有吉佐和子のレビュー一覧

  • 非色

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    戦後黒人アメリカ兵と結婚した主人公家族が受ける差別を描き、その根底にあるのは肌の色ではなく階級だということ、誰かと比べて優位に立ちたがる人間の姿に考えさせられる…と書くと難しそうですが、そんなことは思わせない力強い文章に引き込まれます

    重要な決断を反発心で決めてしまうところもリアルで、エンディングでは何かが解決するわけではないけれど、主人公の決意に清々しさを感じました

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    2026年09月20日
  • 青い壺

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    昭和51年に出され最近復刻され話題になった有吉佐和子のオムニバス小説。京都の陶芸家が十数年前に青磁の壺を製作し、それから12人の人たちに数奇な運命をする壺から編まれる小説集。戦前の日本のセレブの家庭の話や上流家庭の70過ぎの女子校のクラス会で京都を旅して老年にさしかかった女たちの生き様をユーモアのオブラートにくるんで物語る。最後の制作者の前にこの壺がスペインから現れる展開に、物凄いエンターテインメントを感じる。よくできた小説、また、有吉佐和子の筆遣いが見事な作品だった。

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    2026年09月17日
  • 青い壺

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    ひとつの青い壺を通して、こんなにいくつもの人間ドラマが描けるのはやっぱり凄い。
    時代的背景もある文体は、今目にしていても美しく感じる。人々の心の機微はそれぞれ違い、様々な思惑が浮かぶが、一貫してこの文体が色を付けているように全体の雰囲気を作っている。
    最後壺が戻ってきた時に、自分までいろいろな人生を旅したような、様々な人生を垣間見たような、不思議な感覚になった。


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    2026年09月16日
  • 悪女について

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    何を悪女とするのか、何が悪女なのか
    悪女とはどういうものか
    色々考えさせられるというか、この現代においても全く古さを感じさせない本でした

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    2026年09月16日
  • 青い壺

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    知人に勧められて購入したら、義父から貰った沢山の文庫の山にも同じものが。義父が昔に読んだ本が、時代を経ても古臭く感じないストーリーで、短編のそれぞれの人間模様が非常に面白かった。
    青い壺が取り巻く人間模様に情緒が溢れ、今も昔も人の心は変わらないことを感じさせられる作品でした。

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    2026年09月15日
  • 青い壺

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    文章を読むのがあまり得意でない私でも情景や場面が自然と浮かぶものでした。スッキリとした癖のない日本酒を飲むように読み進めることができました。

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    2026年09月13日
  • 針女

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    敗戦後、なかなか立ち上がれなかった女性が、びっこをひきながら、立ち上がり強く生きていこう、と思うまで。
    清子にとったら大事だと思っていたことが全て敗戦後崩れ落ち、そればかりか自らを攻撃してくる事態にまでなってしまう。
    それらを全て捨てて、自分の脚をびっこにした針だけを頼りに生きる。
    その決意は結婚して日本から出る世津子と対照的だけど、どちらも勇敢でかっこいい。

    それにしても戦争は惨めで酷いものだったけれど、戦争がお幸や弘一を醜くしたのではない。
    お幸も弘一も、本質的にそういう人だっただけ。
    弘一は戦争の被害者だったんだろうとは思うけど、少なくとも出征前から誠実だったことは一度もなかったと思う。
    お幸は嫉妬で狂った。世津子が清子に嫉妬するくらい美しいと言っていたが、びっこや野暮ったいみなりなど関係ないくらい美しかったんだろう。

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    2026年09月14日
  • 非色

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    最初から物語の世界にすっと入る事が出来た。
    「母の言葉に私は強い反撥を覚え、そして同時に私はトムとの結婚に踏み切ったのであった。」
    笑子はこの時代にしては強い気持ちを持った女性だと感じた。
    「人間が生きていることを最低のところで支えているものは何なのだろうかと、私は考えてみないわけにはいかなかった」
    人種差別に巻き込まれて苦しく思いながら読んだ。

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    2026年09月14日
  • 悪女について

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    ネタバレ

    すごく興味深くて、面白い作品だった。

    謎の転落死を遂げた40歳の女実業家・富小路公子について、27人の知り合いが彼女の人柄を語る構成になっているのだけれど、「あの人は潔白だ」「素敵な人」「あんな女のことは思い出したくない」など、語る人によって公子の人物像がまったく違う。読みながら年表や相関図を書きたくなるくらい人間関係が複雑で、公子がいかにうまく人間関係を欺いていたのかがよくわかる。

    2人の息子のくだりでは、「ああ、あの2人のどちらかの子どもなのね」と思ったところで、さらにもう一人の候補が出てくる。本当にこの人、何人と同時に関係を持っていたんだろう、と驚かされた。産院にこんなにたくさんの男性が出入りしていたとは思わなかった。

