天童荒太のレビュー一覧

  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)
    暗い。重い。だが、全5巻にも関わらず長いとは感じなかった。
    登場人物のどの家族にもそれぞれ問題を抱えており、残酷な手段で複数の家族が殺されていく。

    第9回 (1996年) 山本周五郎賞受賞作
    1997年8位 『このミステリーがすごい!』
  • 巡礼者たち―家族狩り 第四部―(新潮文庫)
    ページを捲る手が止まらない。ちょっとしたボタンの掛け違いでこうも人の心はすれ違ってしまうのか。
    ミステリーとして(も)この本を読んでいる人にとっては犯人(と呼ぶべき人物)が中盤の第3部あたりで透けて見えてしまうのはちょっと早すぎるかも...。
  • 贈られた手―家族狩り 第三部―(新潮文庫)
    誰も幸せになれないのではないかと思わせる負の連鎖が続く。それでもページをめくってしまうのは、家族の壊れ方が今吸っている空気の様に自然に描かれているからかもしれない。
  • 包帯クラブ
    発想が素敵だなと思いました。
    人は誰しも、何かしらの「傷」を負っていて、
    その場所には今でも見えない血が流れているはず。
    でもその傷を飾りのように見せびらかしたり、
    否定したりするんじゃなくて、誰かに知られて、認めてもらうことで、その傷にははじめて、包帯が巻かれることになる。
    傷ついていることを誰か...続きを読む
  • 巡礼者たち―家族狩り 第四部―(新潮文庫)
    孤立無援で事件を追う馬見原は、四国に向かった。捜査のために休暇を取ったのだ。彼はそこで痛ましい事実に辿りつく。夫に同行した佐和子は、巡礼を続ける者の姿に心を大きく動かされていた。一方、東京では、玲子のことを心配する游子と、逃避行を続ける駒田の間に、新たな緊張が走っていた。さまざまな鎖から身を解き放ち...続きを読む
  • 包帯クラブ
    『永遠の仔』を未だ読み終えていない私にとって
    初めての天童荒太でした。

    映画の方で知って、なんとなく気になっていた一冊。
    まさか天童荒太が原作書いていたとは。

    かなり若い世代に向けた小説。
    一人でも多くの中学生や高校生に、読んでもらい
    伝わるよう、シンプルに短く。

    「心の内の風景...続きを読む
  • 巡礼者たち―家族狩り 第四部―(新潮文庫)
    『他人のことはわからない。過去のことなら、なおさらだ。だったら、人間が少しはましに思えるほうに考えたほうがいい。人を信じたくなるほうに……ときどきは、考えてやらないと、自分の心がつぶれちまうよ。』

    「誰に祈ってるの。何に祈ってるの。それより、わたしを助けて。わたしのほうへ来て。」

    様々な事件、人...続きを読む
  • 贈られた手―家族狩り 第三部―(新潮文庫)
    電話相談員の主張とか、巣崎の言葉とか、正直「そんなこと言い出したらきりがないじゃないか」と思うことがたくさんあったけれど、だからといってそれを否定できない。普段は肯定していなくても、見方を変えれば私だって自信をもって主張するだろう考え方。そんな微妙なラインの問題が随所にちりばめられていた。この物語の...続きを読む
  • 遭難者の夢―家族狩り 第二部―(新潮文庫)
    二次元だからこそ、三次元に楔を打つことができる。それを改めて感じた。普段、考えているようで考えきれていないこと、見ているようで目をそらしていることが、これでもかというくらいに顕されている。この世界は家族の集合体なのだ、と感じた。
  • 巡礼者たち―家族狩り 第四部―(新潮文庫)
    心はそれぞれに 少しずつ拠り所を見つけ 解きほぐされ始めているように見える。だが、それとは裏腹に事件は哀しい真相に近づきつつあるようだ。
    壊されたものは何で、失ったものは何なのだろう。
    物語の先にあるのが光なのか それとも気配さえ殺すような闇なのか、最後の第五章を開くのが怖い。
  • ジェンダー・クライム
    天童荒太さんは重い。今回もずっしりと重たかった。
    殺人事件を追ううちに、DV、一方的な介護や育児の押し付けなどジェンダーが絡む問題が出てきた。性犯罪はその最たるものだと思う。
    配偶者の呼び方でやたらと注意を受けている場面がコミカルだった。
  • ジェンダー・クライム
    出だしはとても興味深かったと思う。
    鞍岡と志波のコンビも良かった。序盤の会話もテンポがよくて面白いと思った。
    ただ話が進むにつれて、おそらく作者さんの「あれも書きたい、これも書きたい」が溢れていたのか少し乱雑に感じて、カメラのオートフォーカスがうまくいかないような、全体的にぼやけた印象を受けた。
  • 孤独の歌声
    第6回日本推理サスペンス大賞受賞。
    7回で終了したらしいですが。
    そして、カバーの写真は先日亡くなった彫刻家の船越桂さんの作品です。これが、この小説ととてもマッチしています。

    確かにサスペンス。
    事件は二つ。コンビニ強盗事件と一人暮らしの女性を狙った連続猟奇殺人事件。
    中学時代に親友を見殺しにして...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    ジェンダーうんぬんの前に、男女問わず相手のことを見下した目でみることが問題と思う。女と言うだけで、自分より下に見る。この本のジェンダー問題が、集団暴行→セカンドレイプ、夫からのDVだったり、ハードなものだったけれど、ここまで強いものじゃなくても、日常のそこかしこにジェンダー問題が空気のように散らばっ...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    しっかり描かれてる作品。展開も見事だし、謎解きも。そして最後の話も見事。でも、こういう話が好きじゃない。実際にあると思われるような話で、せめて本の中ではそういう世界から離れたい・・・
  • ジェンダー・クライム
    天童荒太さんの作品は、いつも、ずっしりと、心に伸し掛かる。「伸し掛かる」と言った方が合っている。重たいのである。しかし決して目を背けてはいけない題材で各々がきちんと考えていかなければいけない。
    「謝辞」を読めば言わんとする事が全て伝わる。
    かく言う私も配偶者の事を「主人」と言う。
    うーむ、考えちゃう...続きを読む
  • ペインレス(上)―私の痛みを抱いて―(新潮文庫)
    職場の先輩と恋愛の話をしていたとき「私さ、自分よりレベルが下の相手じゃないと、自分らしく振る舞えないんだよね」と言う上から目線な発言に失笑したのだが、これは恋愛におけるあるあるなのかもしれない。

    レベルが高い素敵な相手には”好かれたい・嫌われたくない”という気持ちから、相手に気に入られようとするあ...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    最初の事件が異様で
    不可解であり、この先
    いったい何があるのだろう?
    と強く興味をひかれたけれど
    警察の組織関係を出し
    他の些細な事件をいくつも絡め
    複雑にしたことで
    結局、全てがぼやけてしまった…
    はじめの死体の状況に
    何か大きな意味が隠されているのか
    と疑っていたけれど
    全てたまたま、なんとなく...続きを読む
  • ジェンダー・クライム
    謎の事件が起きて、過去に女性暴行を働いた青年たちと事件を追う刑事たちの話が続く。最後に全ての伏線回収され納得の終わりかただった。
  • ジェンダー・クライム
    天童荒太さんの作品にしては軽めかと思った。
    暗い話だけど最後は少し明かりが見える感じ。
    暴行事件はまだまだ軽んじる人もいるだろうし、裁判とかでの二次被害とか、お前も悪いんだろうみたいなのもあるんだろうけど、もっと周りの理解というかが得られるといいなと思う。