有吉佐和子のレビュー一覧
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デリケートな人種差別問題に踏み込む作品。白か黒かという単純な話ではなく、黒の中でも差別はあり、みな自分より下の人間を見下し蔑むことで、「自分が一番下ではない」と自尊心を保っているのだという残酷さを感じた。登場人物のなかでは平等の心を持っている主人公でさえ、ニグロの妻であることを隠そうとしたりプエルトリコ人と同等に扱われて激昂したりと、どうしても差別意識は内に存在してしまうのが印象的だった。私も私の周りも、人種にしろ部落にしろ被差別者とは縁がないし、誰のことも差別していない(と思っている)ので「黒人と遊んじゃダメ」などというのは頭がおかしいと思える。しかし、もし周りの人がそのような考えなら、私も流されて同じように差別してしまうだろうと思った。親がそのような思想ならなおのことであり、当たり前のように差別的な思想に触れていたら、当たり前のように受け入れられるのかもしれない。今でこそ世界的に「差別はやめよう」という動きがあり、昔と比べれば圧倒的に減ってはいるのだろうが、こういった先祖代々受け継がれたとも言える差別意識は簡単になくせるものではないのだろうとも感じ、複雑な問題なのだと改めて思った。
有吉佐和子さんを存じ上げなかったので、解説を読んだとき、1960年代に書かれたものだと知って驚いた。たしかに難しい言葉や漢字も多いが、ここ10年くらいで書かれたものだと勘違いするくらいには読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
ある高齢の平凡な陶芸家・省造が焼き上げた青磁の青い壺。あまりにも清澄で美しく高貴な気品がある作品となったことから、この壺が数奇な変転を経ていく、そして再び100数年後に省造の目の前に。この壺が、13章の中で次々に渡っていくその経緯がまたいろんな人生を感じさせるという楽しい物語の構造である。ある定年後の呆けてきた定年退職者が妻と百貨店で入手し、かつての上司に持参するところから、その娘…。そして70歳の老女・弓香が京都での女子大時代の同窓会に出席した時の雰囲気が楽しいし、その時に安売りされている青い壺を入手という場面が印象的。弓香の孫からなんとスペインへ渡り、そしてまた日本へ。
多くの人々を魅する「美しい物」の魅力を感じさせられるとともに、その鑑識眼を揶揄するような場面も皮肉。若い日から50数年を経て変わらない人間関係など、面白い材料に富んでいた。 -
Posted by ブクログ
初出は昭和51年~52年なんですね。
まだ戦後30年程度で、この物語の中でも当たり前のように、日常の延長のように元気な老人たちが戦時中のことを語っていて。
そのような時代の家庭の様子なども今とはだいぶ違っていて、そこが文化史や社会史を見ているようで面白かった。家父長制がまだまだ残る、専業主婦が当たり前の世代。
13話から成るオムニバス形式の短編集で、どの話にも青い壺が登場する。同窓会を兼ねた京都旅行に行ったおばあさん軍団の話が面白かった。定年退職したあのご主人の奥様のその後が気になって仕方ない。
それにしても文体が相変わらず上品で美しい。それでいて読みやすい。たまに有吉作品読みたくなる。次は何読もうかな。