【感想・ネタバレ】女二人のニューギニアのレビュー

あらすじ

文化人類学者で友人の畑中幸子が滞在する、数年前に発見されたシシミン族のニューギニアの奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。有吉ファン必読。

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Posted by ブクログ

有吉佐和子さんと文化人類学者・畑中幸子さんによる、1968年のニューギニア滞在記。
まだ海外旅行すらハードルの高かった時代に、未開のジャングルへ飛び込んでしまう行動力にまず圧倒される。

「ニューギニアはほんまにええとこやで。あんたも来てみない?」という、畑中さんの信じられないくらいの気軽すぎる誘い文句は、まさに畑中さんの人柄をよく表している。
畑中さんは好奇心と冒険心が桁外れで、誰もが躊躇するようなことを当たり前のようにやってしまう人。
さらに強靭なメンタルと恐るべき体力オバケで、クレイジージャーニーの常連になれそうなすごい人だ。
私はこういう人が大好きなので、畑中さんの尊敬するほどのクレイジーっぷりを有吉さんのユーモアたっぷりの文章で味わえるこの体験記は、本でしか得られない貴重でとても楽しい時間だった。

文明の影響を受けていなかったシシミン族の生活に触れられるのも大きな魅力。家にいながら、自分までジャングルに同行したような体験を味わえる。
想像を絶する旅の過酷さや、帰国後の衝撃的な報告など、どのエピソードも読み応え抜群。
現地女性の地位の低さや人種問題など、文化や価値観の違いも興味深かった。

そして何より、遠慮なしに言いたいことを言い合える2人の関係が心地いい。口ではズケズケ言い合うのに、芯の部分では深く相手を思い合っていて、その絆は友情を超えて家族のように感じられた。

読んでいるうちに、クリスティの中東発掘旅行記『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』を思い出した。その時のレビューを読み返すと、「思い切りがよく、ユーモアがあり、型にはまらない魅力的なところ」がやっぱり共通していて、ますます人としての有吉さんに惹かれてしまった。

あれから60年近くたった今、シシミン族はどう暮らしているのだろう。叶うことなら、有吉さんによるその後のシシミン族の旅行記も読んでみたかった。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

文化人類学者の畑中さんに軽く誘われ、軽いノリで出向いてしまったパプア・ニューギニア。しかしそこはとんでもない奥地で、ちょっとやそっとの好奇心で行ける場所ではなかった。完全なサバイバルである。それをライトにユーモアを交えて語られているので、とにかく面白い。相棒の畑中さんとのやりとりが漫才のよう。

中さんの研究する奥地に辿り着くのまでの道のりが壮絶だ(なんせ、3日間歩きっぱなし)。さらに辿り着いてからの生活も「仕事の合間にリゾート地でのんびり」とは程遠い世界。

そこは豚3匹と女一人が物々交換されるような文明なのである。一夫多妻制に児童婚・・・女の地位が低すぎる。女二人で生活できるような場所とは思えない。

現地の使用人(前だけ葉っぱで隠している裸族)に木綿のパンツを贈ったら、急にえらくなった気がしたのか、それまで温和でオドオドしていた使用人が怠けるようになる話など唸ってしまった。

「文明がどんどん流入することで、果たして彼らは幸福になるのだろうか」という有吉さんの疑問。今はどうなっているのか外務省のHPで調べてみたら、治安はかなり悪い。娘が行くといったら全力で止めるレベル。あの頃と比べてどうなのかは分からないが、あの頃の有吉さんと畑中さん、よくぞまあご無事で・・と思わずにはいられなかった。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

『週刊朝日』に連載後、1969.1朝日新聞社より刊行

鈴木保奈美の番組で紹介されていたのだが、面白いの一言!
私的には、『青い壺』より数段よかった。
言葉遣いも的確で、情景や心情がユーモアをもって、かつ、過酷さも感じられる滞在記。
使われている言葉もそれほど古くなく、若い人が読んでもそれほど違和感ないのでは?

