有吉佐和子のレビュー一覧

  • 恍惚の人

    Posted by ブクログ

    50年前に出版された本だが、認知症の行動、老人介護の家族の苦労は、昔も今も同じだと感じた。
    舅の茂造を介護する嫁の昭子の気持ちは痛いほどよく分かる、その反面夫の信利はずるいと思った。親の介護は嫁がするものといった封建的な風習だからだ。
    現在デイサービスなどがあるが、この本のなかでは健老会館での老人クラブが前身だったのか。
    茂造は最後、言葉を発さなくなった代わりにニコッと笑うのに可愛さを感じた。

    0
    2025年12月19日
  • 華岡青洲の妻

    Posted by ブクログ

    以前、和歌山にある華岡青洲の里「春林軒」を訪れた事を思い出し、何気なく手に取った一冊。
    華岡青洲とは母親と妻を実験台にして初めて乳癌の手術をした人という認識しかなかったが、封建社会の時代の中、嫁姑の争いの上で「通仙散」という麻酔薬を完成させたということを知った。
    また杉田玄白が、年下の華岡青洲に教えを乞いたい手紙を送ってたことも驚いた。

    0
    2025年12月11日
  • 恍惚の人

    Posted by ブクログ

    主人公である昭子が今の自分の立場に似ていることが共感が持てた。もちろんすべて似ているわけではないが、老いを看る側や看られる側の感情のもつれを有吉佐和子らしい文章でつづっている。「彼は終わった人間なのかもしれない。ガンも高血圧も心臓病もくぐりぬけ、長生きした果てに、精神病が待ち構えているとは。」という文が心に刺さった。

    0
    2025年12月30日
  • 芝桜(下)

    Posted by ブクログ

    下巻を読んでいる間、ずっと過去、現実に接点のあった自己愛性パーソナル障害と思われる元同僚のことが思い出されて仕方なかった。まさに息をするようにウソをつくが、ほとんどの人が気づかずに騙されていた。フレネミーとも言え、表面的には極めて愛想がよい。

    下巻では、正子はなんども絶交を言い渡しているのだが、どういうわけか蔦代は何度でもうまく正子のもとに戻り、親切にしているように見せてとんでもないことをしでかしている。

    この親切に見せかけて実は、、という部分、下手したらされている方は気づかないことも多い。そのあたりを有吉佐和子は本当に上手に描いており、引き込まれるようにして読んだ。

    0
    2025年11月17日
  • 芝桜(上)

    Posted by ブクログ

    このところ有吉佐和子の小説にハマっている。本書も人物描写が秀逸で、大変面白く読み進めている。

    自由奔放な一方で信心深く、花の世話などまめにする、ちょっと不思議な性格の蔦代、成績優秀で真面目(と思われているようだがそうでもないと私は感じている)、世間知らずなところがある正子。最初はうまくやっていた二人の関係が下巻ではどう変化していくのか、読むのが楽しみ。

    上巻最後の、正子が、三延の浮気相手は一体誰かと思い悩む描写だけは繰り返しが多く少々くどく感じた。

    0
    2025年11月08日
  • 針女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    清子の目を通して描かれる戦争がとても恐ろしかった。こんな時代があったなんて…。

    新しい生き方を模索し、働きたいと考える清子が大変清々しく、そして力強く感じた。

    0
    2025年11月05日
  • 針女

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子の小説は、善人が善人なだけでなく、悪人が悪人なだけでないから、読後スッキリしないのに何度でも味わいたくなる。
    お幸の変貌ぶりを思うに、人は自分の頭で考え、自分の手で生きる術をつかみ、自分の足で立たなければ、自分を見失ってしまうのかな。

    0
    2025年10月05日
  • 青い壺

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子『青い壺』文春文庫。

    昨年末にテレビで取り上げられてから、じわじわと売れているようだ。

    美しい青磁の壺をテーマに描かれる13話から成る連作集。

    1人の陶芸家が焼き上げた見事な出来栄えの青い経管型の壺。誰もが魅了される壺の持ち主は次々と変わり、様々な人間模様を見せてくれる。

    ストーリー的には、馳星周の傑作『少年と犬』にも似ている。もっとも馳星周の方がだいぶ後になるし、犬と青い壺では大きく異なる。何故、馳星周の『少年と犬』を思い出したのかと言えば、この『青い壺』という作品がそれほど面白かったのだ。


