【感想・ネタバレ】昭和探偵物語平和村殺人事件のレビュー

あらすじ

『永遠の仔』『悼む人』……感動を送り続ける著書の進化、一大エンターテインメント誕生!
ビートルズが日本を訪れてコンサートを開いた一九六六年。昭和四一年。日本の片隅で、或るおぞましい事件が起きた。私にとっては、忘れがたい……というより、いまなお当時の光景といい、匂いといい、感触といい、生々しい記憶で胸が焼かれるような想いがする事件である。加えて、あの悲しみに満ちた出来事には、表向き解決した内容――すなわち、裁判になったり、新聞記事になったりした事実とは、また別の驚くべき真相がある。たとえば被害者の数は、公表された数よりも、はるかに多かった。――「プロローグ」より

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Posted by ブクログ

これは推理小説というより探偵小説と呼ぶのがぴったりくる本だった。
主人公のキャラが際立っており、読むのが楽しかった。あとがきにあったようにシリーズ化してほしいな。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ビートルズが日本を訪れた昭和41年(1996年)、平和村と改名することになった中部地方の寒村“尽忠村”で起きた連続事件。村出身の若手女優「華井乃愛(滝山さおり)」に同行した流しのギター弾きの探偵「鯨庭行也<イサニワユキヤ>」が事件の謎を解く。その裏にはさおりの父親、敗戦の日本のetc.が関わる。 作者が昭和51年(1976年)16歳秋に感銘した映画『犬神家の一族』のような、怪しく残酷でありながら美しく流麗でどこか陽性な雰囲気をイメージして書いたとのこと…なんとなく頷ける。探偵の知人?となる警視庁広報部警部補「国生良夫」が過去を語るようにして書かれているのがワトソンぽい。謎解き感は微妙だけどレトロ感が心地良いかも。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

横溝正史の世界観から、おどろおどろしさを除いた感じの読み応えを感じたのですが、あとがき(謝辞)をよんで妙に納得致しました。なるほど、横溝正史へのリスペクトからくる作品だったのですね。なにを隠そう私も金田一耕助シリーズが大好きで、数年前かなりはまって映画、小説と読み漁った覚えがあります。今後、鯨庭探偵シリーズとして本家並みの因習や見立て殺人とか繰り出していただければ幸いです。背中がぞくっとくるような感覚もお願いします。それと小説の本筋からは若干外れますが時折語られる昭和の時代背景とか興味深く面白かったです。

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

【短評】
不思議と目を惹かれる本というものがある。
「何を読もうか」と本屋を散策する素敵な時間に、何故か目が行く一冊である。
恥ずかしながら、天童荒太は未読だ。「永遠の仔」も「悼む人」も読んだことがない。初見ならば「カタイ」作品を選ぶべきだという天使の声に耳を塞いで、本には「縁」というものがあるんだという悪魔と握手してみた次第である。
結果は、そう悪いものではなかった。

「金田一耕助」リブートといった趣の作品。探偵あり。美女あり。見立て殺人あり。関係者が一堂に介しての推理あり。実に古式ゆかしい探偵小説である。
ちょっと前に読んだ『同志少女よ、敵を撃て』の解説において、小説の「同時代性」について触れられていたが、今作に散りばめられた趣向技巧に触れると「同時代性」を強く意識していることが良く分かった。
「金田一耕助」は当時のリアルを描写した作品であり、当時の読者は違和感無く作品世界に身を投じることが出来た筈だ。私が「金田一耕助」を初めて読んだのは大学時分であるが、矢っ張り違和感はあった。「古い」作品であることが強く印象に残った。昭和は遠くなりにけり、である。
ミステリィも歴史を積み重ねた結果、嘗ての名作たちは「同時代性」を失った訳だ。

さて。本作は昭和ど真ん中の1966年を舞台としている。
素直に描写すれば「古臭い」作品が再生産される訳だが、そこは歴戦の作者、技が効いている。「回顧録」という形式を取り、令和の今から昭和を見つめるのが上手い。時折Tipsめいた「昭和語り」が挿入され、世代ギャップを埋める試みも巧みだ。また、それ自体が読み物として面白く、また伏線として機能する構成も憎い。特異な構成に初めは面食らったが、「上手いなぁ」と感嘆した。天童荒太の非凡さは伝わった。