なにより、文化人類学者の畑中幸子さんが強すぎる。wikiによると、現在も95歳でご存命。金沢大学の教授などもされていたようで、講義受けてみたかったなあ。
有吉佐和子が畑中さんの学問に対する姿勢に畏敬の念を抱いているのもよくわかった。ある事柄や言葉についても、決して決めつけるのではなく、いろいろ裏をとって初めて結論づける地道な学問。「私ら、作家のように当てずっぽうは書けません」みたいに、いつも作家を下に見て暴言を吐いているのがおかしい。
そして、ニューギニアの奥地に、いつもは女一人で住んでフィールドワークをしているのが驚き。彼の地では、女なんて、野豚三匹と交換されるほど人扱いされていないのにだ。

はたして、今現在、シシミン族はどう文明化されているのだろうか?

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

元気をもらえる一冊。とても面白い。
有吉佐和子さんの1ヶ月のニューギニア滞在記。

あの時代に未開社会のニューギニアで研究していた畑中さんと畑中さんの元を訪れた有吉さんのパワフルさがとても心地よく、二人の会話や現地の人たちとの出来事にクスクス笑ってしまう。

驚くことも沢山あり、新しい世界を少し知れたような気がした。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ニューギニアの知識ゼロで読んだ。
いやぁこんな本はきっと他にないなぁ。
様々な感染症や病気の怖れや死の恐怖がある環境での日々を、こんなにもおもしろくパワフルに描いてくれたことがすごい。畑中さんパワフルすぎる。
いかに自分が知らないことが多くて、狭い視野で安全な世界で生きてるのかを感じさせられた。

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

面白い!1968年の話なのに、とても生き生きしてつい最近の話のように引き込まれてしまう。文化人類学者の畑中さんに遊びにおいでと言われて、気軽に出かけたニューギニアで信じられないような山登りをしてたどり着いた奥地で、種族長に少し気に入られたり、少ない食材で料理をしたり。日々の生活を書いているのに、あまりにも信じられない経験をしているから、思わず笑ってしまう。そして畑中女子の豪快さ!

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

有吉さんの小説以外の作品を読むのは初めて。

1968年3月。有吉さんは十年来の親交がある同郷の文化人類学者 畑中幸子さんの
「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、あんたも来てみない?歓迎するわよ」
という誘いに極めて軽い気持ちでのり彼女のフィールドワークの地 ニューギニアに行くことにした。

の後 何度となくこの選択を後悔することになるとも知らずに…

面白かった。いや面白いと言ってはいけないのかもしれない。きっと想像を絶する過酷さだったのだろう。
それでも有吉さんの文章はやっぱり面白いし畑中さんの関西弁も笑える。

今から57年も前の未開の地に現地の護衛つきとはいえ30代後半の女二人…。
有吉さんもスゴイけれど本当にスゴイのは普段は一人でその地でフィールドワークをしている畑中さんだ。作中、畑中さんはとてもよく怒っていた。有吉さんにも怒っていた。強くなければ強く見せなければ原住民と女一人渡り合えなかったのだろうと思う。

本書で個人的に好きだったのは所々に挿まれる挿絵だ。力の抜けたタッチで動きがある。 特に行きに有吉さんが動けなくなってしまい、狩られた獲物のように木の棒にくくりつけられ原住民に運ばれる挿絵は何度見てもイイ。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

なんとこのエッセイ
1968年にニューギニアに行った時のお話し
当時30代と思われるけれど
なんという壮絶な旅でしょう

気軽な気持ちで友人に誘われるまま
ニューギニアへ
有吉さんは幼少期インドネシアで過ごしていたのでその辺りは慣れたものと思いきや
トラブルだらけ、ケガだらけ
山をいくつも越えて
げ句の果て意識を失う
豚の丸焼きの如く担がれてようやく辿り着いたのは未開発地帯の村
困り果てたことが山のようにやってくる
早く帰りたくても、場所が場所だけにすぐは帰れない
足が痛くて歩けない
友人である文化人類学者の畑中さんは
何があってもマイペースで
そのうち
「一人になりたい」と愚痴る

いやあーパワフルすぎる
帰ってからもすごいことが‥‥
強い!
ありえないくらい強い!
かなわない!

