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ピエロ。浚介は、生徒たちからそう呼ばれていたのだという。ふたつの事件を経て、虚無に閉ざされていた彼の心に変化が訪れていた。ピエロ。馬見原は今そう見えるだろう。冬島母子を全身全霊で守っているにもかかわらず、妻や娘との関係は歪んだままだから。また一つ家族が失われ、哀しみの残響が世界を満たす。愛という言葉の持つさまざまな貌と、かすかに見える希望を描く、第三部。
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Posted by ブクログ
憎しみの連鎖は悲しいけれど、優しさの連鎖は美しいと思いました。 息子の死を受け入れることが出来なかった母。 老人を助けるために命を助けた最愛の息子。 ある日、見知らぬ青年に優しくされて、理由を聞いたところ、自分も見知らぬ人に親切にしてもらったことがあるからだと言う。 見知らぬ人だか...続きを読むらその人へは恩返しできないけれど、誰かに伝わる優しさの連鎖。 そのことで、息子が老人を助けたことが今親切にしてもらったことにつながったのではないか。 そう感じて、心が軽くなった母の想いに感動しました。。。 第4部『巡礼者たち』に続く。。。
年末に読み終えた!全5巻の3巻目! こんなに丁寧に細かく書かれている小説は久しぶりだ。 胸に突き刺さる部分が多すぎる。何度本を閉じて考えたか・・・ ただのミステリと決めてかかっていた1、2巻のイメージがここで完全に改めさせられた。もう事件なんてなくても成立しそうな小説だ。 亜衣のくだりはショッキング...続きを読むだったなぁ・・・読み進むのが辛かった。
この作品が書かれたのは阪神淡路大震災の年だったらしい。でも親子・家族の問題は今でも存在しています。 人と人との絆が見直された今年の終わりに、この本を読むと心がちくちくと痛みました。 愛情を信じていた者との関係に苦悩する登場人物それぞれの立場に共感、同情してしまいます。 続きの第4章を早く読みたいです...続きを読む。
それぞれの苦しみがひしひしと伝わってきます。人の苦しみに何かできる事はあるのか。どれだけ尽くしても届かなければ救われない。だからといって間違いであると断じることはできるのか。山賀葉子の言うことは正しくもありだけど傲慢に感じた。最終巻でこの印象は変わるのか。それぞれの苦しみは昇華できるのか。辛くでもや...続きを読むめられない第三巻でした
5部作の3冊目。 このあたりに来ると、もう止まらなくなる。 どこに行くのも文庫本を手放せず、少しでも時間があると、先を読みたくなる。 それはエンタテイメントに対する楽しみ方とは違い、読み進めるうちに「どうしたら解決の糸口が見つかるのだろうか」という気持にさせられるからだ。 家庭の問題はそれぞれだとは...続きを読むわかっていても、どの事例も自分に当てはまるような気もしてくる。 もし、この子が自分だったら… もし、この親が自分だったら… もし、…
3冊目。游子も、寝たきりの父の介護に疲れて、登場人物それぞれに悩みを抱えていて、なんだか重い話だなあと思いつつも読み進んでしまう。
主要な登場人物たちはみな、「家族」という見えないものに囚われているように感じた。 親が子を虐待する。そして虐待された子は大人になって今度は虐待する側になる。 負の連鎖はいったいどこで止まるのだろう。 愛されて育った子どもは虐待には走らない…。 これも都市伝説のような気がする。 だって、虐待するもしな...続きを読むいも個人の問題だと思うから。 虐待されて育った人間すべてが大人になって虐待をするわけじゃないだろう。 それとも、個人ではどうにもならない見えない何かがそこにはあるのだろうか? 馬見原や綾女にとって油井は絶対的な悪だろう。 立ち直るためには家族が必要だという言い分も、結局は自分の都合だけで相手への思いやりはない。 傷跡が残るほどの暴力を振るわれた研司が、その恐怖を簡単に忘れるとは思えない。 だが、馬見原自身も真弓にとっては悪でしかない。 厳格に接し自分の思い通りに育てようとした長男は事故死した。 息子の死から逃れるように家庭を顧みず、娘は非行に走り妻は心を病んだ。 そしていまも、そのことに向きあう勇気が馬見原にはない。 もっと単純に「愛しい」という感情を表に出せたら。 どうにもならなくなってからでは遅すぎる。 事件に遭遇したことで巣藤の中で変化が起きたことが、唯一よかったと思えた場面だった。 大人になってから自分を変えることは難しい。 けれどきっかけさえあれば、そして変わりたいと強く思う気持ちさえあれば、きっと人は変われるのだと思う。 登場人物は出揃った感がある。 第4部ではどう物語が展開していくのか。 楽しみではあるが怖い気もする。
じわじわと真相に迫っていってる感はあり。でもまだはっきりとは見えてこない。今回はラストの殺人シーンもなく、更なる事件は次の巻へ持ち越しでしょうか。まだひとつふたつ事件が起こって、そこからクライマックスへ、ってところかな。
登場人物が魅力的すぎるぞ!!浚介の変容がすごくありありとしていて、僅かな光明と諦念にまみれている感じが生々しい。今の所、主人公は彼です。
浚介は、かつての教え子と再会し、自分がピエロと呼ばれていたことを知る。事件と向き合うことから逃げていた彼だったが、変化が訪れる。 馬見原は、綾女と研司を守ろうとしているが、肝心の自分の家族とは壁があった。 だんだんと核心に触れていく…
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