天童荒太のレビュー一覧

  • ジェンダー・クライム
    やられた!
    事件も解決し後は大団円の結末かと読み進めたら、意外な物語が明かされた。これには涙腺が緩み鼻を啜るほど心が動かされた。
    集団暴行の加害者達の横行、被害者家族への謂れなき誹謗、そして拘束され陵辱された痕跡のある中年男性の全裸死体。
    様々に絡み合う事件をベテラン鞍岡刑事と若い志波刑事たちが追う...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    土手下に転がされていたのは、裸で縛られていた男の遺体。
    その男は、集団レイプ事件の加害者の父親だった。残されていた「目には目を」のメッセージ。

    とても重い内容である。
    ジェンダー・クライム…性に纏わる犯罪は連鎖するのか…というなんとも苦しくて読んでいても心身が疲弊するようである。

    ひとつの犯罪が...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    裸で遺棄されていた死体には死体には暴行の跡とともに「目には目」というメッセージが残されていた...。人間の尊厳を冒し精神を破綻させるジェンダー・クライム(連性にまつわる犯罪)が連鎖していく。深く重いテーマを書きった労作。捜査に尽力する刑事鞍岡と志波の関係性にも納得!
  • ジェンダー・クライム
    遺体に残された「目には目を」というメッセージ。被害者の息子には、性犯罪加害の前科があった。殺人事件と過去の事件の捜査を進めるうち、あきらかになってくる事件の波紋。ひどく重苦しく、しかし救いも感じさせられる重厚なミステリです。
    性犯罪に対する捉え方って、本当に人によって違うものだと思います。もちろん悪...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
     ずっと家族の軋轢をテーマに描き続けてきた作家・天童新太の久々の新作を手にする。デビュー当時の作品に一時のめり込んだものの、直木賞受賞作『悼む人』以降、長いこと(15年くらい)この作家から遠ざかっていたぼくであるが、今回手に取った本作を見て、物語の目指すコアなテーマ自体は全く変わっていないなと思えた...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    会話を中心に書かれているので、サクサク読めた。
    ラストに書かれた2人の縁はすてきだった。
    ジェンダー的な話でもあるし、ボリュームはかなりあるが、映画とかになりそう。
  • 悼む人 下
    後半は一気読みに近かった。
    序盤は静人の悼みに対して、自分の考えに合う死者の断片だけを切り取った解釈を行う事への理解が出来なかった。全ての死に同等の悼みが与えられる訳が無い。と。作中に登場する多くの人々と同じ否定的な考えを持った。が、後半は静人の人物像が深く掘り下げられ、共感とはいかなくとも理解は出...続きを読む
  • 包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
    続編。

    何者にもなりたくないという思いが由来の方言会話がなくなり(それだけ大人になったということかな)キャラも掴めて、どこか客観的位置にいるギモ視点のおかげで前作よりだいぶ読みやすくなってたと思う。

    「あとがき」にもあるように、前作で「報告書」という形で語られていた彼ら・彼女らの未来を現在進行形...続きを読む
  • 巡礼の家
    お遍路さんをもてなすのは、功徳を積むためだけでなく、根っこは共に悲しみ、共に苦しむ心、共に生きている者への思いやり。
    誰かが辛くしているときには、食べさせて、あったかくしてやるといい。それが、動物としてのヒトを守ることになる。

    「あなたには、帰る家がありますか?」
    「さあ、帰りましょう。私たちの家...続きを読む
  • 包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
    先が見えない暗い現実に希望の光を与えてくれる一冊。ディノの優しい言葉が心に響いて鳴り止まない。包帯クラブの仲間に出逢い、想像力の大切さ、行動する勇気をもらった。
  • 包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
    前作からかなりの年月がたって失念したことも多かったけれど本作品だけでもこんなに感動を味わうことができた。ついつい自分のことだけを考えてしまいがちな日常。コロナ禍でままならないことが多い今、心に響いてくる内容だった。人の痛みに寄り添うことがこんなにも大きな力となって世界中に広がっている。彼らの青春時代...続きを読む
  • 包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
    前作があるのを知らずに読みました。涙が溢れる。
    『この世に生を受けたすべての生き物は、命の危機にあるときには、〈ここよ、わたしはここ。わたしを見て。わたしに手を差し伸べて。〉と助けを求める権利…いえ義務がある。命とは、決して個人だけのものではなく、多くの人や自然とつながっているのだから。』胸を打つ言...続きを読む
  • 包帯クラブ ルック・アット・ミー! ──The Bandage Club Look At Me!
    「この世界には、たくさんのつらいことがある。悲しみがあふれている。その一つ一つに手当てをすることは誰にもできない。だからといって、何をしたってむだ、なんて言いたくはない。」

    前作からかなりスケールが大きなり、世界を舞台にした物語になっていたけど、「包帯クラブ」が伝えたい根っこの部分はずっと変わらな...続きを読む
  • 包帯クラブ
    『大勢の人がつらい想いをしていることを、ニュースや何かでずっと見聞きしてきた。でも、わたしには何もできないんだから、深く考えないようにしてきた。
    知ることだけでもよかった、のかもしれない……知っておくということだけでも。』

    この文中の言葉が、今ウクライナ侵攻の問題で心を痛める中、何もできずにモヤモ...続きを読む
  • 悼む人 下
    小説の持つチカラを感じました。
    生と死、人を愛すること、善悪、家族の絆、…。
    ヘヴィーです。人生について考えさせられます。
    ラストシーンの悲しくも美しい、生の喜びに満ちた情景に涙が止まりません。
    私的、大切な本になりました。
  • 悼む人 下
    読み終わった時、これまでにない角度から自分の存在を肯定された気がしました。
    正しい解釈かは分からないけれど…
  • 悼む人 下
    感想がまとまらずA4サイズの紙に箇条書きしてみました。2枚びっしり書いても足りないくらいで本は上下巻とも付箋だらけ笑
    あまりにも考えさせられることがたくさんあるので
    ストレートに刺さった言葉から。

    ⦿人生はしんどいなあ。
    ⦿人物の分析よりも、その人と会って自分が何を得たかが大切。
    ⦿失われてゆくも...続きを読む
  • ムーンナイト・ダイバー
    フィクションなの現実の福島の人たちの気持ちをしっかり伝えていると感じた。そして、同時に励ましているとも。著者による解説、あとがきから作品に対する想い、責任感、素直な迷いが伝わってきて、再び感動する。福島の再生には、気の遠くなるような時間が要する中で、引き続き書いて欲しいと願う。
  • 孤独の歌声
    登場人物それぞれの孤独がきちんと描かれている。その描写が秀逸。ミステリーとしてももちろん面白いけれど、心理描写がすごい。
  • だから人間は滅びない
    だいぶだいぶ以前に『永遠の仔』は読んだことあるけど、そのときも何だかあざといというかこれみよがしなストーリーのような感じがして、それは「“荒”太」なんて名前のイメージに影響されていたのかもこのたび思ったりもしたんだけど、とにかくこの本で知った天童さんとは違う人物像を描いていたのでした。
    ふと手に取っ...続きを読む