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記憶を失った挿絵画家が描く女は誰なのか、揺れる心理を描く「挿絵の女」、代表作『紀ノ川』のもととなった「死んだ家」、日本舞踊家の生き様「鬼の腕」等、珠玉の単行本未収録6編。
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Posted by ブクログ
どうやら今年出たらい単行本未収録作品集。最近なんとなく有吉佐和子さんが再評価されている空気があり、嬉しい! そして本当に一編一編ハズレがないのに脱帽。 日本舞踏の世界を描いた短編『鬼の腕』なんかはさすがお家芸だけど、まさかフィクション風の推理小説『指輪』や、中国古典を題材にしたユーモラスな『崔敏殻』...続きを読む(中島敦風!)まで書いていて、しかも面白いとは!どれだけ才能があるんだ…。
それぞれ趣向の違った短編集。 以前読んだエッセイ集の中で、レッテルを貼られるとひっくり返したくなるという事が書かれていたのを思い出した。 どれも面白い。 【挿絵の女】 「戦後」をまだ引きずっている時代。記憶喪失の画家が描く女の絵にモデルはいるのか 【指輪】 テレビの探偵バラエティに出演しているせい...続きを読むか、推理小説を依頼されて途方に暮れている小説家・有吉佐和子。 日本舞踊家の友人が、指輪を預けに来て、数日後に自殺した。 指輪の内側に彫られたイニシャルは何を表すのか 【死んだ家】 毎年一度は大病を患って一族郎党を呼び集める、旧家の女主。今度こそ危ないと医者が匂わす。相続人たちは、いかほどの財産があるのだろうと気になって仕方ない。 【崔敏殻(さいびんかく)】 『鬼灯の冷徹』を思わせる、冥府が舞台の小説。中国の怪奇小説が元ネタらしい。 とにかく崔敏殻と閻魔大王の会話が面白い。 自分は死ぬはずではなかったのに、冥府の役人が間違えて迎えに来たと閻魔大王に15年も訴え続けている崔敏殻。 ああいえばこうの屁理屈に手を煩わされ、冥府の事務は滞り、診断を待つ亡者の皆さんが長蛇の列を作る始末。 【秋扇抄】 タイトルがネタバレを感じさせて、菊弥姐さんのはしゃぎ様に胸がいたむ。 【鬼の腕】 還暦を目前になお娘姿で踊ることにこだわる舞踊家の、芸への執念と、老いへの恐れ、男への執着と。
単行本未収録の作品集、6作品 時代が違うという感覚はあるのに、不思議と古さは感じない。この時代を生き抜く女性たちの生命力に圧倒される感じ。拳を振り上げて戦うわけではないけれど、与えられた立場に応じて全うする生き方、その心の持ちように共感すること多々。
単行本未収録作品集ということだが、バラエティの豊かさに驚いた。有吉佐和子さんを元々よく知らなかったとはいえ、前作と同じノリで展開しないというか、毎回良い意味で期待を裏切られるドキドキ感があった。 ただどの作品でも一貫して感じたのは、不自由を被る弱者を見逃さない目配り。それが前景に出るか背景に収ま...続きを読むるかは色々だが、ユーモア満載の作品でもそこは外さない。 ■挿絵の女 出版業界で生きる男二人と女一人の(おそらく書かれた当時の)現代劇。主人公格の男性の、「無駄な喧嘩はしないが自分の大事な人に害を為すものははっきりしっかり遠ざける」という、最後の態度が私はとても好きだった。これを良しとする作家の作品なら楽しめそうだとワクワクした一作目。 ■指輪 作者自身が登場。自虐を交えた面白顛末記でも始まりそうな楽しげな冒頭から一転、悲痛な事件、捜査。なんという暴力。 ■死んだ家 舞台は都会から一気に田舎へ。祖母の危篤に、亡き祖父から勘当された母の代わりに二十四才の孫娘紀美子が見舞いに行く。解説によると代表作『紀ノ川』との類似点が多いとのこと。 ■崔敏殻 今度は閻魔大王が出てきたぞ。主人公は中国人のようだ。これは有吉作品にいくつかあるという中国古典を題材にしたもののひとつだとのこと。しかしこの溢れるユーモアはなんだ。こういうのも書けちゃうのかと、短編集の多彩さに目眩を感じつつ、ブク友さんたちのレビューにあった中島敦、浮遊霊ブラジルとの言に深く頷く。 ■秋扇抄 ある芸者の注文を受けて究極の一着を用意する呉服屋。呉服屋は職人ではないが、コーディネーターでありプロデューサーでありこのプロジェクトの成否は彼の手に懸かっているといっても過言ではない。情熱迸らせ仕事に打ち込むシーンは木内昇っぽい(誰かっぽいと言いたい説もある)。昂れば昂るほど結末に向けてハラハラした。一番好きでした。 ■鬼の腕 妖艶な女舞踊家と、息子ほど歳の離れた青年(後に中年)の只ならぬ関係。なにということはないのだが濃厚。 本書はロッキーさん、111108さんのレビューでとても面白そうと思い、読みました(ありがとうございます)。恥ずかしながら、有吉佐和子…はて、阿川佐和子さんとは違うよな…というくらい何も知らなかったのだが、調べてみたら映画(『華岡青洲の妻』)やドラマ(『不信のとき』)や演劇(『ふるあめりかに袖はぬらさじ』)では知っている作品もあった。
短編は物足りないしプツンと終わり楽しむというよりあらすじみたい。 短編なのにまとめてあるのでこれを読んで有吉佐和子の本を読んでみたいという気持ちになる一冊だとは思う。
不可もなし、という感じ。 可もな短編集だが、どの作品もそれなりには興味を持って読めたが、特別印象に残っていない。 星は3つ。まさに平均レベル。
短編六編の作品集。 中でも閻魔大王が出てくる崔敏殻が面白かった。 現代ではなかなか使われなくなった言葉も風情も新鮮に感じられるのは筆者の魅力なのだとおもいます。
単行本未収録作品集であり短篇集だ。『指輪』はミステリー作品ともいえる恐ろしさがあった。また、『秋扇抄』では盛りを過ぎた芸妓の哀愁と、作品に賭ける呉服屋の凄まじいまでの情熱が表現されており圧巻。
(内容紹介) 記憶を失った挿絵画家が描く女は誰なのか、揺れる心理を描く「挿絵の女」、代表作『紀ノ川』のもととなった「死んだ家」、日本舞踊家の生き様「鬼の腕」等、珠玉の単行本未収録6編。 (収録作) 挿絵の女(1959年7月) 指輪(1958年7月) 死んだ家(1958年5月) 崔敏殼(1963年...続きを読む1月) 秋扇抄(1966年9月) 鬼の腕(1964年5月)
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