惜しむらくは「事件」の構造(トリック)まで古めかしいこと。何となく真相が読める。
新本格の勃興以来「どーーん!!」みたいな真相に慣れすぎているため、推理小説の「新しさ」に対する欲求を満たすことが出来なかった。
一方で「動機」の描き方は秀逸の一言。恨み憎しみを超えたレベルに肉薄しているのは、作者の筆力ゆえだろう。

【気に入った点】
●横溝正史とか江戸川乱歩の探偵小説を「今」から楽しむとしたらーーに全振りした構成。小説が上手過ぎて、唸らされた。古さが違和感無く現出する。
●昭和Tipsが段々癖になる。こっち方面の方が得意でしょ、とちょっと苦笑した。
●ラストシーンが好き。探偵物はこうじゃないとね!

【気になった点】
●事件構造の古臭さ。世界観の構築に成功しているには確かだが、謎/真相まで既視感があるのはやり過ぎだ。そこに「驚き」があったら、なかなか凄い作品になったと思うだけに実に惜しい。惜しいが、痛恨でもある。
●構成上やむを得ない部分があるが、説明的な描写が多く、少々目が滑った気もする。まぁ、こういうのは自身の精神状態とかにも左右されるので瑕疵とは言えない。

シリーズ化の意向ありとのこと。そうこなくちゃ!
本作で「型」は出来たと思う。期待を超える作品を待っております。

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2025年10月21日

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横溝正史の世界観を彷彿とさせる物語。閉鎖的、差別的な風土が根強く残る片田舎を舞台に、鯨庭行也の推理が冴え渡る。金田一耕助は頭をクシャクシャ搔くが、鯨庭は耳たぶなのですね。天童荒太先生の《謝辞》も丁寧で温かい。シリーズ化、望む。

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2025年08月21日

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最後まで読むと読まないでは面白さが変わってくる。
不思議な読み物。
何だか懐かしい感じで昭和感を漂わせる、
流石な演出。
素晴らしいとしか言いようがない。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

こんな作家さんだったっけ?
『青嵐の旅人』の時もそう思ったけれど、
新作を読んだらなおさら・・・
『永遠の仔』のあのヒリヒリするような鋭い雰囲気、
私の場合、あのイメージが強すぎたのかも・・・
同世代なのでわかるけれど、いつまでもとがってばかりでいられないのかな、
(その奥に細やかな人間愛があったとしても)
それが読み終わっての第一の印象。

読んでいて通奏低音のように聞こえるのが
横溝正史の「金田一京助シリーズ」
これは、まさにあの世界だよね~

東京とかのとある村。
その村で凄惨な殺人事件が起こり
探偵と刑事が大活躍。
やがて村の辛い記憶に行き着いて・・・

ほら、金田一さんです!

あとがきによると、作者による、どうやらオマージュのよう。
少し年下の私も夢中になって見ていた金田一シリーズ。
「スケキヨ~」はクラスで流行ったっけw

一方で、今の目から昭和を俯瞰もする。
ときどき、語り手である刑事の視線で解説が入り、
知らなかったことにはほ~っと感心し、
知っていることには膝を打つ。

「あとがき」で明かされる、主人公の探偵
イサニワユキヤという人物。
作者のふるさとへの愛がうかがえ、
そのふるさとに憧れるわたしは、ますますうれしくなる。

どうやらイサニワ探偵はシリーズ化の意向があるよう。
楽しみだ。

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2025年07月29日

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ネタバレ

ビートルズが日本を訪れてコンサートを開いた一九六六年。
昭和四一年。
日本の片隅で、或るおぞましい事件が起きた。

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2025年07月26日

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昭和四十一年。終戦に貢献した英雄がいたことで「平和村」と改名されることになった尽忠村に、新人女優の華井乃愛が帰省する。映画の宣伝も兼ねたそのイベントだったが、謎の脅迫状に始まり次々起こる不穏な事件。この村で何が起こっているのか。レトロな雰囲気たっぷりのミステリです。
訳ありな村で起こる殺人、というあらすじだけを取り出してみればおどろおどろしい印象しかありませんが。探偵役の鯨庭がなんともほっこりとした良いキャラで、そのせいかあまり殺伐とした雰囲気は感じません。当時の時代情勢や風俗も事細かに注釈されていて、どっぷりと雰囲気に浸れました。これはシリーズ化するのなら、かなり楽しみです。
とはいえ、事件の真相やその動機はなかなかに重いもので、これは当時の情勢がなければ理解しがたいでしょうね。そしてこのような悲しみが二度と生まれることのないような、そんな世の中になることを切に願います。

