あらすじ
浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている――。悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。
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Posted by ブクログ
典型的ではないとはいえ、犯人探しの側面とかも鑑みると、まあミステリの範疇でしょうか。でも、奇想天外なトリックがあったり、まるで意外な犯人だったりってこともなく、そういう意味では、虐待を扱った純文学?って見かたもありでしょうか。苦しみながらも、各人なりの生き方の活路を見出すクライマックスで、最後は温かかったです。『永遠の仔』には譲るけど、これも良い出来。
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問題のある家庭が次々に現れ、これでもかと問題点を
突きつけられる。どの家族も崩壊寸前だったり、もう既に崩壊していたりするのだけど、その人たちが特別おかしい訳ではない。一歩間違えれば誰でもこうなるのかもしれない・・・そういう恐怖を感じて、なんともやりきれない・・・・・
愛情の受け止め方や、十分と感じる量なんかも人それぞれ。何を愛情と感じ、何を愛情不足と感じるのかも人それぞれ。本当に難しいですね。
でも子育てって、こんなにも辛く苦しい事ばかりじゃない。単純に子供を「可愛い」と思える気持ちを大事にしていこう。そんな単純な事じゃないけど、でも基本はそこだと思いたい。
感動した!っていうのともちょっと違う、でも確実に読んで良かったと思える作品でした。
第5部のタイトルが「まだ遠い光」。このタイトル通り、本当にまだ遠いんだけど、遠くに光は見えてるんだっていうラストがとても良かったです。
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読み終えて、長い旅を終えたような気持ちになりました。
不器用な生き方しか出来なかった人たちが、自分と向き合うことで、道が開け、遠くにゆっくり光が見えてくる・・・。
最初から、上手に生きられる人なんかいないのかもしれません。
上手に生きられないからこそ、人との絆が大事だと感じさせてくれる作品です。
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問題児を抱えている家庭で、無理心中と思われる事件が発生、別の家でも再発し、警官、教師、子供ケアの専門家などの登場人物が、家族を失った人、家族崩壊などの問題を通し家族愛を描く。
著者の家族、社会に対するメッセージを強く感じ、考えさせられる。普通の家族だと思っていても、本当にそうなのか?普通の家族という関係を維持することの大変さ。
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久しぶりに読み終わりたくない気持ちに。白夜行以来かも。次々に投げかけられる問題に、親として娘として妻として考えながら五部作あっという間に読んだ。哀しく辛い話だけど、読んで良かった。
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家族狩りシリーズも完結。家族問題を扱った小説なんだけど、サスペンスものとしての側面もあって重厚な作品だったなあというのが率直な感想。長すぎたような気もするが、3巻くらいまでサスペンス要素を感じなかったので、殺人事件なの?という意外な展開になった驚きは良かった。
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第三部をすっ飛ばしましたが何とか読み終わりました。ひとまず第五部はいろいろと考えさせられるところもあったりして面白かったです☆…ただ、ちょっと5冊は長過ぎるかなあ^^;。
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家族狩りシリーズ最終巻。
他の巻の2倍の厚さに衝撃を受けたが、読み始めたら怒涛の連続で一気に読んだ。
この話、誰に感情移入するかでまったく別の感想になる。
一方的に悪いのはどちらと断じることがしにくいなぁ。
大野夫妻は悪かと聞かれても、彼らに(電話相談で)救われた人にとっては善だろう。
そして、何も知らずに実森少年の歪んだ怒りの解消の標的にされていた巣藤は、実森一家が「愛の儀式」で殺されたからこそ生きている。
ただ見方を変えると、自分の子供を手にかけなければと思うほど追い詰めた、息子を苦しめた奴らと、それを野放しにしたうえに逆ギレする厚顔な親達に対する間接的な復讐ではなかったのか?とも思える。
馬見原も真弓にとっては、よい父親ではなかったが、研治にとってはよい父親だったのだろう。
巣藤のところは…コメントに困る。自分達の子供に諦念と侮蔑の目でしかみられないって…。
衣食足りて礼節を知るじゃないけど、
人間は自尊心を持たねば中々幸せを感じることができないものなんだと思う。
勿論人によって価値観が違うから、大事にしている心の在り方は違うだろうけど。研治の場合それは間違いなく母と自分に酷いことをした男を「許す」事ではなく、「やっつけた」という自信の回復だったのだろう。
巣藤と氷崎がいい感じにまとまって(現在巣藤は無職なので祖父が大反対してるけど(笑))
芳沢亜衣も家庭は崩壊してしまったが、自分の足で歩き始めた。
馬見原家も代償は大きかったが、1つの決着が着いた。
綾女親子も新生活が上手く行き、元同僚にも慕われて、元夫は事故死で安心。
全員オールハッピー!という感じではなく、どこかに傷を抱えつつ、未来に進んでいる。
玲子の事が心残りだが、これが今後の氷崎達の課題だろう。(おそらくタイトルにもかかってる)
父親以外に心の拠り所が見つかるように見守る。
でも深入りしすぎてはいけない。
それらのジレンマを抱えつつ情熱をもって子供達と関わる彼らの道を優しい光が照らしますように。
Posted by ブクログ
評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている―。悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。
Posted by ブクログ
「家族」というものへの思い。
それはきっとひとりひとり違っていて当たり前なのだろう。
現実としての家族をしっかりと見据えて生きていくか。
それとも、幻想の中にある家族を追い求めて生きていくか。
答えはそれぞれの中にあるようで、実はどこにもないかもしれない。
親になりたくて親になる人ばかりではない。
親を選んで子どもになったわけではない。
もしも運命というものが本当にあるのなら、きっと親子になったことは運命なのだろう。
登場人物たちはみな一つの結末を迎える。
その結末を幸せだと受け止めるか、不幸だと嘆くか。
きっとそれも人それぞれだ。
生きていくことの意味。
家族である意味。
そして、ひとりであることの意味。
正解はきっとない。
生きていく中で、自分にとって一番正解だと思うものを掴むしかないのだろう。
ひとつだけ。
どうしても山賀たちの行動が理解できなかった。
どんなに不幸に見えても他人にはわからないことだってあるはずだ。
死の直前まで追い詰めて、命を奪って、そこに何が残ったというのだろう。
生きていてこそ、愛を感じられるのではないのか?
