あらすじ
工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!
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Posted by ブクログ
この本は 昭和40年代後半から50年代前半 朝日新聞に掲載された連続小説で当時社会問題となっていた環境汚染をうまく伝えている。当時話題の小説だったわけで 自分が育った時代 戦後の高度経済成長期の真っただ中 複合汚染の中だったことに検めて知って驚く。 自分がこんなに無知だったとは・・・。あらゆる分野の環境問題に気付いたとき真っ先に読むべきだった。
出だしが選挙運動から始まって、バン!っと目に飛び込んできた 「 複合汚染 」といういろんな環境汚染が重なり合った言葉は衝撃だった。中身を読むまで複合汚染という重たくて暗いイメージがある言葉だけをみるのと、読み始めると有吉さんの軽快な文章とはギャップがあってよけいにこの言葉が強くインパクトを受けました。いち消費者としてあらゆる環境問題にたくさんの疑問を持ち 知ろうとする有吉さんと、読者も同じ目線で読めるのでこれはとても読みやすかった。この本読んだ後は まともな生活がしたくて 普段使用している 日用品食料品が使えなくなりそうで添加物や化学薬品を使っていない自然素材や天然ものや 無添加製品 など安全性を求めてしまうので とても生きにくくなるなぁと思いました。 本来はそうであるべきなのにまともに暮らせなくりそうで怖い。
この本を読んで思ったのは、環境問題に関心のない人ある人。また 特に農業する人、家庭菜園する人、農に携わる人は最初に読んだほうがいいと思いました、なぜ自然栽培がいいのか、なぜ、農薬や化学肥料がダメなのか、なぜアレルギー疾患がふえたのか、自然環境が著しく悪化しているのか、日本の農業はダメなのか、 マニュアルな自然栽培や有機栽培の本を読むより、高額なセミナーを何回と受講して聴くよりもまず読めばありとあらゆることが理解できることでしょう。昭和40年代後半の社会問題となっていた環境汚染について書かれていますが、現代にもあてはまり、40年経った今も実際起きていることが通用するくらい新鮮さを感じます。反対に何一つ問題は解決されていないままであることも。 レイチェル・カーソン著 「 沈黙の春 」の日本版といってもいい。それ以上に今からでも社会を変える力のある本だと思います。40年前と違うのは 環境問題に関心を持って動いている人が少しづつ増えて変えていこうとしている人がいること。 日本の出来事だから、これまでの日本の姿がわかり、これからの日本の在り方を示唆している。 きっと多くの人に受け入れる内容だと思います、たくさんの人に今こそ受け入れられたら日本を変えることができそう。沈黙の春はよく知られているのにこの本はなぜあまり知られていないのだろう。自分が知らなかっただけかもしれない。
この本は小説としてではなく。 農業を始めたい人、始めた人、あらゆる農業関係者、また食に関心ある方にはきっとバイブルとなる本です。
今一度拡まって欲しい本です。
唯一残念なのは有吉佐和子さんが故人であること。
生きておられたら当時と変わっていない日本を見てどうおかんじなったことだろう。生きておられればもっと環境問題に関心を持つ人が増えていたと思う。
Posted by ブクログ
すごい本だった。約40年前に発表された、環境汚染に関する本である。発表当時は社会にかなりの衝撃を与えたに違いない。
朝日新聞に連載され、小説という形態をとっているものの、作者の綿密な調査・研究に基づくノンフィクションである。日本人を取り巻く、大気、水、土の農薬や化学物質による汚染に警鐘を鳴らしているのだ。それぞれの分野に詳しい専門家に話を聞き、それを一般人の読者にわかりやすくするために、近所のおじいさんに作者が話して聞かせるという構成になっている。私たちは気づかないうちに、排気ガスや工場の煙で汚染された空気を吸い、汚染された水で育った魚を食べ、除草剤などの農薬がかかった野菜や米を、そして成長ホルモンや抗生物質が入った人口飼料で育った肉を食べている。人間の体に及ぼす影響はどうか。有害な物質から命を守る法律はどうなっているのか。
私が子どもの頃にはすでに、公害病の原因も分かり始めていたので、一般人の環境に対する意識はある程度高まっていた。この本の功績かもしれない。この本を著したとき、有吉佐和子氏はすでに作家として名前が知られており、影響力があった。現在は、世界レベルで環境を守る取り組みもなされていて、私が子どもだったころより、体感でしかないが、環境はよくなっていると思う。それにしても、本書にあるように、自然が本来持っている力には驚かされる。
この本が評価に値するのは、汚染をただ非難するだけでなく、解決策を作者なりに考え、一般市民が取り組めるアイデアを提示している点である。
