有吉佐和子のレビュー一覧
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地唄に収められている有吉佐和子のデビュー作である「地唄」を第二章とした話。
この「地唄」が彼女を有名にするきっかけとなった作品とのことだけれど、地唄含め、それを含むこの長編も、私の中では有吉佐和子さんのこれまで読んできた小説の中で一番面白くないと思う。
テーマは分かる。伝統芸能の継承ということで、古いものを古いまま遺して行きたい派を時代にあうように改良を加え、古典芸能自体に世間からの注目を改めて向けさせる革新派とのどこの世界にでもある葛藤、師弟制度への疑問を投げかけているのだと思うのだけれど、他の作品と比べると、人の感情の動きが沈滞しており、全体によどみがかかった重い雰囲気である。 -
Posted by ブクログ
有吉佐和子の名作復刊第二弾ということで平積みになっていた。ぺらぺらめくるとおもしろそうだったので読んでみました。
一流会社の社宅に繰り広げられる、奥様方と息子とついでに夫の生態を描く。読んでいると、作者佐和子氏はどこか覗き窓か望遠鏡で各部屋を観察しているような雰囲気がして、読んでる者も一緒に覗いているような感じになる。主人公の主婦・音子に一体化はしない。
解説が無いので、全共闘、教育ママという言葉と、カラーテレビがある、などの言葉から時代設定は70年前後かな、と思ったが時代設定にかかわりなく、自分の息子の成績と夫の出世に一喜一憂する主婦・音子の言動・言葉は現在でもあてはまる部分があると感じる。これは専業主婦でなくとも勤めてる妻・母でも多かれ少なかれ持つ感情ではある。ただ専業主婦だと勢い昼間の8時間を目いっぱい息子と夫の事に投入できるので、この小説のようなことになるのだろう。しかしここでは妻は息子の成績と夫の出世によって評価される。評価というより、自分が気持ちよくなれる、ということか。妻自身は仕事をしていないので成果は息子と夫でしか現れないのだ。
オスはメスを選ぶのに子孫を残せそうなメスを選び、メスは木の実や動物を倒せそうなオスを選ぶ、ということが竹内久美子の本だったかに書いてあったような気がするのだが、”木の実をたくさんとってくる一流会社勤めのオスをめでたくGETした妻たち”という図を思い浮かべてしまった。しかし社宅に住まざるを得ないところがミソである。
調べてみると、1970年4月~12月に毎日新聞に連載され、71年に新潮社から単行本。71年10月~3月までTBS日曜9時からドラマ放送されたようだ。子供が6年で、夫は戦争に行っており、妻は女学校を出た設定だ。とすると夫は大正10年代生まれで妻は同じか昭和ヒトケタの生まれの設定になる。・・自分の家族と同じような感じだ。ドラマでは音子・八千草薫、夫・山内明でまさしく予想設定通りの生年の人だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の美しさを傲慢にひけらかし、自分の美貌にしか興味の
ない母親郁子のもとに産まれた朋子の幼少から老年までの物語。
母親らしいことは何一つしてもらえず、母親は自分が困ると
娘を頼りにし、困ってない時は娘を顧みない。
朋子は祖母に育てられ、母親の再婚家庭に引き取られたかと
思えば、すぐに芸者に売られ、更に同じ妓楼に遊女として
母親まで売られてくるという壮絶な日々を送る。
しっかりもので自分の将来をみすえ芸者から一流料亭の女将へと
出世していく朋子とだらしなく傲慢で自分の事しか考えてない
郁子のやり取りに苛立ちを覚え、大変疲弊する読書だった。
更には郁子の2回目の再婚相手との子供安子まで、
母親そっくりの美貌でそれでいて気は効かなく困った時だけ
姉を頼りにするので読んでいて朋子のお人よしに苛々した。
ただ最後の結末は人生の妙を感じるような、今までの母娘の
確執がすっとぬぐいさられるような終わり方でとても良かった。