あらすじ
若き日の有吉佐和子が、実際に花街を取材して書き上げた渾身の一作。
陰りを見せ始める花柳界の問題を鋭く示しながら、
当時の煌めきをユーモラスに活写した“幻の快作”が、
66年の時を経て初の文庫化!
【内容】
1950年代、東京の花街。
置屋「綾津川」の女あるじ・綾千代のもとに、
正体不明のイタリア系アメリカ人・フランチョリーニから、
芸者遊芸ブロードウェイ公演の話が舞い込んだ。
綾千代はライバル・亀千代とタッグを組み、
芸妓組合での根回しや渡航の金繰りに奔走するが、徐々に暗雲が立ち込める。
売れっ妓・千々代と花奴、
縁あってフランチョリーニの秘書となった
国際電話交換手の能村勢子とその同僚・横井新也、
日本舞踊の家元・梶川猿寿郎らが巻き起こす騒動と恋のさや当て――。
混迷を極める“ゲイシャガール・ダンシング・ティーム”は、
果たしてアメリカへ行けるのか!?
〈解説〉岩下尚史(作家・國學院大學客員教授)
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Posted by ブクログ
鬼籍に入られているはずの有吉佐和子様の、まさかの新刊!!!!!
通勤途中の駅の本屋さんで見つけて即買いしました。
原田ひ香さんの権力恐るべし。
もっともっと復刊お願いします!
軽やかなテンポで進む、芸者さん界隈のお話。
私は京都の料亭で正社員として勤務していた経験がありますが、ここで書かれているように、料亭の女将さんが地域を束ねて芸妓さんを取り仕切ったり指示したりっていうようなことは多分、もうあの頃はなかったんじゃないかなぁ・・・某老舗フランス革鞄ブランドがマハラジャを歓待しているお席とかはあったけどどうだったんだろう。
とにかく未知の世界で、ワクワクしながら読み進めました。
ストーリーテラーじゃなくてなんていうんだっけ第三者目線?水先案内人?を途中から務めてくれる、勢子さんのいい女っぷりもよかったけれど、モテすぎてちょっと辟易。
きっぷがよくて短気で姉御肌の綾千代さんが、私は大好きでした。ああいう人は確かにいる。
日舞の家元が、芸者さんに振り付けをしたり発表会的なものでお金を稼いだりしているのに、それでいながら芸者さんを格下に見ているっていう描写があって、そこに若き日の有吉佐和子さんの観察眼が確実に光っているのを感じて嬉しくなりました。