有吉佐和子のレビュー一覧

  • 華岡青洲の妻

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    ネタバレ

    嫁姑の冷ややかな戦いの凄まじさ。花岡青洲という歴史に残る医者のもとで繰り広げられる。
    表面に出てこないだけに恐ろしい。でも、ずっと目立たなかった小陸は「嫂さんが勝ったからやわ」と二人の戦いを見抜いていた。
    もしかすると今でも同じような戦いが行われているのかもしれない。

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    2025年04月20日
  • 華岡青洲の妻

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    華岡青洲自体は知らなかった。
    それでもやっぱり有吉佐和子は間違えなくおもしろかった。
    華岡青洲の妻と母の嫁姑問題の話。
    今回も女性の気持ちが細かく描かれている。
    まず、美しい母に請われて青洲が勉強中で家にいない中、結婚する。
    青洲が帰ってくるまでは本物の親子のように仲睦まじく暮らしてきたのに、青洲が帰ってきた途端、勢力図が変わり憎しみ合いが始まるところが見事。
    また、青洲が研究している麻酔薬の実験台に自分を使ってくれと嫁姑で争うのがすごい。
    苦しんだほうが青洲の役立ち、相手より優位に立てると思う女の強さ、醜さよ…。
    そして姑が亡くなった後、青洲の妹がずっと当人だけしか気づいていないと思っていた

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    2025年04月14日
  • 恍惚の人

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    ■評価
    ★★★★☆

    ■感想
    ◯50年前の本なのに、書かれている内容は今でも通用する
    ◯前半から中盤にかけて終わりが見えない感覚は、どんなディストピア小説よりも怖かった。
    ◯情報が歯抜けになり、会話がうまく噛み合わなくなる状態は、痴呆では顕著。一方でいわゆる健常者の大人でもありうるんだろうなと思った。世代をまたいだ人から見ると、上の世代の人は健常者であっても要介護という見方もできる。この構造はすぐに自分も下の世代からされるものだと思う。
    ◯有吉佐和子の作品は内容もだが風景の表現、色の表現など、リアリティが本当にすごい。
    ◯最後の昭子の涙は、非常に複雑で人間的なものだったと思う。それが浄化される

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    2025年04月14日
  • 有田川

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    ようやく紀州川三部作の二つ目を手に取りました。
    物語に抑制が効いていて、それでいていかにも大衆小説というか大河物語。結末の爽やかさ然り、今の小説家には見られない得も言われぬ品の良さ、しかもさくさくと読める。
    川シリーズと言いながら、本作は蜜柑が影の主役かと。それに絡めた時代と土地の説明がさらりと行われていて、史実勉強にもなります。
    一言で言えば良い小説です。

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    2025年04月07日
  • 恍惚の人

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    2025年12月の「100分de名著」で採り上げられた有吉佐和子の小説から『恍惚の人 』を読みました。まだ「介護」の大変さがあまり注目されておらず、家庭の主婦(妻や娘や嫁)に当然のようにその負担が押し付けられていた時代、声を上げず、ひたすら忍従・献身していた主婦たちの負担は如何ばかりだったか、その苦労がしのばれます。「会社で仕事をしている」ことを免罪符に、家事・育児・介護等面倒な雑務をすべてを妻に押し付け、知らん顔をしていた当時の男性の愛情・協力の欠如、愚かさは、もしその通りだとしたら最低!今の男性はそうではないと思うが・・・。

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    2025年03月07日
  • 更紗夫人

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    裏表紙のあらすじに、「至高の恋愛小説」とあり、有吉佐和子さんのまっすぐな恋愛小説読んだことないな、と思って手に取ってみた。
    描かれる心の機微は、夏目漱石の「月がきれいですね」の世界で、ものすごく遠回しでさりげなく、昔は勘がいい人しか恋愛できなかったんじゃないかと思うほど。非常に奥ゆかしく、ときめきなんてないに等しいので、そういう期待はしない方がいい。
    ラストには、物語はすっかり仕事による女性の自立小説に姿を変える。意外と予想外の動きをする男たちなんて、添え物でしかなかった!
    有吉さんが描きたいのはいつでも、1人の人間として背筋を伸ばして立つ女性なんだ。しっかり芯もアクもある、かっこいい女になり

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    2025年02月27日
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集

