有吉佐和子のレビュー一覧
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ネタバレ有吉佐和子文学忌、有吉忌
1978年に週刊朝日で連載された有吉佐和子の『悪女について』は、1週ごとに1人、計27人が“悪女”富小路公子について語るという構成がユニークな作品。同時期にドラマも放映され、毎週少しずつ人物像が立ち上がってくる感覚は連載ならではだと思う。テレビ朝日系ドラマと週刊誌連載が、ほぼ同時進行だったとは、それは凄すぎる。
読んでいて思い出したのが、芥川龍之介の『藪の中』や、塩田武士『朱色の化身』。どちらも、複数の証言から一人の人間像を描こうとするが、語り手ごとにまったく違う顔が浮かび上がる。『悪女について』でも、公子を天使のように言う人もいれば、冷酷な計算高い女と決めつける -
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秋子の母 寿々は日本舞踊梶川流の門弟で若い頃から名の通った踊り手だった。 自ら稽古場と内弟子をもつ彼女は娘である秋子を顧みることはなかった。
秋子が六つの時 寿々は還暦を過ぎた七世家元 梶川猿寿郎の子を産む。
家元が自ら千春と名付けた娘を踊り手として育てあげようと寿々は躍起になった。
必要なのは血筋なのか 天賦の才なのか精進なのか …
終盤 八世猿寿郎の「─踊りの間というのは魔物の魔だ。誰も逃げ出せない。みんな死ぬまで踊り続けるんだ。僕は魔物に首の根っこを押さえられている。だから家元の僕は、門弟の首の根っこを押さえていなきゃならないのさ。─考えてみると、日本舞踊は近頃の新興宗教と似たことを -
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初読だった有吉佐和子さん。
青い壺で知ったのですが、一言で面白かったとは
言って良いのかわかりません。ただ、
戦争がもたらした様々な人間の闇や人を変えてしまうほどの打撃をもたらした事は事実であり
単純に戦争が良いとか悪いとかのお話では
ありません。
主人公の清子、親代わりだったお幸、三五郎
息子の弘一
戦争がなかったらきっと、本物の家族に
慣れたのではないか。淡い恋心が成就していたのか
仄暗さもありつつ、時にハラハラしたが
筋の通った考えを貫いた清子が先に
幸せであって欲しいと、ただ願った。
それにしても、お幸も恐ろしい。
弘一は今の言葉で言うと「クズ」に思えた。
戦争で苦しんだのはアン -
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高齢の義父とその周りの家族のお話。
有吉佐和子先生の本、2冊目完読。
高齢者との生活の大変さを、リアルに表現されている。
ストーリーは、突然の義母の死から始まる。
それと同時に舅の認知症状に悩まされる話。
恍惚の意味は、さまざまで心奪われるや朦朧とするの他に、ボケとあり、認知症の意味なのか。
1972年の作品で、この頃はまだ認知症と高齢化社会などという言葉も表現されていない時代。
今では、支援センターや、役場に行けば相談に乗ってくれるところもあるが、この当時は、すっかり見放されてる感が切ない。
舅の世話に追われながら、家事や仕事をこなす主人公の嫁に感心した。こんな嫁は、今も昔もいないだ -
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有吉佐和子『恍惚の人』。
姑が急死。離れに住んでいる舅・茂造の老人性痴呆に。共稼ぎの嫁・昭子は義父の介護に追われることに。
しかし夫・信利は実の父にもかかわらす、介護に及び腰。『俺もこうなるのか』という始末で、息子・敏以上に役立たず。
敏も、『パパもママもこんなになるまで生きないでね』と…
そんな中、昭子はほぼ一人でその役割をこなしていく…
昭子には頭が下がる。
働きながら、義父の介護をするなんて…
信利にはもう少し、昭子を助けるつもりはないのか、自分の親なのにと、思ってしまう…
が、自分ならどうだろう⁇
仕事を抱えながら、親の介護ができるだろうか⁇
少なくとも、昭子のようにはできないだろ -
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⭕️針女(しんみょう)
主人公の清子は両親を失った後、裁縫の親方・三五郎に引き取られ、親方夫妻と息子との家庭のもとで、我が子のように愛情をもって育てられていた。
三五郎の妻・お幸も、思いやりと優しさをもって清子と接していた。
清子は針子としての資質に長けていたようで、若い時から仕事を任されるようになる。
若い清子は、三五郎の息子・弘一に思慕の念を密かに抱いていた。
弘一は幼い頃から学業には秀でていて、大学は東京帝大に進んでいたのだが、学徒出陣で出征することになる。
弘一に召集令状が届けられた時、受け取ろうとした清子は慌てて立ち上がる時に縫い針を足に刺し、大層な手術が原因で右足が不自由な身となっ -
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毎年楽しみにしている新潮文庫の100冊。
何が楽しみかって…キュンタのしおりです(*ˊ ˋ*)
昨年から6種類になったので、今年も6冊購入してコンプしました!
昨年は6冊続けて読んだけれど、今年は積読がありすぎて、きっと夏の間には読み切れない…(((( '-' ))))
本書はそのうちの1冊。
あらすじに惹かれて手に取った。
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》
謎の死を遂げた美貌の女実業家、富小路公子。彼女に関わった27人の男女へのインタビューで浮かび上がってきたのはー…?
ある者は彼女を善人だと言い、またある者は彼女を悪人だと言う。
読み進めるごとに、富小路公子へ -
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周囲と世の中が有吉ブームなので私も乗っかかった。
女二人、和宮様、閉店に続いて4作目の本書は短編集。
地唄
デビュー作。渋くて硬い。
(直前に私が読んでいた、中島梓の「絃の聖域」三味線の芸の一族の話とリンクしている。まあ余談ですが)
計算し尽くされた話。
有吉氏、25歳でこんな話が書けるもんなのか。
娘の調律に気づく父、無音で肚の探り合いだ。ドキドキ。
ラストで、父(盲目、三味線の名手)が、女弟子の新関を車内で隣の席を外させる、その行為の意味を考えるとけっこう残酷だ。
検校(けんぎょう)という地位を知り勉強になりました。
美っつい庵主さん
面白かったー。こういうの好きだ。
女たちの共同生活