山賀たちは自分たちの失敗を受け止めきれずに、他へ責任を転嫁していただけのような気がする。
不満や悩みを受け止めてくれる場所は必要だろう。
でも、踏み込んではいけない見えないラインが絶対にあるはずだ。
社会問題として捉えると難しすぎて答えなんてどこにもない。
もっと小さな単位。自分の家族…自分の親や兄弟…そこから目を逸らさずに生きていくこと。
それくらいしか出来ることって思い浮かばない。
もっとも、日常生活を普通に送っている間はなかなか大切さに気づかないのも仕方がないと思っているが。
Posted by ブクログ
駒田に刺され、怪我を負った遊子。遊子からのメールを見て駆けつけた浚介のおかげで、一命を取り留める。そんな2人は、次第に距離を縮め、お互いを求めるようになる。
山賀と大野は、静かにでも確実に儀式を進めていた。
また、綾女と研司のことで、揉めてきた油井と馬見原。2人の決着は着くのか…。
ついに完結!
改めて家族のあり方や、世の中の問題、世界の問題を考えさせられる本でした。
この本に登場する人物は、家族というものに悩みを抱えた人がほとんどで、どの人物も不器用で、だからこそ、伝わるものがありました。
もともとドラマを観てから、この本を読み始めましたが、ストーリーをわかっていても十分ずっしりくるものがありました。やっぱりドラマの方がコメディー感があったかなという印象。一つ一つの言葉が重く、ずっしりきました。
天童さんの作品は、このシリーズが初めてでしたが、別の作品も読みたくなりました。
Posted by ブクログ
長い話の先は、多少の心残りがあった。
ただ、児童虐待や家庭内暴力には簡単な終わりはなく、そしてまた誰もが踏み込み解決出来るものでもない。
でも今の世の中に溢れ、悲劇を生んでいる現実がある。
長編であったこともあり、とても心に深く刻み込まれる話だった。
2015.3.2
Posted by ブクログ
題名が重く、なかなか手が伸びなかったが、読み始めたら5巻一気に読めた。大まかなストーリーはテレビドラマで知っていたが、原作はその何倍も内容が濃く、読み応えあり。家族のあり方、自分を取り巻く社会について、考えさせられるシリーズだった。
登場人物は家族に悩みを抱え、心を痛めている人ばかり。不器用で、格好良くなく、だからこそ親近感を覚えるし、共感できる。天童荒太はこの国の端っこにいる弱い人たちの痛み、どうにもならないもどかしさを表現するのがうまい。今でも、どこかしらで起きている紛争、大義の前で肉親を奪われたり、住むところを追われたりする一般市民、亡くなってもすぐに忘れ去られる人々…「悼む人」は、「家族狩り」で描かれたその部分がより強まって形になったものだと思う。
読んでいたときは、ちょうどISILの非情さがクローズアップされたとき。力づくでの収束は新たな遺恨を生むだけ。家族にしろ、国にしろ、人がそこに存在する限り。心のざわざわは収まらない。
Posted by ブクログ
1冊目は「家族狩り」といタイトルに惹かれて手に取りました。全5冊と知らず読んだのもあり、よくわからないまま終わってしまって、2冊目を読むまでに間があいてしまい、2冊目から5冊目をまとめて買いました。
2冊目からは面白く段々とストーリーと登場人物の気持ちに興味を抱くように。
5冊目は最後なので、読み終わるのがもったいない気持ちになりました。
一連の一家心中が家族狩りというなの他殺事件に変わっていきます。
家族狩りをしていた犯人は意外な人物で、その真意もまた意外なものでした。
登場人物がそれぞれ気持ちを入れ替えて生きて行きます。
家族とは、本当の愛とは、考えさせられるものもあり、家族とは当たり前にあるものではなく、大事にしなければならないと痛感しました。
Posted by ブクログ
ドラマはまだ最終章になってないが、所々内容がかわってる。本と映像だと、断然本の方が事細かな描写があって好きなんだか、このドラマは本とほぼ違和感なかったような気がする。
私は、最後まで馬見原がどうしても好きになれなかった。
Posted by ブクログ
ドラマは1話目でめげたが、本は最後まで読みきった。後半は先行きが気になって悪くはなかったし、後味もさほどは悪くない。しかし、困った問題だ。現実にいるよね、こう云う連中、沢山・・・
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ドラマが始まるとのことで、読んでみた作品。
今まで本屋さんでも目に留まることがなかった。
「家族狩り」というタイトルならもっと目に留まったかもしれないが、それぞれのタイトルにあまりインパクトが感じられなかったからか?
