【感想・ネタバレ】静人日記 悼む人IIのレビュー

あらすじ

直木賞受賞作『悼む人』の感動ふたたび!
新聞の死亡記事を見て、亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」ために、全国を放浪する坂築静人。死者の周辺の人々から疎んじられ、罵声を浴びせられることもあるが、時には、あなたの行為で救われたと感謝されることもある――。
さまざまな死者や生者との、出会いと別れを繰り返す静人。やがて一人の女性との邂逅が、今度は静人の心にも波紋を生む……。
前書きに、「できるだけ一日に一度、就寝前の時間に〈静人〉となり、空と向き合う。〈静人〉として、星を、星を隠す雲を見上げ、心にわきたつものを書きとめる。」とある通り、直木賞受賞作『悼む人』の主人公の日記という体裁をとった異色の小説は、『悼む人』を読んだ方はもちろん、未読の方にもこの素晴らしい作品世界への格好のイントロダクションになるだろう。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

亡くなった人々の姿を思い、“悼む”旅を続ける青年のお話。前作(?)「悼む人」と違って本作は日記形式で綴られているので、主人公の思いがよりダイレクトに伝わってくるような気がします。

その日記は(ほとんど)毎日違った人を悼む内容になっていて、短い日記の中に死者一人一人の人生や、残された人たちの死者に対する思い、考えが詰まっています。それを日替わりで連続的に読み続けて行くと、畏敬の念に打たれたような気持ちになりました。なんというか…日々、多くの命が生まれ出る反面、失われて行く多くの命もあるということや、「無名」の人生にも記憶に残すべき何かがあるんじゃないかとか、自分の”今”はそうした命の積み重ねの上にあるんだろうとか… 普段考えないようなことをイロイロ思い巡らせられました。

本作は1月1日から6月30日分の日記が書かれていますが、7月1日から12月31日の日記を書く予定があるなら、早く読んでみたいですね。

巻末には作者が東日本大震災の被災地を訪ね、現地の人たちにインタビューした時の記録が掲載されています。自分も被災地を何度か訪れているのですが、そのときに遭遇した様々な出来事を思い出すと同時に、「膨大な数字の底には、一人一人の命のすがたがあり、歴史があり、彼や彼女らを愛している人々がいる」ことを改めて意識させられました。

いろんな意味で気持ちを引き締めさせられた作品でした。

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2013年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

痛い、心が痛い。読んでいて辛かった。

「悼む人」は第三者的に読めたけど、これは静人本人の日記。感じたこと思ったことが、いいことも悪いこともストレートに書かれている。旅を続けることで、悼み続けることで、静人は救われるのかな。

作者、天童荒太はとても感受性の強い人だと思う。そして静人は作者自身なのでは、と今更ながら思った。

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2012年10月17日

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