有吉佐和子のレビュー一覧

  • 恍惚の人

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    祖母から借りた本である。

    茂造さんの死を心待ちにしている自分もいた気がする。なのに、なんでだろ。なんでこんなに泣きそうになっているんだろう。
    急いでタリーズを出ます。

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    2025年07月12日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

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    あまり知らなかった有吉佐和子の育ちが知れて 
    言動の背景にあるものが少し理解できた
    父親の仕事で海外で生活し
    外から日本を見て育ち
    帰国して衝撃を受けたこと
    木と紙の文化の中の住居
    そして敗戦国として混乱混沌
    暮らしを見つめる目もたぶんクール
    だったんだろう

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    2025年07月12日
  • 紀ノ川

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    ネタバレ

    「お母さん、乳房形って、どないして作るんですか?」
    と訊きに来た。木綿のハンカチを扱って簡単に作り方を説明してから、
    「あんた、慈尊院さんへ行くんかよし」
    と尋ねると、
    「ふん、まあ気休めやと思うけどの」
    ぷいと立って行ってしまった。

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    2025年07月08日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    ネタバレ

    文章はさすがのさすが有吉佐和子氏。主人公音子の感情と共に進んでいく
    主人公音子は自身で不幸の種を探して探してそれを撒いて大きく大きく育ててしまうタイプで読んでいてしんどくなった
    どうしてそう曲って受け取るんだ、またそうやってネガティブな思考にはまっていくのか…
    ラストはパンチはなく物足りないかなと思ったが日常に無理のない終わり方ということだろう
    とにかく一貫して音子の思考の中に入り込んで物語が進んでいく

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    2025年07月07日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    一流企業の社宅で暮らす奥さんの日常を描いている。描かれている人間模様がリアルで、さらりと読めた。

    専業主婦をして、社宅で暮らしていると生きている世界が狭くなる。その上家事を自動で行ってくれる電化製品が誕生したことで、世の中の専業主婦たちが狭い世界の中で暇になり、暇なせいで子供に過度に期待して干渉したり、社宅内の他人と比較して一喜一憂する。

    暇を持て余した結果、今は共働き夫婦が増えたのだと思った。サラリーマンの専業主婦では、暇な時間を持て余すが、暇な時間に豪遊するほどお金に余裕はないから。

    社宅内の奥様方の人間関係には、小中学校の女の世界を思い出して、ちょっと嫌な気持ちになった。話し相手に

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    2025年06月15日
  • 恍惚の人

    e3

    ネタバレ 購入済み

    レビューというより感想です

    まず時代性なんかが今と違うのが面白い。主人公が普通に戦争経験者で、主人公の夫も戦地帰り。息子は学生運動の世代。うちの祖父母が主人公世代って考えると、すごく不思議な気持ちだった。
    でも、文体なんかは別に古くさくもない。いうて現代だもんね。

    認知症ってのは今は普通に知られてて、それ用の受け入れ施設もあるけど、当時は大変だったろうな。働く主婦の主人公が、仕事と介護の間で悩むあたりは、現代でもそんなに代わらない問題だなって思ったし。今どきは嫁が義父母の介護をする・・・なんて価値観も古くなってるけど、全く無くなってるってわけでもない。その価値観転換のスタート地点を読んだんだなって思った。

    通底して書

    #タメになる #深い

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    2025年06月12日
  • 悪女について

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    謎の死をとげた富小路公子。
    彼女に関わる27人が「公子」について
    語り出す。
    はー、面白かった!!
    富小路公子、何者?
    一体どこまで読めば「公子」の素性を
    知ることができるんだ。
    読めば読むほど謎の女に、
    出てくる出てくる「公子」についての新証言。
    私も気づけば翻弄されてるじゃん!と、
    笑えてしまった。
    人っていろんな一面があるよねー
    というのが、27人読んだ感想です。

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    2025年06月05日
  • 女二人のニューギニア

