有吉佐和子のレビュー一覧
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終戦直後に黒人兵と結婚した、いわゆる「戦争花嫁」の笑子が、生まれた子供を連れニューヨークに渡り、貧民街で暮らし、「差別とは何か?」を問い続け生き方を模索する姿を描く物語。
今から60年以上も前に書かれたとは思えないほど、今でも通用する差別への問題意識に圧倒される。
人種差別の根源は何か。それは肌の色ではないのではないか。貧困、階層、生き方、さまざまな要素、そして何より差別しなくては生きていけない人間の性にあるのではとの考えに納得。
黒人、プエルトリコ人、イタリア系白人、ユダヤ人、そして日本人。同じ黒人でもアメリカの黒人とアフリカの黒人の違いなどさまざまな人種が登場し、それぞれが誰かを蔑み、 -
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唸るしかない。この薄さで女の六十余年の生涯を描き切るのである。武家から望まれて医者の家に嫁ぎ、慕っていた絶世の美貌の姑とやがては静かなれど凄惨ない関係に。世界初の全身麻酔手術を成功させた華岡が麻酔薬を完成させるまで、姑と人体実験の座を争うのである。
それには「勝った」はずだが、最後の数行で、男の目から見ればそんな女たちの営みもが、当時の世では、ものの数にも入らぬのだと示され、なんだか改めて愕然とするのである。いや、今の世でもそうだよな。
ところで文章のきりりと角の立った美しさよ! 時代もののこととて、漢字も多く古風なのだが、昔の紀州の方言が実に味わい深い。「〜のし」って語尾、ほかにあるー?
そ -
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ネタバレ100分で名著で知って買い、ようやっと読めた。
請われて嫁いだのに、環境変化にも馴染もうと努力し、憧れの人と家族になれた喜びからの突き放し。夫にとって母よりも特別な存在になれることが自分の存在価値になっていったことが、皮肉にも麻酔薬の完成には必然だったのかも。
夫はどちら贔屓でもなく、母、嫁にそれなりの対応だったのに、女たちが勝手にというのがなんとも。
小姑がもっと間に立ってくれればまた変わっふたかもしれないのに。小姑も姑ほどではないが、侵入者に対する意地悪な気持ちがあったのでしょう。
むかーし、子供向け漫画で読んだ華岡青洲夫妻の話からは想像できなかったお話しでした。
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夏に購入していて楽しみにしていた有吉佐和子さんの本。やっと読むタイミングが来た!
読みやすい文体ととっつきやすい内容でさくさく進みました。
太平洋戦争をくぐり抜けた女性の話で、孤児でありながらも和裁を家業とするおうちに引き取られて大切に育てられ、職を身に付け、ケガしつつもたくましく生きる様子が心強かった。
縫い物まわりの事情や、戦前・戦中のそれこそ「丁寧な暮らし」がよく分かり、例えば針を布に刺すとき音を立てないようにするのが本当の達人みたいなこととか、義理のお母さんと2人で布団を剥いでもんぺとか服にすることが楽しいとか、自分でデザインしてすぐ服を作っちゃうところとか、100年も経ってないのに -
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鬼籍に入られているはずの有吉佐和子様の、まさかの新刊!!!!!
通勤途中の駅の本屋さんで見つけて即買いしました。
原田ひ香さんの権力恐るべし。
もっともっと復刊お願いします!
