有吉佐和子のレビュー一覧
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NHK「大奥2」の岸井ゆきの演じる和宮を観て興味が湧いた。幕末を舞台にした大河ドラマでちょくちょく見かけてはいたのだが、たいていはサブ的な位置づけで印象派薄い人物だった。
一方でNHK大奥2の和宮はほぼ主役と言ってもよいインパクトを残した。男装の和宮と女将軍の家持。完全にフィクションなのだが、画面に映る二人は実在の人物としか思えないほど「生きて」いた。
フィクションではあるが、細部のリアリティーは歴史に忠実で、和宮の左手が無いこともこのドラマで知った。あまりに実在感が強いので、機会があれば増上寺の菩提に手を合わせに行こうと思っている。
間違いなくフィクションなのに、どうしても生きていた気がしてならない。この感覚は何なんだろう…。
本書の大筋としては、徳川家に嫁ぐことを拒否した和宮のために、母の観経院が使用人の女の子を替え玉として教育し江戸へ向かう、という話だ。
前半は幕末の京の公家社会を詳細に描いていて興味深い。ただ、本の折り返しまでドラマが立ち上がらないので若干の退屈さはある。
しかし後半に入り、江戸への道中で起こるサスペンスなイベントが連続して俄然面白くなる。
NHKのドラマとは違う展開だったが、本書は本書で感じるものがあった。
歴史に隠された「自分自身として生きられなかった人々」のことを思うと、今、自分にできることをしなければと思う。 -
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有吉佐和子さんの短編は初めて。どの話もごくごく短いものだが流石に読ませる。
昭和の作品なので時代背景が各所に窺える。派手さはない。描かれているのは登場人物達の日常とそれにともなう細やかな喜怒哀楽。そしてそこに青い壺がある。
第一話で生み出された壺が様々な人の手を経て最後の第十三話で生み出した省造のもとに戻ってくる。「いつの間にあんなにいい古色がついたのであろう」と省造は思う。素敵な終わりかただと思う。
個人的には第九話の高齢女性達の同窓会の話が好きだった。高齢女性の心理描写とか登場人物に言わせる言葉とか有吉さんは本当にウマイ。その場面が目に浮かぶようだった。 -
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有吉佐和子さんの小説、最近ものすごく惹かれている。たおやかだけどきびきびした緩急のある文体、豊富な語彙で選ばれた言葉たち、様々な登場人物の人間味(一瞬しか出てこない人物ですら目に浮かぶ!)、現実を映し出したような予定調和ではないストーリー…。
今作も一気読み。
前作から更に強くなった秋子、ラストの打ち合わせでの采配、大会での口上でのかっこよさは痺れた。
したたかになったことを、「変わったのではない、育ったのだ」というのも素敵。こんな大人になりたい。
そしてこのラスト、満足ではあるけど、風と共に去りぬのような置いてけぼり感!本当は続編もあったんだろうか。母親も妹も必要なものではなくなった壮年期の秋子のその後を読みたかった。 -
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有吉佐和子さんの作品は、文字を追うだけで楽しいような硬質な美文で、本当にハズレがない。
今回も、題材の日本舞踊のことなんて全く知らないのに、ぐいぐい読まされてしまった。
それほど長い作品ではないのに、大河ドラマを観たかのような満足感。
あと、青春期までの瑞々しい繊細さを描ける作家は数あれど、酸いも甘いも経験して成熟した大人の女を、こんな見事に描ける作家はそうはいないと思う。
全員単純にいい人でも悪い人でもなく、年を経て変わっていく人格として描かれているのも、人間ってそうだよねと思わされて、凄くいい。
有吉佐和子さん、手当たり次第に読んでいこうかなあ。
続編も楽しみ。 -
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花(明治)・文緒(大正)・華子(昭和)の三代記と、少し前の朝ドラを彷彿とさせる構成。事前に著者の生い立ちを確認していると、自伝的小説だと言うことに途中気づく。
開始早々泣きそうになった。
嫁入り前の花が祖母の豊乃と寺の石段を上るシーンから入るのだが、孫へのはなむけの言葉がもう優しくて、優しくて…。
明治初期に身内が嫁入り前の女子に説くことなんざせいぜい嫁の心得だろうに、「身体を大切にしなさい」等今と変わりないしどれも愛情深い。早逝した実母に代わってどれだけ彼女が手塩にかけてきたのかがよく分かる。
