あらすじ
直木賞受賞作家・天童荒太の出発点となった日本推理サスペンス大賞優秀賞受賞作。凄惨な殺人事件が続発する。独り暮らしの女性たちが監禁され、全身を刺されたかたちで発見されたのだ。被害者の一人が通っていたコンビニエンス・ストアの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然、彼女の友人が行方不明に。孤独を抱える男と女のせつない愛、噴き上がる暴力――。
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Posted by ブクログ
日本推理サスペンス大賞優秀作。20年以上前の物語。この賞自体もう存在していない。軽い気持ちでは読み切る事は出来ないとても重たい物語。ゾクゾクとワクワクで気持ちが深く深く沈んで行くまさに天童ワールド☆5つ
Posted by ブクログ
とてもとても面白かった。
人間の闇や弱い部分の見事な描写にぐいぐい引き込まれる。感情移入しすぎて、カフェで読みながら涙を押し殺すのが辛かった。
Posted by ブクログ
すごく面白かったと同時に、すごく恐ろしい物語だった。
天童荒太さんの小説を読むのは初めてだけど、映像化されているものはいくつか観ていて、そのほとんどすべてに共通しているのが“人の生い立ちとその後のこと”だと思うのだけど、人の暗い生い立ちが凶悪な犯罪につながることもあるという物語の中の出来事は、現実でもけっこう見かける事実だと感じた。だからとても恐ろしかった。
物語の大筋は、ひとり暮らしの女性たちが次々誘拐され悲惨な末路を迎えている連続殺人事件と、同じ管轄内で度々発生しているコンビニ強盗事件。
コンビニ強盗を担当する女性刑事の風希、音楽をやりながらコンビニでアルバイトをしている潤平、コンビニ強盗事件の際たまたま居合わせた謎の男タカシが主要人物で、その3人の視点が順繰りに物語を綴っていく。
人が痛めつけられるシーンはとても凄惨で、血の臭いさえ漂ってきそう。そういえば他の作品が映像化されたときもけっこう凄かったな…と思い出した。
普通ならば想像もつかないけれど、酷いやり方で人を痛めつけ殺しても何とも思わない人間が確かにこの世の中にはいるのだと思う。けして物語上のお話ではないということ。
凶悪犯罪が起こるとテレビでは度々“犯人の心の闇”にスポットを当てるし、実際生い立ちが人格形成に影響することもあるのだろうけど、すべてをそのせいにするのは違和感があるし、いくら心に闇があるからと言って他人を傷つけていいわけではない。
この小説は主要人物がみんな何かしらの心の闇を抱えているからこそ、そうであってもまともに育った者とそうでない者の対比がはっきり見えたように思う。
終盤は本当にドキドキハラハラしながら一気に読んだ。軸は重いけれど、ミステリ的な読み物としてすごく面白かった。
Posted by ブクログ
見るからに怪しそうな描かれ方の少年、見るからに普通の人好きしそうな青年。
どっちが歪んだ精神の持ち主か。
モデルみたいな外見の、品が良さそうな美女、清楚で地味で目立たないが意志の強そうな爽やかな女性。
どっちが真の美しさを持っているか。
そういう対比もこめながらの登場人物描写かな、と。
自分の願望のために、相手の人格や人生をめちゃめちゃにするという凶悪犯罪者の思い込みの強さは、他の作品でも見られる。
それに特筆すべきものはないが、登場人物の闇に絡む過去の事情や、家庭環境などというものに焦点が当てられているのかな、という気はする。
読んだことはないが『家族狩り』の作者でもあるし、そういう焦点の当て方が面白いので、他の作品も読んでみようか。
Posted by ブクログ
はじめまして…天童荒太さん!