畑中さんは今、90代
お元気で、過ごされているらしいと
ネット情報

暑い中読んでいると、まるでジャングル
にいるような気分になってくる
虫だらけの中でパンツを縫う!
シュール!

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

とても興味深く面白すぎた。
未開拓地とはいえ、こんなにも人間って全然違うのねと笑える。現在のニューギニアってどんな感じなんだろう。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

ぱ、パプワニューギニアってそんな未開の土地だったの…。ほんの60年とかそこらまでマジで原始の世界を生きていたの…すごい世界すごい…!全然知らない世界入ってきてプチパニック…!

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

強烈なエピソードと二人の掛け合いがとても面白かった
畑中さんがパワフルすぎてびっくり
「小説というものに取り憑かれている」有吉さんと「ニューギニアに取り憑かれている」畑中さんという表現が好き

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

有吉佐和子と言えば『恍惚の人』。若かった自分には(愚かにも)他人事だったが、初めて読んだ『複合汚染』から受けたショックと未来への警告は我が事として強烈にインプットされている。
本書は1985年7月に朝日文庫から刊行された旅行記を再文庫化したもの。硬派なイメージの著者が、なぜニューギニアの奥地に行くことになったのか。そもそもの始まりから辿り着くまでの道中、現地での暮らし、何もかものスケールが想像を超えて、常に生きるか死ぬかの瀬戸際なのに、なぜこんなにもおかしくて心打たれるのか。そしてなによりも畑中さんの存在感。あっという間に読み終えたけれど凄かった!

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

面白おかしく書かれているが、凄まじい体験記である。
1968年、小説が一段落した有吉佐和子は、文化人類学のフィールドワークをしている畑中幸子に誘われて、ニューギニアに行くことにする。
インドネシアに暮らしたこともあるし、ニューヨークに留学もしていたから、海外に行くことに抵抗はないし、自由になるお金もある。当時の日本人とはレベル違いの国際性があり、度胸も知恵も好奇心もあったのだから、なんとかなるだろうと考えたに違いない。
しかし、ニューギニアの奥地ヨリアピは想像を絶するところだった。
まず、辿り着くまでにジャングル(映画と違い、崖も沼もある)や川の中を三日間歩くしかなく、足の爪は剥がれそうになる。しかし畑中からは「私なんか一往復する度に指の爪はがれてるわ。今は三度目のんがはえかわりや」と気にする様子は全くない。
何度も引き返すことを考えるが、戻るにもまたあのジャングルと川を歩かねばならないと思うと挫ける。畑中は「この丘を越えたらじき」に着くと言う。しかしそれは丘にはとても見えない。
「丘というのは、せいぜい花の咲く灌木程度が生えていて、男の子と女の子が手をつないで口笛でも吹きながら気軽に駆けて登れるようなものを言うのだ。畑中さんはニューギニアに来て、日本語が少しおかしくなっているのではないか。
「ほやけど、山というたら、これよりずっと高いで。これは五〇〇〇フィートないと思うよ」
それでも富士山の半分もある山ではないか!」
大変だなあと思うけど笑ってしまう。

