有吉佐和子のレビュー一覧
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有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。
けど、私は文楽が好きなうえ、沖縄の三線だけれど三味線を弾くのでよかったけど、一般の人はどうなんかなぁ?伝わるんかなぁ?
芸に或る程度の尊敬を払えるタイプの人でないと、この本は辛いでしょうね。
有吉さんの何が上手って、ただの芸事の本に終わらず、年とって分かる実の母親の強さ、しなやかさ、結婚をするということの意味、少し前の世代の女性の大変さ、男の静かな友情と呼ぶには軽薄に感じる感情の交流など、様々なテーマを懐深く内包し、かつどのテーマも浅はかになっていないところ。
文楽もまた、何がすごいって、演奏中に死亡した三味線や太夫と相三味線の仲たがいなどが現実に起きた世界であると云う事。ぽっと出の芸能を解さない政治家の補助金カットに負けず、守り抜きたい関西の大切な芸能なのである。
有吉さんが文楽から依頼されて書いた「雪狐々姿湖」も見てみたい。 -
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今は、いつまでも独身でいる女性はたくさんいるし、それが別に恥ずかしいことでもなんでもないけど、終戦直後となると、そうもいかなかったのかなあと思いました。
でももし私がいま、仕事をしているけど独身だったら、この本を冷静に読めたかなあと思うと、怖い気がします。
今と終戦直後じゃ、だいぶ感覚は違うけど……。
文代やトモ子なんかは仕事を持ってるからこのまま独身でも大丈夫だけど、薫みたいに大学卒業後家事手伝いになって、そのまま結婚せず……って人は、その後どうするんだろう。
それにしても裕子。
初登場の頃から、「うわ、私こういう女絶対友達になりたくない」と思いましたが、最後の最後までやっぱりそんな感じの女でした。 -
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有吉佐和子さん、2冊目。
面白かった。
女同士の関係の機微を描くのが上手な方だと思う。そして、花柳界のなんたるか、男のプライドなるものも垣間見せてくれる。
小さい頃に、家庭の事情で、芸妓の見習いとなった正子と蔦代。全く性格の違う二人。
如才がなさすぎて、どこかこすずるく、人から好感を持って受け入れられない蔦代に対して、同性からも信頼されて着実に芸の道を歩む正子。
一見、正子の方が好感を持って描かれるが、私は微妙。所詮は旦那に体を売る芸妓なのに、本妻として表通りを歩くことを目標としたりと中途半端な感じがしてしまう。
対して、確かに蔦代はそれこそ感じは悪い。。。というか猫のような性格。でも、生き抜くために必要な選択をしただけとも言える。
好き嫌いはあれ、二人とも一生懸命生きたと思う。恋に生きるのが幸せか、家族のために生きるのが幸せか、などなど女性が何を一番として生きるのが幸せな選択かなのかについてがテーマなのではないかと思う。 -
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久しぶりに有吉佐和子さん。
造り酒屋の一人娘である茜は、甘やかされて育つ。
ある日父親と共に出掛けた文楽で、露沢清太郎の弾く三味線の音色に心を奪われる。
こうはじまる物語で、茜の清太郎への想いと芸一筋に生きる清太郎とを大正末期から戦中戦後にかけて描いている。
観たこともなく、正直それ程興味もない文楽。
日本の芸能の中でも歌舞伎や能や狂言などに比べ、文楽は余り知られていないのではないかと思う。
文楽とか浄瑠璃、義太夫など聞いたことはあるが、恥ずかしながら区別がつかない。そういう世界に生きるひとたちの物語でもあるが、そもそもわからない世界なので想像しづらい面はあった。
それでも知らない文楽の世界にも、興味を憶えるような一冊だった。
甘ったれた茜が時に大胆に時に密やかに、ただ直向きに清太郎を想う姿。
気ままに生きてきた茜が、義理の子供たちのために奔走する姿。
芸に生きる清太郎を支え気遣う姿。
様々な茜の描写の中に、女性としての成長と成熟がうかがえる。
ただ清太郎への想いが激しく、深く考えずに行動してしまうところがある茜に心情としては寄り添いにくいものがある。
戦中戦後は有吉佐和子さんの作品には多く描かれているが、戦争を知らないわたしからすると呑気とも思える程変わらない日常を送るひとが多いように感じる。
空襲が激しくなっても疎開もせず三味線を弾きつづけた清太郎や、恐怖を感じながらもそばを離れない茜といった記述からも清太郎の芸事への姿勢がうかがわれると共に、戦中であっても文楽を楽しむひとびとの日常が感じられる。
清太郎が三味線の糸についてのこだわりが厳しいことに対し、茜が経済的に苦しいため反問したときの言葉が芸事に命を懸ける想いが伝わってくる。
「三の糸が切れたら、二の糸で代わって弾ける。二の糸が切れても、一の糸で二の音を出せば出せる。そやけども、一の糸が切れたときには、三味線(弾き)はその場で舌噛んで死ななならんのやで」
ラストは概ね想像通りではあるが、有吉さんの手にかかると場面が鮮やかに見えてくるようで、予想通りでつまらないとは思わなかった。
茜は有吉さんがよく描く、弱そうでいて芯の通ったキリッとした女性とは少し違うが、寄り添えないと感じたのにも関わらず最後には知らないうちに寄り添ってしまえるのは、有吉佐和子の文章だからだろうか。 -
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舞台小説でありミステリ小説であり。
けっこうな長編だけどぐいぐい読ませる力があって一気に読んだ。
「二億円用意しろ。さもなくば大詰めで女優を撃ち殺す」という一本の電話が帝劇関係者に激震を起こす。
満員の観客が見守る中舞台は進み、バックステージでは緊迫した駆け引きが繰り広げられる。
全26章、章ごとに視点は変化してゆくのだけど、主にミステリ作家でひょんなことから舞台の演出を手掛けることになった渡紳一郎の視点で物語は進む。
著者の有吉佐和子さんは演劇界にも明るい方だったらしく、華やかな舞台の世界の裏側も事細かく描かれていて、主演の八重垣光子の女優然とした姿が「これぞまさに女優!」と思わせてくれる。世間知らずだし嫌な女なんだけど(笑)女優ならこうであって欲しい、というような。
妬みとか野心とかはたまた諦めとか、色んな感情が渦巻く世界。
プラス過去に起こったとある事件が絡んで、舞台を舞台にした事件が起きる。
ミステリの筋はもちろんだけど、人間の感情の動きやままならない想いなど、そういう描写に惹きつけられた。
犯人の気持ちも理解出来るものだった。
とても読み応えのある、個人的には新しい感覚の(作品自体は30年以上前のものだけど)小説でした。 -
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35年前の日本の問題がいま、隣国中国で起こっている。
先進諸国が安い原価を求めた為に、避けられない結果となってしまった。
この本は1979年に初版が発行され、今でも読み続けられているのは、作者の知名度はもちろんの事ながら、徹底した取材による細かなデータに併せて、生産者とのインタビューを盛り込んだ読み易い口語で書かれているからだと思う。
日本の食品産業界の歴史が第二次世界大戦での敗戦によって、それ以前の歴史からぶつ切りになりながら進んできた事がわかる。
アメリカから持ち込まれた価値観が政治を巻き込んで、生産者から末端までを汚染して行った。
そして気がつくと、食品だけではなく、モラルや慣習、考え方まで洗脳されている。
この本には、私達が食品を選ぶ時の教養となるだけではなく、本当に良い判断をする為の価値観を学ぶために必要な要素がたくさん詰まっている。