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    単行本未収録の作品集、6作品
    時代が違うという感覚はあるのに、不思議と古さは感じない。この時代を生き抜く女性たちの生命力に圧倒される感じ。拳を振り上げて戦うわけではないけれど、与えられた立場に応じて全うする生き方、その心の持ちように共感すること多々。

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    2025年02月15日
  • 新装版 和宮様御留

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    入れ替わりの発想がすごいな、って思った。
    ふきが最初はただの女子(おなご)からいきなり、宮さんになって内心すごく怖かったろうな…。いきなり、「あんたはお上の妹君の和宮様におなりなしゃいまし」なんて言われたら、は?ってなっちゃうよ。戸惑うよね…。
    最後に、宮様が徳川家の正室の中でただ一人、夫の隣に墓を建てられた人だと書いてあって、泣けた。京都から、政治の道具として、使われた和宮、すっごい、激しい人生だよん(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

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    2025年01月27日
  • 華岡青洲の妻

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    こういう本を書くにはどれだけの背景勉強と創作のオリジナリティが必要とされるのか想像がつかない。
    何かの発見や発明の背景には当然試行錯誤を伴う実験があるもので、犠牲?礎となるひとや動物がいる。そこにあるストーリーにライトを当てていく
    スタイルのノンフィクションがとても面白かった。
    於継さんすごいわ

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    2025年01月02日
  • 華岡青洲の妻

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    「100分de名著」2024年12月の1冊。
    医学の躍進の裏に隠された嫁姑の確執と涙に、思わず息が詰まる。

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    2024年12月08日
  • 非色

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    かなりシビアな戦後の人種問題の現実 戦後の黒人の人種問題にフォーカスした作品。これは著者がたぶん30代前半にアメリカ留学を経験した後に書かれた。今読んでも一部は決して古くない内容として捉えられるのは、未だ同様の問題が消えたわけではないだろうからだと思うし、実際に今はもうほぼ解決されていたとしても、人々の心の中には同様の差別意識は無意識にでもあるものだと思われる。これを戦後間もない頃に書き上げ、出版したのはさすがとしか言いようがない。実際にこのような生活をしていたら、貧乏や貧困を目の当たりにしすぎて、生きていくこと自体に意味を見つけるのは難しいと思うかもしれないだろうな、と思う。

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    2026年03月14日
  • 青い壺

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    言うほどよくないかな 出版社の意向と最近テレビで取り上げられて再燃しているこちらの本。ぶっちゃけストーリーは、最近の作家である青山美智子氏のエスキースの方が、似た展開で言うなら面白かった。
    ストーリーが同時代に展開されていたのだが、全くそうとは捉えられづらかった。

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    2026年03月14日
  • 新装版 和宮様御留

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    江戸時代末期、外国から開国を迫られ、開国派の幕府と攘夷派の天皇と意見が分かれていた。
    幕府と天皇との仲立ち(公武合体)のために徳川幕府14代将軍家茂に嫁ぐ天皇の子・和宮様の話。

    最初は公家の言葉に慣れずなかなかページが進まなかったが、途中からおもしろくてどんどん読んでいってしまった。
    和宮様が替え玉という発想がすごい!
    あとがきを読むとあながち突拍子もないとはいえないのかもしれないと思ってしまった。
    確かにゴタゴタしていた時代だし、身分が高い女性だとたくさんの人に会わないから可能かもしれないなと。

    最初の替え玉、フキはただただ不憫。
    元気が取り柄で、下女見習いのような身分のフキには宮様の代

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    2024年10月22日
  • 恍惚の人

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    義父の介護問題に向かい合ういつまでも変わらない老いへの課題 昭和57年発行のこの小説。時たま考えや時代背景がかなり古臭いな、と感じるものの、老人の痴呆や老い方そのものは現代でも変わらず。
    当時はこの手の老いは家族の恥、みたいなとこがあったが、今ではもう少し理解が広まりかつ老老介護が社会問題となっており、子供家族の世話になっている老人は少ないのでは、とも思う。
    人間の老い方は40年経っても変わらないし、人間の本質を書いていて、これが近い将来やってくるリアルなんだよな、と思い知らされた。