とにかく面白いのは、有吉の作家としての才能で、本当のところはこのまま帰れなかったらと苦しんだだろう。死を覚悟したことも一度ならずあったと思う。小説家として脂が乗っている時なのに小説を書くこともできず、自分の作風から行ってニューギニア奥地を舞台にして小説を書くこともないだろうし、日本にいる娘はまだ幼い。なんでこんなところに来てしまったのかという後悔はチラチラと書かれてはいるが、実際には押しつぶされそうな不安と恐怖であったに違いない。
しかし、これが書かれてから五十年以上経った今読んで思うのは、畑中さんの凄さである。知恵も度胸もあり健康で体力もあったとはいえ、お金はなく、学者としての将来が約束されていたわけでもない。
この時代、女性が一人旅すること自体珍しかったのに、一人でニューギニアに行くことが、周りの人達に反対されなかったわけがない。女性は学問なんかする必要なし、嫁に行って家事育児をするのが仕事とほとんどの人が思っていた。だからニューギニアに一人で行くというのはまさに背水の陣、決死の覚悟だったはずだ。
自分で決めた以上泣き言は言えない。寂しくても辛くても我慢する。しかし、有吉ならニューギニアに来てくれるのではないか、来てくれたらいいなという気持ちはあっただろう。だから誘った。
畑中は有吉が来てすごく嬉しかったと思う。知性も好奇心も自分と同じくらい持ち合わせているから、話しても飽きることはないし、毎日が楽しかっただろう。自分は畑中さんの研究の邪魔をしている、何の役にも立っていないと書いているが、有吉の存在がどれほど畑中さんを元気にしたか。周りには原住民しかおらず、しかも男しか出てこない。彼らは完全な男尊女卑社会で、女性は隠れるように暮らしているからだ。畑中さんと原住民の関係は雇う者と雇われる者、研究する者とその対象である。対等な話し相手にはそもそもなれない。
だから、たまたまヘリコプターが飛んできて(もし飛んで来なかったら、もっと長い間ヨリアピにいることになっただろう)、帰ることになった時、畑中さんはそれを喜びながらも涙を流す。一番グッと来るシーンだ。
孤独な生活をしているところに友だちが来て楽しく過ごす。しかし、友だちが帰った後は、来る前より寂しい。そんな経験をしたことのある人なら、その気持ちの十倍、百倍以上の寂しさを、畑中さんが感じたであろうことは容易に想像できる。そしてそれを耐え抜いて研究者として立ったのだから、本当にすごいと思う。
有吉佐和子は53歳で急逝したが、畑中さんはまだご存命であるようだ。できることなら、当時のことを聞いてみたい。
人生というものについても深い感慨を得られる貴重な本だった。決して面白おかしいだけの本ではない。
今、ニューギニアの奥地に住んでいた人達はどうしているのだろう。先進国に搾取されてないといいが、と思う。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

一気読み。抱腹絶倒とまではいかないが、くすりと笑う箇所がたくさん。たまに入る挿絵も笑いを誘う。

それにしても、帰りの方法が奇跡的でおもしろいw

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2025年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内容を詳しく調べず、タイトルだけで読み始めたので、もっと楽しい旅行記かと思っていたがまさかこんな始まりとは…

ニューギニアでの良いことと、やはり日本は恵まれているというふたつを感じながらずっと読んでいた。
ニューギニアに住む彼らは1日1日を生きるのは大変だろうが、毎日のことに必死になって生きていく。それはそれで良いこともあるだろう。しかし、やはり日本に生きている身からすると、こうした不便な国がまだ世界にはあるのかと考えさせられた。濾過器を見せただけで驚く、音声を再生したら喜ぶ、そういった日本に生きている我々からしたら当たり前のようなことも彼らにとっては新鮮で、まだ新鮮に受け取る人々がいるんだ、という視点は欠けていたなと感じた。
まあ有吉さんがニューギニアに行っていた時からもう数十年経っているため、今の現状は変わっているだろうが、日本の外側の世界に触れることができて面白かった。

またやはり畑中さんは面白い。こんな人がいたらいいととても思う。そして有吉さんとの関係性も憧れる。嫌なことは嫌という、軽蔑したと思った軽蔑したという、しかしそれで関係が崩れることはない。今の現代社会の人間関係において大切なのはこれではないかと思う。反対意見をぶつけても、それで関係が崩れることがない関係、それが一番大切なのではないか。そうした素直に言い合える関係性、私もそういった関係性を築きたい。

