有吉佐和子のレビュー一覧

  • 非色

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    終戦直後に黒人兵と結婚した、いわゆる「戦争花嫁」の笑子が、生まれた子供を連れニューヨークに渡り、貧民街で暮らし、「差別とは何か?」を問い続け生き方を模索する姿を描く物語。

    今から60年以上も前に書かれたとは思えないほど、今でも通用する差別への問題意識に圧倒される。
    人種差別の根源は何か。それは肌の色ではないのではないか。貧困、階層、生き方、さまざまな要素、そして何より差別しなくては生きていけない人間の性にあるのではとの考えに納得。

    黒人、プエルトリコ人、イタリア系白人、ユダヤ人、そして日本人。同じ黒人でもアメリカの黒人とアフリカの黒人の違いなどさまざまな人種が登場し、それぞれが誰かを蔑み、

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    2026年01月20日
  • 華岡青洲の妻

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    唸るしかない。この薄さで女の六十余年の生涯を描き切るのである。武家から望まれて医者の家に嫁ぎ、慕っていた絶世の美貌の姑とやがては静かなれど凄惨ない関係に。世界初の全身麻酔手術を成功させた華岡が麻酔薬を完成させるまで、姑と人体実験の座を争うのである。
    それには「勝った」はずだが、最後の数行で、男の目から見ればそんな女たちの営みもが、当時の世では、ものの数にも入らぬのだと示され、なんだか改めて愕然とするのである。いや、今の世でもそうだよな。
    ところで文章のきりりと角の立った美しさよ! 時代もののこととて、漢字も多く古風なのだが、昔の紀州の方言が実に味わい深い。「〜のし」って語尾、ほかにあるー?

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    2026年01月18日
  • 恍惚の人

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    50年以上前に書かれたとは思えないほど、違和感なく読めた。今の悩みもそんなに変わらないと思うと、生きるって、なんなんだろうか…。敏の真っ直ぐすぎる言葉が痛い。
    考えるテーマではあるけど、これだけドッシリとした作品が読めて嬉しいと思う。

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    2026年01月17日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    社宅の「渡る世間は鬼〜」
    の、展開⁉︎と、面白がって、読み進めましたが。

    三号館に越してきた主人公家族。
    同じ面積に建つ一号館、二号館は世帯数が倍。
    だって三号館はメゾネットタイプ‼︎
    でも、四号館建ち始めたら、赤とんぼ→カラーテレビのアンテナが‼︎
    そして、五号館に駐在員の家族たち⁉︎

    振り幅が広く。極端⁉︎かも。
    渡鬼ではなく…って。

    笑えなくって、怕さを感じた次第。

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    2026年01月13日
  • 悪女について

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    人に対しての評価って結局、主観でしかなく、自分の見える角度によってそれぞれ異なるって事が 面白く書いてある。40年以上前の作品なのに私にとって価値ある作品だった。

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    2026年01月11日
  • 非色

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    青い壺が面白く、こちらの作品も読んでみた。同様に随分と昔に発行されていたにもかかわらず、今読んでも古臭い感じもなく新たな気づきもある。人種差別の歴史的な背景を知る事は現在も残る人々の深いところの感情を意識して世の中を見る事ができる。

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    2026年01月09日
  • 女二人のニューギニア

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    おもしろい!
    素晴らしく読みやすい文章で、その場にいるような臨場感があるし、まだ未知の世界が残されていた最後の時代かもしれない。
    文明化されていない人たちと接しながら、手探りで研究をする畑中先生とうっかり尋ねてしまった友人で作家である、有吉佐和子のエッセイ。
    熱帯の山越えも壮絶だし、たどり着いた先に何もない(缶詰のコンビーフばかり食べている)とか、川の水で洗濯したり、水を飲んだり、私は帰って来れないな、と思うようなエピソードばかり。
    女二人言いたいことを言いつつもカラッとした関係性の表現が良い。

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    2026年01月07日
  • 華岡青洲の妻

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    ネタバレ

    100分で名著で知って買い、ようやっと読めた。

    請われて嫁いだのに、環境変化にも馴染もうと努力し、憧れの人と家族になれた喜びからの突き放し。夫にとって母よりも特別な存在になれることが自分の存在価値になっていったことが、皮肉にも麻酔薬の完成には必然だったのかも。
    夫はどちら贔屓でもなく、母、嫁にそれなりの対応だったのに、女たちが勝手にというのがなんとも。
    小姑がもっと間に立ってくれればまた変わっふたかもしれないのに。小姑も姑ほどではないが、侵入者に対する意地悪な気持ちがあったのでしょう。

