有吉佐和子のレビュー一覧

  • 一の糸

    Posted by ブクログ

    「文楽」の世界を舞台にした話。

    茜は徳兵衛に恋をしているというより
    徳兵衛の「芸」に恋をしている。

    けど実際恋なんていう軽い甘いはかないものではなくて、
    一の糸が作り出すように激しく太くて強いもの。

    茜の一途さには圧倒されるが、茜の母の世喜の母としての強さに
    心打たれます。

    連れ子の不幸の責任を茜の家族が茜に責めており、
    それに対して世喜が徳兵衛に言った言葉はなんだかもう
    涙涙・・・

    まさか泣くとは思わなかったわー不覚。。

    有吉佐和子の小説を読むと、現代の女性の強さは
    どこか間違っているように感じる。

    0
    2015年11月12日
  • 不信のとき(上)

    Posted by ブクログ

    ドラマではあまりにもきれいごとのように描かれていて非常につまらなくなってしまいました。やっぱり原作の方が面白いです。

    0
    2009年10月04日
  • 芝桜(上)

    Posted by ブクログ

    女の子が、身近な人や環境の影響と、自分自身の成長の織り成しによって、女になり女性なり生きていく、そこで描かれる美しい主人公たちと、美しいところで終わらず、醜いところまで隠さず見つめる有吉佐和子の筆が好き。「芝桜」は華やかな花柳界の成り立ち、人間VS人間の心の綾を深く観察していてなんとも素晴らしいが、可愛い女の子が二人、綺麗な着物を着て歩いたりしゃべったり踊ったりしている姿が思い浮かび、それだけで可憐で華麗で楽しかった。「そろそろ春だから今年はもっと花を植えようね」という蔦代の言葉がなぜか耳に残る。

    0
    2009年10月04日
  • 不信のとき(上)

    Posted by ブクログ

    上巻のハイライトは「あのとき離婚しなくて本当によかったわ。私のいまの幸せは、あなたが卑怯だったお陰で掴めたのだと思っているのよ、浅井さん」という千鶴子の台詞。こんな復讐の台詞、機会があったら言ってみたいものです!そして下巻は、なんといっても道子&マチ子鉢合わせシーン!怖いです、怖すぎです!マチ子「そりゃ奥さんから見れば、たった一人の大事な方でしょうし、他の男と較べたこともないでしょうね。でも私たちは、一流の方々とのお相手で、それが仕事ですから、どうしても男を見る目は肥えてきますわ」うぎゃあぁぁぁ!ホステス怖いよ、汚いよぉぉぉ!!!

    0
    2009年10月04日
  • 芝桜(下)

    Posted by ブクログ

    一気に読んじゃいました。
    有吉さんは、ワルイ女を書くのが上手ですね。
    信心深く、親孝行で、花を愛する蔦代も、男からも女からも、むしりとるだけむしりとって阿漕に稼ぐ蔦代も矛盾しないで存在する。その見事さが、悪い女は全てが悪いかのような錯覚を持っている私達に違和感を持たせるのだろう。主役は正子だが、正子の一本気な性格が蔦代の異質な存在感を異様に際立たせている。

    0
    2009年10月04日
  • 芝桜(上)

    Posted by ブクログ

    正子のプライドの高には恐れ入ります。(蔦代の世渡りの上手さも。)着物描写が秀逸。着物が着たくなる一冊。

    0
    2009年10月04日
  • 芝桜(上)

    Posted by ブクログ

    親孝行で信心深く、男をたぶらかし続ける悪女・蔦代がすごい。この矛盾を一人の女の中におさめた有吉佐和子のすごさがわかります。

    0
    2009年10月04日
  • 芝桜(下)

    Posted by ブクログ

    「男なんて信じるもんじゃないわ、信心するなら神様仏様よ」なんて言ってしまう信心深い悪女の蔦代がやっぱりいいです。見事に主人公を振り回してしまうなんてさすが有吉佐和子の書く女は惹き込まれます。

    0
    2009年10月04日
  • 香華

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子さんの本の中で一番お気に入り。女性の内面の感情描写がすごいです。大正(明治かも)から戦後まで行きた女性主人公の生きざまの話。主人公が賢く仕事も出来る人で好き。遊女の母への愛憎っぷりがすさまじいです。超憎いし腹立つけど結局許して受け入れる親子愛。主人公が同じ名前だから余計感情移入。
    最近の小説って人生の若い一時期だけに焦点当ててるものが多い気がするけど、有吉さんの作品は一生を描いていてとてもいいです。