作家の桂芳久氏は解説にて、著者は紀ノ川に「いのちの流れ」を象徴させたと書いている。出来た嫁の花は作中で紀ノ川に例えられているが、桂氏曰く「(自分より早逝した)夫や義弟のいのちを吸収して逞しい生命力に溢れている」という。正しい解釈かもしれないが、まるで花が悪霊のような書き様に思えて自分はこれに賛同しかねた。
和歌山市の有吉佐和子記念館を訪れた際紀ノ川も見えたが、水流は穏やかなれど水の色は凛々しい青だった。芯の強い花に屈強な文緒、これからの時代を逞しく生きていくであろう華子を想起させる、揺らぎのない青。性格や得手不得手は違っても、彼女らに共通する強さは脈々と受け継がれる。これが読後に見出した、自分なりの川の解釈。だいぶ単純なものになってしまったが~_~;
男性陣が儚い印象だが、花の小舅にあたる浩策だけは異色だった。小気味の良いツンデレっぷり(あの重度の皮肉屋を容易にツンデレと呼んで良いものか、書いてから悩んでいる…)で、基本的には長兄や花にジェラシーを燃やすひねくれ者。しかし彼もどこかで花たちと繋がっていたかったのか…?と思っちゃうほど、交流を続けていた。
子供たちとの交流や、年老いて一人になった花の元に書籍を届けたりして、何だかんだで花も彼への警戒を解くようになっている。
だが「家」には決して染まらず、登場人物の中で一番思い通りの人生を送れている。桂氏風に言えば、花にも吸収できない川があったってこと。
毎朝読んでいたから、こちらも自分にとっては「朝ドラ」にあたる笑 先のリアル朝ドラとはまた違った瑞々しさ。バトンをつないだ華子の未来が前途洋々であれと、紀ノ川を眺めた時のように流れを見守っていた。
『恍惚の人』に続き、こちらも知人から紹介して貰った一冊!有吉氏の代表作にようやく辿り着くことができて達成感でいっぱいです^ ^ この先(一生かけてでも⁉︎)︎他の作品も制覇していきたいです。 -
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ずいぶん久しぶりに読み返そうと思ったのだが、持っている文庫本はあまりにフォントが小さくて、とてもじゃないが読めない(トホホ…昔の文庫を見るたびに本当にこれ読んでたのかと思ってしまう)。ちょっとためらったけれど、とっても面白かった記憶に押されて新装版を購入。いやあ、これは大正解!もう夢中になって一気に読んだ。
幕末、公武合体の掛け声のもと、徳川家に降嫁した皇女和宮は、実は替え玉だった。この設定だけでも興味深いが、そこに幾重にも肉付けされていく、小説としての厚みがすばらしい。思いつくままにあげていく。
・一人目の替え玉として、フキという少女をつくりあげたことが、この小説のキモだろう。何も知らされずなんの抵抗もできず、思いもよらない運命に巻き込まれていくこの少女を作者は、否応なく苛烈な戦場にかり出され、狂ったり死んだりしていった若者たちのことを思いながら書いたそうだ。そう思うと、フキがいっそう哀れでたまらない。
・二人目の替え玉宇多絵にはモデルがいるそうだが、替え玉説は否定されているようだ。フキと違い、裕福にかしずかれて育ったと描かれる宇多絵は、まさに青天の霹靂としか言いようのない運命に静かに従う姿のみ描かれ、その内面は一切説明されない。そのことがかえって、権力の非情をまざまざと浮かび上がらせていると思う。
・考えてみると、和宮はそうした力を持つ側の人なのだが、降嫁を拒否し我が儘を押し通すといった印象がほとんどない。それどころか、彼女もまた犠牲者なのだと思わせられる。この点にも作者の筆の力を強く感じる。
・物語の背景にある、公家と武家の価値観の違いがとても印象的だ。優雅な技芸、洗練された生活様式を代々伝え続ける一方、風雲急を告げる時代の動きには暗く、関心を持とうともせず、武家を見下し「伝統」に固執する公家。そうした公家を軽侮し、富と力によってすべてをなぎ払おうとする武家。しかし結局は、どちらも外国からの強力な波に呑み込まれていく。作者の視線は冷静だ。
・全篇に登場する御所言葉が実に面白い。典雅でありつつ、どことなくユーモラス。「お嫌さんであらしゃりまして」「おするするにお運びあそばされ」などなど、耳について離れない。会話も手紙も持って回った言い回しの極地。京都人のいけずの源流だもんね。
有吉佐和子の代表作の一つ「華岡青洲の妻」について、橋本治は「作者は最後の最後で、大声で怒っている」と喝破した。この小説は、嫁姑の争いを描いたとととらえられがちだが、青洲の墓は、彼のために身を捧げた妻や母のものよりずっと大きいと書くことで、その理不尽に対して渾身の力で怒っているのだと。この指摘には参った。さすがだ。この「和宮様御留」にも、抜群のリーダビリティの底に、まぎれもなく同様の怒りがある。そこに強く惹かれる。
オマケ
