有吉佐和子のレビュー一覧

  • 悪女について

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    ネタバレ

    いやー面白かった!
    死んでしまった1人の女性に関して様々な人の視点から語られてるんだけど、どれが本当の彼女なのかわからない位見せる顔が違ったんだなぁと。
    最初はミステリーっぽいって思ってたけど、最後はそういうことね、彼女らしいわっていう感じだった。本当にいろんな顔見せてた主人公だったから最後どうやって帳尻合わせてやってたのかネタバラシみたいなか本人の視点からあるとより面白かっただろうなぁって思う。まぁ死んでしまった人の話だからそれは無理なんだけどね。

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    2026年10月04日
  • 非色

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    デリケートな人種差別問題に踏み込む作品。白か黒かという単純な話ではなく、黒の中でも差別はあり、みな自分より下の人間を見下し蔑むことで、「自分が一番下ではない」と自尊心を保っているのだという残酷さを感じた。登場人物のなかでは平等の心を持っている主人公でさえ、ニグロの妻であることを隠そうとしたりプエルトリコ人と同等に扱われて激昂したりと、どうしても差別意識は内に存在してしまうのが印象的だった。私も私の周りも、人種にしろ部落にしろ被差別者とは縁がないし、誰のことも差別していない(と思っている)ので「黒人と遊んじゃダメ」などというのは頭がおかしいと思える。しかし、もし周りの人がそのような考えなら、私も流されて同じように差別してしまうだろうと思った。親がそのような思想ならなおのことであり、当たり前のように差別的な思想に触れていたら、当たり前のように受け入れられるのかもしれない。今でこそ世界的に「差別はやめよう」という動きがあり、昔と比べれば圧倒的に減ってはいるのだろうが、こういった先祖代々受け継がれたとも言える差別意識は簡単になくせるものではないのだろうとも感じ、複雑な問題なのだと改めて思った。

    有吉佐和子さんを存じ上げなかったので、解説を読んだとき、1960年代に書かれたものだと知って驚いた。たしかに難しい言葉や漢字も多いが、ここ10年くらいで書かれたものだと勘違いするくらいには読みやすかった。

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    2026年09月28日
  • 青い壺

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    青い壺が戦後まもないさまざまな人の手に渡る話。
    当時の時代背景と、その時代を生きた人たちの心情が生き生きと伝わってきて、いい本だった。
    個人的には、病院の清掃係のおばあちゃんが花を集めて枕にしている話が好き。

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    2026年09月26日
  • 青い壺

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    青い壺を巡って色んな人の人生が見えて来るような気がした。物語の背景となる時代も少し古い為にちょっと読み難かった部分はあったが日本人の文化として忘れかけていた大事な事がよみがえって来るような感じがした。青い壺もそうだけど見事すぎる作品は同じ場所には長くいないものだと感じました。

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    2026年09月24日
  • 悪女について

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    面白い。
    今まで読んだ有吉佐和子作品の中で一番好き。
    公子の不穏さ、信用ならなさはあるが客観的にみていると面白い。
    関わりたくはない。

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    2026年09月26日
  • 青い壺

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     ある高齢の平凡な陶芸家・省造が焼き上げた青磁の青い壺。あまりにも清澄で美しく高貴な気品がある作品となったことから、この壺が数奇な変転を経ていく、そして再び100数年後に省造の目の前に。この壺が、13章の中で次々に渡っていくその経緯がまたいろんな人生を感じさせるという楽しい物語の構造である。ある定年後の呆けてきた定年退職者が妻と百貨店で入手し、かつての上司に持参するところから、その娘…。そして70歳の老女・弓香が京都での女子大時代の同窓会に出席した時の雰囲気が楽しいし、その時に安売りされている青い壺を入手という場面が印象的。弓香の孫からなんとスペインへ渡り、そしてまた日本へ。
    多くの人々を魅する「美しい物」の魅力を感じさせられるとともに、その鑑識眼を揶揄するような場面も皮肉。若い日から50数年を経て変わらない人間関係など、面白い材料に富んでいた。

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    2026年09月23日
  • 青い壺

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    初出は昭和51年~52年なんですね。
    まだ戦後30年程度で、この物語の中でも当たり前のように、日常の延長のように元気な老人たちが戦時中のことを語っていて。

    そのような時代の家庭の様子なども今とはだいぶ違っていて、そこが文化史や社会史を見ているようで面白かった。家父長制がまだまだ残る、専業主婦が当たり前の世代。

    13話から成るオムニバス形式の短編集で、どの話にも青い壺が登場する。同窓会を兼ねた京都旅行に行ったおばあさん軍団の話が面白かった。定年退職したあのご主人の奥様のその後が気になって仕方ない。

