有吉佐和子のレビュー一覧
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ネタバレ歌川広重の東海道六十九次に惹かれて、中山道の宿を訪ねる機会が増えた。すると随所随所で和宮が降嫁の折に立ち寄った形跡を見るようになり、「この険しく長い中山道を宮さんが駕籠か何かに乗ったにしろ延々と江戸まで続く道を行かれたのか」と、驚くとともに知りたいと思った。
そして、手に取った本書であるが、のっけから和宮が身代わりであったという驚きの展開であった。そして、あとがきで著者は、本書を書き始めてから太平洋戦争に召集された若者たちと、和宮の身代わりにされた少女が重なって見えたと書いている。どちらも歴史の流れの中での犠牲者であったと。最も無力であった人々に対する鎮魂歌として書いたと。
その時代を生きた人 -
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自分が老いるってわかってる? お爺ちゃんボケちゃった。
昭和後期に書かれた、老人介護のお話。
当時はセンセーショナルな作品で、ベストセラーにもなった模様。当時から社会情勢は大分変わったものの、この問題自体は何一つ解決しておらず、そちらにショックを受ける。
主人公自らが言っているように、彼らの状況は決して最悪ではない。もっと悪い家庭はいくらでもある。それでも、本人にとっては辛く厳しい日々であり、誰にも理解してもらえない。それこそが、高齢社会の最たる問題ではないだろうか。
今や待ったなしの、だれもが関わらなければならない問題。自分が老いると頭では分かっていても実感は無い、そんな若者にこそ。 -
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文楽の世界を舞台にした愛に生きた女性の一代記であり、
芸道一筋に命を賭けた男の物語です。
タイトルの一の糸と言うのは三味線の3本ある弦の中で一番太くて強い糸なのですが、
「三の糸が切れたら二の糸で代わって弾ける。
二の糸が切れても一の糸で二の音を出せる。
そやけども、一の糸が切れたときには、
三味線はその場で舌噛んで死ななならんのやで。」
文中で値段の張る一の糸を贅沢に使う徳兵衛に
糸を惜しんだ茜が言われるセリフです。
この本で有吉さんが書きたかったのは
一途な茜であり、芸道にストイックに邁進する徳兵衛なのでしょうが、
芯になっているのは、ここかなと思いました。
茜、徳兵衛、世喜、宇 -
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有吉佐和子さん、やっぱり好きだなぁ。
けど、私は文楽が好きなうえ、沖縄の三線だけれど三味線を弾くのでよかったけど、一般の人はどうなんかなぁ?伝わるんかなぁ?
芸に或る程度の尊敬を払えるタイプの人でないと、この本は辛いでしょうね。
有吉さんの何が上手って、ただの芸事の本に終わらず、年とって分かる実の母親の強さ、しなやかさ、結婚をするということの意味、少し前の世代の女性の大変さ、男の静かな友情と呼ぶには軽薄に感じる感情の交流など、様々なテーマを懐深く内包し、かつどのテーマも浅はかになっていないところ。
文楽もまた、何がすごいって、演奏中に死亡した三味線や太夫と相三味線の仲たがいなどが現実に起き