有吉佐和子のレビュー一覧

  • 断弦

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    昔の父親をさらに頑固にした感じの父親に結婚を反対されても添い遂げ三年も縁を切られ、半ば意地になって娘の手紙も送り返す。それを軟化したのが若い、しかも礼儀もなってなくすぐに反発する女の子。
    その子と父親が知り合う事によりどんどん意地も取れていく。
    父親、娘の心情が引き込まれ、あっという間に読み終わる。

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    2021年10月07日
  • 紀ノ川

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    朗読の時間
    人の一生は川のようなものなのだとつくづく思う。
    悠然と流れる川もいろいろある。
    登場人物、必ずしも同意できないが
    大河のような物語だった。

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    2021年08月20日
  • 不信のとき(上)

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     今年は有吉佐和子(1931-1984)さんの生誕90年であります。若くしての病死でしたが、「笑っていいとも」での奇行から僅か二か月後の訃報に、当時は死因が色色取沙汰されたものです。

     ここで登場する『不信のとき』は、1967(昭和42)年に日本経済新聞にて連載されたもの。主人公の浅井義雄くんは、大手商社の宣伝部に勤めるサラリーマン。結婚して15年が経つが、妻の道子との間には子供はゐません。過去に二度、浮気をして大騒ぎになつた事はありますが、近年は落ち着いてをり、女と遊ぶにも慎重に慎重を重ねてゐるため、発覚はしてゐません。

     ところが、ある時知り合つた銀座のホステス・マチ子に惚れてしまひ、関係を持ちます。彼女は浅井くんの子供が欲しいと云ひ出し、身籠ります。浅井には迷惑をかけない約束で出産するのですが、何とその直後に、妻の道子が妊娠したとの連絡が......

     云つてみれば、順調に出世コースを歩んでゐた男が、女で失敗して転落の詩集を綴る物語であります。簡単に言へば自業自得なのですが、作中での、ほとんどの男は結婚したことを後悔してゐる、との指摘には困りますな。かかる事を言はれて、既婚男性はどのやうに反応して良いのか、途方に暮れるではありませんか。

     ただ、読み進むうちに、男としては浅井くんに感情移入して、いつ妻にバレるかヒヤヒヤするのであります。そして遂にその時はやつて来た! 道子とマチ子の対決! 月並みですが、女性の怖さをまざまざと見せつける会話です。本当に男つてのは、陰でどんなことを言はれてゐるか分つたもんぢやない。

     世の女性たちから、男社会に対する復讐とも云へる小説でせう。ところで、道子が生んだ子供は、本当に人工授精なのか、弟が勝手に代理に同意書にサインできるのか、疑問が色色疑問で終つてしまひました。まあ探偵小説ではないから、それは本質ぢやないのでせうが、気になるところでした。

     尚、この小説は大映で映画化されてゐます。田宮二郎がポスタアの序列を巡つて異議を唱へ、結果的に映画界を去るきつかけとなつた作品でした。でも、どうみても田宮が主演だよねえ。全く永田つて奴は......

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    2021年07月22日
  • 紀ノ川

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    紀州の素封家を舞台に明治、大正、昭和の時代を紀ノ川のようにたくましく生きた女の物語。
    九度山の名家・紀本家の娘・花は、早く亡くなった母親替わりである祖母・豊乃の愛情と教育を受けて、才色兼備の女性に成長する。
    彼女は、紀ノ川の流れに沿って、六十谷の名家・真谷家に嫁ぐ。婿となる真谷敬策は新進気鋭の村長であり、その後、県議会議員、衆院議員と政治の道を順調に進んでいく。花は敬策を支えながら真谷家にとけ込み家霊的な存在となっていく。娘・文緒は男のような侠気があり、新しい女性の姿を求め独立自尊の気持ちが強く、花とよく対立する。また、大学を卒業して出版社に就職した戦後世代の孫娘・華子は感受性豊かで賢く花と情緒を通わせる。
    それぞれの女性が世代の落差はありながらもエネルギーを内包した生き方を見せる。
    敬策の弟で分家した浩策、花の長男で覇気に欠ける政一郎、文緒の夫であり、青白い秀才のイメージのある晴海英二など男性の登場人物はいずれも弱い川として強い女性の象徴である紀ノ川に吸収されていく。 
    破滅的な戦争末期に「家」こそが女の砦だったこと、長男が嫁をもらうことで次男が分家として格下げされる宿命、農地改革により息のねを止められた地主など時代背景を物語の中で実感として味わうこともできた。 