    それにしても文体が相変わらず上品で美しい。それでいて読みやすい。たまに有吉作品読みたくなる。次は何読もうかな。

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    2026年09月23日
  • 恍惚の人

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    義父が認知症になる話。
    旦那、息子、親戚、近所の人との人間関係がメイン。

    1972年に執筆された本。
    男性陣の介護に対する「我関せず」がイライラした。
    主人公の女性の、義父に対する思いが変化していく様がとても良かった。
    親の老後、自分の老後について考えさせられた。
    「老いは死よりずっと残酷だ」

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    2026年09月22日
  • 非色

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    戦後黒人アメリカ兵と結婚した主人公家族が受ける差別を描き、その根底にあるのは肌の色ではなく階級だということ、誰かと比べて優位に立ちたがる人間の姿に考えさせられる…と書くと難しそうですが、そんなことは思わせない力強い文章に引き込まれます

    重要な決断を反発心で決めてしまうところもリアルで、エンディングでは何かが解決するわけではないけれど、主人公の決意に清々しさを感じました

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    2026年09月20日
  • 青い壺

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    昭和51年に出され最近復刻され話題になった有吉佐和子のオムニバス小説。京都の陶芸家が十数年前に青磁の壺を製作し、それから12人の人たちに数奇な運命をする壺から編まれる小説集。戦前の日本のセレブの家庭の話や上流家庭の70過ぎの女子校のクラス会で京都を旅して老年にさしかかった女たちの生き様をユーモアのオブラートにくるんで物語る。最後の制作者の前にこの壺がスペインから現れる展開に、物凄いエンターテインメントを感じる。よくできた小説、また、有吉佐和子の筆遣いが見事な作品だった。

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    2026年09月17日
  • 青い壺

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    ひとつの青い壺を通して、こんなにいくつもの人間ドラマが描けるのはやっぱり凄い。
    時代的背景もある文体は、今目にしていても美しく感じる。人々の心の機微はそれぞれ違い、様々な思惑が浮かぶが、一貫してこの文体が色を付けているように全体の雰囲気を作っている。
    最後壺が戻ってきた時に、自分までいろいろな人生を旅したような、様々な人生を垣間見たような、不思議な感覚になった。


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    2026年09月16日
  • 悪女について

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    何を悪女とするのか、何が悪女なのか
    悪女とはどういうものか
    色々考えさせられるというか、この現代においても全く古さを感じさせない本でした

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    2026年09月16日
  • 青い壺

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    知人に勧められて購入したら、義父から貰った沢山の文庫の山にも同じものが。義父が昔に読んだ本が、時代を経ても古臭く感じないストーリーで、短編のそれぞれの人間模様が非常に面白かった。
    青い壺が取り巻く人間模様に情緒が溢れ、今も昔も人の心は変わらないことを感じさせられる作品でした。

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    2026年09月15日
  • 青い壺

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    文章を読むのがあまり得意でない私でも情景や場面が自然と浮かぶものでした。スッキリとした癖のない日本酒を飲むように読み進めることができました。

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    2026年09月13日
  • 針女

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    敗戦後、なかなか立ち上がれなかった女性が、びっこをひきながら、立ち上がり強く生きていこう、と思うまで。
    清子にとったら大事だと思っていたことが全て敗戦後崩れ落ち、そればかりか自らを攻撃してくる事態にまでなってしまう。
    それらを全て捨てて、自分の脚をびっこにした針だけを頼りに生きる。
    その決意は結婚して日本から出る世津子と対照的だけど、どちらも勇敢でかっこいい。

    それにしても戦争は惨めで酷いものだったけれど、戦争がお幸や弘一を醜くしたのではない。
    お幸も弘一も、本質的にそういう人だっただけ。
    弘一は戦争の被害者だったんだろうとは思うけど、少なくとも出征前から誠実だったことは一度もなかったと思う。
    お幸は嫉妬で狂った。世津子が清子に嫉妬するくらい美しいと言っていたが、びっこや野暮ったいみなりなど関係ないくらい美しかったんだろう。

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    2026年09月14日
  • 非色

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    最初から物語の世界にすっと入る事が出来た。
    「母の言葉に私は強い反撥を覚え、そして同時に私はトムとの結婚に踏み切ったのであった。」
    笑子はこの時代にしては強い気持ちを持った女性だと感じた。
    「人間が生きていることを最低のところで支えているものは何なのだろうかと、私は考えてみないわけにはいかなかった」
    人種差別に巻き込まれて苦しく思いながら読んだ。

