天童荒太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ馬見原がずっと追っている、子どもが両親を殺して自殺するという複数の事件。
彼はそれを、家族以外の他者がそう装った連続殺人事件ではないかと疑っている。
しかし、四部を読み終わった時点でも、犯人らしいものの姿は見えない。
いや一人、実行可能な人物(複数の可能性も?)が出ては来たのだが…。
全くの善人かと思いきや、相手がいない時の見下し方がえげつなくて、ちょっと引いたわ。
馬見原が部下に調査させている、小動物を殺して他人の庭先に放り込むという、これまた連続事件も、容疑者が浮かび上がってこない。
油井に凌辱される綾女。
佐和子を置いて綾女のもとに走る馬見原。
おいていかれた佐和子の精神状態。
学校をやめさせられて心が解放されつつある浚介。
必死で登校したのにクラスメートから距離を置かれて、再び家に籠る亜衣のことが気になってしょうがない。
児童養護施設から玲子を連れ出し逃走する駒田。
駒田がここまで頑なになったのは、最初の自分の態度が原因と自分を責める游子。
そんな游子に駒田は…。
ここまで書いてきて、やはり主犯はあの人物だろうと思う。
直接手を下したのではないかもしれないが、唆す、または誘導することは可能なはず。
理由は、多分救済。
だとしたら歪んでいる。
最終巻、早く読まねば。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主要な人物たちの状況に大きな変化はない。
ただ、游子は児童福祉の仕事に行き詰まり、両親も彼女の大きな負担となっている。
そしてさらに近所に住む祖父までが…?
馬見原はいったい何をしているのか。
家族に対しても、職場に対しても、自分の理屈だけをごり押ししているだけのように見える。
そして、目こぼしをする条件で暴力団から金をまきあげる。
多分彼の中では、自分のために使うわけではなく、綾女と研二を守るためのお金だと整理されているのだろうけれど、バレたときに家族が負うショックについては、まったっく考慮していない。
昔は腕利きの刑事だったのかもしれないけれど、視野が狭くて独断的で、今となっては敏腕とは思えない。
浚介も、彼とは無関係に次々身近で起きる事件のせいで、学校での居場所が失われかけている。
しかしその反面、彼だけは、少しだけ世の中に対する自分の無力を言い訳に無関心を貫いてきたことが、間違っていたのではないかと思いはじめる。
成り行きとはいえ、テレビカメラの前で学校の責任を容認するような発言をしたことで、自宅謹慎を命じられ、彼女からは別れを切り出され、四面楚歌かと思われたとき、意外な救いが彼の前に現れる。
彼はもう、大丈夫じゃないかなあ。
それを言うなら游子も、祖父の家に行ったことが、何かの救いになるといいのだが。
亜衣が自傷行為から家族への暴力へと移行しそうで心配。
叫びだしたいくらいの鬱屈を抱えながら、まだ言葉にできない。
両親に面と向かって、こういうことが嫌だったとか、傷ついたとちゃんと言えればいいのだけれど。
親の立場としてはそれは随分ときついけれど、子どもが親を好きになれなくてもしょうがないのだと、誰かが亜衣に伝えてほしい。
”受け身であることに慣れた世代は、家族からも、何かを受け取ること、愛や幸福をサービスされることを求めてしまう……。子どもが、夜泣きしたり、ウンチしたり、部屋を汚したりして、自分がサービスしなければならなくなると、つい腹が立つ。しつけと称し、虐待に走るケースも出るでしょう。”
うーん。
言わんとすることはわかるけど、世代でくくるのは乱暴すぎる。
今も昔も、そうする人はいるし、そうしない人もいるのだから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物の多くは、第一部からほとんど進展がない。
ただ、高校の美術教師をしている浚介は、第一部でほとんど接点のなかった教え子に冤罪を着せられ、殺人事件の発見者となったあと、酒に酔って家に帰る途中若者たちに暴行を加えられ、心に大きな傷を負うことになる。
高校教師が若者集団恐怖症というのはもちろん仕事に支障をきたすだろうし、通勤電車に乗るのも怖いとなると、これは相当なトラウマといえる。
私は刑事の馬見原の、家族に対する不誠実な態度が好きになれないのだけだけれど、あとがきで作者が、幼い頃宮崎県の馬見原という地名に救われたと書いていたので、どこかで家族を救うことになるのだろうか。