またテアテアの話も興味深かった。お礼としてパンツをあげたりしているうちに、それまでオドオドしていたのに、位が高くなったように感じて横柄な態度を取るようになり、仕事もしなくなる。発展していない国の人になにか物をあげたくなるのは、発展国、経済的に上に住んでいる人はやりたくなるのではないだろうか。私はやりたくなる。しかし、それが良い効果をもたらすだけではないということを感じられた。文明の発展はあるだろう。しかしそれによって人と性格が変わってしまうほどの変化も生じる。パンツをあげることで彼は自信をつけたのかもしれない。自尊心も高くなったかもしれない。そう考えればよかったのかもしれないが、どことなく寂しさを感じてしまった。

最後の帰国の場面、また山を登るのだと思っていたため、それにしてはページ数が少ないなと頭を捻っていたが、まさかヘリコプターが来るとは。本文でも書かれていたように思うが、本当に「事実は小説より奇なり」なのだと驚いた。まさかこのような帰国になるとは。急な別れ。ニューギニアに私は行ったことがないが、筆者と同じようにそこで生活していたような感覚がずっとあり、ニューギニアを離れるシーンは、これまでいた場所がなくなってしまう。でもこの辛い日々、食べ物は十分なものが食べられないし、夜は暗いし、いつか殺されるかもしれない、という日々からすぐ抜け出せるかもしれないという希望。その全てが入り混じった、なんともいえないノスタルジーを感じた。

こんなところには住みたくないという気持ちと、でも読み進めていると面白くて笑ってしまう、2つを行き来する面白い読書だった。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有吉佐和子さんのエッセイ。
友人の文化人類学者、畑中幸子氏に誘われニューギニアの奥地を訪ねた有吉佐和子さん。五十年以上も前の話ですよねぇ。凄い!
足の指の爪がはがれるほど歩くなんて無理だわと思いつつ、大らかな畑中氏と有吉さんの軽妙な筆致で最後まで楽しく読ませていただきました。
ちょっと外れた感想かもしれませんが、当時の現地の生活を読んで、人類ってすごいなぁと、生きるってシンプルなことなのだと改めて思いました。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

有吉佐和子ファンの従姉妹に勧められて初めて有吉佐和子著を読んだ。
パプアニューギニアに何の前知識もなく行くことになった著者のエッセイ、旅行記。
徒歩で山を越え川の中を進み、足の爪が剥がれかけながらも3日かけて(途中、歩けなくなった有吉さんは、捕獲した動物を棒で運ぶように運ばれる)、友人の家に行く。現地ではネイティブは泥色の水を飲み、蚊やダニに悩まされながらの電気もない生活。
ほんとにそんな経験したのか、と疑いたくなるけどとてもリアルで明るい口調で綴られる。
自分も経験できたような気になってきて面白かった。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

未開の地に、好奇心や探究心で行く、無謀ともいえる逞しさ。とても真似できないからこそ、本を通して擬似体験できる幸せを感じた。

また、原住民との交流を通して、私たちが当たり前と思っていることが、近代文明なのだと知る面白さ。

自分の殻から少し外に出て、視野が広がる。そんな感覚を得られる本だった。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

これが60年近く前の話とはとても思えない。エネルギッシュというか向こう見ずというか。これフィクションでしょと途中から思ったほど。でもこういう経験をしていた人がこの時代にいたなんて驚き。女性とか男性とかそういう枠を超えてこの時代の日本人としては極めて異色の経験や感性の持ち主だったのだろう。参りました、という感じ。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

1967年頃のニューギニア滞在記。べらぼうに面白かった!情報通信網が発達した現代だとこんなに面白くはならないだろうな。

和歌山弁の文化人類学者 畑中幸子さんと有吉佐和子さんの掛け合いが面白く、滞在日数が長くなるにつれて有吉さんが徐々に畑中ナイズされていく。一方、食に関しては有吉さんの方が順応性があり、二人の対比も面白い。一体、有吉さんはどうやって帰るのだろうかと思ったらまさかの方法!そして帰国した後のおまけつき笑 結末はぜひ読んでお確かめください

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

なんだか凄い旅行記だった。
私の生まれる前の海外旅行、それも未開の地への旅。山を分け入り壮絶な旅路の連続に激しくクラクラした。文化人類学者畑中幸子さんの研究への取り組みも新鮮でこんな凄まじい奮闘によって未開の地の文化を知る事が出来たのだと感動。文化人類学という学問への興味もそそられた。
女二人の会話も出来事も軽快で抱腹絶倒。旅が突然終了し帰国後の出来事にも思いがけず驚きの連続で最後まで一気に読めた。60年近く前の作品なのにこんなに面白いなんて!と有吉佐和子さんへ興味が湧き他も読んでみようと思う。畑中幸子先生の本も読みます!

