天童荒太のレビュー一覧

  • 昭和探偵物語平和村殺人事件

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    こんな作家さんだったっけ?
    『青嵐の旅人』の時もそう思ったけれど、
    新作を読んだらなおさら・・・
    『永遠の仔』のあのヒリヒリするような鋭い雰囲気、
    私の場合、あのイメージが強すぎたのかも・・・
    同世代なのでわかるけれど、いつまでもとがってばかりでいられないのかな、
    (その奥に細やかな人間愛があったとしても)
    それが読み終わっての第一の印象。

    読んでいて通奏低音のように聞こえるのが
    横溝正史の「金田一京助シリーズ」
    これは、まさにあの世界だよね~

    東京とかのとある村。
    その村で凄惨な殺人事件が起こり
    探偵と刑事が大活躍。
    やがて村の辛い記憶に行き着いて・・・

    ほら、金田一さんです!

    あと

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    2025年07月29日
  • 昭和探偵物語平和村殺人事件

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    ネタバレ

    ビートルズが日本を訪れてコンサートを開いた一九六六年。
    昭和四一年。
    日本の片隅で、或るおぞましい事件が起きた。

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    2025年07月26日
  • 青嵐の旅人 下

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    ネタバレ

    天童荒太の長編歴史小説。新聞連載小説なんだね。
    その所為か、天童さんにしては凄くストレートに判りやすい。歴史上の人物と絡ませて話を進めていくのも上手い。
    最初っから坂本龍馬が出てくるし、次から次へと歴史上の維新の志士が出てくる。ちょっとあざといとは思うけど。
    全く維新の志士と絡まないのもツマラナイけど、これだけ絡むと却って嘘っぽい。だって長州藩オールスター揃い踏みだよね。しかもいい人ばっかり。山縣有朋みたいに暗いヤツは出て来ないし。でも面白かったよ。「竜馬が行く」を読んだ人は尚更。

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    2025年07月25日
  • 悼む人 上

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    亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語

    詳細な感想は下巻でまとめて

    以下、公式のあらすじ
    --------------------
    不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。
    "「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故

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    2025年07月15日
  • 昭和探偵物語平和村殺人事件

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    昭和四十一年。終戦に貢献した英雄がいたことで「平和村」と改名されることになった尽忠村に、新人女優の華井乃愛が帰省する。映画の宣伝も兼ねたそのイベントだったが、謎の脅迫状に始まり次々起こる不穏な事件。この村で何が起こっているのか。レトロな雰囲気たっぷりのミステリです。
    訳ありな村で起こる殺人、というあらすじだけを取り出してみればおどろおどろしい印象しかありませんが。探偵役の鯨庭がなんともほっこりとした良いキャラで、そのせいかあまり殺伐とした雰囲気は感じません。当時の時代情勢や風俗も事細かに注釈されていて、どっぷりと雰囲気に浸れました。これはシリーズ化するのなら、かなり楽しみです。
    とはいえ、事件

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    2025年07月14日
  • ジェンダー・クライム

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    昨今、メディアで見かける性暴力の被害者側がいわれなきバッシングを受けて更なる被害を受ける、加害者家族が住居や学校を追われる様が描かれていた。
    現代、ここまでネットやメディアの報道が発達するともうなすすべがなく、大半が泣き寝入りなのだろう、なんともやるせない気持ちになりました。
    犯人の動機も悲しく苦しく、ジェンダー・クライム(性にまつわる犯罪)は連鎖していくのか…と救いのなさに落ち込んでいたところ…

    ラスト、コンビを組んだ鞍岡と志波。彼らの出会いが思いもかけないころから始まっていたところが描かれ胸熱になり、こみ上げてくるものが抑えられませんでした。

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    2025年07月11日
  • 昭和探偵物語平和村殺人事件

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    いわゆる横溝的な村ミステリですが、おどろおどろしいというより戦争との結びつきからくる悲劇を描いたいい作品でした。

    2957冊
    今年185冊目

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    2025年07月07日
  • ジェンダー・クライム

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    「お互いに、お互いを、必要としてるんだね」
    「……ああ。必要だよ」
    「人にさ、必要とされるのって、すごく嬉しいよね」
    「……ああ」

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    2025年06月25日
  • 昭和探偵物語平和村殺人事件

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    ネタバレ

    天童荒太先生の既刊の他の物語とは少し違う雰囲気にとまどいながらも読み進めるうちに引き込まれ、全く予測ができない展開にドキドキ。
    平和村殺人事件は戦争があったから起こってしまった。現代日本人には理解することが難しい戦争に対する考え方…過去に広島の平和記念資料館に行ったことも思い出し、胸が痛くなりました。
    巻末に筆者あとがきや謝辞があるのは先生方の作品に対する思いに触れることが出来るので嬉しい。
    本作も天童先生の謝辞があり、また鯨庭行也の物語を読めそうなことを書かれていたので楽しみに待ってます。

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    2025年06月22日
  • 悼む人 下

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    主人公の心の動きよりも、母親の強い気持ち、行動に共感を覚えた。
    このように、ひとりの人間として、受け入れながらも、あがきながら最期が迎えられたらと思う。

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    2025年06月17日
  • ジェンダー・クライム

