有吉佐和子のレビュー一覧

  • 非色

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    高校生の課題図書にするべき作品。
    笑子の葛藤に共感を覚えながら、差別とは何か、を考えさせられる。あっという間に読み終えた。

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    2025年12月06日
  • 悪女について

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    敬愛する肉ノ小路ニクヨ氏が薦めていたこともあり、ずっと読みたいと思っていた。
    伝聞形式による小説。生前のさまざまな地点でかかわった人たちの視点を通じて、富小路公子という人が語られる。伝聞形式は好きだ。なにより読みやすい。伝聞形式で思い出すのが、『壬生義士伝』や『永遠のゼロ』。誰かが今はいない人について尋ね回ることにより、360℃ビューで照らし出され、人物像が立体像がうかびあがってくる。なのに唯一空っぽなのが当の本人の視点。本人が何を思っていたのか、意図していたのか、わからずじまい。それで、その本人への興味がますます募る。

    没落階級の「斜陽の人」、田園調布のシャンデリア付き豪邸、お金持ち奥様た

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    2025年12月01日
  • 青い壺

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    各所で評判になっているし、期待値Max!
    無駄な言葉や説明がひとつも無いのに、時代の雰囲気やひとりひとりの心情がありありと浮かぶこと、端々から覗くその博識に「さすが!有吉佐和子!」と何度唸らされたことか!
    「味覚というのは教養だからね」本当にもう、仰る通り!期待値を軽々超えて、おもしろかった。

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    2025年12月01日
  • 非色

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    終戦後アメリカの黒人兵と結婚した女性主人公。出産後日本で差別に遭い、希望を持ってアメリカに行くも、もっとひどい人種差別が待っていて‥。
    差別への反骨精神。

    当時のアメリカの人種差別と生活がリアルでとても引き込まれました。
    人種差別、同じ人種間の階級差別。
    差別は本当に人の心を傷つけ、自尊心を失わせたり憎しみを生むということを深く思い知らされました。

    ラストの主人公が清々しい。

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    2025年11月30日
  • 青い壺

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    有吉氏による2025年上半期文庫本売上1位の作品。
    とある青い壺の旅を巡る13編の物語。

    時に贈られ、時に盗まれ様々な形で人々の手を流転していく壺とそれを背景に映し出される人間社会の密度が素晴らしい作品。

    有吉氏が戦時中の経験者ということもあり、戦時中から高度経済成長期の時代背景の解像度が非常に高く、自分がもち得ない価値観を得た気がする。

    また、その時代から見た「現代」というのも巧みに表現されていて読む世代によって様々な見方ができると感じた。

    この作品から何を感じ、どんな感想が生まれるのか。
    是非様々な異なるバックボーンをもつ人たちに聞いてみたいと思えるようなそんな作品でした。

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    2025年11月30日
  • 女二人のニューギニア

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    有吉佐和子さんと文化人類学者・畑中幸子さんによる、1968年のニューギニア滞在記。
    まだ海外旅行すらハードルの高かった時代に、未開のジャングルへ飛び込んでしまう行動力にまず圧倒される。

    「ニューギニアはほんまにええとこやで。あんたも来てみない?」という、畑中さんの信じられないくらいの気軽すぎる誘い文句は、まさに畑中さんの人柄をよく表している。
    畑中さんは好奇心と冒険心が桁外れで、誰もが躊躇するようなことを当たり前のようにやってしまう人。
    さらに強靭なメンタルと恐るべき体力オバケで、クレイジージャーニーの常連になれそうなすごい人だ。
    私はこういう人が大好きなので、畑中さんの尊敬するほどのクレイ

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    2025年11月29日
  • 非色

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    引き込まれる話の展開と考えさせられる深いテーマが盛り込まれていて一気読み。

    人種問題や差別はなくなることはない。この世に黒人しかいなくても、生まれや見た目などで差別するだろう。実際、この本の中でも黒人の肌の色が濃いか薄いかの会話が何度も出てくる。

    人間は、階級や違いを見つけては差別する生き物だ。「人種差別はしない、するべきではない」という素晴らしい信条を持っていても、「あの人は〇人だから」といった、偏見を少なからず持っている。

