有吉佐和子のレビュー一覧

  • 青い壺

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    50年前の小説がリバイバルヒット中ということで、有吉佐和子さんの『青い壺』を読みました。

    ひとつの青磁の壺の10年にわたる数奇な巡り合わせを描いた連作小説。(私は映画『レッド・バイオリン』を思い出しました。他にも類似の構成の作品は複数あったかと思います)

    壺を介して浮かびあがる登場人物たちの生きざま、老いざま、家族のありかた……どれもが生々しく、濃密で、圧倒された。むせかえるような昭和のにおいが心地よいと同時に、令和のいま読むからこそ深く共感できる普遍性も感じました。

    すべてのエピソードが印象深く、登場人物ひとりひとりが愛おしいのですが、とりわけ心に残ったのはスペイン系ミッションスクール

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    2025年11月28日
  • 女二人のニューギニア

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    なんとこのエッセイ
    1968年にニューギニアに行った時のお話し
    当時30代と思われるけれど
    なんという壮絶な旅でしょう

    気軽な気持ちで友人に誘われるまま
    ニューギニアへ
    有吉さんは幼少期インドネシアで過ごしていたのでその辺りは慣れたものと思いきや
    トラブルだらけ、ケガだらけ
    山をいくつも越えて
    挙げ句の果て意識を失う
    豚の丸焼きの如く担がれてようやく辿り着いたのは未開発地帯の村
    困り果てたことが山のようにやってくる
    早く帰りたくても、場所が場所だけにすぐは帰れない
    足が痛くて歩けない
    友人である文化人類学者の畑中さんは
    何があってもマイペースで
    そのうち
    「一人になりたい」と愚痴る

    いやあ

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    2025年07月08日
  • 悪女について

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    とっても面白かったです。500ページ越えの長編だし、結構昔の作品なので、文体とかに癖があって読みづらいかなとか思っていましたが、全くそんなことはなく、あっという間にスラスラと読み進められました。
    富小路公子はいかにして、お金、子供、家、地位、名誉を手に入れたのか…あまりにも計算がされ尽くしていて鳥肌が立ちました。
    富小路公子への評判が、本当に人によって全く違っていて、それが面白かったし、なにより、本当の悪人というのは、この富小路公子のように人によって評価が180度変わってしまうような人物なのかもしれないなと思わされました。
    周りにいるわたしがとっても良い人だと思っている人が実は極悪人…なんてこ

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    2025年06月30日
  • 香華

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    『青い壺』が話題になっているらしいけど、ちょっと有吉佐和子の中では落ちるんでは?と思っていた当方、本作を挙げる記事を見て多分初読。
    これは面白い、この手の大河的小説、最近ない気がする。しかも様々な事象の歴史的流れも垣間見えてエンタメ的に読むことも可能。
    でも本作、「生き方の自由」の希求がテーマな気がする。郁代の凄みは朋子を圧倒し続けていたんだと思われ。
    いやいや、読んだなぁ、と読後に久々に思った小説でした。

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    2025年06月20日
  • 非色

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    ネタバレ

    とても面白かった! 戦後の混乱期に黒人兵と結婚した女性が日本でも渡米後も体験し見聞した様々な差別。次々に困難に出会っては戦うように泳いでいく主人公の人生が面白く、読むスピードがどんどん上がってしまった。
    戦争花嫁である女性の人生を軸にしているが、本作のテーマはタイトルにあるように、差別だ。主人公は差別は肌の色のせいなのか、何なのかを常に考えてしまう。
    しかし、観念的な話にならず、常に具体的な事件と行動によってスピード感ある展開をするので飽きずに読んだ。

    本作の初の出版は1967年で、アメリカでは公民権運動たけなわの頃だ。また、戦争花嫁を取り上げた本も他に見当たらず、いろんな意味で先進的な作品

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    2025年06月10日
  • 女二人のニューギニア

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    とても興味深く面白すぎた。
    未開拓地とはいえ、こんなにも人間って全然違うのねと笑える。現在のニューギニアってどんな感じなんだろう。

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    2025年06月09日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    団地妻の夫の上下関係に属する立ち位置や子どもの性へのとまどい、教育の事、高度経済成長が家事に反映する様、個性ある団地妻達の関わりや心理描写がとてもわかりやすく美しい日本語で執筆されていて眠りの前やイライラした時の私の心の鎮静剤になっております。有吉佐和子さんて本当に素敵。お会いしてみたかったなあ。

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    2025年06月05日
  • 新装版 和宮様御留

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    TVドラマ化されたものはずっと昔にちらっと見た記憶がある。フキの役を大竹しのぶが演じていた。

    NHKの「100分de名著」に影響されて「青い壺」「恍惚の人」に続いて読む有吉佐和子作品。

    最初は公家言葉に不慣れなためと章ごとに視点が変わるので読み進めるのに時間がかっかたが、途中からは面白さに一気に読み進んだ。

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    2025年05月29日
  • 恍惚の人

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    認知症になってしまった義父の介護や避けては通れない身内の葬式などを描いた小説。