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    寂れた草地の中から中年男性の遺体が発見された。
    頸部圧迫による窒息死。
    異常なのは、裸にされた体内から見つかったメモ。
    そこには「目には目を」と書かれていた。

    サスペンスものは多く読んできた。
    本作も真相がわかるまではゆっくり読み進めた。
    随所に天童荒太さんらしいメッセージが置かれている。
    ハラハラドキドキもするが
    終盤まで、静かでゆっくり進むリズムは変わらなかった。

    その痛みに寄り添うことはできるが
    簡単に「わかった」とは言えないリアルさがある。

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    2025年06月09日
  • ジェンダー・クライム

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    知らず知らずのうちに性差を意識しているのかも。相手のことを一人の人間として考えたらいいのかも知れない。

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    2025年06月04日
  • 包帯クラブ

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    タイトルは前から知っていたが『傷を愛せるか』で触れられていて、興味を引かれて読んだ。人生の中で傷ついた経験をした場所に包帯を巻く活動をする「包帯クラブ」を結成した高校生たちの物語。もう20年近くも前の出版ですが、「傷」や「ケア」への関心が高まる中で改めて読まれるべき作品ですね。傷ついていたこと、そこに傷があることを認めてもらうこと受け止めてもらうこと、たったそれだけのことが持つ意味は時に意外な程大きい、というか人に寄り添うケアの本質はそのたったそれだけのことしかできないということへの認識が重要なのかもしれない。
    高校生当時を振り返る報告書、という体で語りが始まり、章と章の間に大人になった現在の

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    2025年05月22日
  • 青嵐の旅人 下

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    天童荒太さん初の時代小説。

    「悼む人」や「永遠の仔」みたいな重いテーマの印象が強い作家さんだったけど、これは終始爽やかさがあって好きでした。
    この爽やかさはヒスイや救吉、辰之進など主要人物たちの人物設定によるのかな。

    幕末の伊予松山藩の遍路宿で育ったヒスイと救吉が、坂本龍馬や緒方洪庵、新選組、高杉晋作・桂小五郎などの有名人たちと関わって、動乱を駆け抜けて行くお話。
    幕末の有名どころと知り合いになりまくっていくあたりは、いかにも物語だなぁってかんじなんだけど、でも有名キャラ出ないと楽しくないしね。

    ブラックキャラの鷹林も結構好きでした。

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    2025年04月06日
  • ジェンダー・クライム

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    ネタバレ

    ある殺人事件からその背景にある過去の事件をも追うミステリー小説。

    殺人の次に許せないのはレイプです。
    ある意味、殺人以上に被害者及びその周辺が苦しむかもしれません。
    ということで、背景にある過去の事件とは集団レイプです。
    最後はなんとなく救われたというか微かな光みたいなものが見えたのは良かったです。
    ちなみに、自分も配偶者の呼び方が気になっていて、普段は「相方」と紹介しています。
    時々、芸人の方ですか?とか同性の方ですか?とか言われるので他の言い方がないか模索中です。
    「パートナー」呼びはしっくりこないので既に却下しています。

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    2025年04月06日
  • ジェンダー・クライム

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    ネタバレ

    全裸で男の遺体が発見され、犯人を捜す年齢も性格も違う2人の相棒刑事。事件には被害者の息子の過去のレイプ犯罪が関わっていた。
    今も苦しんでいる被害者とその家族、反省もしていないレイプ加害者達。
    そして真犯人の意外性と過去におきたことが繋がっていく流れも秀逸。
    なるほどそうだったのかと気持ちが温められるラストのエピソードも良かった。

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    2025年03月25日
  • 青嵐の旅人 下

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    下巻は歴史の流れからも戦の場面が多く、中弛みしてしまうのではと危惧しながら読み進めたが、緩急の付け方が絶妙で、長州や伊予松山藩の時節の描写に舌をまきながら改めて苦手として目をつぶってきた歴史を鑑みられたのは自分でも驚きだった。坂本龍馬は相変わらずかっこいいし、鷹林もヒールとして彼抜きにはいられない。登場人物の巧みな絡みで最後まで一気読みだった。天童荒太さんの時代小説は最高❗️

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    2025年03月07日
  • 青嵐の旅人 上

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    時代小説とは知らずに読み始めた。幕末は個人的にあんまり得意な時代ではないので挫折することも覚悟したが、ヒスイや救吉の目線から描かれた庶民の視点は非常に馴染みやすく、坂本龍馬や新撰組のくだりも自然と入ってきて夢中になっている。登場人物の多さも巻頭の人物表でどうにか乗りきっている。後半も非常に待ち遠しい。読破できるか少し不安は残るけれど、いけそうな気がしている❗️

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    2025年03月03日
  • ジェンダー・クライム

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    『歓喜の仔』『家族狩り』シリーズとは読後感がかなり違う。余根田のような悪人は「悪役」として切り捨てて読み切るのがふつうなのだろうが、天童荒太さんの見えない引力で、余根田の生育環境などに思いを馳せ、希望が見出せないものかと考えさせられた。

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    2025年02月15日
  • ジェンダー・クライム

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    久しぶりの天童作品。転がり落ちるように犯罪が連鎖していく。テーマは重いがするすると読み進めてしまうのはさすが。重いテーマでも希望が見える読後感。

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    2025年02月13日