天童荒太のレビュー一覧
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こんな作家さんだったっけ?
『青嵐の旅人』の時もそう思ったけれど、
新作を読んだらなおさら・・・
『永遠の仔』のあのヒリヒリするような鋭い雰囲気、
私の場合、あのイメージが強すぎたのかも・・・
同世代なのでわかるけれど、いつまでもとがってばかりでいられないのかな、
(その奥に細やかな人間愛があったとしても)
それが読み終わっての第一の印象。
読んでいて通奏低音のように聞こえるのが
横溝正史の「金田一京助シリーズ」
これは、まさにあの世界だよね~
東京とかのとある村。
その村で凄惨な殺人事件が起こり
探偵と刑事が大活躍。
やがて村の辛い記憶に行き着いて・・・
ほら、金田一さんです!
あと -
Posted by ブクログ
亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語
詳細な感想は下巻でまとめて
以下、公式のあらすじ
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不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。
"「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故 -
Posted by ブクログ
昭和四十一年。終戦に貢献した英雄がいたことで「平和村」と改名されることになった尽忠村に、新人女優の華井乃愛が帰省する。映画の宣伝も兼ねたそのイベントだったが、謎の脅迫状に始まり次々起こる不穏な事件。この村で何が起こっているのか。レトロな雰囲気たっぷりのミステリです。
訳ありな村で起こる殺人、というあらすじだけを取り出してみればおどろおどろしい印象しかありませんが。探偵役の鯨庭がなんともほっこりとした良いキャラで、そのせいかあまり殺伐とした雰囲気は感じません。当時の時代情勢や風俗も事細かに注釈されていて、どっぷりと雰囲気に浸れました。これはシリーズ化するのなら、かなり楽しみです。
とはいえ、事件 -
Posted by ブクログ
昨今、メディアで見かける性暴力の被害者側がいわれなきバッシングを受けて更なる被害を受ける、加害者家族が住居や学校を追われる様が描かれていた。
現代、ここまでネットやメディアの報道が発達するともうなすすべがなく、大半が泣き寝入りなのだろう、なんともやるせない気持ちになりました。
犯人の動機も悲しく苦しく、ジェンダー・クライム(性にまつわる犯罪)は連鎖していくのか…と救いのなさに落ち込んでいたところ…
ラスト、コンビを組んだ鞍岡と志波。彼らの出会いが思いもかけないころから始まっていたところが描かれ胸熱になり、こみ上げてくるものが抑えられませんでした。 -
Posted by ブクログ
タイトルは前から知っていたが『傷を愛せるか』で触れられていて、興味を引かれて読んだ。人生の中で傷ついた経験をした場所に包帯を巻く活動をする「包帯クラブ」を結成した高校生たちの物語。もう20年近くも前の出版ですが、「傷」や「ケア」への関心が高まる中で改めて読まれるべき作品ですね。傷ついていたこと、そこに傷があることを認めてもらうこと受け止めてもらうこと、たったそれだけのことが持つ意味は時に意外な程大きい、というか人に寄り添うケアの本質はそのたったそれだけのことしかできないということへの認識が重要なのかもしれない。
高校生当時を振り返る報告書、という体で語りが始まり、章と章の間に大人になった現在の -
Posted by ブクログ
ネタバレある殺人事件からその背景にある過去の事件をも追うミステリー小説。
殺人の次に許せないのはレイプです。
ある意味、殺人以上に被害者及びその周辺が苦しむかもしれません。
ということで、背景にある過去の事件とは集団レイプです。
最後はなんとなく救われたというか微かな光みたいなものが見えたのは良かったです。
ちなみに、自分も配偶者の呼び方が気になっていて、普段は「相方」と紹介しています。
時々、芸人の方ですか?とか同性の方ですか?とか言われるので他の言い方がないか模索中です。
「パートナー」呼びはしっくりこないので既に却下しています。