1997年の作品
主要な登場人物は三人。
深夜のコンビニでアルバイトをしながら
音楽の道に進んでいる 《オレ》
コンビニ連続強盗事件を担当しながら
若い女の子ばかりを狙った…
猟奇連続殺人事件を密かに追っている
女性警察官の… 《わたし》
そして猟奇連続殺人事件の犯人 《彼》
…と、区別しているんだけど
結構短い間隔で
画面がそれぞれ3人の視点で切り替わる
手法を使っています。
それぞれの描写がじつに丁寧に描かれていて
その光景を覗いてるみたい…
だから余計に…猟奇殺人の描写が凄かった。
本当に『あまちゃん』だわ ಠ_ಠ
これからも怖いのだって挑戦するわ!
待っててね♡
Posted by ブクログ
潤平の周りからの評価と内面での自我のギャップに魅力がすごい。
一人を好むけれど高を心配したり風希を思ったり。潤平と風希のように自分の中の保身の気持ちを認めて自己嫌悪する場面は多くの人が共感する部分だと思う。人に言えない心の内を風希は誰にも言えないまま。潤平は風希に打ち明けたことで、風希は誰にでもあると潤平に言ったけれど風希自身が潤平もそうなんだと安心した気がする。
Posted by ブクログ
コンビニ店員の潤平、刑事の風希、犯人の松田、それぞれの抱える孤独が引き合わせてしまった様な惨殺な事件。
今の世の中、確かに隣人が誰かわからないのも珍しくもないし、お互いに干渉しない暗黙のルールの中で生活していると、失踪しても気付かれないは普通にありそうで怖くなった。
松田の幼少期があまりに可哀想。結局、母親は夫の愛情を取り戻したくて息子の松田を、洗脳していたのだから。
最後に、潤平のバトンは受けとってもらって良かった。
Posted by ブクログ
次々と若い女性をさらい、じわじわと殺していく
猟奇的殺人鬼。
それを追う女刑事。
歌を追い求めながらコンビニで働く青年
3人の人間の孤独がひりひりと伝わってくる。
サイコミステリとしても、心理ミステリとしても
秀逸
Posted by ブクログ
ギター少年のキャラがよかった!
ただ女の人を尾行してインスピレーションから得た音を録音するのは完全に不審者…笑
異常者の「パパー!」と「ペルー!」はなんか笑ってしまった。
ラスト女性警官と結ばれてるラストを期待したけど、そこは流石になかったか!
でもこのラストも綺麗でいいな。
Posted by ブクログ
天童荒太さんの作品、初めて読みました。
なんか、読み始めからこの本スゴいって思いながら読み進め、最後まで引き込まれっぱなしでした。
思わず顔を顰めてしまう様な殺戮のばめんが多々あったけど、深く考えさせられる事もいっぱいありました。
自分の孤独に気づかない、気づいていても抗う、
孤独に悩む、受け入れる…
どうするかなんて自由なのに形がない故に悩んで、傷ついて抱えきれなくなって、人を傷つけて…
結局は自分のエゴになってしまうのかもしれないけど、それでも1つでいいから大切な人と繋がる何かを感じて自分の孤独に向き合っていたいです。
天童荒太さんのほかの作品も読んでみよっと。
Posted by ブクログ
コンビニで深夜アルバイトをしながら歌に情熱を傾けテープレコーダーに吹き込み宮沢賢治を好む瑞々しさも覗かせる不良的青年、過去や隣室の友人の失踪から一人暮らしの女性を狙う連続猟奇殺人事件を追う女性刑事、家族を作ることに固執し病み切った歪みを炸裂させ監禁する犯人。三者を通した緻密で濃密な様に引き込まれた。
Posted by ブクログ
天童荒太作品だから読んだ本。内容のことを知らない状態で読んだ本。作中の連続殺人犯が「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良吉影みたいだと思った。犯行の場面がグロかった。連続殺人犯の心の闇が深かった。読むと犯罪係数が上がりそうな小説だと思った。映像化しにくそうな小説だと思った。
Posted by ブクログ
『雪の鉄樹』の帯に天童荒太さんの名前があったので、気になって購入。
イントロの不穏な感じから一気に引き込まれた。
謎解きメインのお話ではないので、犯人はすぐに分かるのだが、そこから終盤に向けての展開が、背中がぞっとするほど狂気に満ちていた。
おすすめだけど、グロいのが苦手な人は注意。
Posted by ブクログ
スリリングで読みやすく、不気味な感じがすごく楽しめました!
