天童荒太のレビュー一覧

  • 包帯クラブ
    高二の笑美子が仲間内で各地の方言を使い合う一体感に始まり、傷付いたことを目に見える形にして手当てをする、傷付いた場所である街中に実際に巻く包帯が、新しい癒しとして想像しただけで染み入る。繊細で力強い。戦争被害に遭う子の気持ちを一億分の一でも感じ取ろうと爆竹を自身に使うディノの自傷が激しすぎてつらい。
  • 悼む人 下
    結局、静人は静人、肉親であろうが自分以外は他人、なんだろうか。
    だからこそ理解しようという努力が距離を埋めるのかもしれないね。
    救いってなんなんだろうなあ。
  • 悼む人 上
    悼む人の影響を受けた人たちの話であって、悼む人自身の話ではないのか。それは下巻なのかな。
    上巻はまだまだ、ただただ不思議な感じ。
  • 包帯クラブ
    高校生の男女が、心の傷に包帯を巻くことを考え、悩んでいたりする人たちの傷を受けた場所に行き、包帯を巻いていく。
    仲間とのやり取りを見ていて、学生時代の人間関係や人との繋がりの大切さをあらためて感じた気がする。

    2018.4.2
  • 悼む人 上
    天童荒太氏の小説はこれが初めて。
    最初は奥田英朗氏の伊良部先生シリーズのシリアス版的な読書感でしたが、物語が進むにつれて、これは静人だけの物語ではないと。キノさんのパートが好きです。
    後半も楽しみです。
  • 孤独の歌声
    今までよんだ天童さんの作品は子供の不遇のだったから、全然違った。コンビニ強盗と誘拐殺人と潤平とふきの過去と盛り沢山だった。薄い本だし、コンビニ強盗はなしでもよかったかも。他をもっと深く読みたかった。
  • 孤独の歌声
    読み初めは内容がよくわからず 入ってこなかったが、読み進めていくうちに一つの線になる。
    人は育った環境、周りの人間によって形成されてゆく。
    しかし、誰かれかのバトンを受け取ったり受け渡したりして繋がってゆく
  • 孤独の歌声
    グロテスク、狂気、孤独感で、何でこんなに気分を害す事が出来るんだろうと思うのに、何故か犯人も被害者なんだと思わせられた。
  • 孤独の歌声
    最初は登場人物の危うさ、表現のグロテスクさにあまり入っていけなかったけど、途中からそれぞれの心の闇とそこでもがいている姿を知り、恐怖を感じながらも引き込まれていった。最後、バトンがつながってよかった。
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)
    もっとゆっくりと終焉を迎えて欲しかったと感じた。家族愛がテーマなら、それは長年の結晶であるはずだから、物語だって性急であって欲しくはなかった。なし崩し的に問題が解決しなくてもよかったなあとも思うし、一つずつ、じっくり解けていけばいい問題たちが、まるでマジックのように一本の線になってしまうのは、ちょっ...続きを読む
  • 孤独の歌声
    コンビニ店員の潤平と、警察官の風希、そして連続殺人犯の〈彼〉の3人が主人公で、章によって視点が変わる。なんで残虐な殺人事件の話なのに犯人視点があるんだ。怖いじゃないかー!怖いし気持ち悪いし読んでて食欲がなくなる。その女アレックス並みの気持ち悪さ。なので前半の印象は最悪。でも後半にいくに従って、怖いシ...続きを読む
  • まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)
    更生が見込めず犯罪を繰り返し、他者を落とし込める人はこの世から排除したほうが良い、という考え方と、そんな人でも人なのだから、そのようになってしまったのには訳があるというのを考慮して対話していく、という考えもある。わたしにはどちらも正しいと思うが、他人はどう考えるだろう。こういった社会問題は、よく何が...続きを読む
  • 巡礼者たち―家族狩り 第四部―(新潮文庫)
    第四部はストーリーが更に進んでいくので、止まらず読んだ。人の負の部分を描き、読んでいて悲しく辛い部分があるけど、わたしはこれから先もそういうことに目をつぶらずにいられたらと思う。
    毎度ながら次がかなり気になる終わり方で、後書きも面白かった。
  • 悼む人 上
    久しぶりの天童作品。
    すっかり忘れていた、独特の重苦しい雰囲気。
    とにかく、ラストで気持ちが救われることを祈りつつ、上巻を乗り切った感じ。
  • 贈られた手―家族狩り 第三部―(新潮文庫)
    事件がどんどん展開していって、殺人犯がいるならそれは誰かと気になってくる3部作。

    わたしも、誰かがどうせ自殺するなら、その前にボランティアや何か社会に役に立つことをすれば良いのでは、と考えたことがある。でも、きっとそういうことできないから自殺するのか。確かに、世界には生きたくても生きられない人がた...続きを読む
  • 遭難者の夢―家族狩り 第二部―(新潮文庫)
    新たな事件と同時に主な登場人物の物語をさらに掘り下げた2部。ミステリー要素が強くなり退屈しないでスラスラ読めた。
    当初全く繋がりのなかった赤の他人が運命のいたずらで交じり合い、関係を持つ過程が面白い。
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)
    あらすじと、題名「家族狩り」というくらいだからきっととっても暗い小説なんだろうなと思った。読んでみたら確かにそうだったが、登場人物がどんどん繋がっていく感じや、ストーリーがサクサクと進むので、後半から目が離せなかった。

    世の中で起きている問題やその矛盾、家族のテーマなどは、一人では絶対に解決できな...続きを読む
  • 孤独の歌声
    ちょっと怖くってグイグイと読み進めなかった。
    話しの展開が3人の視点で進んでいく構成も面白い。
    気持ちの描写も上手い。
    独特な感じがある作家だと改めて思った。
  • 静人日記 悼む人II
    悼む人が非常に良かったので、この本も自然に手が伸びていた。

    この本は、坦々と静人の旅を、静人が綴った日記形式で表現されている。
    その為、悼む人を読んでからではないと、何が何だかわかりにくいかもしれない。

    文章が丁寧で品があり、この作家さんの表現はとても好きだ。
    実際にあったらとても受け入れられ...続きを読む
  • だから人間は滅びない
    20160424 人類の希望は身近にいる人たちによって支えられている。自分も支える側になるために何をするか?人を大切に思えるかどうかで行動に移れるのかもしれない。