有吉佐和子のレビュー一覧
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100分de名著で取り上げると知り、初めて読んでみた。
設定は出版と同じ1972年とか執筆時と思われる前年あたりか、と思う。主人公家族は共稼ぎの夫婦と高校2年の息子。敷地内同居していた姑が脳溢血で突然死して、遺された舅がボケているのに気づく。そこから始まる”嫁”昭子のボケた舅の介護奮戦記だ。まさに昭子の体を張っての、対舅との戦争みたいだ、と感じた。だが、カラッとした読み心地と読後感。昭子は体力・気力・思考力がある人に感じ、そういういわば少し理想形なところと、なにより”戦争”には終わりがある、というところがそう感じるのか。
雪の降る日に姑が突然亡くなり、それから舅のボケは大食、徘徊、失禁とど -
Posted by ブクログ
終戦後アメリカ兵と結婚しアメリカへ渡った「戦争花嫁」と呼ばれた女性たちがアメリカで直面する人種差別について描かれた作品。
主人公の笑子(えみこ)は反対されれば逆にやってやろうと反撥心を燃え上がらせるような性格で、親の反対を押し切って黒人のトムと結婚し子供を産みアメリカへ渡ります。なかなかおもしれー女です。そしてどんな過酷な状況でもなんとなく受け入れて、前に進んでいけるたくましい女性。
対照的だったのが渡米する船の中で知り合った同じ戦争花嫁の麗子。彼女の夫は黒人よりもさらに差別される立場だったプエルトリコ人(同じ白人なのに見分けがつくんだろうか…?)夢見ていたアメリカでの幸せな結婚生活とは程遠 -
Posted by ブクログ
ネタバレ有吉佐和子さんは、好きな作家の一人である。
読んだことはないが、公害問題を扱った作品や、そのうち読もうと思っている実在の外科医華岡青洲などの作品も書かれているので、事実の調べについてもしっかりとされているのだろうけれど、そういった系統の作品は読むのは初めてでした。
徳川家に降嫁した和宮が偽物であったと云う大胆な説を展開されているようで、当時は大分と話題になった本らしいです。
その仮説のダイナミックさはさすがとは思いますが、最初からその仮説が推測されるので、どうなるの?というドキドキ感がないのと、他の作品に比べて、身代りにされる主人公のふきが不条理に不幸でかわいそうな気がしたので★3つ。