環境保全を声高に訴えつつも、有吉氏本人が早逝してしまったのは残念としか言いようがない。
Posted by ブクログ
題名からあまり関心を惹かないものだった。読んでみて、衝撃だった。昭和49年に書かれた内容から、消費者の野菜に対する考え方は変わっていない。そのため、有機の野菜が儲からない構造も変わっていない。
火が文明の始まりで、それと同時に虫歯が始まった。
稲を植えた後にタマネギを植えると良い。コンパニオンプランツ。
合成洗剤よりも粉石鹸の方が汚れが落ちる。お湯に説く必要があるが、それはお風呂の残り湯で良い。
Posted by ブクログ
これは小説なのかはたまたノンフィクションなのか。多分ノンフィクションに近い小説という表現が1番近いのだろうけど、色々考えさせられる内容だった。政府が舵取りをいかに誤ったか、いかに海外諸国に比べ日本が汚染物質を見境なく使用、排出し、自然を破壊してきたか。そして、いかに私達の胃に入る食べ物が、汚染されたものか…。
田んぼに飛び込み溺死する蛙の話には戦慄した。
普段から有機栽培や自然農法など、オーガニックなものをなるべく摂るよう気をつけて入るが、一層口に入れるものには注意しなければと感じた。政府が全く当てにならないのはこの時代も今も変わっていない。自分で調べ、考え、自分の身を守らなければ。
そして有吉さんのジャーナリスト魂には恐れ入る。インターネットもない時代、どこにでも電話をかけ出かけ、無知を恥じず分かるまで食い付く。この執念、行動力は肖りたいところだ。
Posted by ブクログ
とてもつかみやすかった。頭の中がいくらか整った。やはり環境問題も、足元や手元からみていかないと、ここにはない話しになってしまうのだなと。
ところでこの本だけでなく、「有吉佐和子」が残したものは、今の話しとしか思えないことが多くて驚く。さらに今では複雑にされて理解が困難にされてしまっているようなことが、余計な添加がされず、とてもつかみやすい。
「有吉佐和子」からエントリーしていたらよかっただろうにと思い浮かぶ人が何人もいる。
Posted by ブクログ
1974~75年の『朝日新聞』連載小説。といっても、脚色があるとはいえ、ストーリー性はない。「小説」というよりもルポルタージュに近い内容。冒頭の選挙応援に始まり(本題ではないが、これはこれで面白い。菅直人も登場)、化学肥料、除草剤、合成洗剤、食品添加物、PCB、配合飼料、自動車排ガス、交通事故などあらゆる話題が提供されていて、著者の好奇心に脱帽した。
50年後の今日、著者が挙げた問題には、緩和されたものや、逆により深刻化しているものもあるだろうが、「個々の物質からの影響をバラバラに見るのではなく、これらが積み重なると何が起こるか?」という発想は、有効性を失っていないだろう。
Posted by ブクログ
以前借りたけど頭に入らないか時間切れでつんどく…
つん…ど…つんどくしてたもの
再トライ
各所で参考に出される大事な書か。
長くかかりましたが読み終わり、
私が産まれる9年前に書かれた本にすでに
御用学者という言葉がかかれていたり
企業の広告、国の機関の言うことを
いちいちうのみにせず、疑ってみることの大切さ
わからなくても、学者に「もっとわかりやすく言ってください」と聞いていいということ、またその勇気
世の中をじっくりみている「ご隠居」とのやりとり
文章が楽しく、時間かかったけど読んだかいあり。
ふせんはったとこめも
p161
おそろしいものを食べて生きている為、染色体がめちゃめちゃになっているから遺伝子もくるっている。
孫の顔をみたいとは思わないという半端な知識人。
→もっとも男性的な意見だということ。こんなことを言う人に限って幸せな結婚をしているし、子どもの出来も悪くない。その幸せを子どもにも与えたいとなぜ思わないのか・
確かに。女性なら、子どもや孫の幸せを考えて生活をよくしようとしたりするもんだもんね。
p391
マンハッタンの高層ビル群のなかで3,4回に事務所がある人でエレベーターを使う人はなく、階段を上らないでいると具合が悪いのかと聞かれたそう。
エレベーターは老人と病人と、ハイヒールを履いたおしゃれでバカな女のためにあると。
機械は病人を作る。ギルダー女史
p490
ヨーロッパや東南アジアの牛や豚は車道を横切って移動していく。
運動している。
→会いたい♡
Posted by ブクログ
小説というよりは、ドキュメンタリーに近い。
高度成長期の日本では、環境破壊がすすみ、深刻な問題となっていた。
この作品が注目されたおかげで、各自治体を含めた国の黄河への取り組みが行なわれるようになったそう。
分厚い本ではあるが環境問題に関心のある方にはおすすめ。
Posted by ブクログ
高1の頃読んで衝撃を受けた本。
母となり読み返し、より深刻になってしまった今の現状がとても情けなく、悲しく思った。
当時は大人に対して腹を立てていたけど、
大人になって私は何をしてきただろう…?