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    2021年07月18日
  • 紀ノ川

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    読み応えのある作品。紀州弁が更にこの物語に彩りを与える。それぞれの世代における女性の価値観が見事に描写されている。今の時代に生きていてよかったと思うのと同時に、御っさんと呼ばれた花の生き方にも憧れを抱く。

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    2021年07月11日
  • 連舞

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    最初は母や姉妹など、他者と比較して一喜一憂していた主人公が、やがて自分自身を深く理解することで、独自の世界を獲得するまでの物語。
    改めて読むと、結局自分を救うのは自分自身、あるいは自分の努力の時間ということなのかな、と思う。

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    2021年04月24日
  • 香華

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    初作家読み。
    血縁に縛られた主人公が母親と妹の勝手さに振り回されそれでも切ることができずあらゆる手助けをする。
    小さな頃から勝ち気な性格だからか倒れることなく旅館を築き、終戦後は誰の力も借りずに食堂から大きくしていく才覚を発揮する。

    妹の子を養子にするが地元の旅館経営者が腹を痛めた子が1番だと養子にもらった息子の戸籍を返したと話して終わりとなるが、母親が亡くなりやっと苦労がなくなると思いきや妹の子が大人になっても安心できない終わり方でなんともやるせない話。

    でも芯のしっかりした生き方に励まされまた頑張ろうと勇気ももらえる話でもある。

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    2021年01月27日
  • 香華

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    まだ女のドロドロ系
    最初からほぼ後半まではイライラしっぱなし。
    郁代も嫌な女だけど、朋子に終始イライラ。
    そんなに憎いなら、見放せばいいものを、やはり血縁というものは切っても切れないもんかね。
    ただただ面倒臭いね、親子のやりとり。
    でもついつい読み進めちゃう。
    有吉佐和子マジック。

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    2020年12月04日
  • 有田川

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    有田の正月は顔が黄色い

    星月夜に川あかりの中歩く

    舌の賢い京都、見てくれ大事の東京市場

    ストーリーの面白さに加えて、方言が心地よかったし、ちょっとした表現に心をつかまれた。

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    2020年11月14日
  • 連舞

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    コンプレックスの塊のような主人公の立身出世物語に目が離せませんでした。劣等感と苦労と孤独の連続でしたが。面白かった。

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    2020年10月11日
  • 連舞

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    芸事の世界に生まれて自分がその才能が無いと知るというのはどんだけ苦しいことやろうと思った。
    それでも秋子は優しくて折れずに生きてて普通に応援しながら読んだ。
    秋子の、母親の愛情を受けたい気持ちを大人になってもずっとコンプレックスとして持ち続けてるのしんどかった。その一点のために生きてるんちゃうかっていう執着ぶり。

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    2020年09月02日
  • 不信のとき(上)

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    ネタバレ

    何か読みたいけど思いつかない。困ったときの有吉佐和子。

    昭和40年頃の東京。
    赤線が廃止され、婦人誌にも性についての記事が掲載されるようになった時代。妻は家で夫の帰りを待つのが当たり前の時代。

    大手商社の宣伝部に勤めるデザイナーの浅井は、印刷会社社長である小柳老人とよく飲み歩いていた。ある時は新宿のヌードスタジオ、定番は銀座のクラブ。結婚15年の妻が家にいながらも、過去に2度浮気し、再び銀座のクラブの女マチ子と恋仲になる。

