有吉佐和子のレビュー一覧

  • 断弦

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    面白かった。戦後の地唄の世界。盲目の人が、色を音で捉える表現とか、踊りを着物が畳に擦れる音で評価するシーンとか、へえーと思うこともあったし。でも何より、24歳くらいで書いた編があるってことに驚いた。さすがだわ…。

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    2019年09月06日
  • 複合汚染

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    食品添加物など、個別ではそこまでの被害がないとして使われる物質が複合的に恐ろしい汚染を引き起こすということを伝えている本。ミレニアム世代以降はたしかに恵まれた環境で育ったかもしれないが、こういう食べ物で育ったため長生きしないかもなとすら思う…

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    2019年04月17日
  • 新装版 和宮様御留

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    ネタバレ

    歌川広重の東海道六十九次に惹かれて、中山道の宿を訪ねる機会が増えた。すると随所随所で和宮が降嫁の折に立ち寄った形跡を見るようになり、「この険しく長い中山道を宮さんが駕籠か何かに乗ったにしろ延々と江戸まで続く道を行かれたのか」と、驚くとともに知りたいと思った。
    そして、手に取った本書であるが、のっけから和宮が身代わりであったという驚きの展開であった。そして、あとがきで著者は、本書を書き始めてから太平洋戦争に召集された若者たちと、和宮の身代わりにされた少女が重なって見えたと書いている。どちらも歴史の流れの中での犠牲者であったと。最も無力であった人々に対する鎮魂歌として書いたと。
    その時代を生きた人

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    2020年09月07日
  • 不信のとき(下)

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    マチ子のように 何もいらない、何も求めませんから
    みたいに欲のないフリをしている女が一番怖いんだよ。
    もっともそれに騙されてる男が一番哀れ。自業自得。
    男たち、奥様を大切になさるがいいわ。

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    2018年07月06日
  • 新装版 和宮様御留

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    初有吉作品。なんとな〜く手に取ってみた。
    てっきり大奥に上るまでと、その後の大奥での活躍の話かと思ってたw
    最初は京言葉とそうろう文に、ゲーッ(-_-;)と思ったけど、意外に読めた。でもルビはもっと振って欲しいw
    とにかく宮様の窮屈過ぎる生活の描写が興味深い。これ読んでたら、ほんとに身分高い生まれの人は大変だな…。最近の皇室の方々も大変なんでしょうね…。
    読み終わってからウィキったら、過去大竹しのぶさんでドラマ化してたのね!見たいー!

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    2018年03月10日
  • 連舞

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    母との関係、妹へのコンプレックス、舞うことの悩み…色々抱えながら、それが徐々に剥がれ落ちていく様に引き込まれた。秋子の闘い、見事でした。

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    2017年12月15日
  • 香華

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    ネタバレ

    母が娘を「妾」といい、娘が母を「娼妓」と罵る。そんな親子があるだろうか。明治の終わりから昭和40年代にかけての物語が、圧倒的な筆力で語られている。女であることをやめない母親を持つ、聡明な娘の気持ちがひしひしと伝わるようだ。苦労を重ねた朋子がようやく落ち着ける心のよりどころを見つけたかと思いきや、そうはならないと匂わせるラストはいかにも有吉さんらしい。血のつながりを否定もし、肯定もする業の深い物語だった。
    話のなかにいくつもの着物や色の描写が出てきた。調べてみるとどれも素敵で、重く暗い物語にほっと息をつかせるようだった。

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    2017年09月26日
  • 新装版 和宮様御留

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    最初、御所ことばに馴染めなくて中々読むスピードが上がりませんでしたが、慣れてからは物語の中に引き込まれました。新倉家の末裔のご婦人から和宮は偽物だったと聞いたことがきっかけで、この話を作り上げた有吉さんの構成力が凄い。フキという架空の少女を創作し、物語の中で替玉に仕立て、現実の和宮の遺骨の左手首が欠損していることや、足が不自由な筈なのに両足に異常がなかったことの説明を見事につけている。権力者のエゴに巻き込まれ、何も知らされず替玉にされたフキが、ただ哀れでした。