食べること、使うこと、捨てること…
水に流すにしろ、燃やすにしろ、捨てたものは必ず私たちと子ども達、そして子孫の口に帰っていきます。
物を購入する前にもっと良く知り、良く考えようと、改めて思いました。
Posted by ブクログ
この作品は、昭和49年に8ヶ月半にわたって朝日新聞の小説欄に連載されたものである。
そこから40年近く経っている現在、あまり状況は変わっていないように思い、愕然とする。
当時も著者のように、食品・環境汚染を危惧していた人がいたのに、どうして改善されないのだろうか。
例えば、ライポンFという台所用洗剤があるのだそうだが、1962年にこのライポンFを誤飲して、死亡した事件があった。裁判では、ライポンFが死亡の原因とは認められなかったようだが、毒性があるというのは大いに考えられることである。そして、50年経った現在でもこのライポンFというのは業務用のみだが存在するのだ。
また、現在では台所用洗剤には「万一飲みこんだ場合は、水を飲ませる、吐かせる」などの注意書が義務づけられている。つまり、飲んではいけない毒ということではないだろうか。その毒である洗剤を、我々は現在も使い(毒性の差は別として)川を汚し、海を汚している。
当時よりは環境に配慮した製品が作られているのかも知れないが、使い続けていれば、意味がない。
洗濯洗剤についても同様で、私たちは毒を垂れ流しているのである。
著者いわく、洗濯用洗剤より石鹸の方がより汚れが落ちるので、(現在はどうだか分からないが)クリーニング屋では石鹸を使っているそうだ。
洗濯用洗剤は白くなるものだから、汚れが落ちたように思うらしい。
主婦たちは、CMに踊らされて実を見ていないとの著者の意見には同意するとともに自分もその一人であったと反省した。
それと同じように、果物が腐らないことに疑問すら持たないことも商業主義の教育であり、刷り込みである。
京都の漬物屋さんは、「一人や二人の人間殺しただけでも殺人犯やの死刑やのと言われるのに、ようまあ毒が使えますな。そうですやろ、ハイジャックで刃物見せただけでも逮捕されるのに、店先に毒を並べていて、なんで犯罪にならんのでっしゃろ。他のお人の考えは分かりませんが、私は毒使って漬物つくっては御先祖さまに申訳ないので、毒は使うてません」と言い、「毒売って儲けとうはなかったんですわ」とそれまでの店を畳んで、別の場所で小売で商売をする決断をしたそうだ。
この良心が、国にもあれば問題解決はそう難しくないし、消費者もこのような感覚を忘れずにいなければならないと思う。
また、食により病気を治すという方針で診療をしている医師の言葉に
「いまこのあたりで七十五歳以上のお百姓さんは、今年は田ァから一石もらった、二石もらった、いや去年よりはもらえなんだという言い方をしますが、六十歳以下の人たちは、今年は田ァからなんぼ取った、取れなんだと言うのです。言葉が、もう違うてきてるんです。昔の人は自然を敬っていましたから、米でも野菜でも、自然からもらったのだと考えていました。田畑から作物を取るというのは不遜です。言葉の違いは精神の違いです」とある。
今の日本人も謙虚さにかけているから、自然に対し傍若無人に振舞っているのではないだろうか。
自然を汚すというのは、人間自らをも汚すことになるのであり、自然によって人間は生かされているのだということをもっと自覚すべきである。
当時と現在とあまり進歩が見られないことは残念だが、本書は環境や食の問題を非常に分かりやすく書いており、とても読みやすい良書である。
今後は、現状が良くなり、本書は過去の歴史という位置づけで読まれることを期待したい。