    何もしない夫への不満とか、義父から虐められた過去の思い出とか一筋縄ではいかない感情が描かれていて良かったです。

    高校生の息子がすごくよかったです。斜に構えた若者なのですが、不器用ながらに母へも祖父へも愛情のある態度がよかったです。

    50年以上も前に書かれている作品らしいですが、文章も読みやすいし高齢化が進んでいる現代に読まれるべき名作だと思います。

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    2025年05月26日
  • 恍惚の人

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     この本『恍惚の人』は、1972年に刊行された作品である。実に50年余前の作品。発表当時、「恍惚」という言葉が流行し、この時代はまだ認知症という言葉が広く普及していなかった。日本では、「痴呆」と呼ばれており、2004年に厚生労働省の用語検討会により、「認知症」への言い換えが求められる報告がまとめられた。本書は、有吉佐和子が社会問題に鋭く警鐘を鳴らすために書き、多くの人々の注目を集めた作品である。彼女は、社会に影響を与える書籍の力を示した。『複合汚染』を生み出し、そして続いて本書を生み出した。実に巧みでセンセーショナルな編集能力を持っている。

     本書の時代背景において、平均寿命は男性69歳、女

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    2025年05月18日
  • 華岡青洲の妻

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    凄まじい献身物語、おぞましい嫁姑 男のエゴ
    世界初、全身麻酔による乳がん手術成功者

    通仙散(麻酔剤)成就

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    2025年05月07日
  • 非色

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    1964年の作を2020年に復刊したもの。かなりの衝撃的な作品だった。
    戦後の日本で黒人米兵と結婚した主人公笑子が子連れでアメリカに渡り、ニューヨークでの生活を描いている。日本での差別以上に、移民のるつぼのアメリカには差別が当然の如く蔓延している。
    日本人も恐らくイエローとかジャップと差別されただろうにこの中には描かれてない。が、この中で笑子の娘の、明るい未来を象徴する作文が胸を打つ。笑子自身のポジティブさや負けん気も、内容に比べて救いの空気を出している。最後の場面が凄く印象的で、笑子だからこそのセリフだと思った。
    この本を勧めてくれたスキボンさんありがとう。

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    2025年05月07日
  • 恍惚の人

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    40年も前の本ですが、現代にも通じる介護の話。
    介護をしていく主人公のエネルギッシュさには感心しました。まだ若いからできることかも。寿命が延び、介護をする人の年齢が上がると、介護の負担も一段と大きくなるなぁと思いました。

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    2025年05月05日
  • 悪女について

    匿名

    購入済み

    ものすごく頭の良い女性なんだとは思いますが、彼女の行動は不思議でした。同時進行で色んな事をできて、相手によって自分を使い分けて、すごく魅力的なんだから、もっと幸せになれたのにと、思わずにはいられません。結局は不器用な人なのかな?とも思ったりもしました。彼女の本当の心を知りたかった。

    #ドロドロ #怖い

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    2025年05月03日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    有吉佐和子さんの作品はいつも色褪せないと感じる。昭和の一流商社の社宅。きっと綿密な取材をされての上梓だと思う。夫の浩一郎が音子に、ら抜き言葉を注意しているところ等も面白く読んだ。

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    2025年05月01日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

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    お母さんに勧められた有吉佐和子先生。
    記念すべき初読書がこのエッセイ。
    たくさん読まなきゃいけない本があった。
    それらを読んでからまたこの本を読んだら一段と面白いだろう。
    低音も高音も兼ね備えた豊かなシンフォニイでありたいという文は現代に残る名言だろう。
    私もそんな生き方で自分を肯定していきたい。

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    2025年05月20日
  • 華岡青洲の妻

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    約200年前に麻酔剤を作り、それを使って乳癌手術を日本人がしていたなんて意外、と思った。
    でもこの本の主題はそこにはなく、それを支えた妻と母、そしてその家族。今では考えられないほどの封建的な考えがあったことに驚かされる。

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    2025年04月21日
  • 非色

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    すごい作品だった。この作品の衝撃といったらなかった。黒人兵士と結婚してアメリカに行った女性の波乱に満ちた人生の中で問い続けた肌の色による差別について、どこに帰着するのかハラハラしながら読んだ。肌の色の人種差別だけでなく、この世は差別だらけだと実感させられる。異国で、差別の中で日本人女性が子を産み育てながら働き、必死に生きながらの様々な葛藤を読むほどに、有吉ワールドに引き込まれていった。最後は彼女なりに自分は何者かという答えに辿り着く。最後の『私は二グロだ』という言葉に、確かに人間は「肌の色ではなく」、どこでどう生きるのかを選び取っていく主人公の人生に清々しさ、頼もしさを感じた。

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    2025年04月21日
  • 女二人のニューギニア

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    ぱ、パプワニューギニアってそんな未開の土地だったの…。ほんの60年とかそこらまでマジで原始の世界を生きていたの…すごい世界すごい…!全然知らない世界入ってきてプチパニック…!

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    2025年04月16日
  • 女二人のニューギニア

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    強烈なエピソードと二人の掛け合いがとても面白かった
    畑中さんがパワフルすぎてびっくり
    「小説というものに取り憑かれている」有吉さんと「ニューギニアに取り憑かれている」畑中さんという表現が好き

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    2025年04月14日