有吉佐和子のレビュー一覧
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ネタバレ公子のことを清く正しくいい人という人ととんでもなく嘘つきで悪い人という人がいる。
私も、とんでもなく頭が良くて、感心するほど計算上手な悪女だと思った。けれど、公子の幼なじみがそろばんを習ってたよねって言った時に公子は全く覚えていない様子なのがずっと引っかかってた。嘘をつけば済む事なのに覚えていない、人間違いだと言い切ったところに、もしかして双子かなりすましで2人いるんじゃないかと思ったくらい。そういうふうに私は本当は高貴な家の生まれなのにという作り話もそういうふうに本当に信じ込んで生きていくしかなかったのかな、その時その時で別人格を生きているのかなと思った。ドラマでは、公子がもし自殺だとしたら -
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それぞれ趣向の違った短編集。
以前読んだエッセイ集の中で、レッテルを貼られるとひっくり返したくなるという事が書かれていたのを思い出した。
どれも面白い。
【挿絵の女】
「戦後」をまだ引きずっている時代。記憶喪失の画家が描く女の絵にモデルはいるのか
【指輪】
テレビの探偵バラエティに出演しているせいか、推理小説を依頼されて途方に暮れている小説家・有吉佐和子。
日本舞踊家の友人が、指輪を預けに来て、数日後に自殺した。
指輪の内側に彫られたイニシャルは何を表すのか
【死んだ家】
毎年一度は大病を患って一族郎党を呼び集める、旧家の女主。今度こそ危ないと医者が匂わす。相続人たちは、いかほどの財産がある -
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世界で初めて全身麻酔による乳がん手術を成功させた華岡青洲。
青洲の母と妻が麻酔薬の人体実験に協力したという逸話だけは知っていたけど、それを広めたのが有吉佐和子さんのこの作品だったとは知らなかった。
普通なら美談として描かれそうだけど、青洲を支える女性たちにスポットを当てているところが面白い。
母と嫁が競い合うように自ら実験台になりたがるという、狂気すら漂う献身が描かれている。
どちらがより献身的かを競う嫁姑の意地の張り合いによる心理戦が続いていく。
口にする言葉と嫁の加恵が淡々と語る心の中の本音が全く違う。表向きは仲の良い嫁姑に見えるから尚更怖い。
ただの嫁姑の嫌味バトルだけではなく、嫁ぐ -
Posted by ブクログ
最初の和歌山で青磁の壺を焼き上げた瞬間から物語が始まる。このスタートはすごく晴れやかで、その一方で価値を見出した人から古色をつけるように言われる職人の衝撃を追体験し、デパートに流れるまでを鮮やかに描いている。ここでもうこの作品にしっかりと絡め取られてる。
そして話はどんどんと主人を変えて進んでいく。退職した夫の家での所在なさや、バァの女性の話や貴婦人だったおばあちゃんの戦争中の工夫されたディナーの話など、現代にも通じる瑞々しさがあって面白い。
目の見えなくなった老婆が娘に引き取られて、新たに医者にかかったら手術で目が見えるようになり、医療費が市の助成によりタダで済んだことを知ったときの反応が