Posted by ブクログ
・便利さと毒性が表裏一体をなしているところに、公害解決の難しさがある。(p.60)
・子供がなければ、やっていない。危険な農薬使っても、楽な方がいい。という言葉ほど私の心に重く響いたものはなかった(p.176)
・フランク婦人「虫食いリンゴを喜んで買うようになれば、消費者と生産者とは利益が一致するのね。農薬の危険から身を守れるし、農家も野菜や果物の標準規格にふりまわされずに無駄な労力がはぶけるのよ。私は、あなたの話で随分啓発されたわ」(p.194)
・ある漬物屋「一人や二人の人間殺しただけでも殺人犯やの死刑やの言われるのに、ようまあ毒が使えますな。そうですやろ、ハイジャックで刃物見せただけでも逮捕されるのに、店先に毒を並べていて、なんで犯罪にならんのでっしゃろ。」(p.233)
・日本を殺すのにもう原爆はいらない。石油は売らないという一言で、日本の経済はストップしてしまう。小麦は売らないと言われれば、五千万人が飢えて死ぬ。(下p.55)
Posted by ブクログ
面白い。読みやすい。
公害、環境汚染、農薬、毒etc...にていてのエッセイ。
タイトルにもある複合汚染についても勉強できるんだけど(勉強と聞いて構えないでほしい)、著者の行動力には感化された。←これ大事‼
アンテナを張り巡らし、何でも疑ってかかる姿勢が素晴らしい、憧れるのでこれから私も真似をします。
全く興味なかった分野の本だったんだけど、有名だし読もうと読んだら、止まらない。数十年前にこんな事があったのか、と驚いた。(今はどうなのよ?)
腐らないプラスチック。でも、この腐らないゴミを拾って生活している子ども達がいるのは何て皮肉だろうな。
私たちは自分たちを信じて生きるしかない。政治家は信じられない。
少し未来が明るくなった気がする。
Posted by ブクログ
政治の舞台から 日本の環境 生活汚染への急速な展開。
それは、政治の意識を持って取り組むことを匂わせている。
科学の進歩によって 人間生活の多様な変化に対して
直視する姿勢。
その変化の中から 矛盾をつぶさに見通す能力を持つ。
健康のひずみ
大気汚染・・・排気ガス 工場の煙
海・・・・・・企業の垂れ流し
食品・・・ 肥料から来る影響 農薬 食品添加物 防虫剤
洗剤・・・・
1975年に書かれた複合汚染は、
ニンゲンの生きていくかぎり、
被害者であり、加害者になりうるという
ことが突きつけられたことだった。
科学者でない、素人がこのような作品を対象にしようとするときには
生活者の視点で描かれる・・
そのために、解決する方向が見えなくても
現状をうまく掬い取ることができ 警鐘を鳴らすことができる。
レイチェルカーソン『沈黙の春』とは、
やはり、違ってくる。
***************
若い頃に読んだのを もう一度読み返したい
と思って、読み始めた。
中国における 環境破壊は
まさに 『複合汚染』だからだ。
市川房枝の選挙応援から 始まり、
紀平てい子の演説が 食品添加物 防腐剤 の
追求から 始まったことから、
虫のわかないコメ から 食品添加物 防腐剤
などに 話を誘導していく。
『複合汚染』そして『生態濃縮』
それに対応する 化学肥料をつかわない有機農業を対置する。
化学肥料を全否定するところがある。
化学肥料のどこが悪いのか?と言う考察が乱雑である。
土壌の酸性化、微生物の減少、
そして 『土』が死んでいるという。
とりわけ 水銀の存在が 大きなメルクマールになっている。
有吉佐和子の問題意識の鋭さと物語の運び方が、
実にうまいと思う。
中国の場合の 複合汚染と生態濃縮がどうすすんでいるのか?
