有吉佐和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有吉佐和子の短編集、昭和33年から37年の作品。
短編といえども、一つ一つの作品はとても中身が詰まっている。
有吉さんは早く亡くなったので活躍されたのは過去の感があるけれど、存命ならば今年95歳、充分に同じ時代を生きている人だった。
文章を読んで昭和の風景を懐かしく思い出す一方で、今と全く変わらない新しさも感じる。
「水と宝石」「王台」「三婆」では、女の老いが描かれる。
どれだけ若く見られるか、が女のテーマなのだろうか。何時代から?
今、中年過ぎて老年に差し掛かっても美しい女性を「美魔女」というけれど、それと同じような表現がすでに書かれている。
この時代、「魔女」のイメージは、とんがり帽子をかぶって、大きなワシ鼻で背中の曲がったおばあさんだったと思う。
それを、還暦を迎えても美しい女に「魔女」という言葉を使っているのは、現代と同じ意味を持たせている。
どんなふうに老いるのか、大きなテーマである。
同年代の、妻・妾・妹が同じ敷地内に暮らすようになる「三婆」
店子の夫人たちは、芸者上がりで妾だった駒代の若々しさに、やっぱり結婚しないで自由に生きているからだろうかと感服するが、その夫たちは不気味がる。年相応に老けてほしい、襟白粉は不潔な感じがする。確かに、仄暗いお座敷では襟足の白さも美しいだろうが、お日様のもとに出れば場違いかもしれない。
「なま酔い」は、8月6日が何たるかをすっかり忘れて広島に出張に行った若いサラリーマンの話。こうやってすっかり戦後を忘れてしまう者と、二世に及ぶ被害をも恐れなくてはならない被爆者と。
【役者廃業】
【水と宝石】
【王台】
【なま酔い】
【三婆】
【亀遊(きゆう)の死】
【うるし】 -
Posted by ブクログ
読後の考察がとても楽しい良著でした!
時代の垣根を超えて楽しませてもらいました。
最大の皮肉)
富小路公子は男たちを騙し、利用し、完璧に人生をコントロールしていた。
しかし最期は、「遺産は一円も残らず、後に残されたのは、自分のせいでまともに生きられなくなった幼稚な弟(文彦)と、母の呪縛から逃れるように冷徹に自立した兄(義輝)」という、あまりにも皮肉な結果だった。
公子の最後について)
あらゆる男を陶酔せてきた公子でも、エリートサラリーマンの渡瀬義雄には「心」を支配できず、絶世の美しさと若さを持つ烏丸には「美」の格の違いで見下されていた。
だからこそ、公子は、年齢的も肉体的にも「自分の美の限界」を迎えたとき、もうこれ以上、男たちを騙して自分のプライドを維持するゲームを続けられなくなった(=心が満たされなくなった)ことで、次男が幼少期に体験した証言のように、フラッと美しものに惹かれ、瞬間的にビルから飛び降りたのかもしれない。
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Posted by ブクログ
有吉佐和子さんがニューギニアに辿り着き、そこで過ごした1ヶ月間を痛快に描いたエッセイとなっている。
序盤に出てくる有吉さんが豚の丸焼きのように木に括られて運ばれていく様は、現代日本で生活していると起こるはずもない、シュールかつぶっ飛んだ光景となっており、この場面を機にある種の異世界に迷い込むこととなる。
未踏の地であったニューギニアでの生活をここまで鮮明かつエネルギッシュに描く有吉さんの筆力は目を見張るものがあると感じた。
多少昔に書かれたエッセイではあるものの、現代社会に疲れた人にこそこの本を読んでほしい。異世界転生したような世界を知ることで、自分の暮らしている社会を見つめ直すきっかけになるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ富小路公子さん…多分、悪女ではないんじゃ?
27人の証言がそれぞれ異なるのは、公子さんが各人物に合わせた顔を作っていたのかな?