    黒人のトムが日本に駐在中、「ここには平和がある。そして何より素晴らしいものがあります。それは平等です。平等があるから、だから私は日本が大好きです。」と、笑子や笑子

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    2025年11月29日
  • 女二人のニューギニア

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    文化人類学者の畑中さんに軽く誘われ、軽いノリで出向いてしまったパプア・ニューギニア。しかしそこはとんでもない奥地で、ちょっとやそっとの好奇心で行ける場所ではなかった。完全なサバイバルである。それをライトにユーモアを交えて語られているので、とにかく面白い。相棒の畑中さんとのやりとりが漫才のよう。

    畑中さんの研究する奥地に辿り着くのまでの道のりが壮絶だ(なんせ、3日間歩きっぱなし)。さらに辿り着いてからの生活も「仕事の合間にリゾート地でのんびり」とは程遠い世界。

    そこは豚3匹と女一人が物々交換されるような文明なのである。一夫多妻制に児童婚・・・女の地位が低すぎる。女二人で生活できるような場所と

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    2025年11月28日
  • 青い壺

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    50年も前の作品なのに現代の心情に共通するものあり。青い壺の行方も興味深く、読後は、どれも晴れやかな気分になるかな。

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    2025年11月28日
  • 非色

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    終戦直後、黒人のアメリカ兵と結婚し、ニューヨーク、マンハッタンのハアレムで逞しく暮らす日本人女性、笑子の物語。

    初版は1964年。少し古いので身構えたが、めちゃくちゃ面白い!美しく流れるように綴られる文章に引き込まれて一気読み。ところどころ、さくらももこのエッセイを読んでいるような、クスリと笑える皮肉もきいている。

    人は自分より下を見つけて優位に立ちたがるものなのだと、その無意識の傲慢さを見事に描いた作品だと思う。

    笑子の夫のトムがそれをわかりやすく具現化している。

    日本に兵士としている時は堂々としていて気前のいい男だったのに、ハアレムでは「愚鈍」で「無気力」な甲斐性なし亭主であった。

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    2025年11月26日
  • 青い壺

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    ネタバレ

    (2025.11再読)
    昭和50年頃の話。ちょうど今から50年前。終戦から30年ばかり。
    40代以上は、戦争経験者であったり、戦争の記憶があったり、というところだろうか。
    ちびまる子ちゃんと同じくらいの年代。もちろんスマホなどない時代だが、ちびまる子ちゃんを観ている時と同じで、それほど古さは感じない。古いというより懐かしいという感じ。
    むしろ、シングルマザーや、マンションを持っている独身キャリアウーマンがさらっと登場し、意外に現代的で驚いてしまった。

    作中で、印象に残った石田先生のお母さんのセリフ。
    「戦争に敗けて、何もかも根こそぎ変ってしまった」「世の中は、私の生きている間だけでも千変万化

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    2025年11月24日
  • 青い壺

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    夏頃に話題になっていた有吉佐和子の作品。
    美しい青い壺が多くの人の手を渡り歩く物語で、登場人物は10数人ほどとかなり多い。
    その壺を手にした人々の生活ぶりがとても興味深く、裕福な人、貧しい人、高齢の人、若い人…立場も背景もさまざまだった。
    それぞれが抱える人生の課題の中で、青い壺はただそっとそこにあるだけのようでいて、圧倒的な存在感を放っていた。
    時代設定は戦後の高度経済成長期であったが、姑との関係、老後、介護といった話題はいつの時代も大きな関心で、共感できることもあって楽しく読むことができた。

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    2025年11月20日
  • 青い壺

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    青い壺が人の手から手へと渡る。それぞれの人間模様が描かれ心が揺さぶれられる。壺はつややかに美しく、じっと佇んでいる。そしてー。