それを調べる必要がある。
新聞掲載小説なので、歯切れがいい。
農薬
そして、虫歯。
水 合成洗剤。→ 石けん。
カドミニウム、PCB。
豚の胃袋。
スモッグ。マスキー法。
次々と テーマを発展させていく。
うまいなぁ。
Posted by ブクログ
環境に興味のある方は、ぜひ読んで欲しいな。もうかれこれ30年以上前に書かれたものだけど、現状はあまり変わってないことが実感出来る一冊。しかし30年も前から、有機野菜を推奨していたなんて…。
Posted by ブクログ
朝日新聞の小説欄で、工場廃液、合成洗剤、化学肥料、除草剤をはじめとするもろもろの毒性物質の複合がもたらす汚染の恐怖、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた話題作。今読んでも、その日から汚染についての意識が変わる、事実の持つ重みとインパクトがある。
今まで食や農業について無関心であった人でも関心が深まること間違いなし。
Posted by ブクログ
父が持ってた本で、何気なく読み始めて衝撃を受けました。
自分が生きてる環境が、こんな状態だったなんて。
しかも、この本が書かれた時代から今、決して汚染の状態は改善されたとは言えないことに。
これまで何も思わず食べたり使ったりしていたものが、無言の脅威に見えるようになりました。
誰もがこの中で生きてるので、多くの人に読んでもらいたい本。
Posted by ブクログ
選挙の話に始まり、環境汚染、食物の安全性の話に入っていく本書。
恥ずかしながら日頃興味を持っていない分野の話にも関わらず、この読みやすさ、面白さよ。有吉佐和子さん、流石の筆力。
きっとご本人が、しっかり腹落ちするまで問題を理解して、自分の言葉に直して書いてくれているから、こんなにすっと内容が入ってくるんだろうな。
今の日本の農業はどうなっているのだろうと興味を持った。
堆肥の話が多くあり、やはり農業のような生命に関わる分野は綺麗事じゃなく、汚れ仕事も多くあると実感。
結局シンプルな、昔ながらの自然のシステムでやっていくのが、無理なくナチュラルでいいのだろうけど、わざわざ汚いことをやりたがる人がどれだけいるかとも思う。やはり何か農家が儲かる仕組みがないといけないのかもしれない。
いろいろなコンパニオン・プランツの話も初めて読み(バラとニンニクを一緒に植えると、バラの花の匂いが良くなって虫がつかないとか、コナギさえ生えれば、田んぼに他の雑草が生えないとか)、とても興味深くて面白かった。
Posted by ブクログ
上梓は1975年。世間では環境汚染、公害問題が深刻になっていた。
あれから約50年、環境汚染という問題は、さすがに今の日本ではない(表面化してないだけかもしれないが)。しかし、異常気象、環境破壊がそれに代わっているような気がしてならない。
「文明開化した人類は、壊れない物、腐らない物、燃えない物を追い求めた結果…」と、語る。本書では、PCBに繋がるのだが、現在では農薬に限らず、プラスチックや化石燃料かもしれない。ひょっとしたらSDGsも将来的には未知数? 開発・利用された当初は、持て囃され、夢の××だったのが、実は…、というものは少なくない。
しかし、私たちにどんな選択肢が残されているのだろうか。きっと、「現状は安全といわれている」農薬を使い、車を使い、プラスチックで包装され、水道水を飲むしかない。今さら、電気もガスもネットも車もない社会に戻ることはできない。それが、環境破壊だとしても、…。
「どうして日本に原料を輸出し、化学製品を買い、なぜ日本を儲けさせるのか?」の問いに「わが国に公害をもたらしたくないから」と答えた首相の話がある。誰もが、実験台なのかもしれない、と、空を睨む。
Posted by ブクログ
食品添加物など、個別ではそこまでの被害がないとして使われる物質が複合的に恐ろしい汚染を引き起こすということを伝えている本。ミレニアム世代以降はたしかに恵まれた環境で育ったかもしれないが、こういう食べ物で育ったため長生きしないかもなとすら思う…
Posted by ブクログ
35年前の日本の問題がいま、隣国中国で起こっている。
先進諸国が安い原価を求めた為に、避けられない結果となってしまった。
この本は1979年に初版が発行され、今でも読み続けられているのは、作者の知名度はもちろんの事ながら、徹底した取材による細かなデータに併せて、生産者とのインタビューを盛り込んだ読み易い口語で書かれているからだと思う。
日本の食品産業界の歴史が第二次世界大戦での敗戦によって、それ以前の歴史からぶつ切りになりながら進んできた事がわかる。
アメリカから持ち込まれた価値観が政治を巻き込んで、生産者から末端までを汚染して行った。
そして気がつくと、食品だけではなく、モラルや慣習、考え方まで洗脳されている。
この本には、私達が食品を選ぶ時の教養となるだけではなく、本当に良い判断をする為の価値観を学ぶために必要な要素がたくさん詰まっている。
Posted by ブクログ
この本を読んで「食」に対する意識が一変した。そもそも、この本を手に取る人は、少なからず食に対する関心が高い人だと思う。
しかし、恐ろしいことは、この本が40年以上も前に書かれたということ。
では、現在のこの国の食の在り方はどうなったのか?
