有吉佐和子のレビュー一覧
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35年前の日本の問題がいま、隣国中国で起こっている。
先進諸国が安い原価を求めた為に、避けられない結果となってしまった。
この本は1979年に初版が発行され、今でも読み続けられているのは、作者の知名度はもちろんの事ながら、徹底した取材による細かなデータに併せて、生産者とのインタビューを盛り込んだ読み易い口語で書かれているからだと思う。
日本の食品産業界の歴史が第二次世界大戦での敗戦によって、それ以前の歴史からぶつ切りになりながら進んできた事がわかる。
アメリカから持ち込まれた価値観が政治を巻き込んで、生産者から末端までを汚染して行った。
そして気がつくと、食品だけではなく、モラルや慣習、考え方 -
Posted by ブクログ
我儘な一人娘、茜が文楽三味線弾きの清太郎(徳兵衛)に惚れ、彼の後添えになり、彼の芸を支え見守った話。
あるいは、茜の目から見た三味線弾き露沢徳兵衛の生涯。
茜は自分の思いを募らせ暴走、清太郎は三味線馬鹿で女癖が悪い。初めはこの話を読み終えるのは無理かもしれないと思ったけれども、関東大震災、家族の問題、文楽のことなど色々なことが詰まっていて、引き込まれてしまった。
三浦しをんさんの解説も嬉しかった。
有吉佐和子さんは学生時代に課題図書で「複合汚染」を読んで苦手意識を持ったのであまり気は進まなかったのですが、また読んでみたい。
そういえばこれは大正七年頃から昭和の戦後にかけての話で、今、放送 -
Posted by ブクログ
奔放な母と、それに振り回されるしっかり者の娘の愛憎を描く。
そりゃあ誰が見ても母は最低の母親なのだろうが、振り回される方も悪いんじゃないか、もっと毅然とすればいいのに、と思ってしまうのは私が若いせいなのか、それとも時代のせいなのか。
確かに母は褒められた性格ではないのだけど、それでもどこか憎めない。
人は誰しも、自分の思うままに生きたいと思うものだけど、それすなわち誰かを傷つけても構わないということになるのかもしれない。
誰かを傷つけないように生きれば、自然自分がどこかで傷つかずにはいられない。
母にも娘にも感情移入はせず、ただ親子の情愛の不思議さを思った。 -
Posted by ブクログ
一流会社の社宅における人間関係のお話し。お中元の処理の仕方に時代を感じて面白い。
時代背景は少し古いと感じるだろうけれど、人間の心理、人間関係の問題は今に通じる。
人の噂、隣人との比較の中で、正しい価値判断ができなくなっていく主婦。
現代におけるママ友や会社の女性同士の人間関係の悩みと同じだ。現代では、そこにブログやSNSなどネットからの情報も加わり混乱する。
知らないことは知らないままでいいはずなのに。
有吉佐和子が社会に問いかける作品では、ほのぼの感動する、切なく感動する、そういった方法をとらない。
現実の人間の愚かさと醜さを表現しながら、いつの間にか「家族には何が大切なのか」そうい