    ついにマチ子は田舎の清水で出産。浅井も1泊の箱根旅行と妻の道子に嘘をつき、娘の顔を見に行く。【下巻へ】

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    2020年08月07日
  • 一の糸

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    こういう女性の一代記もの、とくに明治〜昭和初期の激動の時代の話は好み。夫婦の姿が理解しがたいけど最終的にはうらやましい。

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    2020年01月04日
  • 断弦

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    面白かった。戦後の地唄の世界。盲目の人が、色を音で捉える表現とか、踊りを着物が畳に擦れる音で評価するシーンとか、へえーと思うこともあったし。でも何より、24歳くらいで書いた編があるってことに驚いた。さすがだわ…。

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    2019年09月06日
  • 複合汚染

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    食品添加物など、個別ではそこまでの被害がないとして使われる物質が複合的に恐ろしい汚染を引き起こすということを伝えている本。ミレニアム世代以降はたしかに恵まれた環境で育ったかもしれないが、こういう食べ物で育ったため長生きしないかもなとすら思う…

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    2019年04月17日
  • 新装版 和宮様御留

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    ネタバレ

    歌川広重の東海道六十九次に惹かれて、中山道の宿を訪ねる機会が増えた。すると随所随所で和宮が降嫁の折に立ち寄った形跡を見るようになり、「この険しく長い中山道を宮さんが駕籠か何かに乗ったにしろ延々と江戸まで続く道を行かれたのか」と、驚くとともに知りたいと思った。
    そして、手に取った本書であるが、のっけから和宮が身代わりであったという驚きの展開であった。そして、あとがきで著者は、本書を書き始めてから太平洋戦争に召集された若者たちと、和宮の身代わりにされた少女が重なって見えたと書いている。どちらも歴史の流れの中での犠牲者であったと。最も無力であった人々に対する鎮魂歌として書いたと。
    その時代を生きた人々に思いをはせる想像力に、著者の大きさを感じた。
    有吉佐和子さんの他の作品も読んでいこうと思います。

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    2020年09月07日
  • 不信のとき(下)

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    マチ子のように 何もいらない、何も求めませんから
    みたいに欲のないフリをしている女が一番怖いんだよ。
    もっともそれに騙されてる男が一番哀れ。自業自得。
    男たち、奥様を大切になさるがいいわ。

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    2018年07月06日
  • 新装版 和宮様御留

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    初有吉作品。なんとな〜く手に取ってみた。
    てっきり大奥に上るまでと、その後の大奥での活躍の話かと思ってたw
    最初は京言葉とそうろう文に、ゲーッ(-_-;)と思ったけど、意外に読めた。でもルビはもっと振って欲しいw
    とにかく宮様の窮屈過ぎる生活の描写が興味深い。これ読んでたら、ほんとに身分高い生まれの人は大変だな…。最近の皇室の方々も大変なんでしょうね…。
    読み終わってからウィキったら、過去大竹しのぶさんでドラマ化してたのね!見たいー!

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    2018年03月10日
  • 連舞

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    母との関係、妹へのコンプレックス、舞うことの悩み…色々抱えながら、それが徐々に剥がれ落ちていく様に引き込まれた。秋子の闘い、見事でした。

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    2017年12月15日
  • 恍惚の人

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    自分が老いるってわかってる? お爺ちゃんボケちゃった。

    昭和後期に書かれた、老人介護のお話。
    当時はセンセーショナルな作品で、ベストセラーにもなった模様。当時から社会情勢は大分変わったものの、この問題自体は何一つ解決しておらず、そちらにショックを受ける。

    主人公自らが言っているように、彼らの状況は決して最悪ではない。もっと悪い家庭はいくらでもある。それでも、本人にとっては辛く厳しい日々であり、誰にも理解してもらえない。それこそが、高齢社会の最たる問題ではないだろうか。

    今や待ったなしの、だれもが関わらなければならない問題。自分が老いると頭では分かっていても実感は無い、そんな若者にこそ。

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    2025年12月28日