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『永遠の仔』『悼む人』……感動を送り続ける著書の進化、一大エンターテインメント誕生!
ビートルズが日本を訪れてコンサートを開いた一九六六年。昭和四一年。日本の片隅で、或るおぞましい事件が起きた。私にとっては、忘れがたい……というより、いまなお当時の光景といい、匂いといい、感触といい、生々しい記憶で胸が焼かれるような想いがする事件である。加えて、あの悲しみに満ちた出来事には、表向き解決した内容――すなわち、裁判になったり、新聞記事になったりした事実とは、また別の驚くべき真相がある。たとえば被害者の数は、公表された数よりも、はるかに多かった。――「プロローグ」より
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Posted by ブクログ
本当に面白かった。
2日間で読み終わってしまうほど面白く素晴らしい作品でした。
誰もが親と子、祖父母と孫、兄と弟、または親友同士などの関係に属していていつのまにかお互いが自分の存在よりも大切になっている。
それが幸せなことばかり招くものであればいいのにそうなることは少なくて、今回はそれに戦争という難解な事柄が絡んでいたのでよりいっそう辛かったです。
動機の中には論理的なものでない感情も含まれていましたが、そのぶんその人が持っている事情を知れば知るほど納得せざるを得ないほどの複雑で繊細な感情が存在していてそれがちゃんと動機としても物語を締めくくる結末としても相応しく涙ぐみながら読んでいました。
ミステリーも感動も十分に楽しめる作品です。
Posted by ブクログ
【短評】
不思議と目を惹かれる本というものがある。
「何を読もうか」と本屋を散策する素敵な時間に、何故か目が行く一冊である。
恥ずかしながら、天童荒太は未読だ。「永遠の仔」も「悼む人」も読んだことがない。初見ならば「カタイ」作品を選ぶべきだという天使の声に耳を塞いで、本には「縁」というものがあるんだという悪魔と握手してみた次第である。
結果は、そう悪いものではなかった。
「金田一耕助」リブートといった趣の作品。探偵あり。美女あり。見立て殺人あり。関係者が一堂に介しての推理あり。実に古式ゆかしい探偵小説である。
ちょっと前に読んだ『同志少女よ、敵を撃て』の解説において、小説の「同時代性」について触れられていたが、今作に散りばめられた趣向技巧に触れると「同時代性」を強く意識していることが良く分かった。
「金田一耕助」は当時のリアルを描写した作品であり、当時の読者は違和感無く作品世界に身を投じることが出来た筈だ。私が「金田一耕助」を初めて読んだのは大学時分であるが、矢っ張り違和感はあった。「古い」作品であることが強く印象に残った。昭和は遠くなりにけり、である。
ミステリィも歴史を積み重ねた結果、嘗ての名作たちは「同時代性」を失った訳だ。
さて。本作は昭和ど真ん中の1966年を舞台としている。
素直に描写すれば「古臭い」作品が再生産される訳だが、そこは歴戦の作者、技が効いている。「回顧録」という形式を取り、令和の今から昭和を見つめるのが上手い。時折Tipsめいた「昭和語り」が挿入され、世代ギャップを埋める試みも巧みだ。また、それ自体が読み物として面白く、また伏線として機能する構成も憎い。特異な構成に初めは面食らったが、「上手いなぁ」と感嘆した。天童荒太の非凡さは伝わった。
惜しむらくは「事件」の構造(トリック)まで古めかしいこと。何となく真相が読める。
新本格の勃興以来「どーーん!!」みたいな真相に慣れすぎているため、推理小説の「新しさ」に対する欲求を満たすことが出来なかった。
一方で「動機」の描き方は秀逸の一言。恨み憎しみを超えたレベルに肉薄しているのは、作者の筆力ゆえだろう。
【気に入った点】
●横溝正史とか江戸川乱歩の探偵小説を「今」から楽しむとしたらーーに全振りした構成。小説が上手過ぎて、唸らされた。古さが違和感無く現出する。
●昭和Tipsが段々癖になる。こっち方面の方が得意でしょ、とちょっと苦笑した。
●ラストシーンが好き。探偵物はこうじゃないとね!
【気になった点】
●事件構造の古臭さ。世界観の構築に成功しているには確かだが、謎/真相まで既視感があるのはやり過ぎだ。そこに「驚き」があったら、なかなか凄い作品になったと思うだけに実に惜しい。惜しいが、痛恨でもある。
●構成上やむを得ない部分があるが、説明的な描写が多く、少々目が滑った気もする。まぁ、こういうのは自身の精神状態とかにも左右されるので瑕疵とは言えない。
シリーズ化の意向ありとのこと。そうこなくちゃ!
本作で「型」は出来たと思う。期待を超える作品を待っております。
Posted by ブクログ
こんな作家さんだったっけ?
『青嵐の旅人』の時もそう思ったけれど、
新作を読んだらなおさら・・・
『永遠の仔』のあのヒリヒリするような鋭い雰囲気、
私の場合、あのイメージが強すぎたのかも・・・
同世代なのでわかるけれど、いつまでもとがってばかりでいられないのかな、
(その奥に細やかな人間愛があったとしても)
それが読み終わっての第一の印象。
読んでいて通奏低音のように聞こえるのが
横溝正史の「金田一京助シリーズ」
これは、まさにあの世界だよね~
東京とかのとある村。
その村で凄惨な殺人事件が起こり
探偵と刑事が大活躍。
やがて村の辛い記憶に行き着いて・・・
ほら、金田一さんです!
あとがきによると、作者による、どうやらオマージュのよう。
少し年下の私も夢中になって見ていた金田一シリーズ。
「スケキヨ~」はクラスで流行ったっけw
一方で、今の目から昭和を俯瞰もする。
ときどき、語り手である刑事の視線で解説が入り、
知らなかったことにはほ~っと感心し、
知っていることには膝を打つ。
「あとがき」で明かされる、主人公の探偵
イサニワユキヤという人物。
作者のふるさとへの愛がうかがえ、
そのふるさとに憧れるわたしは、ますますうれしくなる。
どうやらイサニワ探偵はシリーズ化の意向があるよう。
楽しみだ。
Posted by ブクログ
昭和四十一年。終戦に貢献した英雄がいたことで「平和村」と改名されることになった尽忠村に、新人女優の華井乃愛が帰省する。映画の宣伝も兼ねたそのイベントだったが、謎の脅迫状に始まり次々起こる不穏な事件。この村で何が起こっているのか。レトロな雰囲気たっぷりのミステリです。
訳ありな村で起こる殺人、というあらすじだけを取り出してみればおどろおどろしい印象しかありませんが。探偵役の鯨庭がなんともほっこりとした良いキャラで、そのせいかあまり殺伐とした雰囲気は感じません。当時の時代情勢や風俗も事細かに注釈されていて、どっぷりと雰囲気に浸れました。これはシリーズ化するのなら、かなり楽しみです。
とはいえ、事件の真相やその動機はなかなかに重いもので、これは当時の情勢がなければ理解しがたいでしょうね。そしてこのような悲しみが二度と生まれることのないような、そんな世の中になることを切に願います。
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