天童荒太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ続編。
何者にもなりたくないという思いが由来の方言会話がなくなり(それだけ大人になったということかな)キャラも掴めて、どこか客観的位置にいるギモ視点のおかげで前作よりだいぶ読みやすくなってたと思う。
「あとがき」にもあるように、前作で「報告書」という形で語られていた彼ら・彼女らの未来を現在進行形で描きつつ、それに至る過程を前作直後から過去の出来事として描いている。
「障害」や「差別」、「紛争」、大小関係ない様々な問題に抱いた感情真っ直ぐに自分たちの出来ることをする、やりたいからやる彼女たちの目覚ましい活動、経歴を読んでいると、自分の人生に満足してないからか「自分は何もしてないな」なんて卑下してしまうこともあるが、もちろん僕は、ワラでもディノでもタンシオでテンポでもリスキでもギモでもない。
ただそれでも、お互いに包帯を巻きあえる関係性は羨ましく、そんな関係性を築いていければと思った。 -
Posted by ブクログ
「この世界には、たくさんのつらいことがある。悲しみがあふれている。その一つ一つに手当てをすることは誰にもできない。だからといって、何をしたってむだ、なんて言いたくはない。」
前作からかなりスケールが大きなり、世界を舞台にした物語になっていたけど、「包帯クラブ」が伝えたい根っこの部分はずっと変わらない。
コロナ禍で余裕がなくなり、つい自分のことばかりになってしまっている僕らに、誰かのためにほんの少しでも、自分にできることをしようと思わせてくれる。
誰かに寄り添う人がいる。優しさを与える人がいる。
それは小説の中だけのフィクションではなく、自分が一歩踏み出してみるだけで、誰かに何かを与えることだってできるんだ。
そんな勇気を与えてくれる本でした。
読んだあとはきっと、近くの知り合いでも、遠くの誰かにでも良いから、優しくしてあげたいって気持ちになるはず。 -
Posted by ブクログ
感想がまとまらずA4サイズの紙に箇条書きしてみました。2枚びっしり書いても足りないくらいで本は上下巻とも付箋だらけ笑
あまりにも考えさせられることがたくさんあるので
ストレートに刺さった言葉から。
⦿人生はしんどいなあ。
⦿人物の分析よりも、その人と会って自分が何を得たかが大切。
⦿失われてゆくものをなげくより、残されているものを慈しもう。
⦿同じ事実でも立場が違えば見えているものが違う。
⦿疑うことなんてない。誰かのために、そのひとのためになら、自分が少しくらい損をしてもいいって思えたらそれはもう愛でいい。
天童さんのとてもキレイな言葉の表現に感動しました!もちろん号泣こみです(TT)
読書の秋、堪能できましたー。 -
Posted by ブクログ
だいぶだいぶ以前に『永遠の仔』は読んだことあるけど、そのときも何だかあざといというかこれみよがしなストーリーのような感じがして、それは「“荒”太」なんて名前のイメージに影響されていたのかもこのたび思ったりもしたんだけど、とにかくこの本で知った天童さんとは違う人物像を描いていたのでした。
ふと手に取ってみれば、そんな以前のイメージだった天童さんがいわゆる社会起業家的な人たちにインタビュー(対談)している本で、ちょっと興味をもって読み始めてみたらなかなかの本だった。
そもそもは単発のインタビュー企画だったのを天童さんの申し出で連続ものにしてもらい、サンケイリビング紙上で掲載した後、この一冊になったのだとか。まったくの偏見でこういう領域への関心がある人だと思っていなかったので新鮮だったし、それ以上に、しっかりとこうした領域への思いや考えをもっているんだと、わが目の節穴具合を思い知った。
お相手は以下のような方々。雑賀雄太(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事)/今村久美(NPO法人カタリバ代表理事)/宮沢勇輔(NPO法人農家のこせがれネットワーク代表理事)/宇賀神一弘(宇賀神溶接工業所代表)/宗祥子(助産師、松が丘助産院、一般社団法人ドゥーラ協会発起人)、丑田香澄(一般社団法人ドゥーラ協会代表理事)、藤城敦子(一般社団法人ドゥーラ協会ドゥーラ)/村松孝尚(株式会社アッシュ・ペー・フランス代表取締役)/青山雄二(NPO法人NEWSED PROJECT副代表)、筒井啓介(地域作業所hana代表)/中島学(元四賀村村長、四賀クラインガルテン創設者)、金井保志(四賀むらづくり株式会社代表取締役)、岡崎英生(四賀クラインガルテン利用者)/小川清一(NPO法人すぎとSOHOクラブ理事長)、松尾道夫(NPO埼玉ネット)、豊島亮介(NPO法人すぎとSOHOクラブ副理事長、NPO埼玉ネット事務局長)。
カタリバとドゥーラ以外は知らない取り組みばかりだったので、わりとこうした企画だと既知の同じようなものが出てくるなか、お相手の選定もひとひねりしてあってよかった。語り合いやそのものずばりでない周辺の物事を大切すること、人好きであること、信用することといったあたりが取り組み成功のカギかなと思いながら読んだ。「なぜ人は、人を虐げないと、生きていけないのか」と考えている一方、「なぜ人は、人を助けるのか。ときに命を危険にさらしてまで、救おうとするのか」という命題に取り組む天童さんの思いが入り、希望と勇気がわいてくるような気がする一冊だった。 -
Posted by ブクログ
悼む人の静人がずっとつけていた日記を元にした小説。
日記形式の前日譚に近いのかもしれない。
悼む人では第三者目線で静人のことが描かれており、家族や出会った人々によって静人の印象が変わって行き、その人々によって読者の心も動かされていた。
今度は静人自身の主観で描かれているため、彼の心の動きに合わせて読者側も心動かされるのだけど、あっち行ったりこっち行ったりせず一本通ったものが背景にあるので、悼む人以上に気持ちが入って行き、その決心や迷いに共感させられる。
悼む人では考えさせられることが多かったが、今作は本能的に涙させられた。
自分にはその気がなくても、自分が静人と同化したような感覚に陥った。
これもとても良い作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ死者を悼む旅を続ける青年の物語。
ここで言う「悼む」とは、弔うことでもなく冥福を祈ることでもない。
忘れずに覚えていると言うこと。
とても単純なことのように思えるがこれがものすごく心に突き刺さった。
確かに死んだ人とは二度と会えないが、覚えてくれる人がいる限りその人の存在が消えることはない。
そこにスポットを当てた作品だと感じた。
死ぬとはなんなのか、生きるとはなんなのか、存在するとはなんなのか、その全てに一つの導きを与えてくれているような気がする。
どれが正しいなんて分からないが、主人公は全て分かっていて、母に会いに行かず、倖世に託しのではないか、誰かが覚えてくれていればその存在は消えることはないのだから。 -
Posted by ブクログ
天童荒太『ムーンナイト・ダイバー』文春文庫。
主人公自身が震災で生き残ったことへの贖罪への訣別と新たなる未来の光を感じた素晴らしい震災小説であった。
震災から四年半が経った地で月夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収するダイバー・瀬奈舟作。彼は或る人物の依頼で、金品目的ではなく、震災で大切な人を亡くした人びとのために海に潜り続ける。
書下ろしエッセイ『失われた命への誠実な祈り』も収録。
あれから8年余りが過ぎようとしている。東日本大震災の津波により沿岸地域は壊滅的な被害を受けた。国道に無惨に転がる家屋、海から打ち上げられた船、建物の上に持ち上げられた自動車、流された多くの人びと……誰があのような地獄の光景を予想しただろうか。生きること、生き残ることは決して罪ではない。