有吉佐和子のレビュー一覧

  • 悪女について
    最近本屋で有吉さんの本をよく見かけるような気がして読んでみたのだが面白かった。総勢27人の証言は富小路公子との関係が最も気薄の人から始まるのだが、意外とその中にキーとなる要素がすでにほとんど盛り込まれているようで、そのあと富小路の修練から人物像の中心部を固めていくような巧妙な進行。結局彼女の本心がど...続きを読む
  • 非色
    メロドラマになりそうなところを流されることなく、綺麗事ではない、人の見たくない本質部分を冷静に描写している。

    物語に引き込まれていきました。
    ぜひご一読を!

  • 非色
    女2人のニューギニアが有吉さんの初めて読む本だったので、物語としてはこれが初めて。
    エッセイからは想像ができひんほど、人のえぐみ?本当の思いをたんたんと書く人やと思った。でも共感できることばかりで、友達の話を聞くようにずんずんと読み進めてしまった。
    また戦後の生き方は、想像を絶する世界で
    今より外国...続きを読む
  • 紀ノ川
    明治時代に和歌山に生まれ育った花を中心に、子の文緒(大正)、孫の華子(昭和)を通して、時代の移り変わりを描いた作品。
    私の義実家は和歌山なので、話言葉や食べ物(駿河屋のまんじゅう、富有柿)、地名(岩出)和歌山城やぶらくり町が聞き覚えがあるもので、読んでいておもしろかったです。
    私は強い女性の話が好き...続きを読む
  • 紀ノ川
    明治、大正、昭和へと続く、母から子、孫に至るまでの年代記。
    有吉版『細雪』のよう。細雪よりはだいぶコンパクトながら、明治のお家騒動にとどまらず、昭和までの時代の移り変わりが書かれているのがすごい。
    川の流れのように続いていく命と、変わっていく「家」のあり方を体感することができ、しっかり満足感。
    「〜...続きを読む
  • 青い壺
    派手な展開ではなく淡々とつづられる物語だが
    じわりじわりと胸の中で大きくなる
    100万回生きた猫が脳内に浮かんできた笑
    登場人物一人ひとりの生き様と心理描写が素敵
    昭和の作品の良さにハマってる今日この頃
  • 青い壺
    とても素晴らしい群像劇。何回も読みたい名品。
    文章が簡潔で、露悪的でなく、現実の中のドラマを活写している。一話一話が絵画のよう。
  • 紀ノ川
    めちゃくちゃ面白かった。
    第1章が終わり、第2章が文緒が女学生になったところから始まることに気づいた時点で「文緒が女学生になるまでに何があったかも教えてよ!!花の視点を共有してよ〜!」と駄々をこねたくなった。

    内孫、外孫、長男がどう、と家父長制的な視点を持つ花に対し、文緒が「実際に深い交流があるの...続きを読む
  • 恍惚の人
    50年以上前に発行された本ですが、ここに描かれた困難さは全く解決されていないことに衝撃を受けました。登場人物の感情を残酷なまでに正確に映し出す文章が本当に素晴らしいです。
  • 恍惚の人
    昭子さんお疲れ様…

    旦那が全く役に立たない
    嫁に任せきりで、自分の父親なのにただただ何もできず妻が粛々と介護、葬儀の準備しているのを眺めている
    まぁでも呆然として何をしたら良いかわからず指示待ちになってしまうのもわかるけど、最後までは何もしない旦那だなぁと思った

    令和の今読んでも色褪せないという...続きを読む
  • 非色
    時々考えることなのだけど「人が人を差別する意識はどこから生まれるのだろう」ということを、この本を読み終えてまた考えた。
    歴史や時代に刷り込まれる場合もあるだろうし、生まれ育った環境(親や友人など)を通して意識に根付く場合もあると思う。
    自分自身「差別なんてしたことありません」はんて到底言えないのだけ...続きを読む
  • 新装版 和宮様御留
    NHK「大奥2」の岸井ゆきの演じる和宮を観て興味が湧いた。幕末を舞台にした大河ドラマでちょくちょく見かけてはいたのだが、たいていはサブ的な位置づけで印象派薄い人物だった。
    一方でNHK大奥2の和宮はほぼ主役と言ってもよいインパクトを残した。男装の和宮と女将軍の家持。完全にフィクションなのだが、画面に...続きを読む
  • 非色
    っかーーーー!身をつまされる思い…

    まさに、こんな傑作をわたしは知らなかったのかーーー!しかも重版未定になった歴史があるなんて信じられん!の嵐でした…

    この1967年に書かれた作品(なのに全くの色褪せがないのもすごい)が2020年に復刊されるのが、素晴らしいタイミングというか、すごい意味ありと言...続きを読む
  • 非色
    面白くて一気読み。
    日々の生活に活力すら与えられて、読書の意義をひしひし感じることができた。

    でもそれはこの中に書かれた生活を「これよりは自分はマシだ。頑張ろう」と思えたからであって、この小説の主題をまさに体現しながらの読書体験でもあった。

    人間は業が深い。それは許容しつつ、なるべく自らのその部...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    これは死ぬほどおもろかった。文句なしの5★!人類学者の畑中幸子氏に「あんたもおいでよ、歓迎するで~」と言われてほいほいとニューギニアの奥地に行ってしまい、大変な目に遭うという話し。1968年頃のニューギニアって、こんなんやったんやぁって思うけど、今のニューギニアも知らんけど。そう言えば1973年くら...続きを読む
  • 非色
    有吉佐和子さんの本は初めて読んだけど、テンポ感が良くて、リアルで面白かった。
    50年以上前の話で時代も感じるけど、人が人を差別してしまう意識は今でも変わっていない事は分かる。
    差別されているもの同士でもお互いを差別し、罵り合う。
    人種同士の差別もだけど、この時代は今よりももっと女性の地位も低い。女性...続きを読む
  • 悪女について
    どうも自分は多視点の物語が好みのようだ。
    主人公の女性の視点は一切描かれず、彼女と関わった人々がそれぞれの主観で物語を語るスタイル。
    それぞれは見たことを語るだけなのだが、章が進むうちに人間の主観の偏りや小さな嘘が明らかになっていく。そこが面白い。そして主人公の多面性。
    騙された男たちはある意味で自...続きを読む
  • 悪女について
    おもしろくて夢中で一気に読んだ。のめり込んで読んだ。
    結末はちょっと拍子抜けだったかもしれない。
    あ、でも、造花は?!造花は誰が?

    この頃の文化、人々の様子、好きだなー。
  • 女二人のニューギニア
    和歌山市の記念館を訪れて以来、有吉さんの作品を少しずつ読んでいる。
    今回は紀行文で、知った時には旅行エッセイ好きの血が騒いだ。文化人類学者のご友人 畑中幸子氏に誘われニューギニアの奥地ヨリアピに足を踏み入れるというもので、ハラハラ引き込まれること間違いなしだ。

    有吉さんたちの文字通りに歩んだ旅路自...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    恐らく中学時代…先輩が書いた読書感想文で本書を知った。
    1804年(文化元年)世界初の全身麻酔による乳ガン手術に成功した華岡青洲。その成功の裏には自ら実験台になることを願い出て失明した妻 加恵の内助の功があった。感想文にあったそんなあらすじを読んで、すぐさま「自己犠牲がテーマか…」と気が進まなくなっ...続きを読む