    『第一話』。才能や技量だけでなく、様々な偶然や運が重なり、芸術は成立する。なかなか思うような作品が作れないのが、陶芸の世界なのだろう。

    父親の後を継ぎ、青磁ひとすじに制作を続ける陶芸家の牧田省造。ある日、デパートの注文品とともに焼き上げた一点物の経管型の青い壺は見事な出来栄えで、見る者を魅了した。青い壺は道具屋が古色を付けたら買い取ると言ったのだが、デパートの社員が美術品コーナーに展示したいと引き取っていく。


    『第二話』。馬車馬のように50年間も働き続けた男が定年を迎えた時、やはり壊れていくのだろうか。自分自身60歳を超え、未だに普通に働いているが、65歳まで残り3年を切ったが、まだ定年後の暮らしなど想像も出来ない。

    定年後半年が過ぎても、家でぼんやりする夫の寅三を持て余した妻の千枝は、寅三が68歳まで世話になった副社長の原へのお礼にデパートで青い壺を買い、寅三に持たせた。


    『第三話』。生け花の世界も奥が深く、難しそうだ。ましてや青い経管型の壺となると難易度は上がるようだ。

    副社長夫人の芳江は青い壺に美しく花を生けようと悪戦苦闘していた。そんな中、で夫の部下の女性と甥っ子が見合いのために相次いでやって来る。見合いは不首尾に終わり、帰りしな甥っ子が言い残した言葉が気になる芳江。


    『第四話』。親族同士の財産争いは、時として醜い争いになるらしい。中には父親が亡くなり、母親に遺された遺族年金の果てまで寄越せという子どもが居るようだ。遺族年金の申請用紙に子どもたちが相続を放棄することに同意する欄があるのは、昔からそのような争いがあったということなのか。

    副社長夫人の芳江は、青い壺に美しく花を生けようと奮闘する。そんな時、孫を連れた娘の雅子が急に帰ってきて、婚家の醜い遺産争いを愚痴始める。芳江はその話を夫に伝えていると、青い壺を目にした夫は突然、青い壺を誰かにあげてしまえと言い出した。青い壺は次に誰の手に渡るのか。


    『第五話』。白内障は手術を受けると驚くほど回復するようだ。一昨年、自分の母親は両目の白内障の手術をしたが、日帰りで翌日には眼帯が外れ、驚くほど見えるようになった。

    東京の狭いマンションで1人暮らしを続ける千代子は老いて目が見えなくなった母親を引き取る。2人暮らしが始まり、生活に張り合いが出て来た千代子は、都内の老人病院を知り、母親を診察してもらうことにした。左目は緑内障でどうにもならなかったが、幸い右目は白内障で、手術をしてもらうと母親の右目は見えるようになった。目が見えるようになった母親が千代子の部屋で目にした綺麗な青い壺。あの青い壺は千代子の元にあった。


    『第六話』。今年は戦後80年だと言う。本作が書かれたのは50年前ということで、描いている時代は戦後30年である。戦後30年というと今よりは戦争の記憶が残っていたのだろう。

    夫婦2人で、戦後の焼け跡から始めたこぢんまりとしたバア。バアの客の医師の石田は『御礼』と書いた細長い荷物を置いて帰った。『第5話』で千代子の母親が白内障の手術を行った医師の石田に、あの青い壺を感謝の印に贈っていたのだ。

    『第七話』。物資や食糧が不足した戦時中に何とも粋なことをする人も居たものだ。

    医師の石田一朗の忘れ物だと言って、バアのマダムの梶谷洋子が届けてくれた青い壺を見た年老いた母親は、戦時中に外務官僚だった亡き夫との思い出が甦り、夫の粋な計らいについて饒舌に語り出した。そして、我々は千代子の母親の名が鈴木キヨであったことを知る。


    『第八話』。まさかの急展開に息を飲んだ。あの青い壺は一体何処へ……

    長女が嫁ぎ、長男はアメリカに留学。姑が他界し、夫と2人きりになった厚子は部屋を片付けていた。毎日、帰りの遅い夫を待つある日、上機嫌で帰ってきた夫から次の土曜日にレストランに行こうと誘われる。我々は夫の名を石田一朗であることを知り、鈴木キヨの白内障の手術を行った石田の手元にまだ青い壺があることを知り、安堵するのだが……


