【感想・ネタバレ】静人日記 悼む人IIのレビュー

あらすじ

直木賞受賞作『悼む人』の感動ふたたび!
新聞の死亡記事を見て、亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」ために、全国を放浪する坂築静人。死者の周辺の人々から疎んじられ、罵声を浴びせられることもあるが、時には、あなたの行為で救われたと感謝されることもある――。
さまざまな死者や生者との、出会いと別れを繰り返す静人。やがて一人の女性との邂逅が、今度は静人の心にも波紋を生む……。
前書きに、「できるだけ一日に一度、就寝前の時間に〈静人〉となり、空と向き合う。〈静人〉として、星を、星を隠す雲を見上げ、心にわきたつものを書きとめる。」とある通り、直木賞受賞作『悼む人』の主人公の日記という体裁をとった異色の小説は、『悼む人』を読んだ方はもちろん、未読の方にもこの素晴らしい作品世界への格好のイントロダクションになるだろう。

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Posted by ブクログ

悼む人の静人がずっとつけていた日記を元にした小説。

日記形式の前日譚に近いのかもしれない。

悼む人では第三者目線で静人のことが描かれており、家族や出会った人々によって静人の印象が変わって行き、その人々によって読者の心も動かされていた。

今度は静人自身の主観で描かれているため、彼の心の動きに合わせて読者側も心動かされるのだけど、あっち行ったりこっち行ったりせず一本通ったものが背景にあるので、悼む人以上に気持ちが入って行き、その決心や迷いに共感させられる。

悼む人では考えさせられることが多かったが、今作は本能的に涙させられた。

自分にはその気がなくても、自分が静人と同化したような感覚に陥った。

これもとても良い作品だった。

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2019年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

亡くなった人々の姿を思い、“悼む”旅を続ける青年のお話。前作(?)「悼む人」と違って本作は日記形式で綴られているので、主人公の思いがよりダイレクトに伝わってくるような気がします。

その日記は(ほとんど)毎日違った人を悼む内容になっていて、短い日記の中に死者一人一人の人生や、残された人たちの死者に対する思い、考えが詰まっています。それを日替わりで連続的に読み続けて行くと、畏敬の念に打たれたような気持ちになりました。なんというか…日々、多くの命が生まれ出る反面、失われて行く多くの命もあるということや、「無名」の人生にも記憶に残すべき何かがあるんじゃないかとか、自分の”今”はそうした命の積み重ねの上にあるんだろうとか… 普段考えないようなことをイロイロ思い巡らせられました。

本作は1月1日から6月30日分の日記が書かれていますが、7月1日から12月31日の日記を書く予定があるなら、早く読んでみたいですね。

巻末には作者が東日本大震災の被災地を訪ね、現地の人たちにインタビューした時の記録が掲載されています。自分も被災地を何度か訪れているのですが、そのときに遭遇した様々な出来事を思い出すと同時に、「膨大な数字の底には、一人一人の命のすがたがあり、歴史があり、彼や彼女らを愛している人々がいる」ことを改めて意識させられました。

いろんな意味で気持ちを引き締めさせられた作品でした。

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2013年01月14日

Posted by ブクログ

本編自体は新刊当初に読んで、ボロボロ泣きながらでした。そんな中で、ところどころでほっこりさせてくれた静人のお母さんが日記には全然出て来なかった。そこはちょっと残念。でも思いのほか重過ぎず、サクサク読み切りました。映画も観なくては!

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2015年02月10日

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坂築静人の悼みの日記。

日記形式なので、思ったほど「重くはない」し、意外にすらすら読み進められることに驚く。
後半からは悼みとは何か?何のためなのか?の禅問答が続く。
一定の結論をもってエンディングとなる。

付録?の東日本大震災の被災者にインタビューする企画が良かった。

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2014年10月11日

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おまけ的に読んだつもりだったが、坂築静人がなぜ悼みの旅を続けるのか、その背景を垣間見ることができたという店で、この作品は決しておまけではないことに気づくことができた。

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2014年09月21日

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前作「悼む人」の後日譚。静人が記した日記の形をとって列挙される、あらゆるかたちの不遇な死。正直、延々と連なる死の記録に、不快で堪らない気持ちにさせられる。その先に希望はあるのか。見知らぬ人を悼むということの尊大さや無意味さにどう折り合いをつけていくのか。世の中のあらゆる不幸や悲しみをどう扱ってよいのか分からないまま、最後まで読む。何かが解決するわけでもないけれども、少なくとも死と、生について考えることはできる。薄くて、重い一冊だった。

