【感想・ネタバレ】青嵐の旅人 下のレビュー

あらすじ

絶体絶命の親藩。その命運は、
二人のきょうだいが握っていた――

江戸幕府消滅。そして明治へ。
激動の時代を圧倒的スケールで描く
感動の歴史長編

藩士・大原観山の命で新選組の原田左之助を訪ねたヒスイと救吉は、旅の途上で、かつて山中で命を救った坂本龍馬と再会。その後、沖田総司ら新選組の隊士たち、長州の桂小五郎、高杉晋作ら新しい世を作らんと志す傑物たちと出会う。いっぽう、武士としての信念と現実の狭間で揺れる辰之進には、その心を試すように常に暗い"影"がつきまとう。情け容赦ない戦、愛する人の死、そして迎えた、故郷伊予松山最大の窮地......。激動の時代を愚直に生きる三人が見た希望の光とは!?

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Posted by ブクログ

戦いの無くならないこの現実の中で、どう生きますか、どう行動しますか?
本書を読み終わって、まずはそう問われたように思います。

舞台は幕末・1862年の伊予松山藩。
主人公はヒスイ。お遍路宿「さぎのや」で、救吉と姉弟のように育てられた。2人とも戦を嫌い、人の命を守ろうとする。

冒頭、ヒスイが山中で坂本龍馬を助ける場面から物語が始まります。龍馬だけでなく、その後、新選組の沖田総司や近藤勇、土方歳三と出逢い、高杉晋作、桂小五郎とも出逢っていく。都合良すぎる設定かもしれませんが、それらを超えて、十分楽しめ、考えさせられる物語。
 
 「異国の鬼畜らが、この国を領土にしようと攻めてきたら、貴様はどうする。家族が異人になぶり者にされんとするとき、刀を抜かぬか」と、問われたヒスイ。「それでも、わたしは戦はいやです」と言う。

 しかし、救吉に医師見習いとして郷足軽隊の調練に同行せよとの命令が下ったとき、救吉がいずれは真の戦に行くことになると思ったヒスイは男装し、看護人として救吉に同行する。
 そして、「敵味方を問わず命を救う」という自らの信念を貫こうとします。
 それは素晴らしいことではあるけれど、自らを危険にさらすことにもなりかねない。

 理想は大事。だけれども、理想を持つだけではきっと足りなくて、その理想を貫くには覚悟が必要。時には犠牲もかもしれない。

 ヒスイは絶対に戦は反対で、人の命を守りたいと確固たる信念、理想を持っている。だからこそなのだろう、現実に起こっている戦から目を背けずに、自分が何をすべきか選び、行動する。

 ヒスイだけではなく、救吉もまた同じ。坂本龍馬は国家の流れを変革するために、本当は望まないけれど、今は戦って未来を切り拓いて行こうとする。
 ヒスイと救吉、坂本龍馬の在り方は対立するように見える。けれども、どちらも「よりよい未来」、「戦のない平和な日本」を願っている。

 その2つの姿に葛藤を覚えもしました。ヒスイと同じく私も「戦いは絶対だめ」と思っているから。

 「これだ」という回答はありません。と言うより、問われ続けているという感じです。あなたはどう行動しますか?と。

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2025年08月23日

Posted by ブクログ

ヒスイと救吉、戦乱の世に二人の救護者。怒涛の後半は涙無しには読めません。
電車内や職場で読むのはやめときましょう。

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2025年04月18日

Posted by ブクログ

久しぶりに夢中になって読んだ。薩長連合や大政奉還、坂本龍馬の役割など、よくわかっていなかった経緯がすっきりと整理されてありがたかった。歴史上の重要人物と主人公との邂逅は、本当にそうであったかもしれない、そうであって欲しいと思わされるエピソードばかりで楽しかった。作者の作品はなんとなく人の業を見せつけられるイメージがあって読んでこなかったのだが、これを機に他の作品も読んでみたい。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

伊予松山藩から見た幕末の様子、おへんろ宿「さぎのや」の兄弟ヒスイと救吉が清々しく描かれており、救吉の医療に対する心情が心打たれました。そして新選組の原田左之助の登場が物語を引き立てていました。あとヒスイの「死に恐れぬ覚悟が読める。」この言葉からしてヒスイのすごい所が強調されていますね。幕末動乱の伊予松山藩から見た様子が様子がよく描かれています。よむ手が止まらず、歴史好き特に幕末好きにはたまらない物語だと思います。

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2024年08月26日

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江戸末期の混乱した情勢に巻き込まれていくヒスイと救吉。長州や薩摩、土佐だけではなく親藩だった松山藩の側からの視点で物語が進んでいくので、とても興味深く最後まで一気読みでした。歴史が苦手な人にもおすすめです。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天童荒太の長編歴史小説。新聞連載小説なんだね。
その所為か、天童さんにしては凄くストレートに判りやすい。歴史上の人物と絡ませて話を進めていくのも上手い。
最初っから坂本龍馬が出てくるし、次から次へと歴史上の維新の志士が出てくる。ちょっとあざといとは思うけど。
全く維新の志士と絡まないのもツマラナイけど、これだけ絡むと却って嘘っぽい。だって長州藩オールスター揃い踏みだよね。しかもいい人ばっかり。山縣有朋みたいに暗いヤツは出て来ないし。でも面白かったよ。「竜馬が行く」を読んだ人は尚更。

