天童荒太のレビュー一覧

  • 包帯クラブ

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    傷ついた心に寄り添ってまかれる包帯。
    てっきり探偵ものかと思っていたのに
    心が知らず知らずに温かくなるそんな優しいお話でした。
    2時間かかららずに一気読み。
    みんなのその後のアウトラインが微妙にぼかされていたり妙に現実味を帯びていたりと
    加減がよかったりも。
    読後感も爽やかでした。

    永遠の仔
    の作者さんだったとは。やはり心に斬り込んで来る様が鋭い。

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    2016年11月21日
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)

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    読み終わってから結構時間が経ってしまったけど、「永遠の仔」が素晴らしかったから、天童作品は他のも読んどかなアカンやろ、ってことで。山周賞取ってるのもポイント高し。で、本作は件の作品より前のものってことだけど、こちらも既に素晴らしい出来です。まだ序盤だから結論を下すには不十分だけど、導入部分としてはバッチリ心掴まれる内容でした。これから家族というものを育てていく身としては、そういう点でも参考にしなきゃ、って感じです。続きが楽しみ。

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    2016年11月16日
  • 孤独の歌声

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    すごく面白かったと同時に、すごく恐ろしい物語だった。

    天童荒太さんの小説を読むのは初めてだけど、映像化されているものはいくつか観ていて、そのほとんどすべてに共通しているのが“人の生い立ちとその後のこと”だと思うのだけど、人の暗い生い立ちが凶悪な犯罪につながることもあるという物語の中の出来事は、現実でもけっこう見かける事実だと感じた。だからとても恐ろしかった。

    物語の大筋は、ひとり暮らしの女性たちが次々誘拐され悲惨な末路を迎えている連続殺人事件と、同じ管轄内で度々発生しているコンビニ強盗事件。
    コンビニ強盗を担当する女性刑事の風希、音楽をやりながらコンビニでアルバイトをしている潤平、コンビニ

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    2016年09月12日
  • 孤独の歌声

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    見るからに怪しそうな描かれ方の少年、見るからに普通の人好きしそうな青年。
    どっちが歪んだ精神の持ち主か。
    モデルみたいな外見の、品が良さそうな美女、清楚で地味で目立たないが意志の強そうな爽やかな女性。
    どっちが真の美しさを持っているか。
    そういう対比もこめながらの登場人物描写かな、と。
    自分の願望のために、相手の人格や人生をめちゃめちゃにするという凶悪犯罪者の思い込みの強さは、他の作品でも見られる。
    それに特筆すべきものはないが、登場人物の闇に絡む過去の事情や、家庭環境などというものに焦点が当てられているのかな、という気はする。
    読んだことはないが『家族狩り』の作者でもあるし、そういう焦点の当

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    2016年07月30日
  • 包帯クラブ

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    色々な意味で完璧な作品ではない。しかし、若者の苦しみ、哀しさ、焦り、自我の危うさが「眼」で見るように感じられた。掬い取られていた。外と心がつながっている感じが。

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    2016年07月02日
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    児童相談センターに勤める氷崎遊子は、日々色々な事情を抱えた子供と接するが、虐待される女の子に胸を痛めていた。救いきれない自分の無力さを日々実感していた。
    また、高校で美術を教えている教師・巣藤浚介は、家庭を作ることに抵抗を感じていた。そんな中、教えている高校のある女子生徒・亜衣と出会う。絵のことで、声をかけたことから始まり、警察で保護された時に何故か巣藤の名前をあげ、しかも嘘をでっちあげられ、巻き込まれていく。そこで、氷崎と出会う。
    刑事の馬見原は、夫の暴力から逃げ今は平和に暮らしている綾女とその息子研司との旅の終わりに、心の疼きを感じていた。
    そして、その平和な暮らしは長続きせず、夫は出所し

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    2015年12月26日
  • 悼む人 上

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    最後の部分を読みながら鳥肌が止まらなくなった。久しぶりに芯から心が震えた。映画化で原作を知って、貴重な小説に出会えた気がする。作者の天童荒太さん自身が一番救われたんじゃないかと思える救済の物語。

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    2015年07月05日
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    問題のある家庭が次々に現れ、これでもかと問題点を
    突きつけられる。どの家族も崩壊寸前だったり、もう既に崩壊していたりするのだけど、その人たちが特別おかしい訳ではない。一歩間違えれば誰でもこうなるのかもしれない・・・そういう恐怖を感じて、なんともやりきれない・・・・・

    愛情の受け止め方や、十分と感じる量なんかも人それぞれ。何を愛情と感じ、何を愛情不足と感じるのかも人それぞれ。本当に難しいですね。

    でも子育てって、こんなにも辛く苦しい事ばかりじゃない。単純に子供を「可愛い」と思える気持ちを大事にしていこう。そんな単純な事じゃないけど、でも基本はそこだと思いたい。

    感動した!っていうのともちょ

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    2014年09月10日
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)

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    人の抱える様々な問題、それに鋭く切り込んでいく。
    フィクションとはいえ、ノンフィクションのようなリアルさが漂っている。
    5部作ということなので、読み進めていきたい。

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    2014年08月21日
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)

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    抵抗を感じるようなシーンはあって、何度か思わず顔をしかめてしまったのですが・・・