    むかーし、子供向け漫画で読んだ華岡青洲夫妻の話からは想像できなかったお話しでした。

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    2026年01月01日
  • 悪女について

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    その五まで読み終わったが、もうこの話の中心である女のことが苦手で読み進めるのが嫌になった。

    そう思いつつその十まで読んでいるが、唯一自分の為になったことは、簿記を勉強したくなったこと。会社の状況を自分でも分かるようになって株やNISAへの投資に活かすのも面白そうだと思えた。
    自分で勉強を頑張り実際に活かしたことだけは凄いと思う。
    ただ平気で人を騙せるところは恐ろしかった。

    その十四まで読み終えて、少し自分の感じ方が変わっていることに驚いている。この子は本当の家族が欲しいことは偽りがなく、また金持ちを憎んで貧乏や不遇な人には優しくありたいのではないか。そういう意味で、清く正しくありたいと常に

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    2025年12月31日
  • 針女

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    夏に購入していて楽しみにしていた有吉佐和子さんの本。やっと読むタイミングが来た!
    読みやすい文体ととっつきやすい内容でさくさく進みました。

    太平洋戦争をくぐり抜けた女性の話で、孤児でありながらも和裁を家業とするおうちに引き取られて大切に育てられ、職を身に付け、ケガしつつもたくましく生きる様子が心強かった。
    縫い物まわりの事情や、戦前・戦中のそれこそ「丁寧な暮らし」がよく分かり、例えば針を布に刺すとき音を立てないようにするのが本当の達人みたいなこととか、義理のお母さんと2人で布団を剥いでもんぺとか服にすることが楽しいとか、自分でデザインしてすぐ服を作っちゃうところとか、100年も経ってないのに

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    2025年12月30日
  • 女二人のニューギニア

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    日経で紹介されているのを見て、読んでみた。
    女性2人のニューギニア滞在記。
    畑中さんのたくましさに驚嘆させられる。
    書かれたのはかなり昔だが、それを感じさせない面白さ。けど、当時のニューギニアに行きたい、、、とはさすがにならないな。

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    2025年12月26日
  • 悪女について

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    ネタバレ

    最後の義輝の話を読んで、君子は美しいものが大好きな純粋な少女だったのだろうと思った。
    美しいものの為なら悪意なく人を蹴落とせるし美しく魅せる為に平気で嘘もつけるという異常性をもっている。

    悪びれもせず金や土地を奪う被害者にとってはそれは悪女にしか見えないだろうし、君子が美しく見せようとしている相手には潔癖で綺麗な所しか見えない。

    鬼婆のような窃盗癖のある母親は美しくないので実の親ではないと嘘をつき、義彦が美しくない附子の嫁を貰う事を許せない。

    元から飛び降りる動機はあったものの、
    二十六人目の話を読むに年齢を若く美しく偽らずに適切な治療を受けていれば、死ななかった可能性が高い。

    しかし

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    2025年12月22日
  • 非色

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    ネタバレ

    差別に対する自分の認識をひっくり返されたような気がします。戦後の日本にやって来たアメリカ兵は白人ばかりではなく、実際には有色人種のアメリカ兵もいたということは今まで想像したことがありませんでした。様々な人種が存在する地域においては単純に肌の色だけではなく、それぞれの人種内で人種による差別意識があるということは、日本人ばかりの中で育って来た自分にとって全く新しい視点でした。その人の背景や置かれた立場によって、同じ人種内であってもそれぞれに差別意識が生まれる残酷さを目の当たりにした気がします。

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    2025年12月21日
  • 紀ノ川

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    紀の川流域旅行の記念に購入。
    知らない言葉が多くて時間がかかったけど面白かった!
    私もわりと古風な家の長女なので、花にも文緒にも激しく同意したり、いやそれは違うと反発したりで情緒が忙しない。
    ただ、家に忍従するつもりがあろうとなかろうと、まさに川の流れのように私も花や文緒のようなご先祖様から命を繋げてもらったはず。
    生まれた環境も選べなかった境遇も糧にして自分なりの社会貢献ができれば上出来なんだろうと思わせてもらった。

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    2025年12月22日
  • 悪女について

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    関係する人がインタビュー形式で主人公について語る形式が面白かった
    結局死の原因は???だったが、関わる人によって善人にもなり悪人にもなる
    人間って大なり小なり、こんな感じなのかもしれないと思わせてくれました

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    2025年12月17日
  • げいしゃわるつ・いたりあの

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    鬼籍に入られているはずの有吉佐和子様の、まさかの新刊!!!!!
    通勤途中の駅の本屋さんで見つけて即買いしました。
    原田ひ香さんの権力恐るべし。
    もっともっと復刊お願いします!


