天童荒太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
直木賞作品。
どうやってこのストーリーを締めるんだろってずっと思ってたけど、文句なしの素晴らしすぎるラストでした。
静人が主人公のようで、静人目線は一度もない。取り囲む3名は誰も主人公じゃなく、彼らの目から見た静人を描くことで主人公を表現してる。
キリストやブッダのことを語る人々の声によって彼らが形づくられていったのと同じように。
それもまた圧巻。
蒔野のストーリーは、泣きそうになった。
父親との関係。生きたまま焼かれた女性のこと。
静人に対する蒔野の心境が変わっていく理由の描き方が素晴らしい。複数の出来事が重なってじわじわ、が見事。
倖世も見事にまとまった。
でも少し物足りない気がして -
Posted by ブクログ
戦いの無くならないこの現実の中で、どう生きますか、どう行動しますか?
本書を読み終わって、まずはそう問われたように思います。
舞台は幕末・1862年の伊予松山藩。
主人公はヒスイ。お遍路宿「さぎのや」で、救吉と姉弟のように育てられた。2人とも戦を嫌い、人の命を守ろうとする。
冒頭、ヒスイが山中で坂本龍馬を助ける場面から物語が始まります。龍馬だけでなく、その後、新選組の沖田総司や近藤勇、土方歳三と出逢い、高杉晋作、桂小五郎とも出逢っていく。都合良すぎる設定かもしれませんが、それらを超えて、十分楽しめ、考えさせられる物語。
「異国の鬼畜らが、この国を領土にしようと攻めてきたら、貴様はどう -
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亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語
以下、公式のあらすじ
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不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。
"「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故で命を落とした人々のためを「悼 -
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ネタバレ後半は一気読みに近かった。
序盤は静人の悼みに対して、自分の考えに合う死者の断片だけを切り取った解釈を行う事への理解が出来なかった。全ての死に同等の悼みが与えられる訳が無い。と。作中に登場する多くの人々と同じ否定的な考えを持った。が、後半は静人の人物像が深く掘り下げられ、共感とはいかなくとも理解は出来た。
巡子の死に寄り添いながら読み進めていくうちに、自身の生き方を考えるいいきっかけになった。
全てがままなら無いもの、人は不完全な生き物、そして完全に消化されずに逝く生き物、ただその先は決して暗い物ではない。そんな事を教えられた気がした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ続編。
何者にもなりたくないという思いが由来の方言会話がなくなり(それだけ大人になったということかな)キャラも掴めて、どこか客観的位置にいるギモ視点のおかげで前作よりだいぶ読みやすくなってたと思う。
「あとがき」にもあるように、前作で「報告書」という形で語られていた彼ら・彼女らの未来を現在進行形で描きつつ、それに至る過程を前作直後から過去の出来事として描いている。
「障害」や「差別」、「紛争」、大小関係ない様々な問題に抱いた感情真っ直ぐに自分たちの出来ることをする、やりたいからやる彼女たちの目覚ましい活動、経歴を読んでいると、自分の人生に満足してないからか「自分は何もしてないな」なんて卑 -
Posted by ブクログ
「この世界には、たくさんのつらいことがある。悲しみがあふれている。その一つ一つに手当てをすることは誰にもできない。だからといって、何をしたってむだ、なんて言いたくはない。」
前作からかなりスケールが大きなり、世界を舞台にした物語になっていたけど、「包帯クラブ」が伝えたい根っこの部分はずっと変わらない。
コロナ禍で余裕がなくなり、つい自分のことばかりになってしまっている僕らに、誰かのためにほんの少しでも、自分にできることをしようと思わせてくれる。
誰かに寄り添う人がいる。優しさを与える人がいる。
それは小説の中だけのフィクションではなく、自分が一歩踏み出してみるだけで、誰かに何かを与えることだ