有吉佐和子のレビュー一覧
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ネタバレ『恍惚の人』は、認知症という言葉がまだ一般的でなかった時代に、「老い」と「介護」を真正面から描いた作品です。
舞台はごく普通の家庭。特別な不幸が起きるわけではありません。ただ、年を重ねた父が少しずつ変わっていく。その変化に、家族がどう向き合わされていくのかが、淡々と、しかし容赦なく描かれます。
印象的なのは、誰かが明確に「悪者」になるわけではないことです。
介護する側も、される側も、みな必死に「正しく」あろうとする。
それでも、苛立ち、疲弊し、思ってもいない言葉が口をついて出る。その現実が、非常に生々しい。
この作品が突きつけてくるのは、
「家族だから支えられる」という理想と、
「家族だか -
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ネタバレ戦後、進駐軍として日本に来た黒人軍人と結婚し、ニューヨークに移り住んだ笑子の物語。
黒人の子どもを日本で産み、疎まれ、アメリカでも貧困層として生きることを強いられる。
この小説で印象的だったのは、笑子が感情的ではない女性として描かれていることだ。
妬みや怒りがあってもおかしくない状況なのに、有吉佐和子はそれを内面描写として強調しない。
怒りは行動として表れることはあっても、心情としては淡々としている。
その距離感があるからこそ、この物語は
「差別される女性の悲劇」ではなく、
差別の構造そのものを描いているように感じた。
笑子は、黒人差別の本質は色ではなく「階級」だという考えに行き着く。
白人の -
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タイトル「非色(ひしょく)」=「色に非ず」とは、どういう意味なのかなあ・・・と疑問を抱きながら読み進めて、最後のところで笑子の気づきとともに、ようやく分かりました。アメリカの人種差別は、肌の色ではなく「階級闘争」なのだということでした。
笑子は、戦後、黒人の米兵・トムと結婚し幼子を連れてニューヨークに渡りました。アメリカには、様々な人種が存在し、笑子のような「戦争花嫁(ワーブライド)」は、結婚相手の人種によって社会的な差別や圧力を受けていました。初対面の人に「夫はニグロだ」と告白した瞬間から蔑みの対象にされてしまいます。
しかしながら、ニグロとして社会から差別の対象とされているトムは、プ -
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有吉佐和子ニューギニア滞在記。ニューギニアの独立3年前の頃である。インドネシア舞台の小説を書く機会があったので、地図でたった5cmだし(おい、縮尺は!?)行ってみようと思っちゃったのだ。誘ってくれた畑中さんは文化人類学の研究者で、ヨリアピというところに住み数年前に発見されたシシミン族を研究している。
有吉佐和子は気楽に行ったところ、オクサプミンまではセスナで行けたのだが、そこからヨリアピは徒歩しかも2日。有吉佐和子さんがぶうぶう言ったから3日の旅程にしてもらえたものの、結局最後は足の指の爪が全部剥がれて歩けなくなり、豚の丸焼きのように棒に吊るされてみんなに担がれながら辿り着く有様になった。1 -
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有吉佐和子さんと文化人類学者・畑中幸子さんによる、1968年のニューギニア滞在記。
まだ海外旅行すらハードルの高かった時代に、未開のジャングルへ飛び込んでしまう行動力にまず圧倒される。
「ニューギニアはほんまにええとこやで。あんたも来てみない?」という、畑中さんの信じられないくらいの気軽すぎる誘い文句は、まさに畑中さんの人柄をよく表している。
畑中さんは好奇心と冒険心が桁外れで、誰もが躊躇するようなことを当たり前のようにやってしまう人。
さらに強靭なメンタルと恐るべき体力オバケで、クレイジージャーニーの常連になれそうなすごい人だ。
私はこういう人が大好きなので、畑中さんの尊敬するほどのクレイ -
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引き込まれる話の展開と考えさせられる深いテーマが盛り込まれていて一気読み。
人種問題や差別はなくなることはない。この世に黒人しかいなくても、生まれや見た目などで差別するだろう。実際、この本の中でも黒人の肌の色が濃いか薄いかの会話が何度も出てくる。
人間は、階級や違いを見つけては差別する生き物だ。「人種差別はしない、するべきではない」という素晴らしい信条を持っていても、「あの人は〇人だから」といった、偏見を少なからず持っている。
黒人のトムが日本に駐在中、「ここには平和がある。そして何より素晴らしいものがあります。それは平等です。平等があるから、だから私は日本が大好きです。」と、笑子や笑子 -
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文化人類学者の畑中さんに軽く誘われ、軽いノリで出向いてしまったパプア・ニューギニア。しかしそこはとんでもない奥地で、ちょっとやそっとの好奇心で行ける場所ではなかった。完全なサバイバルである。それをライトにユーモアを交えて語られているので、とにかく面白い。相棒の畑中さんとのやりとりが漫才のよう。
畑中さんの研究する奥地に辿り着くのまでの道のりが壮絶だ(なんせ、3日間歩きっぱなし)。さらに辿り着いてからの生活も「仕事の合間にリゾート地でのんびり」とは程遠い世界。
そこは豚3匹と女一人が物々交換されるような文明なのである。一夫多妻制に児童婚・・・女の地位が低すぎる。女二人で生活できるような場所と -
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終戦直後、黒人のアメリカ兵と結婚し、ニューヨーク、マンハッタンのハアレムで逞しく暮らす日本人女性、笑子の物語。
初版は1964年。少し古いので身構えたが、めちゃくちゃ面白い!美しく流れるように綴られる文章に引き込まれて一気読み。ところどころ、さくらももこのエッセイを読んでいるような、クスリと笑える皮肉もきいている。
人は自分より下を見つけて優位に立ちたがるものなのだと、その無意識の傲慢さを見事に描いた作品だと思う。
笑子の夫のトムがそれをわかりやすく具現化している。
日本に兵士としている時は堂々としていて気前のいい男だったのに、ハアレムでは「愚鈍」で「無気力」な甲斐性なし亭主であった。 -
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ネタバレ島国、日本。
それを思い知らされる一冊だった。
偏見をできる限り手放して皆を平等に映す目を持ちたいという思いは常々持ってきたけれど、この本と、初めての長期海外生活で差別とは、を人生で1番考えているかもしれない。
それは、自分が差別を受けているとかでは全くなくて(移民国家オーストラリアにおいて、過去の旅行からの予想通り住み始めてもやはり明らかな差別は今のところ受けていない)、自分の中にある差別意識に向き合うこと。
世界のニュース、時事に日本人が疎い傾向にあるのはやはり物理的に世界と切り離されている島国だからというのは大きな原因だと思う。
日常に支障のある他国との衝突も実質的な影響が少なくて、