天童荒太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
天童荒太さんの作品、初めて読みました。
なんか、読み始めからこの本スゴいって思いながら読み進め、最後まで引き込まれっぱなしでした。
思わず顔を顰めてしまう様な殺戮のばめんが多々あったけど、深く考えさせられる事もいっぱいありました。
自分の孤独に気づかない、気づいていても抗う、
孤独に悩む、受け入れる…
どうするかなんて自由なのに形がない故に悩んで、傷ついて抱えきれなくなって、人を傷つけて…
結局は自分のエゴになってしまうのかもしれないけど、それでも1つでいいから大切な人と繋がる何かを感じて自分の孤独に向き合っていたいです。
天童荒太さんのほかの作品も読んでみよっと。 -
Posted by ブクログ
家族狩りシリーズ最終巻。
他の巻の2倍の厚さに衝撃を受けたが、読み始めたら怒涛の連続で一気に読んだ。
この話、誰に感情移入するかでまったく別の感想になる。
一方的に悪いのはどちらと断じることがしにくいなぁ。
大野夫妻は悪かと聞かれても、彼らに(電話相談で)救われた人にとっては善だろう。
そして、何も知らずに実森少年の歪んだ怒りの解消の標的にされていた巣藤は、実森一家が「愛の儀式」で殺されたからこそ生きている。
ただ見方を変えると、自分の子供を手にかけなければと思うほど追い詰めた、息子を苦しめた奴らと、それを野放しにしたうえに逆ギレする厚顔な親達に対する間接的な復讐ではなかったのか?とも思える。
馬見原も真弓にとっては、よい父親ではなかったが、研治にとってはよい父親だったのだろう。
巣藤のところは…コメントに困る。自分達の子供に諦念と侮蔑の目でしかみられないって…。
衣食足りて礼節を知るじゃないけど、
人間は自尊心を持たねば中々幸せを感じることができないものなんだと思う。
勿論人によって価値観が違うから、大事にしている心の在り方は違うだろうけど。研治の場合それは間違いなく母と自分に酷いことをした男を「許す」事ではなく、「やっつけた」という自信の回復だったのだろう。
巣藤と氷崎がいい感じにまとまって(現在巣藤は無職なので祖父が大反対してるけど(笑))
芳沢亜衣も家庭は崩壊してしまったが、自分の足で歩き始めた。
馬見原家も代償は大きかったが、1つの決着が着いた。
綾女親子も新生活が上手く行き、元同僚にも慕われて、元夫は事故死で安心。
全員オールハッピー!という感じではなく、どこかに傷を抱えつつ、未来に進んでいる。
玲子の事が心残りだが、これが今後の氷崎達の課題だろう。(おそらくタイトルにもかかってる)
父親以外に心の拠り所が見つかるように見守る。
でも深入りしすぎてはいけない。
それらのジレンマを抱えつつ情熱をもって子供達と関わる彼らの道を優しい光が照らしますように。 -
Posted by ブクログ
とうとうシリーズ4作目。
ここに来て淑子じゃなく游子だと知り愕然とする。
動物殺しと一家心中事件の全貌が段々明らかになってきたが、各々の問題は更に深刻な状態に。
変化を遂げたのは巣藤。彼女も仕事も失ったけど、1番好転した。人の手を借りながら土を作り、人の手を借りながら自分の家を整える。
自分の手で何かを生み出すことで、自分の中の無力感に抵抗する術を覚えた。
芳沢亜衣とも向き合おうとしたけど、ちょっと難易度が高すぎたね…。彼女がどこに電話していたのか想像が合っていたら次の犠牲者は…
亜衣自身も過食と嘔吐を繰り返し、学校でも嫌がらせを受ける。自分は人形で何にも心を動かさない…と思い込まないと人と話すこともできない。娘の奇行に、両親は現実を直視できないまま悪化していく。
馬見原は…結局そっちを選んだか…。緊急性が高いと判断したんだろうけど、結局それが馬見原の家族への在り方なんだね。
家を守るのは妻の役目で、仕事の事は家に持ち込まない。家を用意して維持する経済力と社会に貢献する仕事で立派にやれてると思ったら全く上手くいかなかった。
息子を亡くし、娘は自分に反発し、妻は病気。
自分の理想と違う形になった家を支える胆力と自分と向き合う勇気が馬見原にはもう無いということなんだろうなぁ。
もし、綾女研治と佐和子真弓と同席したら、仕事を理由にその場から逃げるんだろうなぁ。。。
研治の行動に、ケートクが前回言ってた事を思い出す。全員が戦う訳じゃない。逃げるからみじめになる、だからその鬱憤を自分より立場が弱いもので発散する。
研治もそうなんだろうか…。
游子は駒田親子に心を痛める。駒田自身も上手くいかないのは女房のせいだ、捕まってからは何もかも游子のせいだと、責任転換するばかりの弱い人間だ。
ただ、游子が父親や祖父に対するわだかまりや直前のレイプ事件の鬱憤を、無意識に男性に向けて放ってしまっていて、須藤や駒田にああいう態度を取ったのかな、とも思う。
でも、子供の命を最優先にする信念は変わらず、そういった態度を取れる彼女を尊敬する。 -
Posted by ブクログ
「永遠の仔」に描かれた主人公たちの運命が痛ましく、強烈であり、天童荒太が書いたものを何年も手に取ることを避けていました。
本書の主人公たちも過酷な運命を負うものなのですが、真摯な姿に共感に似た思いを感じ、「永遠の仔」の時のように文字を追う度に心が軋むようなことはありませんでした。
忘れて生きてしまう、大切なこと。気に留めず過ごしても、生活を回して行くには大過のないこと。でも、すべての人にとって当たり前な、生きること、死ぬこと、愛すこと、愛されることに心を寄せ大事に思うことで、無駄な力みがなくなり、背筋伸びやかに生きられるのでは。本書を読みそう思うことができました。