    『第九話』。なかなか青い壺は登場しないのだが、最後の最後に新たな持ち主の手に渡る。自分も数年前に中学校時代のサッカー部の仲間から同級会に誘われたが、残念ながら中国出張と重なり、欠席した。その後、新型コロナウイルス感染禍が始まり、再び集まる話は無かった。

    女学校の卒業から半世紀、弓香は同級生たちと久しぶりに京都で集まる。戦争を経て子育ても終えた彼女たちは、家庭の状況も経済状態も健康状態もそれぞれであったが、楽しい時を過ごす。


    『第十話』。青い壺の持ち主は目まぐるしく変わる。どうやら青い壺は持ち主に幾ばくかの幸運をもたらすようだ。弓香が京都旅行から戻り、骨董市で僅か三千円で手に入れた、あの青い壺を孫娘の悠子に土産に渡す。

    母校だったミッションスクールの初等科に栄養士として就職した弓香の孫娘の悠子は、子供たちに野菜を食べさせたいと工夫を凝らすが、ある日、真っ黒なほうれん草のスープを作るという大失敗してしまう。


    『第十一話』。青い壺は何処へ行ってしまうのか。肉親との別れほど悲しいものはない。昨年末、自分も父親を亡くしたが、涙こそ流しはしなかったが、心にポッカリと穴が空いたような気分が続いている。

    世話になったシスターが45年ぶりにスペインに帰郷すると聞いた悠子は、青い壺をプレゼントする。


    『第十二話』。スペインに渡った青い壺はどうなったのか。青い壺は1人の男性がスペインから日本に持ち帰っていた。

    スペイン旅行中に急性肺炎になったという入院患者の男は、病室に飾った青い壺に触られそうになると、怒鳴るのだった。


    『第十三話』。最終話。因果応報。人生とは人との繋がりで、与えた物、貰った物が、巡り巡る仕組みになっているのかも知れない。青い壺の運命は……

    スペイン旅行中に急性肺炎になった男は高名な美術評論家だった。その男に呼び出されて、家を訪ねた陶芸家の牧田省造は、男がスペインのバルセロナの骨董店で見付けた12世紀初頭の掘り出し物だと言う青い壺を見せられる。 

    本体価格770円
    ★★★★★

    0
    2026年10月09日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子さんのエッセイをまとめたもの。
    有吉佐和子さんははじめましての方で、私の本友達から譲っていただいた本。
    自分からは知り合わなかった作家さんだと思う。

    読みやすく文体に文量であるが、時々ドキッとするワードが出てくる。これは調べなきゃとか、そっちも読みたい!となってしまう。
    中には笑ってしまうもの、共感して入り込み悲しみでいっぱいになるもの、文章の中にFX関数が仕掛けられているようなものもあった。

    訳者としても才能がある方のようでこのあとは訳者としての有吉佐和子さんを知りたいと思う。

    最後の方に出てくる、キリスト教の神父さんと「神について」会話したものは奥深いなぁと思った。オチもそうだけど〝分かりません〟というワードの持つ不思議な時間が心に残っている。

    0
    2025年09月04日
  • 華岡青洲の妻

    Posted by ブクログ

    歴史は男性の歴史とはよくいったものだ。でも有吉佐和子さんの小説にかかれば、歴史が登場人物の墓の大きさ程度のもので、墓に入るまでが歴史であり、人の人生だとしみじみとわかる。

    0
    2025年09月03日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    私の母より少し上の話かな。子供も私より10くらい上かな?スマホとか出てこないだけで今と通じる話。有吉佐和子ってすごいなぁ。たつき諒並にすごいな。

    0
    2025年08月02日
  • 女二人のニューギニア

    Posted by ブクログ

    1968年3月。有吉さんは十年来の親交がある同郷の文化人類学者 畑中幸子さんの
    「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、あんたも来てみない?歓迎するわよ」
    という誘いに極めて軽い気持ちでのり彼女のフィールドワークの地 ニューギニアに行くことにした。

