天童荒太のレビュー一覧
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ネタバレ上巻は悼む描写が多く、なんだか読んでて暗い気持ちになったが下巻は暗いながらも光がさしてきた感じで引き込まれた。
ゆきよの肩の亡霊を通して、気持ちがよくわからなかった静人の本音も聞けてスッキリした。
「自殺をする代わりに、他人の死を悼むようになったのかもしれないなって」言葉が印象的。
生きる為にそれをするしかなかったんだと思うと気持ちはわからないが納得できた。
生と死、愛は何かとか一生のテーマで難しいけど、考えさせられる物語で一読の価値あり。
いつかはみんなも自分も死ぬわけだし。
最後の巡子が見たシーンの描写は美しく、死ぬ時に見えるのがそういう光景なら死も悪くないと思う。 -
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ネタバレ初めて読む作者。短編小説のようにストーリーの積み重ねから構成されている。唐突に話が変わっていくが、最後には繋がる。構成が上手いと思う。下巻まで読み進めるか迷ったが、後から思えばこの構成の所以かもと思った。
主人公は医学的には先天的な病なのだろう。病を克服するためか、或いはアイデンティティのためか医者になり、無痛症の患者を探し、探究していく。精神ではなく肉体的な痛みを感じない人との共通性、親和性を。主人公の万浬の探究に答えは見つかるのか、見つからないような気がする。万浬は生まれながら心の痛みを持たない。理性的であり、冷静である一方で冷淡な人。人間は痛みを感じれるからこそ生きていけるし、人への愛( -
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明記はされていませんが、3.11から4年半後の福島を描いた作品です。
そろそろ震災から10年を経ようとしています。この間、震災をテーマにした沢山の物語を出版されましたが、これまで積極的に手を出しませんでした。そんな本は多くないと思いますが「ブームだから」とか「売れるから」なんて思いで書かれた本だとすれば辛いだけですから。
この本はテーマを知らずに借りたのですが、10年を経て生き残った本なら今後は読んで行こうかと思います。
サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)がメインテーマです。ただそれをシンプル・ストレートに表すのでは無く、罪悪感と違和感の中間の様な、普段は表面に出ないのだけどある瞬間に -
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「悼む人〈下〉」
上巻読んだらマスト。
上巻は、静人は何故悼むのかに焦点が当たっていた。蒔野はエグノらしく下世話な下心で静人と母巡子に近づく。奈儀は夫を殺した罪から愛を信用できない。死者が愛されていたことを悼む静人を理解できない。
下巻は、静人の行動が二人に影響を与えていく過程が描かれる。エグノこと蒔野は静人の様な視点の記事を書いてしまう。拒否反応を示しながらも死者に対する考え方が、死者の愛し、愛され、に寄せられていく。その記事を旧友から褒められてしまい、悪くない気持ちになる。
夫殺しの奈儀は、死して尚現世に残る夫と共に、静人の旅に同伴する。彼女と同じような違和感を持ちながら静人に -
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途中苦しくて、ページをめくる手が進みませんでした。
「喪失」とか「死」とか、物理的な苦しさじゃない。ただ起こったことのあまりの大きさに、自分がこれからどう生きればいいのか、その出来事にどう接すればいいのかわからない。今こうして存在していることすらも、わからなくなってくる。
それが、8年前のあの日以降、東北の人々が背負った苦しみだったのではないか。あるいは、災害、テロ… 大切なものを突然失った人が負う苦しみなのではないか。この本を読んで自分なりにそんなことを考えました。
でも、荒れる海がいつかは凪ぐように、悲しみにも明ける日が来ます。忘れるんじゃなくて、風化じゃなくて、起きてしまったことを受 -
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天童荒太さんの作品、初めて読みました。
なんか、読み始めからこの本スゴいって思いながら読み進め、最後まで引き込まれっぱなしでした。
思わず顔を顰めてしまう様な殺戮のばめんが多々あったけど、深く考えさせられる事もいっぱいありました。
自分の孤独に気づかない、気づいていても抗う、
孤独に悩む、受け入れる…
どうするかなんて自由なのに形がない故に悩んで、傷ついて抱えきれなくなって、人を傷つけて…
結局は自分のエゴになってしまうのかもしれないけど、それでも1つでいいから大切な人と繋がる何かを感じて自分の孤独に向き合っていたいです。
天童荒太さんのほかの作品も読んでみよっと。 -
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家族狩りシリーズ最終巻。
他の巻の2倍の厚さに衝撃を受けたが、読み始めたら怒涛の連続で一気に読んだ。
この話、誰に感情移入するかでまったく別の感想になる。
一方的に悪いのはどちらと断じることがしにくいなぁ。
大野夫妻は悪かと聞かれても、彼らに(電話相談で)救われた人にとっては善だろう。
そして、何も知らずに実森少年の歪んだ怒りの解消の標的にされていた巣藤は、実森一家が「愛の儀式」で殺されたからこそ生きている。
ただ見方を変えると、自分の子供を手にかけなければと思うほど追い詰めた、息子を苦しめた奴らと、それを野放しにしたうえに逆ギレする厚顔な親達に対する間接的な復讐ではなかったのか?とも思える