自分の都合のいい家族の姿を押し付けた結果、妻は心を病み、自慢の息子は自殺ともとれるような事故で亡くなり、娘は家を出て馬見原との縁を切った。
病人である妻を放り出すことはできない、と思っているのだろうけれど、ここまでの段階では放り出した方がお互いによいと思う。
今のままではだれも幸せではない。
そして、最後にまた陰惨な事件の描写。
こんなに、こんなに、閉塞感で窒息しそうな時代だったろうか。
それとも私が感じていないだけで、それはいまも続いていることなのだろうか。 -
Posted by ブクログ
むちゃくちゃエロい小説だった。どM心に刺さりまくりw ノンケ臭がいいっぱいで、亜黎も全然タイプじゃないんだけど、シチュエーションに興奮しちゃいましたw
。。。って、そんなことはどうでもいいですがw 「痛み」について、さまざまな角度から分析されていて興味深かったなあ。無痛症患者の体験から、生物として痛みがどのように防衛機能となっているのか。整形外科通いの高齢者の肉体的な「痛み」、鬱やPTSDのような精神的な「痛み」、失恋の「痛み」など考えさせられる。
肉体で感じるのではなく脳で痛みを感じているのだと思える治療法など、面白かったです。もう一度読んだらもっと気がつく点も出てくるんだろうなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作、包帯クラブから16年目の本作だそうです。
クラブのメンバーも前作と同じもしくは追加メンバーもいますが、すべて忘れています。
その彼らも大人になって、社会人になって、医療現場だったり、報道カメラマンだったり、外交的仕事についたり、国際的に動いていて、包帯クラブもバンテイジ・クラブとして、その活動は世界的なものになっています。
痛みや悲しみや辛さは世界共通どこにでもあって、彼らの活動はとどまることがないのです。
もしこの作品が映像化されるとしたら、BGMはスピッツかなと思いましたが、やっぱりあいみょんだなと、頭の中であいみょんを流しながら読み終えました。 -
Posted by ブクログ
傷そのものに包帯を巻くのではなく、傷ついた場所に包帯を巻くという小さな行動から始まった「包帯クラブ」。
その活動は、いつの間にか反響を呼んだが、理解できないことや反発があった事により、自粛させられた。
その後、六人の高校生は、包帯=「バンド」という意味合いから、音楽の「バンド」を始めるようになった。
そして、成人した彼らは、世界の紛争の現場へと活躍を拡げていく。
前作が発刊されたのは、2006年。あれから16年なので、読んだ時の記憶は曖昧でしたが、雰囲気は蘇ってきました。
映画化もされていて、ちなみにそのキャストは、
ディノ:柳楽優弥
ワラ:石原さとみ
ギモ:田中圭
タンシオ:貫地谷しほり
テンポ:関めぐみ
リスキ:佐藤千亜妃
です。
小さな活動から、まさかワールドワイドに発展していたとは驚きでした。
序章では、成人した「ワラ」の物語が描かれています。国際医療団の看護師になった「ワラ」は、紛争地にて傷ついた人達を助けています。そこで、フォトジャーナリストとして活躍する「ディノ」が撃たれたことを知ります。
過去を振り返るかのように高校時代の模様を描きながら、同時進行で「今」も描かれています。
高校時代の描写は青春小説でした。こちらは「ギモ」の視点で進行していきます。包帯を巻く活動は自粛したものの、バンド活動ではその経験が活かされています。
訴えたいことを歌詞にしたり、包帯を使ったりと「包帯クラブ」再始動のような活動に、読んでいて心が躍りました。
その中で垣間見る、人々との交流や困難な状況にどう前向きに捉えていくのか。
良いなぁ、青春!とか思ってしまいました。前向きに頑張っている高校生達に自分もなんだか前向きな気持ちにさせられました。
特に困難を乗り越えての演奏シーンは読み応えがありました。
一方で、成人した物語では世界の紛争が背景になっています。ギモは看護師、ディノはフォトジャーナリスト、その他のメンバーも世界の現場で活躍されています。
青春時代とはうって変わり、こちらはシリアスさが勝っていました。まさか、あの高校生達がこうも成長するとは・・。
みんな頑張っていて、それぞれが成長し「人」のために頑張っている姿に勇気を与えられました。
また、戦争が与える影響など世界情勢も絡んでいて、色々と深く考えさせられました。
「包帯クラブ」で培ったものが、世界にまで発展している光景に「継続は力なり」という言葉が浮かび上がってきました。
傷ついた場所に包帯を巻く。それだけの行動なのに世界の人達にまで影響を与えていることに改めて感動してしまいました。