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

文化人類学者の友人、畑中幸子氏に誘われてニューギニアの奥地へ行ったときの体験記である。
シシミン族が住む地の凄さに驚く以外他はないというほどで、とても自分じゃ生活できないのでは…と思うほど。
何事も経験とは言うけれど根性のない私は到底真似できないなと感じた。
けっこう身体的にキツいものがありながらも面白おかしい会話に笑えた。




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2025年04月18日

Posted by ブクログ

太平洋戦争に関する本を読む中で、ニューギニア戦線に興味が湧くも立て続けに戦争ものを読む気力が続かず、息抜きに。有吉佐和子ブームのあおりか重版がかかっていたらしく手に入れるのに少し時間がかかった。ひょんなことから作家有吉氏は、旧友でありニューギニアでフィールドワークを行う人類学者の畑中さんに会いに行くことに。軽い気持ちでいたものの、待ち受けていたのは険しいジャングルを数日間歩き続ける強行軍で…。慣れない環境にヘロヘロになり、碌に口もきけない筆者に鞭打ち続けるマシンガントークの畑中さんのコンビに終始笑いが止まらなかった。電車で読むのは危険。

彼女らが「ネイティブ」と呼び、水木しげるが「土の人」の意味を込めて文字通り「土人」と呼んだニューギニアの原住民に対する扱いは決して褒められたものはではないが、彼らも彼らで多分女性二人を下に見ているのでおあいこだろう。むしろそんな緊張感の中互いに牽制し合いながらも、分かっているんだか分かっていないんだか、現地語日本語と英語の混じったピジンでやり取りし共存する姿がすこぶる面白い。取り敢えず計画していたニューギニア旅行は、考え直すかもしれない笑

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

大変なニューギニアでの出来事をとても面白く書かれている。有吉氏はこんな面白い文章も書かれるのだなあ。

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2025年04月02日

Posted by ブクログ

まだまだヨリピアでの生活を見てみたかった…! 
早く帰りたいのに帰れない有吉さんに同情の気持ちで最初は読んでましたが、突然帰国が決まり、もう終わっちゃうのか…と寂しさを感じてました(笑)

厳しい環境に慣れた畑中さんと、日本でぬくぬく過ごしていた有吉さん、二人のコンビネーションが最高に面白かったです

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

1985年に朝日文庫から刊行された『女二人のニューギニア』の再文庫化になります。

著者の有吉佐和子さん(1931-1984)が、
ご友人で文化人類学者の畑中幸子さん(1930-)(当時、東京大学院文化人類学在籍、現在は中部大学 名誉教授)のフィールドワークを訪れた際の、壮絶だけども笑えてしまう滞在記になっています。

「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、有吉さん」という畑中さんのお誘いに「じぁあ、行くわ。案内してくれる?」と大層気楽な気持ちでスタートしてしまったこの旅は、大変なものになります。
悲惨な状況が続くんですが、文章が面白すぎて何度も何度も笑ってしまいます。
のっけから、ニューギニア行きを止めてくれなかった周囲への不満がたらたらと。笑
道中・滞在記では、お二人のやりとりが生き生きとして伝わってきて、本当に面白いです。
(とにかく大変極まりないんですがね汗)
現地に行くため二日間ジャングルを歩き、疲れて三日目に「こわれてしまった」有吉さんを、迎えにきてくれたシシミン族の人たちに運ばれる描写など、最高に笑ってしまいますよ。