    そして、当然のことではあるのだけれど、それぞれが自分の主観で公子について語るため、「ネグリジェで死んだ」とか「殺された」とか、証言の内容もばらばら。27人いれば27通りの公子像があるのは当然なのだけれど、それぞれが自分の目に映った公子を語っているからこそ、同じ人物についてこんなにも違う話になるんだと思った。噂というものも、こうやってそれぞれの解釈や思い込みが混ざって、尾ひれがつきながら変わっていくんだろうな、とも感じた。

    公子の言葉には、綺麗で感動するような、励まされるようなものがあったのも事実だった。男関係だけを見れば悪女だし、偽物の宝石を売るのは詐欺だし、勝手に籍を入れることだって悪いこと。それなのに、あの人の言葉には人を動かす力が確かにある。その言葉が一体どこから生まれていたのかは、最後までよくわからなかった。

    最後に、血圧が低く体調を崩していたという描写があるけれど、いろいろな顔を使い分けることによる心労が、そうした身体的な不調にも出ていたのかなとも思った。

    ただ、知り合いには巧みに嘘をつきながらいろいろなことをしてきた公子が、長男に対してだけは強い執着を見せるのはなぜなんだろうと思った。そこだけは、公子にとって何か特別な意味があったのだろうか。

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    2026年09月07日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    昭和の人間なので、物語の雰囲気が懐かしいです。

    昭和初期の大手企業の社宅はみんなの憧れ。そこでよくある奥様方の生活模様。ウワサや勘違い、子育て、序列、友人関係を扱ったライフストーリー。こう並べてみると、現在にも存在する感情なので、理解しやすいと思う。個人的には物語の昭和感がなんとも良い!私はこの空気感好きですね。
    ハラハラドキドキ系ではないものの、没入できました。

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    2026年09月07日
  • 悪女について

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    公子の生き方にミリも感情移入できなくて悪女にはなれないなと思った
    長男による公子像が1番納得できたんだけど読む人によって違うのかもな〜

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    2026年09月05日
  • 女二人のニューギニア

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    紹介文に抱腹絶倒とあったけれど、抱腹はしなかったかなあ…。小さな子を残して考え無しにニューギニアに行ってしまう有吉氏には驚いたし、私の想像を大きく上回るほどの発展途上ぶりに有吉氏(と畑中氏)は本当に大丈夫だったのだろうかと少し怖くなりながら読んだ。いくらこの時代と現代で様々な価値観が異なっているとしても!
    有吉氏と畑中氏の丁々発止なやりとりは面白かったけど。

    およそ60年前の作品と知りさらに驚く。事細かに記され、情熱を持った文章から想像できる鮮明な景色が、古さをまったく感じさせない。

    ニューギニアってどこ?というくらいこの国のことを知らなかったけれど、この本を読み終えたら今一体どんな国になっているのか気になるようになった。(お恥ずかしながら…パプア・ニューギニアの前身がニューギニアで合っているのだろうか…)

    この本が書かれた当時は戦後20年くらい。作中、まだ戦争の跡を感じさせる場面もあり、今わたしが生きているこの時代は決してパラレルなんかでもなく、こうして未開の地を侵しながらも闘い、時に理不尽に命を落としていった方達の犠牲のうえに成り立っているのだなと感じた。
    逆の立場のことも考える。なんの正当な理由もなく、住む場所をある日突然戦場にされてしまった人たちがいたという事実を私たちは忘れてはならない。

    この作品のニューギニアのように、発展途上国の奥地の部族がどのように現代文明に接し、彼らの生活に取り入れていったのか気になるところ。その良し悪しについても簡単には語れないだろうな。
    60年前の作品がこうして50年以上も経って改めて文庫化されて若い世代にも届いているということは大きな意味があると思う。

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    2026年09月02日
  • 青い壺

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    青い壺のたどる長い旅路の物語。
    持ち主が変わっていく中で、昭和の人々の生活が生き生きと描かれていく。
    最後はそこへ到達するのか!と思わせながら、ちょっとしたもやもやを仕掛ける有吉さんの他の作品も読みたくなった。
    アイテムは全然違うけど、逢坂冬馬さんの「ブレイクショットの軌跡」を思い出した。

