天童荒太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【短評】
不思議と目を惹かれる本というものがある。
「何を読もうか」と本屋を散策する素敵な時間に、何故か目が行く一冊である。
恥ずかしながら、天童荒太は未読だ。「永遠の仔」も「悼む人」も読んだことがない。初見ならば「カタイ」作品を選ぶべきだという天使の声に耳を塞いで、本には「縁」というものがあるんだという悪魔と握手してみた次第である。
結果は、そう悪いものではなかった。
「金田一耕助」リブートといった趣の作品。探偵あり。美女あり。見立て殺人あり。関係者が一堂に介しての推理あり。実に古式ゆかしい探偵小説である。
ちょっと前に読んだ『同志少女よ、敵を撃て』の解説において、小説の「同時代性」につい -
Posted by ブクログ
文久2(1862)年。舞台は、260年間続いた江戸幕府がいま、まさに消えようとする頃の伊予松山藩。
代々続くおへんろ宿「さぎのや」で育てられた娘ヒスイと弟の救吉は、危機一髪の場面を救われたことをきっかけに、年少の藩士、青海辰之進と知り合う。医術で人を救うべく精進する救吉に、ある日郷足軽隊の調練に医師見習いとして同行せよと命が下る。誰よりも戦を厭い、平和を願うヒスイは、やがて救吉が真の戦に送られることは必定とみて、男装して弟に同道することを決意する。
江戸末期といえば新選組が題材の作品は数多くあるけれど、松山藩を舞台に描かれるなんて珍しいのでは。民の平和を願いながらも否応なしに戦に巻き込まれてい -
Posted by ブクログ
こんな作家さんだったっけ?
『青嵐の旅人』の時もそう思ったけれど、
新作を読んだらなおさら・・・
『永遠の仔』のあのヒリヒリするような鋭い雰囲気、
私の場合、あのイメージが強すぎたのかも・・・
同世代なのでわかるけれど、いつまでもとがってばかりでいられないのかな、
(その奥に細やかな人間愛があったとしても)
それが読み終わっての第一の印象。
読んでいて通奏低音のように聞こえるのが
横溝正史の「金田一京助シリーズ」
これは、まさにあの世界だよね~
東京とかのとある村。
その村で凄惨な殺人事件が起こり
探偵と刑事が大活躍。
やがて村の辛い記憶に行き着いて・・・
ほら、金田一さんです!
あと -
Posted by ブクログ
亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語
詳細な感想は下巻でまとめて
以下、公式のあらすじ
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不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。
"「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故 -
Posted by ブクログ
昭和四十一年。終戦に貢献した英雄がいたことで「平和村」と改名されることになった尽忠村に、新人女優の華井乃愛が帰省する。映画の宣伝も兼ねたそのイベントだったが、謎の脅迫状に始まり次々起こる不穏な事件。この村で何が起こっているのか。レトロな雰囲気たっぷりのミステリです。
訳ありな村で起こる殺人、というあらすじだけを取り出してみればおどろおどろしい印象しかありませんが。探偵役の鯨庭がなんともほっこりとした良いキャラで、そのせいかあまり殺伐とした雰囲気は感じません。当時の時代情勢や風俗も事細かに注釈されていて、どっぷりと雰囲気に浸れました。これはシリーズ化するのなら、かなり楽しみです。
とはいえ、事件