(まあ普通はもっと怖がるものなのかもしれませんが、私はエンターテイメントだと思って面白く読みました)
誰かのレビューで「後味の悪さが云々」っていうのを読んだ気がしてそれも楽しみにしていたのですが、そこは、それほどでもなく、、、がっかり(どんな性格してるんでしょ私)
読ませる内容だなぁ!って感じなので、この著者の他の小説も読んでみまーす^^
Posted by ブクログ
根源的な人間の孤独を見つめる三者三様のあり方が,いろいろな形で関わってくる.コンビニ店員の潤平の孤独の形が,第二走者の不在に起因することが,本当に痛ましく感じられた.最後の女刑事との孤独のふれあいが響き合って,新しい音楽が奏でられる予感で清々しい読後感となった.
Posted by ブクログ
天童氏の初期の作品というが、圧倒的な迫力がある。人の奥底に潜む全き孤独は、時として負の部分と結びついてしまう。そこから浮き上がるためには浸みとおってくる人の優しさが必要なのだ。誰もが孤独であり、誰もが優しさを持っているのだから。
Posted by ブクログ
自分の中にある孤独をどう表現していくのか?
「もうひとりぼっちじゃない。」
という孤独にたいするメッセージ。
しかし、理解し合うことではなく、つながることではない。
こういう作品を読むと、心がいたたまれなくなる。
つらいのだ・・
とことん「逃げ場」を失っている。
登場する人物は、3名。
それぞれが「孤独」というものを背負っている。
風希 子供の頃の経験が、自分の中で、深く根ざしている。
誘拐 殺人 そんなことはいつもおこる。
ここでの生きている姿は、りりしく、
そして、まっすぐにいきようとしている。
ある意味では、小学生の体験として、自分の友人が誘拐された。
そのことを背負っている。
そのために、刑事の枠をはみ出している。
「一人でいいんだ・・」
ひとりだって生きていける。
陸上のリレーの選手。
ファーストランナーとアンカー
潤平 歌を表現する・・
自分の中で少しづつ変化している。
心の何かが、変化する。
どのような音色なのか
宮沢賢治が聞いていた音 風、川のせせらぎ、・・・・
自然がなくなっていくことによる音の変化。
川の色が変わる。
タカシ コンピュータシステムエンジニアリング
昼と夜の人格の分裂
イメージとしての家族
ひとりでいること。
家族をつくろうとする。
タカシは、学校の成績は優秀であるが、
まったく目立たない普通の人間である。
未婚の母をもち、その母が、少なくとも、
常識的な範囲内での生活を行えなかった。
それが、深くタカシの人間形成にかかわってくる。
家族をつくろうとするが、家族とはなんであるのかわからない。
「家族」というものを教える人がいないからだ。
家族とは、自分の体験でしかない。
家族への強制。
そこに、若い女性を強制的に連れてくる生活は、異常でしかない。
確か、新潟でそのような事件があった。
小学生を誘拐し、監禁生活を送る。
その家の中には、母親もいた。
しかし、母親は、そのことを知らなかった。
なぜそのようなことが、現実に起こるのか?