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    2017年06月05日
  • 一の糸

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    文楽の世界を舞台にした愛に生きた女性の一代記であり、
    芸道一筋に命を賭けた男の物語です。

    タイトルの一の糸と言うのは三味線の3本ある弦の中で一番太くて強い糸なのですが、
    「三の糸が切れたら二の糸で代わって弾ける。
     二の糸が切れても一の糸で二の音を出せる。
     そやけども、一の糸が切れたときには、
    三味線はその場で舌噛んで死ななならんのやで。」
    文中で値段の張る一の糸を贅沢に使う徳兵衛に
    糸を惜しんだ茜が言われるセリフです。

    この本で有吉さんが書きたかったのは
    一途な茜であり、芸道にストイックに邁進する徳兵衛なのでしょうが、
    芯になっているのは、ここかなと思いました。

    茜、徳兵衛、世喜、宇

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    2017年02月12日
  • 処女連祷

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    有吉佐和子が好きすぎて、読んでない本を日本から古本で取り寄せた中の一冊。
    処女連禱。戦後間もない時代で女子大を卒業した7人グループそれぞれのその後。

    倉賀野祐子が怖すぎると思ったけど、まぁいるよね、、こーゆー女。有吉佐和子さんは女を書かせたらピカ一。

    有吉佐和子さんの初の長編作品らしいのだが、書かれたのはもう60年も前。時代背景はだいぶどころか現代もかすりもしないはずなのにこんなに面白く読めるのはなぜ。

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    2016年10月21日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    商社の社宅に住む主婦達の狂想曲。
    社宅には住んでいなかったものも、商社員の息子としてなかなか身に包まされる話でした。
    世代的にはうちの両親より15-20歳くらい上世代が描かれていて、ある程度実感のある民俗誌を読んでいる気分でした。

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    2016年08月25日
  • 一の糸

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    有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。
    けど、私は文楽が好きなうえ、沖縄の三線だけれど三味線を弾くのでよかったけど、一般の人はどうなんかなぁ?伝わるんかなぁ?
    芸に或る程度の尊敬を払えるタイプの人でないと、この本は辛いでしょうね。

    有吉さんの何が上手って、ただの芸事の本に終わらず、年とって分かる実の母親の強さ、しなやかさ、結婚をするということの意味、少し前の世代の女性の大変さ、男の静かな友情と呼ぶには軽薄に感じる感情の交流など、様々なテーマを懐深く内包し、かつどのテーマも浅はかになっていないところ。

    文楽もまた、何がすごいって、演奏中に死亡した三味線や太夫と相三味線の仲たがいなどが現実に起き

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    2016年07月28日
  • 処女連祷

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    今は、いつまでも独身でいる女性はたくさんいるし、それが別に恥ずかしいことでもなんでもないけど、終戦直後となると、そうもいかなかったのかなあと思いました。

    でももし私がいま、仕事をしているけど独身だったら、この本を冷静に読めたかなあと思うと、怖い気がします。
    今と終戦直後じゃ、だいぶ感覚は違うけど……。

    文代やトモ子なんかは仕事を持ってるからこのまま独身でも大丈夫だけど、薫みたいに大学卒業後家事手伝いになって、そのまま結婚せず……って人は、その後どうするんだろう。

    それにしても裕子。
    初登場の頃から、「うわ、私こういう女絶対友達になりたくない」と思いましたが、最後の最後までやっぱりそんな感

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    2016年07月25日
  • 不信のとき(下)

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    夫の不倫を知った妻の復讐話。
    全体の四分の三(下巻の前半)までは不倫相手に子どもを産ませたことがバレないので、ハラハラしながら読むことになる。

    復讐は見事なほどに容赦ない。
    女2人の賢いやり口に斬られる男、って感じ。
    ちょっと可哀想かな、とも思ったり。

    この本が出版された頃は不倫する男なんて今以上に沢山いただろうし、現実では泣き寝入りする女の方が圧倒的に多かっただろう。
    それを思えば、これくらいでも生ぬるいのかもしれない。