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    2026年09月14日
  • 悪女について

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    ネタバレ

    すごく興味深くて、面白い作品だった。

    謎の転落死を遂げた40歳の女実業家・富小路公子について、27人の知り合いが彼女の人柄を語る構成になっているのだけれど、「あの人は潔白だ」「素敵な人」「あんな女のことは思い出したくない」など、語る人によって公子の人物像がまったく違う。読みながら年表や相関図を書きたくなるくらい人間関係が複雑で、公子がいかにうまく人間関係を欺いていたのかがよくわかる。

    2人の息子のくだりでは、「ああ、あの2人のどちらかの子どもなのね」と思ったところで、さらにもう一人の候補が出てくる。本当にこの人、何人と同時に関係を持っていたんだろう、と驚かされた。産院にこんなにたくさんの男性が出入りしていたとは思わなかった。

    そして、当然のことではあるのだけれど、それぞれが自分の主観で公子について語るため、「ネグリジェで死んだ」とか「殺された」とか、証言の内容もばらばら。27人いれば27通りの公子像があるのは当然なのだけれど、それぞれが自分の目に映った公子を語っているからこそ、同じ人物についてこんなにも違う話になるんだと思った。噂というものも、こうやってそれぞれの解釈や思い込みが混ざって、尾ひれがつきながら変わっていくんだろうな、とも感じた。

    公子の言葉には、綺麗で感動するような、励まされるようなものがあったのも事実だった。男関係だけを見れば悪女だし、偽物の宝石を売るのは詐欺だし、勝手に籍を入れることだって悪いこと。それなのに、あの人の言葉には人を動かす力が確かにある。その言葉が一体どこから生まれていたのかは、最後までよくわからなかった。

    最後に、血圧が低く体調を崩していたという描写があるけれど、いろいろな顔を使い分けることによる心労が、そうした身体的な不調にも出ていたのかなとも思った。

    ただ、知り合いには巧みに嘘をつきながらいろいろなことをしてきた公子が、長男に対してだけは強い執着を見せるのはなぜなんだろうと思った。そこだけは、公子にとって何か特別な意味があったのだろうか。

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    2026年09月07日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    昭和の人間なので、物語の雰囲気が懐かしいです。

    昭和初期の大手企業の社宅はみんなの憧れ。そこでよくある奥様方の生活模様。ウワサや勘違い、子育て、序列、友人関係を扱ったライフストーリー。こう並べてみると、現在にも存在する感情なので、理解しやすいと思う。個人的には物語の昭和感がなんとも良い!私はこの空気感好きですね。
    ハラハラドキドキ系ではないものの、没入できました。

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    2026年09月07日
  • 悪女について

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    公子の生き方にミリも感情移入できなくて悪女にはなれないなと思った
    長男による公子像が1番納得できたんだけど読む人によって違うのかもな〜

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    2026年09月05日
  • 女二人のニューギニア

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    紹介文に抱腹絶倒とあったけれど、抱腹はしなかったかなあ…。小さな子を残して考え無しにニューギニアに行ってしまう有吉氏には驚いたし、私の想像を大きく上回るほどの発展途上ぶりに有吉氏(と畑中氏)は本当に大丈夫だったのだろうかと少し怖くなりながら読んだ。いくらこの時代と現代で様々な価値観が異なっているとしても!
    有吉氏と畑中氏の丁々発止なやりとりは面白かったけど。

    およそ60年前の作品と知りさらに驚く。事細かに記され、情熱を持った文章から想像できる鮮明な景色が、古さをまったく感じさせない。

    ニューギニアってどこ?というくらいこの国のことを知らなかったけれど、この本を読み終えたら今一体どんな国になっているのか気になるようになった。(お恥ずかしながら…パプア・ニューギニアの前身がニューギニアで合っているのだろうか…)

    この本が書かれた当時は戦後20年くらい。作中、まだ戦争の跡を感じさせる場面もあり、今わたしが生きているこの時代は決してパラレルなんかでもなく、こうして未開の地を侵しながらも闘い、時に理不尽に命を落としていった方達の犠牲のうえに成り立っているのだなと感じた。
    逆の立場のことも考える。なんの正当な理由もなく、住む場所をある日突然戦場にされてしまった人たちがいたという事実を私たちは忘れてはならない。

    この作品のニューギニアのように、発展途上国の奥地の部族がどのように現代文明に接し、彼らの生活に取り入れていったのか気になるところ。その良し悪しについても簡単には語れないだろうな。
    60年前の作品がこうして50年以上も経って改めて文庫化されて若い世代にも届いているということは大きな意味があると思う。

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    2026年09月02日