天童荒太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
平年より12日も早い梅雨の雨が降り濡つ中で、今日もどこかで静人は悼んでいるのか。
『なぜあんなことをしていたのでしょう…何が目的ですか…』 静人にも分からない答を蒔野や倖世が彼らなりに見い出すように、読者も自分なりに見い出すのだろう。
見い出すとすればその人なりにしか出し得ない答。他人に家の中を覗き込むような露悪な表現の中から生への静謐な感謝が湧き出てくる。
蒔野が亡き両親のことを『二人の善い面だけを考えていくと、自分の知る彼らの実像とは離れるが、二人が幼い頃にはまだ持っていたはずの〈無垢な魂〉に、ふれているような気がする』と語る時、巡子が高齢者の老人に対して『あの老人は寝ているだけの存在のよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和41年、新人女優・華井乃愛に殺害予告状が届いた。
警視庁所属・国生良夫が護衛のため、彼女の故郷・尽忠村へ赴く。同行するのは、従妹で巡査の泉沢香子と流しの私立探偵・鯨庭行也。村では次々と事件が起こり、遂には殺人事件まで起きてしまう。
文章の喉越しが良い。
対して咀嚼していないのに、つるっとしゅわっと落ちていく。時々挟まれる「これまでの状況整理」的な物も、中弛みを全く感じさせず、それでいて記憶の回帰もサポートしてくれて、心地良かった。最初から最後まで迷走することなく、どんな読者をも取りこぼすことなく、無事に解決というゴールまで運んでくれるだろう。
戦後の母親たちは、良かったね。
村の重鎮の