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    2026年03月14日
  • 華岡青洲の妻

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    世界で初めて全身麻酔下での手術を成功さてた華岡青洲の妻加恵と青洲の母御継の物語。青洲じゃなくてこの二人にスポットライトを当てているのが面白い。封建社会であった江戸時代において嫁姑問題は今よりも激しかったのか。嫁いだ加恵は華岡家に馴染んだかのように思っていたが青洲が留学から帰ってきてから御継の態度が変わりあくまでも加恵は他所の人という態度を取られる。そこから二人は見えないところでバチバチの関係になるも青洲の妹の小陸以外それに気づかない。青洲が麻酔薬の通仙散を開発し研究するに至り二人は自身を実験台として差し出す。ここでもどちらが先に実験するか、どちらがより貢献できたかで張り合っていて女って怖いなと

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    2024年09月29日
  • 新装版 和宮様御留

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    「和宮様は私の家の蔵で縊死なすったのです。お身代わりになったのは私の大伯母でした。増上寺のお墓に納っているのは和宮様ではありません」そんなことを言う女が現れ半信半疑でなんとなく気をつけていると、身代わりを裏付けるような情報に目が止まるようになる。どうやら和宮様は、跋(びっこ)→健康体→左手首なし、と姿を変えているようだ。そんなことからこの小説は生まれた。

    身代わりが真実なのかどうかは闇の中だが、話としてはめちゃくちゃ面白い。それもこれも全ては有吉佐和子の文章力。御所言葉を自由自在に使いこなし、高貴なお公家様の世界をリアルに再現。最初の身代わりフキが経験した堅苦しい作法の数々は、貧しくても一

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    2024年09月07日
  • 紀ノ川

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    紀ノ川上流の名家出身の花が嫁いでからの生涯が明治、大正、昭和の時代を経て語られる一代記。

    花は古き良き伝統を守る模範的な女性であり、川を下っての厳かな嫁入りの描写は美しく、凛とした花の振る舞いや紀州弁の物言いも優雅で、前半は華々しくて素敵だった。
    そこから劇的な展開があるわけではないけれど、時代の移り変わりにより、求められるものが変化していき、女権論者の娘との対立や「家」が崩壊に向かう様子が流れるように描かれていく。
    ハッとさせられる表現があったり、女性たちの逞しさを感じたり、生命力溢れる魅力的な作品だった。

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    2024年08月24日
  • 不信のとき(下)

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    大好きな作家さん。
    これは、初めて読んだときに、実は下巻から読んだ。
    下巻から読んだのに、「早く上巻読みたい」と思うほど、有吉さんの文章は、何度読んでも飽きない。しかも古くない。他の著作もそうだけれど、内容まで古くないのは有吉さんが鋭いのか、人間とは変わらないものなのか、さてさて。

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    2024年05月28日
  • 女二人のニューギニア

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    1985年に朝日文庫から刊行された『女二人のニューギニア』の再文庫化になります。

    著者の有吉佐和子さん(1931-1984)が、
    ご友人で文化人類学者の畑中幸子さん(1930-)(当時、東京大学院文化人類学在籍、現在は中部大学 名誉教授)のフィールドワークを訪れた際の、壮絶だけども笑えてしまう滞在記になっています。

    「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、有吉さん」という畑中さんのお誘いに「じぁあ、行くわ。案内してくれる?」と大層気楽な気持ちでスタートしてしまったこの旅は、大変なものになります。
    悲惨な状況が続くんですが、文章が面白すぎて何度も何度も笑ってしまいます。
    のっけから、ニューギ

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    2024年05月24日
  • 紀ノ川

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    和歌山の素封家を舞台に、明治・大正・小話を生きた3代の女たちの年代記。

    祖母の豊乃に手をひかれて九度山の石段を上る花の描写から始まるこの物語は、花が嫁いでからのことがいちばん長く、きっちりと嫁として、妻としての務めを果たし長男を産みその後に長女の文緒を産んだと同時期に豊乃を亡くす。

    母の花とは違う文緒は、ひたすら我が道を進み一風変わった強情な女子であった。
    母の思いを全く与することなく結婚後も自分の思うままである。

    その文緒の子である華子は未熟児で生まれてから身体も弱く、和歌山の花と過ごす時期もあった。

    花の子どもにしても男もいたが、いずれも家を離れてしまっていて、戦局苛烈においては彼

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    2024年04月22日