    どれも同じような事件が、最近ニュースになったりしています。
    今の世の中には目を背けてはいけない問題があるのではないかと感じました。

    安らぐはずの家庭で、何故傷つく人が後を絶たない世の中になってしまったのか、天童ワールドの中で自分なりに考えてみたいと思いました。

    第2部の『遭難者の夢』に続きます・・・・

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    2014年08月17日
  • 遭難者の夢―家族狩り 第二部―(新潮文庫)

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    自分の居場所が見つからないという意味で遭難者

    登場人物一人一人が心に傷を持ち、それを隠すように感情を持たなかったり、いい子であろうとしたり、仕事に打ち込んだり・・・

    その心の傷は、それぞれの家庭で出来たものというところが悲しい。

    『憎む』という感情が家庭で生まれたのなら、それを打破できるのはまた家庭なのかもしれないと思いました。

    不器用な生き方しか出来ない登場人物たちが、少しずつでも変わっていくことに期待して・・・

    第3部の『贈られた手』につづく。。

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    2014年08月17日
  • 贈られた手―家族狩り 第三部―(新潮文庫)

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    憎しみの連鎖は悲しいけれど、優しさの連鎖は美しいと思いました。

    息子の死を受け入れることが出来なかった母。
    老人を助けるために命を助けた最愛の息子。

    ある日、見知らぬ青年に優しくされて、理由を聞いたところ、自分も見知らぬ人に親切にしてもらったことがあるからだと言う。



    見知らぬ人だからその人へは恩返しできないけれど、誰かに伝わる優しさの連鎖。

    そのことで、息子が老人を助けたことが今親切にしてもらったことにつながったのではないか。

    そう感じて、心が軽くなった母の想いに感動しました。。。

    第4部『巡礼者たち』に続く。。。

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    2014年08月17日
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)

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    読み終えて、長い旅を終えたような気持ちになりました。

    不器用な生き方しか出来なかった人たちが、自分と向き合うことで、道が開け、遠くにゆっくり光が見えてくる・・・。


    最初から、上手に生きられる人なんかいないのかもしれません。

    上手に生きられないからこそ、人との絆が大事だと感じさせてくれる作品です。

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    2014年08月17日
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)

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    問題児を抱えている家庭で、無理心中と思われる事件が発生、別の家でも再発し、警官、教師、子供ケアの専門家などの登場人物が、家族を失った人、家族崩壊などの問題を通し家族愛を描く。

    著者の家族、社会に対するメッセージを強く感じ、考えさせられる。普通の家族だと思っていても、本当にそうなのか?普通の家族という関係を維持することの大変さ。

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    2014年08月11日
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)

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    久しぶりに読み終わりたくない気持ちに。白夜行以来かも。次々に投げかけられる問題に、親として娘として妻として考えながら五部作あっという間に読んだ。哀しく辛い話だけど、読んで良かった。

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    2014年05月27日
  • 包帯クラブ

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    ネタバレ

    傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。
    いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。

    ~*~*~*
    「巻けます、効きます。人によります」

    傷ついたところに 包帯をまく
    とてもステキな話だと思った

    心的な外傷は、みた目に見えない
    どれくらい傷ついているのか 
    本人でしか いや本人ですら分からないかもしれない

    だから 他者からは理不尽な言葉を投げかけられたり
    本人もどうしてよいか分からないものを抱えていたり

    大きな心の傷は 話すということすら困難がともなう
    話すことで 過去になる」という部分もある


    だとしたら 目に見

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    2013年08月01日
  • 包帯クラブ

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    分厚くもなく、文字数も多く無いのに、伝えることはぎっしりのこの本。大変感動しました。映画も素晴らし方です。多くの方にお勧めします。人には時間がたっても言えない、癒えない傷があるのですよね。優しく包帯をまいてくれます。

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    2013年02月18日
  • 静人日記 悼む人II

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    ネタバレ

    亡くなった人々の姿を思い、“悼む”旅を続ける青年のお話。前作(?)「悼む人」と違って本作は日記形式で綴られているので、主人公の思いがよりダイレクトに伝わってくるような気がします。

    その日記は(ほとんど)毎日違った人を悼む内容になっていて、短い日記の中に死者一人一人の人生や、残された人たちの死者に対する思い、考えが詰まっています。それを日替わりで連続的に読み続けて行くと、畏敬の念に打たれたような気持ちになりました。なんというか…日々、多くの命が生まれ出る反面、失われて行く多くの命もあるということや、「無名」の人生にも記憶に残すべき何かがあるんじゃないかとか、自分の”今”はそうした命の積み重ねの

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    2013年01月14日
  • 包帯クラブ

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    自分が過去に負った傷や悲しみを認めてあげようっていうお話。

    自分の中で本当は辛かったけど目をつぶってやり過ごしてきて蓄積してきたことを消化していかなきゃいけないんだなって思った。

    この本の何が響くかって、不確定な加害者意識にとらわれる準主人公の存在だ。加害妄想に何度も何度もとらわれてしまうぼくはその気持がとってもとってもわかるのだ。全部自分のせいにして、自分が背負って、その代わりに自分を苦しめてしまいたい気持ち。

    ある意味で、自意識過剰なのかもしれない。身勝手な気持ちなのかもしれない。客観的に彼をみることで、そんなことも思わされた。

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    2016年03月06日
  • 包帯クラブ

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    気に入った。
    他人の痛みに共感しようとする姿勢は、とても心地よく、温かく感じる。
    他人の傷、その痛みを完全に理解はできないし、それが何になる?という問いは必ずあるのだけれど、まずは寄り添うことから全てが始まる、そんな気がする。

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    2012年10月17日