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    2026年09月01日
  • 青い壺

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    8/30は有吉佐和子さんの命日、有吉忌。

    『青い壺』は昭和51年(1976年)1月号から昭和52年(1977年)2月号まで、『文藝春秋』に連載された全13話の連作短編集。

    単行本となり、文庫化され、2011年に新装版となり、私が購入したものは2025年の新装版、44刷。

    半世紀前に書かれた、見事な連作短編集です。

    今でこそ多種多様な連作短編が創作されていますが、一つの青い壺が、さまざまな家庭を巡りながら、それぞれの人間関係に緊張感を加えていくという仕掛けが鮮やかです。

    雑誌連載ですから、各話限られたページ数の中に、それぞれの家庭の事情、家族の心情、そしてその時代の日本の世情までが収められています。

    どの一話をとっても、それだけで一作品になりそうなほどの潤沢さ。それを13話。

    そして、ラストとなる第13話での
    青い壺を生み出した陶芸家の言葉、〜作品への刻印は、やめよう〜 には 作家・有吉佐和子さん自身が 創作への何かしらの思いがあったのではないかと思ってしまいます。

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    2026年08月30日
  • 青い壺

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    ネタバレ

    面白かった。時代も話の運び方も好き。
    青い壺が手を離れて違う形で自分の元に戻ってくる、でももう手の届かない形を変えることができないエンディングは、自分が話した噂が全く意図しない話になって帰ってきて、修整したくてもできない状態のようにも思えた。

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    2026年08月29日
  • 恍惚の人

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    古さを全く感じさせない話で、あっという間に読みました。
    とにかく昭子がスーパーお嫁さんすぎる。この当時、フルタイムで働いている女性は少なかったはずだが、家事も介護もバリバリにこなして、すごいの一言。
    おじいさんは幸せだったと思う。
    息子も本当に素晴らしい。

    私自身は介護の経験はないが、近いうちに必ずやってくるし、自分自身も年老いる日が必ず来るということがわかっているので、年寄りを邪険にしたりしないよう、肝に銘じたい。

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    2026年08月22日
  • 非色

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    ネタバレ

    これが60年前の小説ってどういうこと!??ってくらい時代錯誤感というか、あ〜昔の人、小説だもんね感がなくて、マジでどういうこと!??って感じだった。
    最後の、私もニグロなんだ!ってハッとするところと、日本人のもとで働くのやめよう&トムの瞳から失われた輝きをサムに取り戻させるって決意するところカッコよすぎて痺れた!!!やっぱり腹括って覚悟を決めた女はかっこいいよな
    黒いから差別されるんだ!辛い!ってなってたけど、しまこさんたけこさんの件でイタリア人も差別対象、、、?ってなって、
    プエルトリコ人になると私よりも下ってこと、、?ってなって、そこから自分もそう思ってることに気づいて自分の中で葛藤があって、
    最後にレイドン夫人の一件で自分が普通にトム達を差別していたことに気づいて、、、っていう話の流れで私の感情も揺さぶられた。
    私たちの普段の会話とかでも、最近これに気づいたとかこんなことがあってびっくり!!みたいな会話に対して、純粋に驚いたり相手に共感するんじゃなくて、そりゃそうだよとか知ってたとか返しちゃうことがあることに気づいて、それって自分が相手より色々なことを知ってる経験してるって心の中で思ってるからそういう返答が出ちゃうのかなって反省してたところだったから、こういう感情が差別を生むんだなって思った。みんながそれぞれ自分以外の人を見下して自分を保ってるのは悪いことなのかもしれないけど、私は疲れてるとネガティブになってそう考えないと自分が保てなくなる時もあって、本当に難しいなあと思った

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    2026年08月21日
  • 青い壺

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    サクッと読める。短編だけど繋がっていくのがワクワクした。主人公の夫婦が防空壕から引っ張り出した食器や銀食器を使い、ジャガイモとサツマイモだけで「架空のフレンチのフルコース」を優雅に味わうストーリーが印象に残っている。

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    2026年08月18日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    社宅内の主婦たちの間で、噂話にどんどん尾ひれがついて広まったり、妬みの裏返しで人の言動が悪く捉えられたりする様子に、人間の浅ましさを突きつけられる。
    一流会社の社員を夫に持つ女性たちがみんな、言葉はお上品なのに理性が無さすぎてちょっとしたことでねじれていく様が、もはや喜劇的。主人公音子の夫が、妻に振り回されず良い人だったことに救われた。
    こんなに口に戸が立てられない社会があったら、とてもではないけど生活できないなー(笑)

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    2026年08月16日
  • 恍惚の人

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    ネタバレ

    いつか読みたいと思っていた。昭和47年。50年以上も経って、介護保険という制度はできたが、老いの問題の本質は変わっていない。しかも、今の日本は子育てばかりが重要視されて、高齢者の問題は軽視されるようになっているような気がする。それでも、老いは誰にも訪れる。最初に警鐘を鳴らした作品として読み継がれていくべき作品だ。

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    2026年08月15日