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Posted by ブクログ
敗戦後、なかなか立ち上がれなかった女性が、びっこをひきながら、立ち上がり強く生きていこう、と思うまで。
清子にとったら大事だと思っていたことが全て敗戦後崩れ落ち、そればかりか自らを攻撃してくる事態にまでなってしまう。
それらを全て捨てて、自分の脚をびっこにした針だけを頼りに生きる。
その決意は結婚して日本から出る世津子と対照的だけど、どちらも勇敢でかっこいい。
それにしても戦争は惨めで酷いものだったけれど、戦争がお幸や弘一を醜くしたのではない。
お幸も弘一も、本質的にそういう人だっただけ。
弘一は戦争の被害者だったんだろうとは思うけど、少なくとも出征前から誠実だったことは一度もなかったと思う。
お幸は嫉妬で狂った。世津子が清子に嫉妬するくらい美しいと言っていたが、びっこや野暮ったいみなりなど関係ないくらい美しかったんだろう。
Posted by ブクログ
夏に購入していて楽しみにしていた有吉佐和子さんの本。やっと読むタイミングが来た!
読みやすい文体ととっつきやすい内容でさくさく進みました。
太平洋戦争をくぐり抜けた女性の話で、孤児でありながらも和裁を家業とするおうちに引き取られて大切に育てられ、職を身に付け、ケガしつつもたくましく生きる様子が心強かった。
縫い物まわりの事情や、戦前・戦中のそれこそ「丁寧な暮らし」がよく分かり、例えば針を布に刺すとき音を立てないようにするのが本当の達人みたいなこととか、義理のお母さんと2人で布団を剥いでもんぺとか服にすることが楽しいとか、自分でデザインしてすぐ服を作っちゃうところとか、100年も経ってないのに衣服に対する姿勢ってものすごく変わったんだと実感。
あとは、針を踏むとどうなるのかってことも分かって、昔から裁縫をするときは針の扱いについてすごく口うるさく言われてきたその理由がわかったことも収穫。
四の四とか、四の三とか、いまでも針を買うとたまーに書いてたりするので、由緒正しき呼び名なんだなぁと思ったりもしました。
針って、消耗品だよねやっぱり。私だけじゃなくてよかったぁ。
主人公は「清子」っていう名前なんだけど振り仮名が私の見た限りは全然なかったので、「きよこ」「せいこ」のどっちかなー私はせいこのほうが好きやけどなぁって思いつつ読んでて、98%終わったところで「き、清子・・・」みたいな箇所があったことによりきよこだとわかりました。ちょっとびっくりした。
ストーリーについては、予想と違って、カップリングの妙味とかあまりなく、淡々と進むのが心地良かった。
お幸さんがだんだんなのめならない感じに変貌していく部分だけが不穏でしたが、彼女の嫉妬心にも共感できます。
個人的に、ちょうど追いかけで観ていた朝ドラの「あんぱん」も戦争パートだったので、この本を読んでいた時期も重なって、今年のクリスマスイブからクリスマス当日にかけては「学徒出陣」「武運長久」「灯火管制」「忠君愛国」「国民學校」って感じでした。
もう二度と繰り返さない歴史について学べてよかった。(とってつけたように締めくくる)
Posted by ブクログ
東京下の針職人夫婦に育てられた清子
ひとり息子の弘一に思いを寄せながらも、出征を見送り、
戦時下、そして戦後を懸命に生き抜く。
その間に針を踏み抜き、それがもとで片足が不自由に、
清子は新たな負い目を抱え、さらに息を詰めるように暮らしていた時、弘一が復員。
しかし戦争は人格をも変えてしまい、元のようにはいかない
有吉佐和子の作品て、その時々の状況を切々と克明に描く、というのじゃなくて、時代背景として頭に置きながら、人間をより深く生々しくそして容赦なく、と。