軽やかなテンポで進む、芸者さん界隈のお話。
私は京都の料亭で正社員として勤務していた経験がありますが、ここで書かれているように、料亭の女将さんが地域を束ねて芸妓さんを取り仕切ったり指示したりっていうようなことは多分、もうあの頃はなかったんじゃないかなぁ・・・某老舗フランス革鞄ブランドがマハラジャを歓待しているお席とかはあったけどどうだったんだろう。
とにかく未知の世界で、ワクワクしながら読み進めました。
ストーリーテ -
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東京下の針職人夫婦に育てられた清子
ひとり息子の弘一に思いを寄せながらも、出征を見送り、
戦時下、そして戦後を懸命に生き抜く。
その間に針を踏み抜き、それがもとで片足が不自由に、
清子は新たな負い目を抱え、さらに息を詰めるように暮らしていた時、弘一が復員。
しかし戦争は人格をも変えてしまい、元のようにはいかない
有吉佐和子の作品て、その時々の状況を切々と克明に描く、というのじゃなくて、時代背景として頭に置きながら、人間をより深く生々しくそして容赦なく、と。
悪い人間には悪い人間なりの「う~ん そうだなぁ」と思えるところがあり、弱い人間には弱い人間に自然と寄り添えるところがあり、人間の描き方が -
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それぞれ趣向の違った短編集。
以前読んだエッセイ集の中で、レッテルを貼られるとひっくり返したくなるという事が書かれていたのを思い出した。
どれも面白い。
【挿絵の女】
「戦後」をまだ引きずっている時代。記憶喪失の画家が描く女の絵にモデルはいるのか
【指輪】
テレビの探偵バラエティに出演しているせいか、推理小説を依頼されて途方に暮れている小説家・有吉佐和子。
日本舞踊家の友人が、指輪を預けに来て、数日後に自殺した。
指輪の内側に彫られたイニシャルは何を表すのか
【死んだ家】
毎年一度は大病を患って一族郎党を呼び集める、旧家の女主。今度こそ危ないと医者が匂わす。相続人たちは、いかほどの財産がある -
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世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。
青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。
普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。
母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。
どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。
口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。
ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ -
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ネタバレいろいろ容赦なさすぎて、読んでいて辛い小説だった。
主人公清子が針を踏んでしまい足が不自由になる。時代性はあるが、足が不自由な人を貶める言葉が再三出てきて、身体の不自由なかたが読んだらどんな思いをするかと思うとつらい。
出征した幼馴染弘一を心の中で慕っていた清子、あるとき彼も自分を愛していたことを知る。その時の清子の思いも少女マンガ的な心境からは程遠い。終戦、弘一は無事戻ってくるが、それからの展開も少女マンガ的には行かない。
最後、清子が職業婦人として手に職を持って自立していく姿が暗示されて終わる。清子を陥れた針に最後には助けられるということか。
読んでいるときは容赦なさがつらかったが、現代人 -
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凄い迫力ある内容だった
現在は昭和の時代より介護制度は整えられ、介護の考え方も変わってきたけれど、長生きになって認知症になる人も増え、しみじみ老いていくのは大変だと実感している
当時とはいえ、信利のような夫には腹立たしさしか感じないし、役所の指導も正論であっても介護する人の心には全く寄り添えていない
茂造の介護をやり遂げた昭子を、ただ褒めるとか労うとかいう気持ちにはなれない
家で看取ってあげられたのは、感慨もあるし達成感もあるだろうけど、だからといって解決にはならない
介護は綺麗事ではない
死に方や老い方は選べないけれど、頭を使い、体を鍛えて、何とか認知症や寝たきりにはならないようにしなけ -
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一流商社に勤める夫の転勤に伴い、東京で社宅暮らしをスタートした音子が、社宅内の人間関係に振り回されていく姿を描いた物語。
一人息子の教育問題に振り回されるのは、いつの時代でもあることかもしれないが、同じ年頃の子どもがいる社宅となるといろんな情報に惑わされる。
新しく建った五号館には外国の支店から帰った人ばかりが入居するなかで、大阪にいた頃仲良くしていた山野夫人がいるのに驚き、そのあと一悶着があったり、子どもは伸び伸びと育てる方針で口出ししないと言っていた井本夫人が、離婚までして息子に東京の都立高を受験させ合格していたというのには、驚愕した。
社宅という箱の中で、主婦が一日中いると見栄と欺 -
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東京下町の大瀧三五郎の営む仕立て屋で、縫い子として働く矢津清子は、実の親はなく娘同然に三五郎とその妻のお幸と暮らしていた。
彼らの一人息子が出征をし、戦後に復員したが以前の真面目さは影もなく正体の崩れた男になっていた。
三五郎が亡くなり、お幸の清子に対する感情も障害を負った女に大事な息子を盗られてなるものかという狂気に近いものがあった。
戦争というものが、家族同然に暮らしていたものにこんなにも酷い仕打ちをするのか…
愕然とする思いと縫い子一筋にやっていこうとする清子の思いに胸を打つ。
縫い子として針を進める手先の描写や針を踏んでしまい、それが原因で跛となったことの大変さも訥々と書かれてい