その監禁の上に、殺傷行為をおこなう。
母親が、なにか言うことを聞かないと、そのような行為をした。
そのことの影響。
そして、タカシの結婚、その時に母親が自殺する。
結局は、離婚。
どこか壊れたまま、コンビニエンスストアーで、獲物を探す。
昼と夜の生活の分離・・
どこで、狂っていくのか。
何がきっかけで狂っていくのか。
その狂い始めるところが、とても興味がある。
Posted by ブクログ
孤独とは何か。3人の孤独の捉え方。
幸せ、寂しさ、共存すること。
犯人は母親に何度か成長過程で反論しているが、母の狂気じみた愛情表現に逆らえず、吸収していったため、人とのつきあい方がわからず毒されていった。彼のそばには最初から誰もいない。みんなが間違っていて、僕がちゃんと教えてあげる…さぁ、これが正しい愛情、幸せなんだという歪み。
Posted by ブクログ
第6回日本推理サスペンス大賞受賞。
7回で終了したらしいですが。
そして、カバーの写真は先日亡くなった彫刻家の船越桂さんの作品です。これが、この小説ととてもマッチしています。
確かにサスペンス。
事件は二つ。コンビニ強盗事件と一人暮らしの女性を狙った連続猟奇殺人事件。
中学時代に親友を見殺しにしてしまったと思い続ける女性刑事。
コンビニでアルバイトをしながら音楽を続ける孤独の歌声を持つ青年。
病んだ母親の束縛の下、家族という形態に執着するサイコパス会社員。
喧騒な都会の中の寂然な孤独。
孤独を望む中で、出会って別れるまでの刹那に繋がりを感じる女性刑事と青年。
偽りの家族の中で孤独であり続けるサイコパス。
初期の作品なのか、面白く読んでみたけど とりとめがない感じもするかな。
Posted by ブクログ
天童荒太さんお初です。
タイトルにもありますが、“孤独”が大きなテーマとなっている作品。3人の主要人物が出てきますが、それぞれが、過去の経験から深い孤独に飲み込まれている。でもやっぱり犯人の“彼”の孤独の闇が一番深い… 幼少期の家庭環境が本当にキツい…
Posted by ブクログ
孤独は好き。むしろ、孤独でないと居心地が悪いこともあった。
でも、このことをいうのは勇気がいったものだった。
ほんとうに孤独じゃないから孤独が好きだなんていえるのよ。
誰にも認識されなかったらどうなるの、寂しいんじゃない。
たった一人で宇宙に浮いている。
だあれも知らないのよ。
関係なく世界は続いていってしまう。
『ひとりなのは、よいことだったから。ただ、自分だけひとりぼっちというのは、ときに胸苦しく感じることがあるから、世界のどこかにいる、ほかのひとりたちを感じたくて』
「孤独の歌声」のストーリーはちょっと怖い。けして荒唐無稽ではない。起こりそうな起こって欲しくない事件の中で3人の(犯人と女性警官と19歳の男の子)孤独の歌声、不謹慎だがハーモニーが奏でられる。
Posted by ブクログ
とても暗い物語だった。
文学的なサイコパス小説といった感じ。
登場人物皆が暗い孤独な一面を持っていて
いつ道を踏み外してもおかしくない危うさがある。
おひとり様が、確立されている現代では
「孤独」の在り方が偏りすぎてる気もするけど。。
心理描写が卓越しすぎて、とても心が重くなる1冊でした。
天童荒太さんの本、他のもこういう作風だったら、
私はちょっと読むのをためらってしまうな。
Posted by ブクログ
今までよんだ天童さんの作品は子供の不遇のだったから、全然違った。コンビニ強盗と誘拐殺人と潤平とふきの過去と盛り沢山だった。薄い本だし、コンビニ強盗はなしでもよかったかも。他をもっと深く読みたかった。
Posted by ブクログ
読み初めは内容がよくわからず 入ってこなかったが、読み進めていくうちに一つの線になる。
人は育った環境、周りの人間によって形成されてゆく。
しかし、誰かれかのバトンを受け取ったり受け渡したりして繋がってゆく
Posted by ブクログ
最初は登場人物の危うさ、表現のグロテスクさにあまり入っていけなかったけど、途中からそれぞれの心の闇とそこでもがいている姿を知り、恐怖を感じながらも引き込まれていった。最後、バトンがつながってよかった。