    昭和40年代の日本は、今とはいろいろ違った部分があって、その点でも楽しめた。

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    2016年07月19日
  • 芝桜(上)

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    有吉佐和子さん、2冊目。
    面白かった。
    女同士の関係の機微を描くのが上手な方だと思う。そして、花柳界のなんたるか、男のプライドなるものも垣間見せてくれる。

    小さい頃に、家庭の事情で、芸妓の見習いとなった正子と蔦代。全く性格の違う二人。
    如才がなさすぎて、どこかこすずるく、人から好感を持って受け入れられない蔦代に対して、同性からも信頼されて着実に芸の道を歩む正子。

    一見、正子の方が好感を持って描かれるが、私は微妙。所詮は旦那に体を売る芸妓なのに、本妻として表通りを歩くことを目標としたりと中途半端な感じがしてしまう。

    対して、確かに蔦代はそれこそ感じは悪い。。。というか猫のような性格。でも、

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    2016年05月04日
  • 一の糸

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    久しぶりに有吉佐和子さん。

    造り酒屋の一人娘である茜は、甘やかされて育つ。
    ある日父親と共に出掛けた文楽で、露沢清太郎の弾く三味線の音色に心を奪われる。

    こうはじまる物語で、茜の清太郎への想いと芸一筋に生きる清太郎とを大正末期から戦中戦後にかけて描いている。

    観たこともなく、正直それ程興味もない文楽。
    日本の芸能の中でも歌舞伎や能や狂言などに比べ、文楽は余り知られていないのではないかと思う。
    文楽とか浄瑠璃、義太夫など聞いたことはあるが、恥ずかしながら区別がつかない。そういう世界に生きるひとたちの物語でもあるが、そもそもわからない世界なので想像しづらい面はあった。
    それでも知らない文楽の

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    2016年04月29日
  • 香華

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    芝桜、木瓜の花の正子と性分が似ていると思います。賢くて生真面目で品格のあるところ。だけど朋子がどれだけ正しく清らかに生きても世間一般からみるとけっして堅気ではなく本来ならば、こいさん、お嬢さんでいいところの奥さんになるはずの人が波乱の運命をわたります。
    時代背景と風習そして着物、布地などの描写が興味深く毎回勉強になります。

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    2016年02月27日
  • 新装版 和宮様御留

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    久々の有吉佐和子さんの本。御所言葉が頭に入らないけど、どんどん引き込まれる。女同志の争い、こんなに酷いのは、見聞きした事ないけど、世界が狭い場合にはあり得るだろうな。
    和宮についてもう少し調べたくなる。

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    2016年01月13日
  • 有田川

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    紀ノ川が大好きだったので期待して読んだ。美しい紀州弁とそこで生きる様々な人々と生活の描写、さすが有吉佐和子。

    二度も氾濫した川に流されその都度運命が変わった千代の一生。それでも彼女は自分で進むべき人生を切り開いて行った。好きなみかん作りに一生携わり、家庭も築き、劇的に変わる時代を生き抜く様は爽快。

    ただこれは完全に個人の好みの問題だが、今回の主人公は少したくまし過ぎたかな。残すは日高川・・また違ったタイプの女性が主人公なのだろうか。

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    2015年11月25日
  • 開幕ベルは華やかに

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    舞台小説でありミステリ小説であり。
    けっこうな長編だけどぐいぐい読ませる力があって一気に読んだ。

    「二億円用意しろ。さもなくば大詰めで女優を撃ち殺す」という一本の電話が帝劇関係者に激震を起こす。
    満員の観客が見守る中舞台は進み、バックステージでは緊迫した駆け引きが繰り広げられる。

    全26章、章ごとに視点は変化してゆくのだけど、主にミステリ作家でひょんなことから舞台の演出を手掛けることになった渡紳一郎の視点で物語は進む。
    著者の有吉佐和子さんは演劇界にも明るい方だったらしく、華やかな舞台の世界の裏側も事細かく描かれていて、主演の八重垣光子の女優然とした姿が「これぞまさに女優!」と思わせてくれ

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    2015年11月18日