悪い人間には悪い人間なりの「う~ん そうだなぁ」と思えるところがあり、弱い人間には弱い人間に自然と寄り添えるところがあり、人間の描き方が素晴らしい。
結末は決して明るい兆しも開けて未来が見えるわけではないけど、うん、そういうもんだろう、頑張って生きるしかないだろうと思わせてくれる。
Posted by ブクログ
東京下町の大瀧三五郎の営む仕立て屋で、縫い子として働く矢津清子は、実の親はなく娘同然に三五郎とその妻のお幸と暮らしていた。
彼らの一人息子が出征をし、戦後に復員したが以前の真面目さは影もなく正体の崩れた男になっていた。
三五郎が亡くなり、お幸の清子に対する感情も障害を負った女に大事な息子を盗られてなるものかという狂気に近いものがあった。
戦争というものが、家族同然に暮らしていたものにこんなにも酷い仕打ちをするのか…
愕然とする思いと縫い子一筋にやっていこうとする清子の思いに胸を打つ。
縫い子として針を進める手先の描写や針を踏んでしまい、それが原因で跛となったことの大変さも訥々と書かれている。
清子は、戦時下と戦後の混乱を生き抜いた強い女だったのではと思う。
Posted by ブクログ
初読だった有吉佐和子さん。
青い壺で知ったのですが、一言で面白かったとは
言って良いのかわかりません。ただ、
戦争がもたらした様々な人間の闇や人を変えてしまうほどの打撃をもたらした事は事実であり
単純に戦争が良いとか悪いとかのお話では
ありません。
主人公の清子、親代わりだったお幸、三五郎
息子の弘一
戦争がなかったらきっと、本物の家族に
慣れたのではないか。淡い恋心が成就していたのか
仄暗さもありつつ、時にハラハラしたが
筋の通った考えを貫いた清子が先に
幸せであって欲しいと、ただ願った。
それにしても、お幸も恐ろしい。
弘一は今の言葉で言うと「クズ」に思えた。
戦争で苦しんだのはアンタだけなの?と。
体験したことがないから苦しみは計り知れない
だとしても心根の弱い男に清子は勿体ない。
読後は悪くありませんが、読み手によって
捉え方が著しく変わる物語でした。
Posted by ブクログ
⭕️針女(しんみょう)
主人公の清子は両親を失った後、裁縫の親方・三五郎に引き取られ、親方夫妻と息子との家庭のもとで、我が子のように愛情をもって育てられていた。
三五郎の妻・お幸も、思いやりと優しさをもって清子と接していた。
清子は針子としての資質に長けていたようで、若い時から仕事を任されるようになる。
若い清子は、三五郎の息子・弘一に思慕の念を密かに抱いていた。
弘一は幼い頃から学業には秀でていて、大学は東京帝大に進んでいたのだが、学徒出陣で出征することになる。
弘一に召集令状が届けられた時、受け取ろうとした清子は慌てて立ち上がる時に縫い針を足に刺し、大層な手術が原因で右足が不自由な身となってしまう。
戦果も厳しくなり、三五郎宅も空襲で焼かれ、瓦礫を寄せ集めてバラックを建てて3人は雨風を凌ぐ生活になる。
ようやくの終戦後、清子が1人で髪を洗っている時に、突然弘一が戻ってきた。
弘一の無事の帰還に三五郎とお幸は喜び、以前にも増して弘一に優しく接することになる。
弘一も何故か出生前とは性格が一変し、明るく三五郎とお幸と会話するようになっていた。
所詮赤の他人である清子は、親密な親子3人の家庭には居づらい思いを抱くようになり、不自由な身体を弘一の前に晒したくない思いもあって自立することを決める。
清子の縫子としての腕を見込んで、戦後の混乱期に商才を発揮する河野婦人が手を差し伸べてくれる。
河野の事業は順調に成長し、1人暮らしの清子の生活も安定する。
そんな時、清子の仕事場を兼ねた住まいに弘一が現れるのだが⋯。
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