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2025年07月14日

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いわゆる横溝的な村ミステリですが、おどろおどろしいというより戦争との結びつきからくる悲劇を描いたいい作品でした。

2957冊
今年185冊目

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天童荒太先生の既刊の他の物語とは少し違う雰囲気にとまどいながらも読み進めるうちに引き込まれ、全く予測ができない展開にドキドキ。
平和村殺人事件は戦争があったから起こってしまった。現代日本人には理解することが難しい戦争に対する考え方…過去に広島の平和記念資料館に行ったことも思い出し、胸が痛くなりました
巻末に筆者あとがきや謝辞があるのは先生方の作品に対する思いに触れることが出来るので嬉しい。
本作も天童先生の謝辞があり、また鯨庭行也の物語を読めそうなことを書かれていたので楽しみに待ってます。

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2025年06月22日

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戦争がまだ地続きだった頃の物語。まだ村という枠組みが生きていた頃の物語。タイトルにある昭和という時代無くしては成立しない物語なのだろう。この設定を生かせる物語でシリーズ化するのかな。

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2025年10月27日

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昭和の時代解説が入るのがいいような悪いような。流しのギター持ちの探偵鯨庭が推理を働かせて事件解決。シリーズ化もあるのかどうか、ただ登場人物にそこまで魅力がないのが残念。

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2025年09月14日

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昭和の解説を挟みながら物語がすすむので、途中まではなかなかテンポ良く読めなかった。
戦後のミステリーはやはりその時代の作品が良すぎて比べてしまう。

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2025年08月29日

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昭和41年、ある田舎の村で起きた事件。それは高度経済成長の中、戦争の影を色濃く帯びた悲しい事件だった。

レトロと謳うだけあって、昭和の匂いを色濃く感じる探偵もの。復員兵、戦争の影、旧態依然とした村など、横溝正史のミステリを彷彿とさせる作りがたまらない。
時折挟まれる昭和のあれこれへの注釈はミステリの本筋とは直接関係ないものの、それがまた昭和クロニクルという感じで楽しい。

主人公の探偵・鯨庭(いさにわ)のキャラもいいし、警視庁の国生警部補の淡々とした語りも心地いい。
「お国のため」という大義のもと、愛する息子を戦地に送り出した母たちが後悔と自責の念に壊れていく姿が哀しい。最後まで読んで再度プロローグを読むと、作者がこの作品に込めた思いが静かに伝わってくる。

鯨庭探偵の物語をこれからも描いてくれそうなので、期待して待っています。

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2025年08月18日

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1966年、ビートルズがコンサートを開いたこの年にこっそりと片隅で起きた事件を流しのギター弾きをしている鯨庭がサクッと解決する。

そのあと19歳の女優・華井乃愛の出身地である尽忠村に同行することになった鯨庭。

その村で殺人が起こり、鯨庭が推理をして解決していくのだが、昭和の村で不可解なことが起こる理由が戦争によってこのようなことに…となるのがなんとも辛い話だった。





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2025年08月15日

Posted by ブクログ

今までの作風とはまったく異なる探偵もの。
戦後の色濃い昭和41年。
日本の片隅にあるとある村で起こった事件。

面白くはあったが後半ちと仕掛けがしつこく感じてしまった。
シリーズ化しそうなので読み慣れてくれば更に楽しめそう。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

身体の中からの慟哭を持って読み終えた「家族狩り」や「永遠の仔」とは全く違った作風のミステリー。横溝正史をリスペクトした作品と謝辞に書いてあったが、違っててちゃんと天童荒太氏の出来上がりになってた。ギターを担いだ鯨庭青年が爽やかで良かった。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天道荒太が探偵小説ってどうよ、って感じながら期待を持って読みました
結論的には普通
ストレスなく読めるのは作者の力量ですが、設定や背景はそうだよねー的なレベルの少し上

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

天童作品は永遠の仔以来大概読んでいるが、今回はこれまでと経路が違った探偵ものだった。
しかも舞台は現在ではなく昭和。
私が生まれるよりも少し前の時代なので、実際に経験はしてないのだが、話には聞いていた部分もあって懐かしい気持ちで読んだ。
流しのギター弾き鯨庭の推理が冴え渡り、事件が解決に導かれる。
続編もありそうなので今後も鯨庭の活躍に期待したい。

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2025年07月04日

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