人は誰かに対して、「こうであってほしい」という気持ちの上で印象づけてしまうんだろうなぁと思いました。
彼女の事をとやかく言っていた人物も、擁護出来るほどの生き方でもないですし、根っからの悪人はいないと思うんですよね…。
次男の証言が1番真実に近い気がします。
自殺をしたとき、公子さんが見える世界も公子さん自身の容姿も、自他共に認める最も美しい瞬間だったのかなと。
公子さんにとっては全て嘘偽りない…だけど、生い立ちに相当のコンプレックスを感じ、かなりの努力をした結果、理想と虚構が混在しちゃったのかもしれないです。
でもなぁ…羨ましいとは思わないですし全てとは言わないですが、強く生きていくうえで彼女ほどのバイタリティとガッツは見習いたいところですね。 -
Posted by ブクログ
畑中さんに似ている友人がいる。
とにかく規格外で、誘い文句が巧妙。
いつも丸め込まれて、ノコノコついていく私と有吉さんが重なって見えていた。だから他人事とは思えず。
足の爪剥がれてるのに山越えようとか。
断ったら軽蔑されるとか。
勝手に瘡蓋掻きむしるとか。
とにかく理不尽のオンパレード。
そんな畑中さんの扱いを覚えて
なだめたりすかしたりする術を身につけていく有吉さんの処世術に拍手。
本当だったらかなりシビアな状況だったと思われるが、コミカルな文体に落とし込まれていて読みやすく、
見たこともないはずの光景も目に浮かぶような情景描写。
流石ベストセラー作家だなと思う。
久々に単純に読書していて楽しい気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
『非色』に同じくして、社会的な問題を取り扱いながらちっとも色褪せない内容であるのは、日本の皮肉かもしれない。
「老い」の実態をテーマにしながらも、重苦しさが強すぎないのは、やはり主人公の昭子の強さや軽やかさ、ひいては有吉佐和子という人の社会を捉えるしなやかさにあるのではと感じ入る。
そうは言っても、自分にも「老い」が訪れることを恐怖せずにはいられない。女性がおばさんになることの呪いは、『逃げ恥』以後解かれつつある(と期待している)が、さらなる老いとなると、社会的にも安全安心に老いる仕組みが整わなければ、なかなかこの呪いは解けないのではと危惧してしまう。 -
Posted by ブクログ
読んでいて、自分の夫が死んだらどこに連絡すればよいのだろうと考えて、やはり優先すべき連絡先はアナログで残して置いてもらおうなどと事務的なことを思った。
それにしてもボケた老人の恐ろしいこと。生々しくて少し心をドロっとさせられた。
内容はドロドロしているのに、文体はさっぱりしていて、とても読みやすい。
藤野千夜さんの『じい散歩』を読んでる時も思ったけど、昭和の時代って、隣近所との関係が今とは到底違っていて、家の事で困った時に近所の奥さんに相談したり、頼んだりするのは珍しいことじゃなかったんだなって改めて思う。
主人公昭子が、義父が一命を取り留めたところで、「生かせるだけ生かさしてやろう。誰でもない、これは私がやれることだ。」と決意を固める様は、頼もしく応援したくなった。
死よりも老いる方が怖い といったセリフが印象的。
どうしても今の私にとって介護は他人事に思ってしまう。会社の先輩に介護してる人がいたり、今はもう亡くなってしまった義父や義理の叔父が癌でそれぞれ介護が必要で、ヘルパーさんにお世話になっているのは聞いてはいたけど、自分が直接何かしたっていうのは全くなくて、本当に介護とは無縁の世界にいたけど、今回この本読んで実情知れて良かった。
本作は昭和47年に書かれて、54年も前だけど、介護の問題ってそんなに変わってないのかなって思った。誰が見る(犠牲になる)のか、どこに相談すれば良いのか、どんな条件で預かってもらえるのかとか。この当時は老人会館って言ってるけど、今でいう福祉センターていうのが あるって言うのも知ったし、そういうちょっとしたことを知れただけでも読んで良かったのかなって思う。
それとお年寄りってとても知恵があるし、教わること多いなって、敬っていきたいなって改めて思ったし、地域に根付いたお仕事もちょっと興味が出た。今仕事辞めて 4ヶ月くらいになるけど、今年小一になった子どもの下校や給食のボランティアとかするようになって、お手伝いできることがあれば手伝いたいなと思うようになったし、社会貢献というか地域貢献したいなって思いも強まった気がする。
そして、自分の親の介護とか、自分の夫の介護とか、あとは自分が介護される側になるとか、まだピンと来ないんだけど、ちょっと立ち止まるいい機会になったと思う。