    巻末の平松洋子さんの解説が、読み終わった人の想いを全て汲んでくれる。有吉佐和子さんの本も平松洋子さんのエッセイも読んでいきたい。

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    2025年11月17日
  • 非色

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    ネタバレ

    島国、日本。
    それを思い知らされる一冊だった。

    偏見をできる限り手放して皆を平等に映す目を持ちたいという思いは常々持ってきたけれど、この本と、初めての長期海外生活で差別とは、を人生で1番考えているかもしれない。
    それは、自分が差別を受けているとかでは全くなくて(移民国家オーストラリアにおいて、過去の旅行からの予想通り住み始めてもやはり明らかな差別は今のところ受けていない)、自分の中にある差別意識に向き合うこと。

    世界のニュース、時事に日本人が疎い傾向にあるのはやはり物理的に世界と切り離されている島国だからというのは大きな原因だと思う。
    日常に支障のある他国との衝突も実質的な影響が少なくて、

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    2025年11月16日
  • 女二人のニューギニア

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    『週刊朝日』に連載後、1969.1朝日新聞社より刊行

    鈴木保奈美の番組で紹介されていたのだが、面白いの一言!
    私的には、『青い壺』より数段よかった。
    言葉遣いも的確で、情景や心情がユーモアをもって、かつ、過酷さも感じられる滞在記。
    使われている言葉もそれほど古くなく、若い人が読んでもそれほど違和感ないのでは?

    なにより、文化人類学者の畑中幸子さんが強すぎる。wikiによると、現在も95歳でご存命。金沢大学の教授などもされていたようで、講義受けてみたかったなあ。
    有吉佐和子が畑中さんの学問に対する姿勢に畏敬の念を抱いているのもよくわかった。ある事柄や言葉についても、決して決めつけるのではなく

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    2025年11月13日
  • 悪女について

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    タイトルだけ見てエッセイだとばかりおもっていて読んでびっくり!面白すぎる!
    読み終わってからまた最初から読み直したくなる。

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    2025年11月13日
  • 芝桜(下)

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    下巻を読んでいる間、ずっと過去、現実に接点のあった自己愛性パーソナル障害と思われる元同僚のことが思い出されて仕方なかった。まさに息をするようにウソをつくが、ほとんどの人が気づかずに騙されていた。フレネミーとも言え、表面的には極めて愛想がよい。

    下巻では、正子はなんども絶交を言い渡しているのだが、どういうわけか蔦代は何度でもうまく正子のもとに戻り、親切にしているように見せてとんでもないことをしでかしている。

    この親切に見せかけて実は、、という部分、下手したらされている方は気づかないことも多い。そのあたりを有吉佐和子は本当に上手に描いており、引き込まれるようにして読んだ。

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    2025年11月17日
  • 非色

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    だらりとした空気で進んでいく物語。
    でも目が離せない。登場人物の心の動きを
    すごくリアルに感じ取ることができる。そして一人ひとりに共感できる。
    「非色」の意味を最後に噛みしめ、寂しいような余韻を感じた。良書。

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    2025年11月11日
  • 青い壺

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    青い壺が、色んな人の手に渡っていく。手にした人達の、生き様や心持ちが描かれる。劇的な出来事があるわけでも、ミステリー、謎解きの要素があるわけでもない。時代背景も古いのに、人の気持ちや揺れる様が手に取るように分かってそれがおもしろく感じる。
    第二話、定年退職した夫に壺を持たせた奥さん。壺を持って退職前と同じように出勤した夫の気持ちは、全く描かれない。あり得そうで、つかみどころのない怖さ。
    第九話、お婆ちゃん達の同窓会旅行も、分かる分かる。
    最後に、省造のところに思いがけない形で戻ってくるのがびっくり。刻印はしないと決めたのはなぜか?先生にとって貴重な骨董品なら、それはそれで良いと納得したのかな。

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    2025年11月09日
  • 芝桜(上)

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    このところ有吉佐和子の小説にハマっている。本書も人物描写が秀逸で、大変面白く読み進めている。

    自由奔放な一方で信心深く、花の世話などまめにする、ちょっと不思議な性格の蔦代、成績優秀で真面目(と思われているようだがそうでもないと私は感じている)、世間知らずなところがある正子。最初はうまくやっていた二人の関係が下巻ではどう変化していくのか、読むのが楽しみ。

    上巻最後の、正子が、三延の浮気相手は一体誰かと思い悩む描写だけは繰り返しが多く少々くどく感じた。

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    2025年11月08日