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    これが60年近く前の話とはとても思えない。エネルギッシュというか向こう見ずというか。これフィクションでしょと途中から思ったほど。でもこういう経験をしていた人がこの時代にいたなんて驚き。女性とか男性とかそういう枠を超えてこの時代の日本人としては極めて異色の経験や感性の持ち主だったのだろう。参りました、という感じ。

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    2025年06月03日
  • 更紗夫人

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     美貌の未亡人、紀代。
     隠居した大実業家で、紀代をお気に入りの舅、玄助。
     かつては紀代に思いを寄せていた、亡き夫貞一郎の親友で実業家の、岩永。
     世間知らずの紀代に遠慮会釈ない意見を述べる、新聞記者の青年、丸尾。
     紀代はしなしなとこの三人それぞれを頼りにしつつ、趣味で始めた更紗の着物作りを自分の仕事にしていけるのか、そして最後は誰と結ばれるのか……。そういう話であると紹介しても間違いではないが、「とにかくすごいもの読んだ…」という読後感に圧倒された。
     出来事の説明や風景の描写と地続きに、静謐ながら感情が匂い立つような文章。激しさはないのに、読んでいると人物たちの想いがこちらの心にまで流

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    2025年05月26日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    昭和の高度成長期、大手商社の社宅が舞台です。
    旦那の出世、子供の教育方針や成績など奥さま同志の井戸端会議や噂話から、人間の愚かさ、嫉妬心、ダークな部分が感じられました。

    洗濯機や炊飯器などの家電が発売され、家事にかかる時間が少なくなり、時間を持て余す。その時間で趣味を見つけたり、勉強したりすればよいのに、他人の噂話ばかりで…賢くないと感じた。

    時間があると普段気にならないことが気になったり、碌なことが起きないのである程度忙しくしていた方がよいと思った。

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    2025年05月24日
  • 悪女について

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    面白かった!『藪の中』構成の実に27人版である。しかし結局のところ人間は誰しも見る角度切り取る角度によって全く違った姿を見せるもので、それ自体に大きな驚きはない。やがてあなたの中で浮かび上がる「公子」の姿は一体どういうものなのか。そこにおそらく読者それぞれの価値観が色濃く反映されるのが面白いと思った。

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    2025年05月20日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    40過ぎの夫は「同級生には戦争で死んだやつもいる」と言っているので昭和元年生まれで昭和40年過ぎくらいがお話でしょうか。だとするとここに出てきた中学校1年生も今や70半ばかと思われます。

    60年たってカタチは変われど、嫉妬、見栄、派閥、集団での生きづらさといった日本人の本質はなんら変わらなくて唖然とします。

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    2025年05月18日
  • 有吉佐和子ベスト・エッセイ

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    「悪女について」や、「紀の川」などを著した舞台裏みたいなものがちょこっと明かされたり、
    生い立ちと読んできた書物のことがよくわかったり、
    岡本かの子さんへの深い想いが綴られていたりしました。

    中でも、和歌山のおばあさまが体現していた古き日本文化に反発した有吉佐和子さんのお母様、そして古さと距離があったゆえに、自然にそれを吸収し、危篤状態にあったおばあさまの枕元で「増鏡」を何度も音読するほど、おばあさんと仲が良かったというエピソードには、親しみを感じました。

    鋭い視点と行動力に憧れる。
    そして、歴史を、女性の視点から見る徹底した姿勢にも痺れます。

    次は出雲の阿国を入手して読みたい。
    島根県

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    2025年05月15日
  • 夕陽ヵ丘三号館

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    文庫本にしては長編で疲れました。
    高度経済成長時代の上場会社の社員寮の話しです。
    昭和の私達の母親の時代背景、うるさいくらい騒々しい井戸端会議、差別的で見栄の張り合いの主婦連中とモーレツ社員の夫達
    差別用語も頻繁に出てくる。
    孟母三遷の教えとか教育ママゴンとか懐かしいけれど時代遅れのところもあり、今のようにSNSなど無かった時代なので人の噂話や新聞広告や情報に振り回されていた大変な時代だったと思う。今なら主婦、夫の気持ちがよく分かる。主婦である主人公が夫→息子に期待をかけて依存するのは昭和そのものだと思う。
    表面協調して心の中では相手を見下す社宅には住めない。
    息子の進学の為に社宅を出た株が趣