本作はかつてテレビドラマ化されたものを見た記憶が鮮明だ。調べてみたら、私が見たのは81年フジテレビの正月特別番組だった。フジテレビの黄金期だけあって、俳優陣が実に豪華。
なんといってもフキ役の大竹しのぶが圧倒的だった。ほんと、この人って北島マヤそのものだわ~。和宮は岡田奈々(今どうしてるのかな)宇多絵は池上季実子、どっちも美しかった。和宮の生母観行院は森光子だったけど、原作とはイメージが違う。年増で険のある美人女優が良かったんじゃないかな。うーん、誰だろ。宰相典侍が園佳也子で能登命婦が吉田日出子というあたりは、もうそれしかない!というキャスト。他にも中村玉緒・乙羽信子・藤田まこと・丹阿弥谷津子・三益愛子・小林桂樹・佐藤慶などなど、名優がゾロゾロ。昭和のドラマが懐かしい。 -
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1974~75年の『朝日新聞』連載小説。といっても、脚色があるとはいえ、ストーリー性はない。「小説」というよりもルポルタージュに近い内容。冒頭の選挙応援に始まり(本題ではないが、これはこれで面白い。菅直人も登場)、化学肥料、除草剤、合成洗剤、食品添加物、PCB、配合飼料、自動車排ガス、交通事故などあらゆる話題が提供されていて、著者の好奇心に脱帽した。
50年後の今日、著者が挙げた問題には、緩和されたものや、逆により深刻化しているものもあるだろうが、「個々の物質からの影響をバラバラに見るのではなく、これらが積み重なると何が起こるか?」という発想は、有効性を失っていないだろう。 -
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おそらく、本で読んだだけならここまで強烈に印象に残ることはなかったことだろう。
毎朝のNHKの朗読で一回、それを録音で収録したものでもう一回。初夏のウォーキングのなかで聴いた。
柔らかな紀州訛りと、もう失われた少し遠い時代の生活や言葉を背景に、“真谷のごっさん”花の見つめた世界に同化しながら浸った。
そして、もう一回この手にしている本で三度目の『紀の川』を渡った。
三度ともなれば、すべてがもう知り抜いた既知の世界。展開も、台詞も文字を目が追う前に既に知れている。
ただ味わった。もう一度この心地よさを。
何が心地よいかって?
それは花の“美しさ”だ。小説のなかでも、その美貌を表現する箇所はあるが、それだけでは私の心は動く筈はない。
豊乃に英才教育されて身につけた教養と躾、身のこなし。それだけでもない。
それらと彼女の生きた運命が化学反応して発光する輝きが、孫娘華子(有吉佐和子)によって見事に描かれているのだ。
絵画に描かれた女性に恋する青年の気持ちと同じだ。
もう、現実には存在し得ない、失われた“美しさ”だ。 -
購入済み
昭和の時代、日本の伝統芸能が時代の波の中に失われていく中で、芸に身を捧げる人々を描いた短編集です。
新しい時代の中で揺れる芸の世界を描いた「地唄」「人形浄瑠璃」。
変わりゆく時代の中で、伝統芸能をひっそりとしかし一途に支える姿を描いた「墨」「黒衣」。
厳しくも美しい世界に生きる人々の矜持が胸を打ちます。 -
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ネタバレ以前借りたけど頭に入らないか時間切れでつんどく…
つん…ど…つんどくしてたもの
再トライ
各所で参考に出される大事な書か。
長くかかりましたが読み終わり、
私が産まれる9年前に書かれた本にすでに
御用学者という言葉がかかれていたり
企業の広告、国の機関の言うことを
いちいちうのみにせず、疑ってみることの大切さ
わからなくても、学者に「もっとわかりやすく言ってください」と聞いていいということ、またその勇気
世の中をじっくりみている「ご隠居」とのやりとり
文章が楽しく、時間かかったけど読んだかいあり。
ふせんはったとこめも
p161
おそろしいものを食べて生きている為、染色体がめちゃめちゃになっているから遺伝子もくるっている。
孫の顔をみたいとは思わないという半端な知識人。
→もっとも男性的な意見だということ。こんなことを言う人に限って幸せな結婚をしているし、子どもの出来も悪くない。その幸せを子どもにも与えたいとなぜ思わないのか・
確かに。女性なら、子どもや孫の幸せを考えて生活をよくしようとしたりするもんだもんね。
p391
マンハッタンの高層ビル群のなかで3,4回に事務所がある人でエレベーターを使う人はなく、階段を上らないでいると具合が悪いのかと聞かれたそう。
エレベーターは老人と病人と、ハイヒールを履いたおしゃれでバカな女のためにあると。
機械は病人を作る。ギルダー女史
p490
ヨーロッパや東南アジアの牛や豚は車道を横切って移動していく。
運動している。
→会いたい♡