残念ながら、状況は悪化している。
私はこの本をきっかけとし、もっと食への知識を持つべきだと思った。
あなたは何を食べていますか?
その答えが自分自身を作っている。
Posted by ブクログ
まだ米屋になりたての頃に、有機米を勧めて下さった方が、ぜひこの本も読みなさいと薦めてくれた本です。
市川房江は祖母が交流がありましたし、若き日の菅直人が出てきたりするので、冒頭は小説気分で読んでいました。
農産物の流通や生産者さんの取り組み等、非常に示唆に富んだ内容で、考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
今から40年くらう前の話だが、今の世の中にもしっかり当てはまる。作者が今、存命だったならこの現状にどんな気持ちになるのか。あと、作中で扱われてる問題が40年近く経った今、どうなってるのかも肝心。とても恐ろしい話。
Posted by ブクログ
ゆうきまさみの「鉄腕バーディー」の劇中、主人公(のうちの1人)が、界面活性剤という単語を「有吉佐和子の『複合汚染』に出てたやつだ」と言っているのを読んで、手にとってみました。高校1年だか2年だかの頃です。
参院選における市川房枝応援の裏話から物語が始まり、いつの間にかメインのトピックが環境問題にシフトしています。
物語半ばで、参院選の話が立ち消えているということで、「構成が破綻している」と手厳しい批評が多いようですし、この点に関しては僕もそう思います。が、それでも、繰り返し読んじゃうくらい僕は好きです。
自然科学の専門的な知見だけを羅列したような内容になっていなくて、ちゃんと「生きている人間」が、環境問題というテーマに関わりながらドラマしていて、おもしろい。
Posted by ブクログ
初めて読んだのは高校生の頃だったか。土壌汚染、大気汚染は本書が書かれた頃よりましにはなっているのかも知れない。それでも、毒は毒であることに変わりはないのだけれど。
Posted by ブクログ
この本を読んでから、農薬とか食品添加物とか
自分の周りにあるものの成分を気にするようになった。
統計などは時間が経つと古くなってしまうけど
それでもこの本の持つ啓発の力は失せない
Posted by ブクログ
人類の拡大が速過ぎて噴出する問題に対応し切れない、今の温暖化対策はデジャブなのかも、この時代を実際に生きた人からすると。
そうするとどこか日本の野党的な騒ぎ立てにも見えなくない本作はもしかすると理想論に過ぎる可能性もなくはなく。
こういう立場は絶対必要だけど、そこに折り合いを付ける人たちがいてこそ価値があるので、うーむ、簡単な話ではないかと思われ。
Posted by ブクログ
だいぶ前の本であるので、現代ではもう少し進歩があるのかもしれない。
最近話題の「ねばねば石鹸」の前身(?)が提案されていた。(我が家でも使っている)
ただ、洗濯石鹸についての部分で、「お母さんを甘やかさないで~」というような記述が見られる。現代に生きる私からしてみれば、少々強い言い方で、がっかりした。夜に石鹸液に洗濯物をつけておいて、朝に洗えばいいとのことだが、なかなか難しいことである。
Posted by ブクログ
有吉佐和子さんを初めて読んだのですが、今までにない形式?の入り方で戸惑いました。まさか選挙のお話が環境汚染に繋がっていくとは思ってもおらず、しかもその話題の移り変りがグラデーションのようで、いつのまにか環境汚染の話にずっぽり染まっていました。これ、当時でこんなにたくさんの事柄が問題提起されてますけど、今、現代の日本と世界はどうなのか、よりひどくなっているのかそれとも改善されているのか気になります。1番気になったのが洗剤。あとは有機栽培とかメシア教について更に調べてみたくなりました。