    軽やかなテンポで進む、芸者さん界隈のお話。
    私は京都の料亭で正社員として勤務していた経験がありますが、ここで書かれているように、料亭の女将さんが地域を束ねて芸妓さんを取り仕切ったり指示したりっていうようなことは多分、もうあの頃はなかったんじゃないかなぁ・・・某老舗フランス革鞄ブランドがマハラジャを歓待しているお席とかはあったけどどうだったんだろう。
    とにかく未知の世界で、ワクワクしながら読み進めました。
    ストーリーテ

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    2025年12月13日
  • 女二人のニューギニア

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    有吉佐和子さんの背景知識など皆無の状態で読み始めたため、序盤に時代背景の違和感に気づき、初版が1969年と見てとても驚いた。関西弁の2人のテンポの良い会話に、行ったことのないはずのニューギニアの景色が脳裏に浮かんできて読んでいてとても楽しい時間を過ごせた。特にヨリアピを目指して山を越えていく場面は一緒になってクタクタになっていく感覚があって、読むのに時間がかかった。
    現代よりも遥かに不便な当時にこんな大冒険ができるんだから、自分もまだまだ何も諦めることはないんだろうなと元気が出た。
    時代を超えても愛される素朴で素敵なクスッと元気をもらえる旅行記だった。

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    2025年12月09日
  • 針女

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    東京下の針職人夫婦に育てられた清子
    ひとり息子の弘一に思いを寄せながらも、出征を見送り、
    戦時下、そして戦後を懸命に生き抜く。
    その間に針を踏み抜き、それがもとで片足が不自由に、
    清子は新たな負い目を抱え、さらに息を詰めるように暮らしていた時、弘一が復員。
    しかし戦争は人格をも変えてしまい、元のようにはいかない

    有吉佐和子の作品て、その時々の状況を切々と克明に描く、というのじゃなくて、時代背景として頭に置きながら、人間をより深く生々しくそして容赦なく、と。
    悪い人間には悪い人間なりの「う~ん そうだなぁ」と思えるところがあり、弱い人間には弱い人間に自然と寄り添えるところがあり、人間の描き方が

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    2025年12月08日
  • 悪女について

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    ネタバレ

    公子のことを清く正しくいい人という人ととんでもなく嘘つきで悪い人という人がいる。
    私も、とんでもなく頭が良くて、感心するほど計算上手な悪女だと思った。けれど、公子の幼なじみがそろばんを習ってたよねって言った時に公子は全く覚えていない様子なのがずっと引っかかってた。嘘をつけば済む事なのに覚えていない、人間違いだと言い切ったところに、もしかして双子かなりすましで2人いるんじゃないかと思ったくらい。そういうふうに私は本当は高貴な家の生まれなのにという作り話もそういうふうに本当に信じ込んで生きていくしかなかったのかな、その時その時で別人格を生きているのかなと思った。ドラマでは、公子がもし自殺だとしたら

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    2025年12月07日
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集

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    それぞれ趣向の違った短編集。
    以前読んだエッセイ集の中で、レッテルを貼られるとひっくり返したくなるという事が書かれていたのを思い出した。
    どれも面白い。

    【挿絵の女】
    「戦後」をまだ引きずっている時代。記憶喪失の画家が描く女の絵にモデルはいるのか
    【指輪】
    テレビの探偵バラエティに出演しているせいか、推理小説を依頼されて途方に暮れている小説家・有吉佐和子。
    日本舞踊家の友人が、指輪を預けに来て、数日後に自殺した。
    指輪の内側に彫られたイニシャルは何を表すのか
    【死んだ家】
    毎年一度は大病を患って一族郎党を呼び集める、旧家の女主。今度こそ危ないと医者が匂わす。相続人たちは、いかほどの財産がある

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    2025年12月06日