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    2025年05月15日
  • 非色

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    最初は贅沢な暮らしだったが後半は貧困生活
    子供の世話を充分にできず、贅沢なマダムの暮らしを知り涙してしまう
    子供は親を選べない、自分は差別される立場ではないと思っていたが実は自分も差別される側
    みんな誰かしらマウントを取り馬鹿にしているのは一緒
    知識があれば貧困は回避できたのだろうか
    知識があっても人種によってレールがすでにひかれている
    みんな平等で労わりあえる社会だと貧困による犯罪や差別も減るのではないか

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    2025年05月12日
  • 非色

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     本書は、1959年にニューヨークに留学した有吉佐和子さんが、アメリカの人種問題を内面から描いた作品(1964年)ではあるものの、それをアメリカ黒人と結婚し子どもを産み、アメリカで暮らすことを決めた日本人女性の視点で描いている点に、本書ならではの捉え方があるのではないかと感じられたことから、2003年を最後に重版未定となっていた本書が、2020年に河出書房新社から復刊された意義も充分にあったのだろうと思われた。

     人種問題といっても捉え方は様々で、戦後の時代背景に於いて、使う者と使われる者との間に生まれる格差に加え、アメリカ黒人だけに限らない差別を知ることによって、無意識下ではあるのかもしれ

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    2025年05月02日
  • 女二人のニューギニア

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    1967年頃のニューギニア滞在記。べらぼうに面白かった!情報通信網が発達した現代だとこんなに面白くはならないだろうな。

    和歌山弁の文化人類学者 畑中幸子さんと有吉佐和子さんの掛け合いが面白く、滞在日数が長くなるにつれて有吉さんが徐々に畑中ナイズされていく。一方、食に関しては有吉さんの方が順応性があり、二人の対比も面白い。一体、有吉さんはどうやって帰るのだろうかと思ったらまさかの方法!そして帰国した後のおまけつき笑 結末はぜひ読んでお確かめください

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    2025年05月03日
  • 女二人のニューギニア

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    なんだか凄い旅行記だった。
    私の生まれる前の海外旅行、それも未開の地への旅。山を分け入り壮絶な旅路の連続に激しくクラクラした。文化人類学者畑中幸子さんの研究への取り組みも新鮮でこんな凄まじい奮闘によって未開の地の文化を知る事が出来たのだと感動。文化人類学という学問への興味もそそられた。
    女二人の会話も出来事も軽快で抱腹絶倒。旅が突然終了し帰国後の出来事にも思いがけず驚きの連続で最後まで一気に読めた。60年近く前の作品なのにこんなに面白いなんて!と有吉佐和子さんへ興味が湧き他も読んでみようと思う。畑中幸子先生の本も読みます!

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    2025年05月01日
  • 非色

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    色に非ず。肌の色での人種差別、肌の色ではない人種差別、それによって人生が変わってしまうこと、交わらないこと、置かれた環境の厳しさ難しさ、自分の知らなかった世界を知れた。終戦直後から数年間の日本とNYの実情は厳しかった。果たして今に至っては、なにかよくなっているのであろうか?アメリカで何が起きているのか自分からはぜんぜん知れていないだろう。観光でしか行ったことがないので...。日本でも、偏見などによる差別とまではいかなくても差別意識はなかなか消えないと思う。世界中がかわっていくこと変えていくことはとっても難しいと思うが、差別で苦しむ人が少なくなっている、いくことを願う。

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    2025年04月22日
  • 華岡青洲の妻

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    ネタバレ

    嫁姑の冷ややかな戦いの凄まじさ。花岡青洲という歴史に残る医者のもとで繰り広げられる。
    表面に出てこないだけに恐ろしい。でも、ずっと目立たなかった小陸は「嫂さんが勝ったからやわ」と二人の戦いを見抜いていた。
    もしかすると今でも同じような戦いが行われているのかもしれない。

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    2025年04月20日