しかし、読んでみたらとても読みやすい。
中高生でも自然に情景が頭に入ってくるような読みやすさではないかと思う。
5冊のボリュームもあって、しっかり登場人物像も頭に入り、話の展開も次々へと進む感じが良かった。
今まで天童さんの作品は一作も読んだことが無かったが、また別の作品を読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
暗い。重い。だが、全5巻にも関わらず長いとは感じなかった。
登場人物のどの家族にもそれぞれ問題を抱えており、残酷な手段で複数の家族が殺されていく。
第9回 (1996年) 山本周五郎賞受賞作
1997年8位 『このミステリーがすごい!』
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本巻が完結編。全体で約1700ページほどあったが、それほど長さは感じない。家庭崩壊と再生への道のりという重たいテーマで書かれていたが、小刻みに登場人物の視点が切り替わるのでマンネリとせず読みやすく、読み始めるとあっという間という印象。
人が生きていれば考え方も様々に異なるために齟齬が生まれるし、虚無感に苛まれることもある。思い通りにいかないこともあるし、誰も私を認めてくれないと思うことだってある。自分が認められうる場所を探すというのは承認欲求なのかなと思う。他者を認めることは下手をすると自分を否定することにも繋がってしまうため難しい部分はあるが、それでもそうした心掛けは必要なのかなと感じる。
Posted by ブクログ
もっとゆっくりと終焉を迎えて欲しかったと感じた。家族愛がテーマなら、それは長年の結晶であるはずだから、物語だって性急であって欲しくはなかった。なし崩し的に問題が解決しなくてもよかったなあとも思うし、一つずつ、じっくり解けていけばいい問題たちが、まるでマジックのように一本の線になってしまうのは、ちょっとエンタメ色が強すぎる。でも逆を返せば、もっとこの物語の中にいたかったってことなんだと思う。それだけ、いつの間にかこの作品に強く惹かれていたんだろう。これを一つの旅だとすれば、この旅が終わった今、旅をする前とは違う世界を自分は見ているのだろうか。それもきっと、今答えなければいけない類の問いではないのかもしれないなあ。家族って、いいなあ。どうでもいいけど、参考文献を見て、やはり小説家の勉強量はヤバイと思った。不勉強はいかんね。
Posted by ブクログ
更生が見込めず犯罪を繰り返し、他者を落とし込める人はこの世から排除したほうが良い、という考え方と、そんな人でも人なのだから、そのようになってしまったのには訳があるというのを考慮して対話していく、という考えもある。わたしにはどちらも正しいと思うが、他人はどう考えるだろう。こういった社会問題は、よく何が正しいかということが曖昧なので、議論をしても答えが出てこないが、常に問題提起をして話をしていくということが大切なんだなと思った。
最近でも親殺し子供殺しが日本だけではなく、世界中で報道されている。家族の問題は今始まったことではなく、これからもずっとあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
うーーーーむ。
なんとなく、都合よく話がまとまっちゃったのね、という印象。
油井のことや、駒田のこと、亜衣のこととか……。
佐和子と馬見原のことも、佐和子が馬見原と綾女の関係を忘れちゃった、って感じで終了なのかな。
馬見原と真弓のことも、馬見原が持ってた○○の存在で解決?
それって、馬見原にとって都合よすぎじゃない?
あんた、全然自分の家族のこと真剣に解決しようとしてないじゃない、全部、佐和子が「彼を理解してる」ってスタンスでかばってる感じ。
うーーーん。
これから変わってってくれよと願うばかり。
いい話なのだとは思うけど、少し長いし疲れました。
Posted by ブクログ
悪くはないんだけど、ちょっと物足りない展開。児童虐待というところから始まって、さまざまな家族が出てきて、殺人事件も絡んで、これだけの材料をそろえたら、もっと面白くなるはずなんだけど。天童荒太が優しいからか、殺される人も意外と少ない。ほかの二流作家なら10人以上殺されているはず。
Posted by ブクログ
2014/09/30
ドラマの最終回を見ちゃってから読むペースが落ちちゃって、ダラダラ読み進めてしまった。
全てが解決とはいかなかったけど、ほんの少し希望が持てる終わり方で良かった。
また明日。いい言葉だと思う。
Posted by ブクログ
完結。
【まだ遠い光】
遠い、けれど確かに見えていることを希望として、と言うことだろうか。
何にしてもこの作品のテーマに関しては一言じゃあ言い表せないなー。
所々同著者の『悼む人』を思い出させるシーンが見え隠れ。
天童さんの文体は相変わらず読みやすかったです。