    0
    2009年10月04日
  • 香華

    Posted by ブクログ

    絢爛な色彩と感触の世界。「女」を花柳界の中心で生きる美しすぎる母親と、針で支える娘。あまりにも「女」をどっぷり生きていて、圧倒されます。

    0
    2009年10月04日
  • 悪女について

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    公子のことを清く正しくいい人という人ととんでもなく嘘つきで悪い人という人がいる。
    私も、とんでもなく頭が良くて、感心するほど計算上手な悪女だと思った。けれど、公子の幼なじみがそろばんを習ってたよねって言った時に公子は全く覚えていない様子なのがずっと引っかかってた。嘘をつけば済む事なのに覚えていない、人間違いだと言い切ったところに、もしかして双子かなりすましで2人いるんじゃないかと思ったくらい。そういうふうに私は本当は高貴な家の生まれなのにという作り話もそういうふうに本当に信じ込んで生きていくしかなかったのかな、その時その時で別人格を生きているのかなと思った。ドラマでは、公子がもし自殺だとしたら

    0
    2025年12月07日
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集

    Posted by ブクログ

    それぞれ趣向の違った短編集。
    以前読んだエッセイ集の中で、レッテルを貼られるとひっくり返したくなるという事が書かれていたのを思い出した。
    どれも面白い。

    【挿絵の女】
    「戦後」をまだ引きずっている時代。記憶喪失の画家が描く女の絵にモデルはいるのか
    【指輪】
    テレビの探偵バラエティに出演しているせいか、推理小説を依頼されて途方に暮れている小説家・有吉佐和子。
    日本舞踊家の友人が、指輪を預けに来て、数日後に自殺した。
    指輪の内側に彫られたイニシャルは何を表すのか
    【死んだ家】
    毎年一度は大病を患って一族郎党を呼び集める、旧家の女主。今度こそ危ないと医者が匂わす。相続人たちは、いかほどの財産がある

    0
    2025年12月06日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    青い壺を巡る十三話
    ちょっと創作し過ぎ感はあったが、人間を知るということでは流石作家有吉佐和子だ
    十一話が結末が私にとっては謎だった

    0
    2025年12月06日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    1977年初版。NHKの番組で紹介されるや大ベストセラー。著者の作品は初めて読みました。偶然に近く出来上がった青磁の壺が、購入されたり贈られたり盗まれたりしながら持ち主を変えていく。持ち主のいろんな人生を13の短編で綴られます。微妙に繋がる各エピソード。描かれている時代は、かなり昔になりますが現在に繋がる部分もあるようで、面白い。めぐるめぐる運命の面白さ。秀逸だと思います。

    0
    2025年12月01日
  • 華岡青洲の妻

    Posted by ブクログ

    世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。
    青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。

    普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。
    母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。

    どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。
    口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。
    ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ

    0
    2025年11月28日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    13話を通して様々な人間模様を垣間見せてくれる。欲、老い、矜持。一方、無名の陶芸家により偶然の出来栄えで生まれた青い壺は、勝手な評価をされ、また持主の都合に利用され、壊れもせず、人の手に渡っていく。あたかも慌ただしい人生を淡白に冷徹に見ているようだ。2025.11.28

    0
    2025年11月28日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    最初の和歌山で青磁の壺を焼き上げた瞬間から物語が始まる。このスタートはすごく晴れやかで、その一方で価値を見出した人から古色をつけるように言われる職人の衝撃を追体験し、デパートに流れるまでを鮮やかに描いている。ここでもうこの作品にしっかりと絡め取られてる。

    そして話はどんどんと主人を変えて進んでいく。退職した夫の家での所在なさや、バァの女性の話や貴婦人だったおばあちゃんの戦争中の工夫されたディナーの話など、現代にも通じる瑞々しさがあって面白い。
    目の見えなくなった老婆が娘に引き取られて、新たに医者にかかったら手術で目が見えるようになり、医療費が市の助成によりタダで済んだことを知ったときの反応が

    0
    2025年11月27日
  • 恍惚の人

    Posted by ブクログ

    主人公である昭子が今の自分の立場に似ていることが共感が持てた。もちろんすべて似ているわけではないが、老いを看る側や看られる側の感情のもつれを有吉佐和子らしい文章でつづっている。「彼は終わった人間なのかもしれない。ガンも高血圧も心臓病もくぐりぬけ、長生きした果てに、精神病が待ち構えているとは。」という文が心に刺さった。

    0
    2025年11月25日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    作陶家が作った渾身の青い壺が、日本の色々な街で見たであろう家族の日々を描いている。
    時代設定が戦後何年かの時期から新幹線が開通した頃までなので、生活様式など戸惑うけど(女性の扱いの酷さも)家族の会話は今とほぼ変わらず面白い。青い壺の美しさが印象的で、良くも悪くも家族の象徴の様。旅した後に作陶家の元に返ってくるのもほっこりした。

    0
    2025年11月23日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    一つの青い壺に纏わるお話し。時代背景は戦後間もない昭和30-40年代といった頃か。
    それぞれの登場人物が、この壺だけで繋がっているという設定も面白く、それぞれの個性が際立っている作品である。傑作といわれるのも頷ける。

    0
    2025年11月22日