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2025年07月25日

Posted by ブクログ

天童荒太さん初の時代小説。

「悼む人」や「永遠の仔」みたいな重いテーマの印象が強い作家さんだったけど、これは終始爽やかさがあって好きでした。
この爽やかさはヒスイや救吉、辰之進など主要人物たちの人物設定によるのかな。

幕末の伊予松山藩の遍路宿で育ったヒスイと救吉が、坂本龍馬や緒方洪庵、新選組、高杉晋作・桂小五郎などの有名人たちと関わって、動乱を駆け抜けて行くお話。
幕末の有名どころと知り合いになりまくっていくあたりは、いかにも物語だなぁってかんじなんだけど、でも有名キャラ出ないと楽しくないしね。

ブラックキャラの鷹林も結構好きでした。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

下巻は歴史の流れからも戦の場面が多く、中弛みしてしまうのではと危惧しながら読み進めたが、緩急の付け方が絶妙で、長州や伊予松山藩の時節の描写に舌をまきながら改めて苦手として目をつぶってきた歴史を鑑みられたのは自分でも驚きだった。坂本龍馬は相変わらずかっこいいし、鷹林もヒールとして彼抜きにはいられない。登場人物の巧みな絡みで最後まで一気読みだった。天童荒太さんの時代小説は最高❗️

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2025年03月07日

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下巻は池田屋事件からスタート。庶民目線の描写が、反戦を強く訴える。相容れぬ鷹林と辰之進の最期の決戦も止む無き。ヒスイや救吉が訴え続けた『戦をしない、させない』願いを守っていかねばと強く思う。

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2024年12月14日

Posted by ブクログ

天童作品には珍しい時代もの。
歴史に疎い自分は読み進めるのに時間がかかったが、敵味方分け隔てなく人を助けたいと願う若者の心意気が素晴らしいと思った。
ヒスイと救吉を取り巻く人々はみな優しく温かい。
読み応えのある物語だった。

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2024年11月30日

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幕末、伊予松山藩が親藩がゆえに長州と戦う様を医療で奉仕する若者から描く。

すごく良かった。幕末を描く小説は色々あるけれど、ベストの一つ。幕末のスターが登場するのも良かった。

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2024年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊予松山藩を舞台にした幕末時代小説。

下巻は池田屋事件から伊予松山藩が無くなるまで。
架空の主人公たちが活躍しすぎるのはお約束ですが、道後温泉ということで史実的にも多くの幕末の著名人が訪れているので歴史的にもありという感じです。
特に下巻は実際の事件や戦争に主人公たちが巻き込まれていきながらもきれいごとともいえる夢を追い続けるのが爽やかです。
ラストは夢を追い続けていく主人公たちのハッピーエンドという感じでした。

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2025年11月01日

Posted by ブクログ

1862年から1868年の正に幕末の伊予松山藩を舞台に、坂本龍馬はじめ歴史上の人物達に創作の登場人物であるヒスイと救吉が絡んでの物語。
人々の命も、土地も、平穏な暮らしも奪う戦を憎み、竜馬と交わした約束である「戦をしない」、避けるべく奮闘するヒスイと救吉。
流石にうまく史実に絡めて物語を紡いでいくが、逆に少し都合が良すぎるというか、2人の働きが大き過ぎる感がどうしても拭えず、今一つ入り込めず残念。
ヒスイに対する辰之進と救吉、怜に対する辰之進の想いも、匂わせながらも進展がなく、こちらも残念。

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2025年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊予松山藩から見た幕末の風景状況が新鮮だった。幕府側、長州、薩摩藩側からの歴史とはまた一味違った視点。負け戦とわかっていても親藩のため抜け出せない悲劇。
戦のない世を望むヒスイと救吉二人のナイチンゲールのような姿勢が尊い。

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2025年01月21日

Posted by ブクログ

幕末に活躍した偉人たちが、それぞれどの藩でどんな事情や理想を掲げて動いていたのか、ヒスイと救吉の旅を通じて学ぶことができる。戦わない、殺さない、の理想を実現するには、何をすればいいのか、どう動けばもっともお互いの被害を最小限にできるのか、どの時代でも追求していくべき永遠の課題だと思う。

お題はいいのだと思うが、話のテンポがどうも自分の性に合わず、すっきりしないことが多かった。この会話はいつまで続くのか、この場面をここまで長く語る必要があるのか。この本、同じ場面でも単に改行ではなく一行空けて話が続くことが多く、「あれ、中途半端に終わって別の話に行くの?」と思ったら「あ、続くのか」ということが続き、もういい頃合いと思ったら「あれ、まだ続くの?」ということが、何度もあった。あくまで私の感想だったが、どうもこの書き方に慣れないため、すっきり読めなかった。

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2025年01月19日

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