元さんの訳文は、圧倒的に読みやすくて、なんかやっと議論についていくことができる感じがした。

    一方、この本の面倒さ、読みにくさの一つは、本文以上に膨大な注釈の存在で、これを読もうとするともともとの議論の流れがわかりにくくなることから来ている。それはもともと原著がそうなっているので、仕方がないのだが、この本をしっかり理解するためには、まずは本文を通読して、次に注も読みながら、再読、再再読する必要がある気がした。

    また、キリスト教に詳

    0
    2023年03月23日
  • 幻想の未来/文化への不満

    Posted by ブクログ

    西洋社会を規定していたキリスト教ならびに宗教のメカニズムを、文化からの制約に対する「一般に見られる強迫神経症のようなもの」、「集団妄想の一つ」とする、精神分析的宗教論。

    破壊的人間への回帰。

    0
    2023年02月19日
  • ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの

    Posted by ブクログ

    書き物のために急速に読んで急速に終わらせた感。
    三大親殺し文学とか発想が面白すぎるだろフロイトさん。

    0
    2023年01月21日
  • 純粋理性批判 2

    Posted by ブクログ

    この本で強調されていた2つの事項の対比ー感性と知性、分析と総合、アプリオリとアポステリオリ、主体と客体、原因と結果だ。世の中の多くの事は2つの比較で考えられることが多いからだ。超越論的認識、形而上学、ロック、ヒューム、自己統合、カテゴリー、弁証法、実体の根拠付け、親和性、ものごとを抽象化して考えるくせを付けないといけない。

    0
    2023年01月21日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

    Posted by ブクログ

    本書が国際連合の理論的根拠にされているのは有名だ。
    その骨子は、永遠平和を実現するための6つの予備条項と3原則を柱としている。

    本書を手にとって把握できたのはそれくらいのもので「100分de名著」などの入門紹介本でもそれくらいのことはしっかり解説されている。
    つまり結論としては、「問い」を用意していたり、筆者や本の主張に「特別な関心」を持っていない場合においては、数十年以上前の名著については要約された入門書で十分だと思った。

    0
    2023年01月20日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

    Posted by ブクログ

    新訳でかなり分かりやすくなっているのかもしれませんが、かなり理解が難しい文章でした。それでも日本国憲法の基礎にもなっている人民主権の基本的な考え方は理解できたと思います。特定の統治者に権利を委譲するのではなく、国家に委譲しつつも各国民がその主権の一部であるという、話の抽象度の高さが難しさの理由の一つでしょう。

    主権は国民にあり、政府は国民の意思を実行するために雇われているにすぎないという、教科書でも習うような当たり前なことです。でも選挙のたびに無力感を感じ続けてふと忘れがちになることを、18世紀の人の声で再確認させられるというのが面白いです。

    国民全員の利益を追求する一般意志と、統治者の私

    0
    2022年12月31日
  • 純粋理性批判 1

    Posted by ブクログ

    この本は色々な2つのことが対比して述べられている。アプリオリ(経験から独立)とアポステリオリ、分析的と総合的、空間と時間、知性と理性、必然性と普遍性、それらの違いは何かを抽象的に考えさせられる。そもそも本書は哲学書だからだ。先天的、超越論的、誤謬、デカルト、ライプニッツ、実在性とは何かを深く考えていかないといけないと感じた。

    0
    2022年12月25日
  • フロイト入門

    Posted by ブクログ

    卒論で参考にしたい部分が丁度中盤くらいの章だったので、読み切るのを失念していた。ようやく読み終わりました。

    フロイトの著書は私にとっては難解なので、
    この本にかなり助けられた気がする。かなり噛み砕いて説明されていると思う(それでも難しいところは難しかったけれども)。

    フロイトの思想は私の興味にだいぶ寄り添ってくれることを、この本を通して知ることができた。ほかのフロイト関連書籍も読みつつ、こちらも何度も読みなおしたい。

    0
    2022年12月12日
  • 職業としての政治 職業としての学問

    Posted by ブクログ

    「職業としての政治」は、30年以上前に読んだことがあって、強い印象をもった。

    なんとなく中山元さんの訳で、初めて読む「職業としての学問」とともに、読んでみた。

    「職業としての政治」については、驚いたことに、読んでいて覚えているところがほとんどなかった。わたしが覚えていたのは、政治という職業と倫理性の関係についての議論だけで、それは結論部分でようやく出てくる話し。

    結論を覚えているならいいかというと、当然、そういうわけではない。

    ここで、議論されているのは、政治というものもつ本質的なパワーというか暴力の問題(これがもちろん倫理の話につながるのだが)、そして歴史的、地理的な政治の形態、その

    0
    2022年12月04日
  • 資本論 経済学批判 第1巻 IV

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    理解できたとは到底言えないけれど遂に資本論第1巻を読み終わった。
    理論だけではなく、時流のジャーナリスティックな記載も満載。
    マルクスに学ぶならば、資本論を金科玉条とするのではなく、弱者の声に耳を傾け自分で理論を構築する必要があるのではないか。なぜみんなマルクス、マルクスと言って現実を見ない?

    0
    2022年10月23日
  • アレント入門

    Posted by ブクログ

    アレントによる道徳観の分析を分かりやすく読めました。ずっと気になっていた悪の凡庸さのつまみ食いが出来て嬉しい。

    0
    2022年10月21日
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     人間が思考するのは、他者に考えた内容を伝達するためである。そして他者に思想を伝達するためには、他者の立場から考えることが必要なのである。完全な独語には、だれも耳を傾けようがないのである。アーレントが指摘するように「我々は他者の立場から思考することができる場合にのみ、自分の考えを伝達することができる。さもなければ、他者に出会うこともなければ、他者が理解する仕方で話すこともなであろう」。
     このことは、他者の存在こそが人間が思考するための条件を構成しているということである。他者との交わりのうちでしか、思考は形成されないし、刺激も荒れないのである。文化と文明の発達において、他者はその可能性の条件を

    0
    2022年07月18日