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2014年03月03日

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天童荒太の直木賞受賞作品『悼む人』。
その続編が文庫化され、書店に平積みされていたので、読んでみることにしました。
『悼む人』の主人公、坂築静人。
新聞記事や人との会話を通じて得た情報をもとに、人が亡くなった場所に行き、悼む。
悼む前には、まわりの人に話を聞いて、対象者がどのような人に愛され、感謝されたかを聞く。
”宗教的苦行”のようにも解釈される旅を続ける主人公の、日々の行動と思考を、半年に渡って日記的に綴っているのが、この作品です。
話を聞こうとして、変人扱いされたり、遺族から厳しい反応を示されたりしてしまう主人公。
それでも、人の死を悼まないではいられない彼の、心の葛藤と、死というものや悼むという行為に対する思考の経緯が、一人称で描写されています。
主人公の行為については、作中にも描かれている通り、様々な意見・反応があるかと思います。
でも僕は、この作品を通じて「他者の死に対する」ということがどういうことなのかを考える、貴重な機会を与えてもらえたと、受け取りました。
作中で、静人が様々な辛い目にあいながらも、行動に共感してくれる人にめぐり合うというのも、この作品のポイントの一つかと思います。
人の死とはどういうものなのか、生きるということはどういうことなのか、改めて考えさせてもらった作品でした。

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2013年01月07日

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悼む人が非常に良かったので、この本も自然に手が伸びていた。

この本は、坦々と静人の旅を、静人が綴った日記形式で表現されている。
その為、悼む人を読んでからではないと、何が何だかわかりにくいかもしれない。

文章が丁寧で品があり、この作家さんの表現はとても好きだ。
実際にあったらとても受け入れられないような不思議な旅をしている静人も、
天童さんの筆にかかると、とても魅力的な人間に見える。

ただ、何分単調に感じられ、★★★にしてしまった。。。

次回作に期待!!

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2016年06月11日

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「悼む人」が映画化された。「悼む人」は以前読んでいて、天童氏にはいつも驚かされる。なんで、こんな人を思いつくのか。全国を悼んでまわるって、なんなんだ?主人公の静人の日記。映画を観る前にもう一度静人に触れようと読みました。

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2015年03月04日

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悼む人、続篇。
静人の日記という形で進んでいくので重い重い。
今日はどういう形で亡くなった人を悼んだ、とか
どんなことを言われた、とか。
誰を愛し、誰に愛され、が悼みの基本ではあるけど
どうしても物語を進めるにあたってでてくるそういう描写。
読み進めるのつらかったな。
巻末に著者が被災地にいったときのお話収録。

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2013年09月18日

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悼む人の続編、というよりは前日譚というべきだろうか。
時系列的にはおそらく、悼む人の中では明確に表現されていない、静人が一人で旅している間の、静人自身による日記なのですが、それだけに淡々と進んでいくので前半はかなり読みづらかった。
ただ、日記の中に遥香という女性が出てくるところから次の展開が気になって一気に読み切れた。
後日を知っているからこそ二人の関係を面映く思い、幸せになってほしかった。

この文庫にはもう一編、作者による東日本大震災の被災地にて書かれたものが載っているのだが、その文章を締めくくる一文が深く印象に残っている。
「一万五千、七千、という数の波底にもぐり、一つ一つのいのちの相貌を拾い上げられる本物の想像力がほしい。」

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2012年12月28日

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「悼む人」ありき。

物語性は希薄なんだけど、読める。
面白い、っていうのとは違うけどね…。
なんとも評価しにくいなあ。

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2012年11月09日

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悼む人を読んだあとだったせいもあり、日記という題名の通り一日ごとに話が変わり前後に関連性が殆どなく退屈だった。
もちろん、悼まれる人の情景や理由には心打たれるものもあったが、やはり悼む人の続編ということでいわゆる慣れてしまったせいか感動も今ひとつ。
改めて悼む人は名作だったと思わせる作品となった。

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2012年10月26日

Posted by ブクログ

続編にして序章という変わった設定。主人公静人の主観で綴られる日記形式なのですが、何故か飽きない不思議な作品。それだけ人の死も色々あるんだなって当たり前のことを考えてしまいます。それにしても天童先生、凄い想像力です。

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2012年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

痛い、心が痛い。読んでいて辛かった。

「悼む人」は第三者的に読めたけど、これは静人本人の日記。感じたこと思ったことが、いいことも悪いこともストレートに書かれている。旅を続けることで、悼み続けることで、静人は救われるのかな。

作者、天童荒太はとても感受性の強い人だと思う。そして静人は作者自身なのでは、と今更ながら思った。

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2012年10月17日

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