    その後 何度となくこの選択を後悔することになるとも知らずに…

    面白かった。いや面白いと言ってはいけないのかもしれない。きっと想像を絶する過酷さだったのだろう。
    それでも有吉さんの文章はやっぱり面白いし畑中さんの関西弁も笑える。

    今から57年も前の未開の地に現地の護衛つきとはいえ30代後半の女二人…。
    有吉さんもスゴイけれど本当にスゴイのは普段は一人でその地でフィールドワークをしている畑中さんだ。作中、畑中さんはとてもよく怒っていた。有吉さんにも怒っていた。強くなければ強く見せなければ原住民と女一人渡り合えなかったのだろうと思う。

    本書で個人的に好きだったのは所々に挿まれる挿絵だ。力の抜けたタッチで動きがある。 特に行きに有吉さんが動けなくなってしまい、狩られた獲物のように木の棒にくくりつけられ原住民に運ばれる挿絵は何度見てもイイ。

    0
    2025年08月02日
  • 針女

    Posted by ブクログ

    描写が丁寧なので戦争を経験してなくても状況が目に浮かぶようだった。
    戦争は人を変えてしまうんだなぁ

    世津子さん好き

    0
    2025年07月12日
  • 香華

    Posted by ブクログ

    『青い壺』が話題になっているらしいけど、ちょっと有吉佐和子の中では落ちるんでは?と思っていた当方、本作を挙げる記事を見て多分初読。
    これは面白い、この手の大河的小説、最近ない気がする。しかも様々な事象の歴史的流れも垣間見えてエンタメ的に読むことも可能。
    でも本作、「生き方の自由」の希求がテーマな気がする。郁代の凄みは朋子を圧倒し続けていたんだと思われ。
    いやいや、読んだなぁ、と読後に久々に思った小説でした。

    0
    2025年06月20日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    団地妻の夫の上下関係に属する立ち位置や子どもの性へのとまどい、教育の事、高度経済成長が家事に反映する様、個性ある団地妻達の関わりや心理描写がとてもわかりやすく美しい日本語で執筆されていて眠りの前やイライラした時の私の心の鎮静剤になっております。有吉佐和子さんて本当に素敵。お会いしてみたかったなあ。

    0
    2025年06月05日
  • 新装版 和宮様御留

    Posted by ブクログ

    TVドラマ化されたものはずっと昔にちらっと見た記憶がある。フキの役を大竹しのぶが演じていた。

    NHKの「100分de名著」に影響されて「青い壺」「恍惚の人」に続いて読む有吉佐和子作品。

    最初は公家言葉に不慣れなためと章ごとに視点が変わるので読み進めるのに時間がかっかたが、途中からは面白さに一気に読み進んだ。

    0
    2025年05月29日
  • 華岡青洲の妻

    Posted by ブクログ

    凄まじい献身物語、おぞましい嫁姑 男のエゴ
    世界初、全身麻酔による乳がん手術成功者

    通仙散(麻酔剤)成就

    0
    2025年05月07日
  • 悪女について

    匿名

    購入済み

    ものすごく頭の良い女性なんだとは思いますが、彼女の行動は不思議でした。同時進行で色んな事をできて、相手によって自分を使い分けて、すごく魅力的なんだから、もっと幸せになれたのにと、思わずにはいられません。結局は不器用な人なのかな?とも思ったりもしました。彼女の本当の心を知りたかった。

    #ドロドロ #怖い

    0
    2025年05月03日
  • 夕陽ヵ丘三号館

    Posted by ブクログ

    有吉佐和子さんの作品はいつも色褪せないと感じる。昭和の一流商社の社宅。きっと綿密な取材をされての上梓だと思う。夫の浩一郎が音子に、ら抜き言葉を注意しているところ等も面白く読んだ。

    0
    2025年05月01日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

    Posted by ブクログ

    お母さんに勧められた有吉佐和子先生。
    記念すべき初読書がこのエッセイ。
    たくさん読まなきゃいけない本があった。
    それらを読んでからまたこの本を読んだら一段と面白いだろう。
    低音も高音も兼ね備えた豊かなシンフォニイでありたいという文は現代に残る名言だろう。
    私もそんな生き方で自分を肯定していきたい。

    0
    2025年05月20日