天童荒太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
静人という青年がただひたすら亡くなった人を悼み旅をする。静人に出会い戸惑いと疑問を感じながらもいつしか惹かれていく週刊誌記者と夫を殺した女性、静人の母親の視点を通して物語が進む。
見ず知らずの亡くなった場所へ行き、周辺でその人のことを聞いてただ悼む。それにどんな意味があるのか、何の為にそんなことをするのか周りから批判や疑問を投げかけられる。私も同様に思ったし、読んだ後もその疑問を拭えない。
当たり前だが、死の描写が多くニュースを見ているようで気分が重くなった。
ただ静人以外登場人物が魅力的なのでサクサク入り込んで読めた。主人公にもかかわらず静人だけどんな人間かよくわからない。
わざとそう描 -
Posted by ブクログ
心に傷を負った少年少女が、仲間とともに傷つけられた場所に包帯を巻くことで、傷を癒す「包帯クラブ」の物語です。
主人公で、ワラというあだ名の高校生・笑美子が、病院でディノと名乗る少年に出会うところから物語がはじまります。病院の屋上のベンチに包帯を巻いて、「これでええ、血が止まった」というディノのことばによって、ワラはとつぜん風景が変わったように感じます。
ワラは親友のタンシオこと丹沢志緒美や、彼女の知り合いのギノこと柳元紳一らと「包帯クラブ」をつくり、ディノと名乗った少年・井出野辰耶や、進路の違いが原因で仲たがいしてしまった中学時代の親友のリスキとテンポに、「包帯クラブ」の輪を広げていこうと -
Posted by ブクログ
やっと折り返し…
一家心中も、何だか他殺の線もありそうで、動物殺しと無関係なのか、どれがどの事件と関わりがあるのかまだまだわからない…。
淑子達、児童相談所は、電話相談をしている山賀に、行政や社会という解決策のない問題の根源かのように捌け口にされ、さらに玲子の親の駒田も現れ、無力感にうちひしがれる。
さらに70を越えた祖父が部屋で女性とセックスしているから注意してくれと大家に頼まれたり、すっかり変わった優しいジージのイメージが崩れる。少なくとも自分の親や祖父母には性的な事から卒業していてほしい、しているはずだと思い込むことで、問題を先送りにしているのではないか…と理性はわかっていても、感情的 -
Posted by ブクログ
さらに鬱になる展開に…。
過去の男と対面する淑子。妻が亡くなって淑子にすがろうとした昔の男。その隣にいる子供に優しくママの代わりは誰も出来ない、と再婚の可能性を否定する。自分(親)の幸せと子供の幸せを秤にかけるようだけど、淑子は子供の幸せ一択。
その高潔さと潔癖は何から産まれたんだろう。
と思ったら、バイト先の子から相談されて、その後に自殺未遂をされたから、か。
自分の無力感と向き合い、心理学を専門的に学ぶという克服方法を選んでも、解決とは何かを定義できない家族問題と関わる。
ケースによって達成感と挫折感を味わう両極端なお仕事。頭が下がる。
自分の言いなりだった妻の自立に戸惑い、出所して妻 -
Posted by ブクログ
もっとゆっくりと終焉を迎えて欲しかったと感じた。家族愛がテーマなら、それは長年の結晶であるはずだから、物語だって性急であって欲しくはなかった。なし崩し的に問題が解決しなくてもよかったなあとも思うし、一つずつ、じっくり解けていけばいい問題たちが、まるでマジックのように一本の線になってしまうのは、ちょっとエンタメ色が強すぎる。でも逆を返せば、もっとこの物語の中にいたかったってことなんだと思う。それだけ、いつの間にかこの作品に強く惹かれていたんだろう。これを一つの旅だとすれば、この旅が終わった今、旅をする前とは違う世界を自分は見ているのだろうか。それもきっと、今答えなければいけない類の問いではないの