考えさせられることもしばしばです。
戦地だった傷跡も描写の中に出てきます。
また、白人はネイティブをバカにし、その白人から文明を取り入れた者が、また新たなヒエラルキーの頂点に立つようなところは、植民地時代から繰り返されているであろう人のエゴが感じられます。
「山野を自由自在に駆け巡っていた彼らが、文明という眼鏡をかけ、文化という靴をはき、贅沢というシャツやパンツを身につけるようになるのが、幸福といえるかどうか、難しいところだ。」と記されています。(ケン・リュウ氏の「紙の動物園」に収められた「結縄」にも感じた想いです。)

色々ありますが、たくましいに尽きます。
仕事などで疲れている時に読むと「まだ頑張れる!」という気持ちになれるかもです!笑

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

ニューギニア界隈は全くの未履修だから当時の詳しい事情は分からないけど、作者さんがまぁすっごい過酷な一ヶ月間を過ごされたということは分かった。
友達に誘われてパッとニューギニア行きを即決できるのフッ軽が過ぎるし、そもそもそんな時代にパッと海外旅行(しかもニューギニアに)できるの、作者さんはなかなかの大物だったんだ。
そしていざ現地に行ってみたら、未開社会の洗礼を浴びて恨みつらみを吐きたくなる気持ちはとてもよく分かる。自分なら(衛生観念的な理由で)頼まれても絶対マネできないわ…。
これはもうとにかく畑中さんが凄すぎるということ。畑中さんのバイタリティどうなってるん?
ところでこれ、ほぼ60年前のお話しなわけやけど、感性が今どきで全然読みやすかったし、なかなか辛辣で面白かった。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

著名作家の著者が同じく和歌山出身の同年の友人・人類学者の畑中幸子氏を訪ねてニューギニアを訪問したのは1968年3月からの約1月。想像を絶するような過酷な環境で悪戦苦闘する有吉さん、それを現地に親しんでいる畑中氏が叱咤激励しながらジャングルを歩き、現地のネイティブと交流している姿が微笑ましい。著者の文体がウィットに富んでいて、こんなに楽しい文章を書く人なのかと意外だった。現地人のほとんど全裸の様子、西洋文化に少し触れていた部族と、全く初めての部族の間の侮蔑の様子、大蛇を美味しいと言って食べざるを得ず、畑中氏にゲテモノ好きとして呆れられる著者!実はゲテモノを食べるしかなかったようなのだが。現地人にとっては女は豚3匹と引き換えに男が買い取っていく存在との話に怯える著者…。暇に任せて現地人のためにパンツを11枚縫った著者。どれもきっと本当だったのだろう。約60年前のこの生活が今はどうなのだろう。パンツを穿いているのだろうか。川の水は自然のままに流れているのだろうか?もし文明化されているとすれば、それは逆に良いことなのだろうかと疑問に思ってしまう。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

今から60年ほど前に、友達の「良いところだからおいでよ」の一言でほぼ下調べもせずにニューギニアに行った女の人がおったなんて。

まず空港からその友達の住む集落に到着するまでの道中が茨の道。到着してからももちろんそれ以上に色々あり、想像をだいぶ上回る未開の地に来てしまって大後悔する主人公に笑える。

ちなみに主人公以上にすごいのがこの現地済みの友達(文化人類学者)。バイタリティどうなってんの。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

文化人類学者で友人の畑中幸子が住むニューギニアの奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。
自分が生まれる前に書かれた話なんだけど全然文章が古くなくて死ぬほど面白い。笑って済ませられないレベルのことも多々起こるんだけど(よく生きて帰ってきたなあ、とか帰国後のマラリアのくだりもびっくりした)、それをネタに一冊書いてしまうんだから作家魂ってすごい。今はさすがに全く同じということはないんだろうけど、日本ではおとなしい畑中さんがキャラが変わって現地でのフィールドワークに命を懸けている描写にもがつんときた。これだけの情熱を傾けられる学者さんってすごい。こういう人に十分な資金や援助を惜しまない国であってほしい。

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2025年05月25日

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